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{{Infobox disease
|Image=Alzheimer's_disease_brain_comparison.jpg
|Caption= 正常な高齢者()と、アルツハイマー病罹患高齢者()の脳比較。
| Name = 認知症<br />Dementia
|Field = [[神経学]], [[精神医学]]
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| MeshID = D003704
}}
[[File:Dementia Prevalence in OECD.svg|thumb|right|400px|OECD各国の人口千人あたり認知症者]]
'''認知症'''(にんちしょう、{{lang-en-short|Dementia}}、{{lang-de-short|Demenz}})は[[認知障害]]の一種であり、[[ヒトの脳]]の[[後天性|後天的]]な器質的障害により、いったん正常に発達した[[知能]]・[[知性]]が'''不可逆的に'''低下する状態である。初期段階は周囲にも、'''[[老化]]による[[健忘|物忘れ]]と混同'''されやすいが、どれかが並行して起きる(物忘れに自己対処出来ない、物忘れしたこと自体を忘却、[[妄想]]・[[幻覚]]、依存、徘徊、[[挑戦的行動|攻撃的行動]]、[[睡眠障害]]、[[介護]]への抵抗、異食・過食、[[抑うつ]]状態など)。人によって症状は様々であり、発症前より怒りっぽくなったり、不安な性格になったり、異常な行動が見られるようになる{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}<ref name="Kaplan">{{Cite |和書| |author=B.J.Kaplan |author2=V.A.Sadock |title=カプラン臨床精神医学テキスト DSM-5診断基準の臨床への展開 |edition=3 |publisher=メディカルサイエンスインターナショナル |date=2016-05-31 |isbn=978-4895928526 |at=Chapt.21.3}}</ref><ref name="nia">{{Cite report|df=ja|title=Alzheimer's Disease Fact Sheet |publisher=[[アメリカ国立老化研究所]] |date=August 2016-08 | url=https://www.nia.nih.gov/alzheimers/publication/alzheimers-disease-fact-sheet}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kanri.or.jp/article/2012/05/post_92.php|title=認知症について|accessdate=2021/09/20}}</ref>。
 
本項では主に[[ヒト]](人間)について記述するが、認知症は人間以外の動物([[イヌ|犬]]や[[ネコ|猫]]など)でも発症する。狭義では「知能が後天的に低下した状態」の事を指すが、医学的には「知能」の他に「[[記憶]]」「[[見当識]]」を含む[[認知障害]]や「人格変化」などを伴った[[症候群]]として定義される{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}{{r|nia}}。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態は[[知的障害]]、先天的に[[認知]]の障害がある場合は[[認知障害]]という。単に[[老化]]に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、'''病的に能力が低下して性格の先鋭化、強い承認欲求、理性的思考力衰退、被害妄想を招く症状'''を指す<ref>{{Cite news|title=「突然キレる」「同じ昔話を繰り返す」――親に感じ始める「なぜ?」の原因と付き合い方 - Yahoo!ニュース 2018年8月31日}}</ref>{{Sfn|世界保健機関|2012|p=4}}。
 
日本において、この病はかつて'''痴呆'''(ちほう)と呼ばれていた。しかし、日本では、[[2004年]]に[[厚生労働省]]の用語検討会によって「認知症」への言い換えを求める報告がまとまった。これを受けて、まず[[行政]]分野および[[高齢者]]介護分野において「痴呆」の語が廃止され「認知症」に置き換えられた。各医学会においても2007年ごろまでにほぼ言い換えがなされている。朝鮮半島では漢字が義務教育から廃止されたため、「痴呆(症)」という漢字が問題にならず、現在もそのままである(詳細については[[#名称変更]]の項を参照)。日本では物忘れと混同されやすいため、'''[[物忘れ外来]]'''という認知症かもと思った際の専門が設置されているところがある<ref>{{Cite web|和書|title=物忘れ外来って? 認知症かもと思ったら |url=https://special.nissay-mirai.jp/jinsei100y/hints/ox2WR|website=100年人生レシピ|認知症を考えるみんなのためのメディア|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。
 
認知症は70歳以上人口において2番目に多数を占める障害疾患である{{Sfn|OECD|2015|loc=Chapt.1}}。全世界で3560万人が認知症を抱えて生活を送っており{{Sfn|世界保健機関|2012|p=4}}、その経済的コストは全世界で毎年0.5-0.6兆[[アメリカ合衆国ドル|米ドル]]以上とされ、これは[[スイス]]の[[国内総生産]](GDP) (GDP) を上回る{{Sfn|OECD|2015|loc=Executive summary}}{{Sfn|世界保健機関|2012|p=4}}。患者は毎年770万人ずつ増加しており{{Sfn|世界保健機関|2012|p=4}}、世界の認知症患者は2030年には2012年時点の2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測している{{Sfn|世界保健機関|2012|p=v}}。
 
現在の医学において、認知症を治療する方法はまだ見つかっていない{{Sfn|世界保健機関|2016|loc=DEM}}{{Sfn|OECD|2015|p=15}}。安全で効果的な治療法を模索する研究が行われているが、その歩みは難航している{{Sfn|OECD|2015|p=15}}。
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予防も、知的活動や他人とのコミュニケーション、身体運動などにより試みられており、日本では日本認知症予防学会が組織され、[[アルツハイマー症]]に名を残すドイツの医学者[[アロイス・アルツハイマー]]の誕生日である6月14日を「認知症予防の日」と定めている<ref>[https://www.sankei.com/article/20220602-N6FHSTISQRPTNHJCADCNPIZ7ZU/ 認知症、自分のこととして 14日「予防の日」発症まで30年 現役世代も]『[[産経新聞]]』朝刊2022年6月2日(生活面)同日閲覧</ref>。
 
老化に伴う脳の器質的障害とともに、身体のいずれかが機能不全を起こすことが多かったため[[社会問題]]化することはなかった。近年では身体の老化による障害は投薬などにより機能をある程度維持することが可能になったが、脳の機能は投薬などでは劣化を防ぐことができなかったために顕在化した。
 
[[ファイル:oecd-dementia.svg|thumb|right|400px|OECD各国の65歳以上人口における認知症者(%){{Sfn|OECD|2013|loc=Chapt.8.4}}]]
{{TOC limit|3}}
 
== 症状 ==
以前よりも脳の機能が低下するが、主に以下の様な症状があに分類され
 
=== 中核症状 ===
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これらは[[神経細胞]]の脱落によって発生する症状であり、患者全員に見られる。病気の進行とともに徐々に進行する。
 
=== 周辺症状(BPSD) (BPSD) ===
{{Anchors|BPSD}}
全ての患者に普遍的に表れる中核症状に対し、患者によって出たり出なかったり、発現する種類に差が生じる症状を「周辺症状」、近年では特に症状の発生の要因に注目した表現として「'''BPSD'''(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理症状)」、「non-cognitive symptoms」と呼ぶ。
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主な症状としては[[幻覚]](20-30%{{r|Kaplan}})、妄想(30-40%{{r|Kaplan}})、徘徊、異常な食行動([[異食症]])、睡眠障害、抑うつと[[不安]](40-50%)、焦燥、暴言・暴力(噛み付く)、性的[[羞恥心]]の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出など)などがある{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Introduction}}{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。
 
発生の原因としては中核症状の進行に伴って低下する記憶力・見当識・判断力の中で、不安な状況の打開を図るために第三者からは異常と思える行動におよび、それが周囲との軋轢を生むことで不安状態が進行し、さらに症状のエスカレートが発生することが挙げられる。前述の通り、中核症状と違い一定の割合の患者に見られ、必ずしも全ての患者に同一の症状が見られると限らない。またその症状は上記のもの以外にも非常に多岐にわたり、多数の周辺症状が同時に見られることも珍しくない。中核症状が認知症の初期・軽度・中等度・重度と段階を踏んで進行していくのに対し、周辺症状は初期と中等度では症状が急変することも大きな特徴である。初期では不安や気分の沈みといった精神症状が多く、中等度になると幻覚や妄想などが発現する。
 
かつては'''中等度'''になると激しい症状が現れ、患者は日常生活を行う能力を急速に喪失してゆくことが多いと認識されていた。そのため「周辺症状=中等度」との固定観念が存在したが<ref group="注釈">この固定概念には、周辺症状の発現と深刻化によって患者たちの家族などの介護負担大の一途を辿るえてしまうため、「周辺症状=中等度」それをできるだけおさえるの固定観念が存在しいう目的もあっ。</ref>、現在では'''軽度'''でも一定の症状が発生することが分かってきたため、。よってその固定観念の払拭と、より原因に着目した表現としてBPSDが用いられるようになった。
 
{| class="wikitable" style="font-size:80%; margin:1em auto"
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|}
 
激しすぎる周辺症状が発生した場合、[[向精神薬]]などを用いて鎮静化させることもあるが第一選択としては推奨されず、前述の通り不安状態、および認知能力が低下した状態での不安の打開方法としての行動が原因であるため、まずその不安の原因となっている要素を取り除くことが対処の基本となる{{r|mhlw-bpsd}}。中核症状の進行を阻止する有効な方法は確立されていないが、適切な介護・ケア方法によって周辺症状の発生を抑え、明確な症状が見られないままターミナル期を迎えることも可能である。初期の状態での適切なケアが重要となる。
 
=== その他の症状 ===
{{Anchors|BPSD}}実臨床においては、[[アルツハイマー病]]と白質型多発性[[脳梗塞]]の合併が多く、後者では[[歩行障害]]([[パーキンソン症候群]]。開脚性を伴うことも少なくない)および[[排尿障害]](進行すると[[尿失禁]]に至る)がしばしばみられる。[[レビー小体型認知症]]では、認知症・幻覚妄想と共に、[[歩行障害]]、[[過活動膀胱]]を含めた[[自律神経]]障害がしばしばみられる。
 
== 分類 ==
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以下は原因疾患による認知症のおおよその分類
* [[脳血管性認知症]]:[[w:Vascular dementia|Vascular dementia]] (VaD)<ref group="*注釈">欧米ではVD=venereal disease=性病 の意であるため、血管性痴呆はVaDと略して区別する。</ref> - 患者の10-30%{{r|Kaplan}}{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=26}}
** 多発梗塞性認知症広範虚血型(Binswanger型白質脳症を含む)
** 多発脳梗塞型
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* 変性性認知症
** [[アルツハイマー型認知症]]:Alzheimer's disease (AD) - 患者の40-60%{{r|Kaplan}}{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=26}}
**: 短期記憶障害をはじめとする認知機能障害により日常生活や社会生活に支障をきたし、緩徐な進行と、局所神経症候を伴わないことが病態の基本となる。
** (びまん性)[[レビー小体型認知症]]:Dementia of Lewy bodies (DLB) - 患者の15-20%{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=26}}
**: 幻視・認知機能の急激な変動などが特徴的な認知症。[[パーキンソン病]]で見られるレビー小体が脳内に認められ、パーキンソン病の症状も見られる。認知症を合併したパーキンソン病との境界はあいまいである。
** {{Anchors|パーキンソンPDD}}認知症を伴う[[パーキンソン病]]:Parkinson's disease with dementia (PDD) {{r|Kaplan}}
**: パーキンソン病は、高率に認知症を合併する。27の研究の[[メタアナリシス]]によると、パーキンソン病の約40%に認知症が合併していた<ref>Cummings, JL (1988), “Intellectual impairment in Parkinson's disease: clinical, pathologic, and biochemical correlates”, J Geriatr Psychiatry Neurol 1: 24-36, {{PMID |2908099}}</ref>。約30%というメタ解析データもあり<ref>{{Citation| last1=Aarsland| first1=D| last2=Zaccai| first2=J| last3=Brayne| first3=C| year=2005| title=A systematic review of prevalence studies of dementia in Parkinson's disease| journal=Mov Disord|volume=20|pages=1255-63|id=PMID 16041803}}</ref>、その研究では全認知症症例の3.6%がパーキンソン病であった。パーキンソン病患者は、認知症を発症するリスクは、健常者の約5-6倍と見積もられており、パーキンソン病患者を8年間追跡調査した研究では、78%が認知症を発症した。
** [[前頭側頭型認知症]]:Frontotemporal dementia (FTD)
**: かつて[[ピック病]]と呼ばれていた若年性で初期から性格変化をきたす認知症は現在はFTDと呼ばれている。また広義の概念として[[前頭側頭葉変性症]]FTLD: (Frontotemporal Lobar Degeneration、FTLD) があり、[[意味性認知症]] (Semantic Dementia (SD) や[[原発性進行性失語|進行性非流暢性失語]] (Progressive(Progressive nonfluent aphasia、PNFA)PNFA) (特発性進行性失語 (Primary progressive aphasia (PPA) と近縁)、[[進行性核上性麻痺]]: (Progressive supranuclear parsy (PSP) なども含まれる。
** [[ハンチントン病]]: Huntington disease (HD) {{r|Kaplan}}
* 感染
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** [[甲状腺機能低下症]]
 
また、認知症患者のおよそ10%程度は'''混合型認知症'''(mixed dementia)(mixed dementia) であり、一般的にアルツハイマー病とその他の認知症(前頭側頭型や血管性型)を併発している<ref>{{cite journal |author=Lee AY |title=Vascular dementia |journal=Chonnam Med J |volume=47 |issue=2 |pages=66–71 |year=2011|pmid=22111063 |pmc=3214877 |doi=10.4068/cmj.2011.47.2.66 |url=}}</ref>{{Sfn|世界保健機関|2012|pp=19-21}}。
脳血管障害の場合、画像診断で微小病変が見つかっているような場合でも、これらが認知症状の原因になっているかどうかの判別は難しく、これまでは脳血管性認知症 (VaD) と診断されてきたが、実際はむしろアルツハイマー病が認知症の原因となっている、いわゆる、「脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症(混合型認知症)」である場合が少なくなく、純粋なVaDは7.3%と言われている{{Sfn|世界保健機関|2012|pp=19-21}}。
 
皮質性認知症と皮質下性認知症という分類がなされる事もある。血管障害性と変性性という分類もあり、Hachinskiの虚血スコアが両者の区別にある程度有用である。日本では従来より[[脳血管性認知症|血管性認知症]]が最も多いといわれていたが、最近は[[アルツハイマー型認知症]]が増加している。
 
=== 軽度認知障害 ===
[[軽度認知障害]](Mild Cognitive Impairment:'''MCI''')とは、正常[[老化]]過程で予想されるよりも認知機能が低下しているが、認知症とはいえない状態。認知症の前段階にあたるが、[[認知]]機能低下よりも[[記憶]]機能低下が主兆候となる。主観的・客観的に[[記憶障害]]を認めるが、一般的な[[認知]]機能・日常生活能力はほぼ保たれる。「認知症」の診断ができる程度に進行するまで、通常5〜10年、平均で6〜7年かかる。医療機関を受診した軽度認知障害では、年間10%~30〜30%が認知症に移行するとされる<ref name=kouroushou>{{PDFlink|[https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf 厚生労働省老健局]}}  2019年6月</ref>。さらに、単に軽度の記憶障害のみの例より、他の認知障害を合わせて持つ例の方が、認知症への進行リスクははるかに高い(4年後の認知症への移行率は、記憶障害のみの場合は24%、言語・注意・視空間認知の障害のいずれかの合併例では77%であった)。
 
認知症における疾患修飾治療(disease-modifying therapy)、いわゆる根治療法を企図した100以上の臨床試験がすべて失敗に終わり、少なくともMCIの段階からの治療開始が望ましいと考えられている。しかし、MCIから認知症への進行を確実に食い止める治療法はまだ見つかっておらず、認知症治療薬の効果はないとする研究が多い<ref name=kouroushou></ref>。そのため予防的観点から、認知機能を維持する成分(DHA、イチョウ葉エキス、[[エルゴチオネイン]]など)を含んだ[[機能性表示食品]]の研究も活発に行われている。
 
MCIの段階では、軽症であるがゆえにその背景にある病気、つまりアルツハイマー病の前駆段階なのか、血管性認知症の前駆段階なのかを判定するのがしばしば困難であること、さらに2013年の報告(Brain (Brain 2013) では、80歳以上のアルツハイマー病患者の8割が何らかの脳血管障害を伴っていることが明らかとなり、脳血管障害に対する介入が、血管性認知症はもちろんのこと、アルツハイマー病の前駆段階であるMCI(MCI due to ADと呼ばれる)に対しても有効なのではないかという期待が世界中で高まっている。日本でも、脳血管障害に対する治療薬がMCIに対して有効かどうかを確かめようとする医師主導治験(COMCID Study)(COMCID Study) が2015年(平成27年)5月より始まっている<ref>[http://www.ncvc.go.jp/pr/release/_comcid_study.html 国立循環器病研究センター COMCID Study]</ref>。
 
国立長寿医療研究センターの研究班がまとめた発表によると、認知症の前段階と言われるMCIの高齢者を4年間追跡調査してみたところ、14%が認知症になったものの、46%は正常に戻った。研究は、認知症患者ではない65歳以上の住民約4200人を2011年から4間追跡、国際的なMCI判定基準に基づく150項目に回答する形での認知機能検査により、最初の時点で約740人(18%)がMCIと判定された。4年後に同じ検査を行ったところ、MCIと当初判定された人の46%は正常範囲に戻っていた。この認知機能検査は、記憶力・注意力・処理速度・実行機能の4項目を検査するが、MCIの中でも、1項目だけスコアが低いタイプが正常に戻った割合が39〜57%であるのに対し、複数の項目のスコアが低いタイプは20%台であった。MCIの中でも、問題のある項目が少ないほど回復率が高い傾向があった。また、4年の間に認知症と診断された人の割合は、当初MCIと判定された人では14%と、当初正常だった人の5%に比べ、大幅に高くなっていた。<ref>[[読売新聞]] 2017年6月7日朝刊。</ref>
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=== 3型糖尿病 ===
[[アルツハイマー型認知症]]は[[糖尿病]]と深い関連があることから、別名として「[[3型糖尿病]]」と呼ばれる<ref>Kandimalla R, Thirumala V, Reddy PH. Is Alzheimer's disease a Type 3 Diabetes? A critical appraisal. Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis. 2017 May;1863(5):1078-1089. {{doi: |10.1016/j.bbadis.2016.08.018}}. Epub 2016 Aug 25. {{PMID |27567931}}; PMCID: PMC5344773{{PMC|5344773}}.</ref>。
 
== 原因 ==
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; 血圧降下剤による薬害
; 抗コリン剤による薬害
* [httphttps://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=504 抗うつ、抗パーキンソン、泌尿科領域などの抗コリン剤が認知症リスクと強く関連(症例対照研究)(薬害オンブズパースン会議2018年7月23日記事)]
 
; ベンゾジアゼピン短期使用
: ベンゾジアゼピンの短期使用は、認知症やアルツハイマー病のリスクを少し増加させる。しかし、長期使用はリスク増加に関連付けられていない。このことから、短期使用とリスク増加の関連は、前駆症状の治療を表した可能性が示唆される<ref name="pmid26837813">{{cite journal |author=Gray SL, ''et al''. |title=Benzodiazepine use and risk of incident dementia or cognitive decline: prospective population based study. |journal=[[:en:The BMJ]]. |volume=352 |issue= |page=i910 |date=2016-02-02 |url=http://www.bmj.com/content/352/bmj.i90 |doi=10.1136/bmj.i90 |pmc=4737849 |pmid=26837813}}</ref>。
*[httphttps://www.yakugai.gr.jp/topics/file/BDZyoubousho20151028.pdf ベンゾジアゼピン系薬物に関する要望書(薬害オンブズパースン会議  2015年10月28日)] ※ 主に欧米各国においては、ベンゾジアゼピン系薬物の長期連用による依存を防止するために、何らかの方法により継続処方期間に規制をかけている(2~4(2〜4週間としている国が多い)。日本の多くの医者は無頓着である。
*[https://toyokeizai.net/articles/-/325700 睡眠薬で高齢者を「寝かせきり」病院・施設の闇 人手不足で現場は疲弊、危険性が伝わらない(東洋経済オンライン2020年1月26日記事)] ※ 記事では医療や介護の手間を省くため入所の高齢者にベンゾジアゼピン系の薬剤が恒常的に投与されている実態が報じられている。
; Z薬(アルファベットのZで始まる名称のものが多いことからの俗称。[[Z薬]]を参照。)
: 60歳以上の患者における[[Z薬]]の定期的な使用は、認知症のリスク増加と有意な関連を示した。補正後の[[オッズ比]]は 1.21 (95%CI: 1.13 - 1.29) であった。長時間タイプは関連が少し強かった<ref name="pmid27567804">{{cite journal |authors=Gomm W, ''et al''. |title=Regular Benzodiazepine and Z-Substance Use and Risk of Dementia: An Analysis of German Claims Data. |journal=[[:en:Journal of Alzheimer's Disease]]. |volume=54 |issue=2 |pages=801-8 |date=2016-09-06 |url=http://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad151006 |doi=10.3233/JAD-151006 |pmid=27567804}}</ref>。
; 酒さ (Rosacea)
: 病院で[[酒皶]]{{enlink|Rosacea}}の診断を受けた患者は認知症の[[リスク比#ハザード比|ハザード比]]が 1.42 (95%CI: 1.17 - 1.72)、アルツハイマー型認知症のハザード比が 1.92 (95%CI: 1.44 - 2.58) と報告された。酒さは認知症、特にアルツハイマー型と有意な関連を示した<ref name="pmid27121663">{{cite journal |authors=Egeberg A, ''et al''. |title=Patients with rosacea have increased risk of dementia |journal=[[:en:Annals of Neurology]]. |volume=79 |issue=6 |pages=921-8 |date=2016-6 |url=https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24645/abstract |doi=10.1002/ana.24645 |pmid=27121663}}</ref>。
; 動脈硬化の危険因子
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; 加齢関連認知低下(Aging-associated Cognitive Decline:AACD)
: 記憶障害のみにとどまらず認知機能低下をも含む、「広義の軽度認知障害」の概念のひとつとして国際老年精神医学会が診断基準をまとめたもの。
: 加齢関連認知低下とは、6月以上にわたる緩徐な認知機能の低下が本人や家族などから報告され、客観的にも認知評価に異常を認めるが、認知症には至っていない状態である。認知機能低下は、(a)記憶・学習、(b)注意・集中、(c)思考(例えば、問題解決能力)、(d)言語(例えば、理解、単語検索)、(e)視空間認知、のいずれかの面に該当する。
: ある地域の高齢者を対象にした研究では、3年後での認知症への進行率は、軽度認知障害が11.1%、加齢関連認知低下では28.6%であった。しかも、軽度認知障害の一般地域高齢者に占める割合は3.2%のみだが、加齢関連認知低下は19.3%にも上る、と報告されている。
; イソフラボンのリスク
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=== 難聴との関係 ===
アメリカ国立加齢研究所(NIA) (NIA) 縦断研究部門長ボルティモア加齢縦断研究責任者のLuigi Ferrucci博士らの研究で、難聴を有する成人はそうでない成人に比べて、認知症および[[アルツハイマー病]]を発症するリスクが高く、難聴が重度であるほどリスクも高いことを突き止めた。この研究は、36-90歳の男女639人を対象に、難聴と認知症との関連性について調べたもので、[[1990年]]の研究開始時に認知症が認められた被験者はいなかった。研究グループは4年間にわたり、認知力と聴力検査を実施し、[[2008年]]まで平均約12年に及ぶ追跡調査を行い、認知症やアルツハイマー病の徴候をモニターした。その結果、125人の被験者が「軽度」、53人が「中等度」、6人が「重度」の難聴と診断された。最終的には、58例が認知症と診断され、そのうち37例はアルツハイマー病であった。軽度の難聴では認知症リスクがわずかに上昇し、中等度と重度の難聴を持つ患者ではリスクが大幅に増大していた。また、60歳以上の被験者では、認知症発症リスクの36%超が難聴と関連していることが分かった。難聴が悪化するほどアルツハイマー病のリスクは増大し、聴力が10デシベル低下するごとに、発症リスクは20%ずつ増大した。研究結果は、医学誌「Archives of Neurology(神経学)」2011年2月号に掲載された。この結果に関連して、アメリカの[[アルバート・アインシュタイン医科大学]]のリチャード・B・リプトン博士は『HealthDay News』2月14日付にて、「難聴は加齢の生物学的測定値の一種かもしれない。また、難聴は神経細胞の損傷の結果生じた可能性があり、仮に聴覚を介在する[[ニューロン]]に障害があるなら、[[記憶]]やより高度の認知機能をつかさどる神経細胞の損傷マーカーにもなる」と述べた<ref name="HealthDay">[http://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-aging-news-10/study-suggests-hearing-loss-dementia-link-649896.html HealthDay News]</ref>。
 
== 診断 ==
[[意識障害]]時には診断できない。[[ICD-10]]と[[DSM-IV]]でさえ診断基準は異なるが、一般に、日常生活に支障が出る程度の[[記憶障害]]・[[認知]]機能の低下の2つの中核症状が見られる時に診断する。周辺症状の有無は問われない。機能が以前と比べて低下していることが必須であり、生まれつき低い場合は[[精神遅滞]](知的障害)に分類される。
 
[[記憶]]・[[認知]]機能などの程度を客観的に数値評価する検査としてWAIS-R([[ウェクスラー成人知能検査]])などがあるが、施行に時間を要し日常診療で用いるには煩雑である。簡便なスクリーニング検査としては、世界的には[[ミニメンタルステート検査]] (MMS、MMSE) が頻用されている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.4.1}}{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=27}}。[[日本]]では[[聖マリアンナ医科大学]]の長谷川和夫らが開発した「長谷川式認知症スケール」(HDS-R)がよく利用される。
 
軽程度・疑わしい認知症患者については[[脳波]]検査も含めるべきである{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.4.2}}。
 
[[英国国立医療技術評価機構]](NICE) (NICE) は[[アルツハイマー型認知症]]、[[脳血管性認知症]]の診断基準には{{仮リンク|NINCDS-ADRDAアルツハイマー基準|en|Alzheimer's Criteria}}、[[前頭側頭型認知症]]の診断基準にはLund–Manchester基準を推奨している{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.4.3}}。
 
=== 鑑別疾患 ===
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=== 検査 ===
==== 神経心理学的検査 ====
知能検査をはじめとする[[神経心理学]]的検査が診断および重症度評価などに用いられる。記憶検査としては[[ウェクスラー記憶検査法]](WMS (WMS-R)R) や日本語版リバーミード行動記憶(RBMT) (RBMT) が標準とされているが認知症診療では実際的ではないため、ここでは認知症で用いられる検査を中心に概説する。認知症の評価、スクリーニングでは記憶など中核症状、BPSD、ADLの3つの症候を扱う。それぞれ質問式の認知機能検査を用いたり観察式の行動評価尺度を用いたりする。それぞれの検査の特徴を以下にまとめる。
 
{| class="wikitable" style="margin:1em auto; font-size:90%"
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===== 質問式の知機能障害を測定する尺度 =====
General practitioner Assessment of Cognition (GPCOG) やMini-CogおよびMemory Impairment Screen (MIS) は日本語版が作成されていないため一般的ではない。
;[[長谷川式認知症スケール]](HDS (HDS-R)R)
:[[長谷川和夫]]によって作成された認知症診断のための簡易スケールで、現在日本で最も広く使用されている。かつては「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれていたが、[[2004年]]4月に痴呆症から認知症へ改称されたことに伴い現在の名称に変更されている。自分の年齢や現在の日付、現在位置や物の名称、簡単な引き算などの9つの設問からなり、最高得点は30点であり20点以下を認知症の疑いありとする。あくまで簡易スクリーニング検査であり、認知症との判断を下したり重症度分類の際には使用されない。参考となる平均点は非認知症は24.3±3.9点、軽度は19.1±5.0、中等度15.4±3.7、やや高度10.7±5.4、非常に高度4.4±2.6とされている。
;[[ミニメンタルステート検査]] (Mini(Mini-Mental State Examination, MMSE)MMSE)
:国際的には最も普及している方法で、英国・豪州では推奨されている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.4.1}}{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=27}}。日本でも長谷川式認知症スケールと併用されることが多い。11の設問からなり、満点は30点。原法では20点以下を認知症としたが23点以下を認知症とするのが2010年現在は一般的である。HDS-Rと比較して記憶に関する負荷が低く、教育年数による影響が知られている。一方で長谷川式には存在しない、認知機能の低下による影響が大きい視空間と構成能力を判断する図形の模写を求める設問がある。
;[[時計描画試験]](Clock (Clock Drawing test、CDT)CDT)
:視空間と構成能力を評価する簡便な検査法である{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=27}}。時計の文字盤を書いてもらい、指定した時刻を示す長針と短針を書き加えてもらうだけの簡便な検査である。課題としてはコンセンサスを得られた採点法が存在しないことである。
;The Seven Minites Screen (7MS)
:軽度のADと健常者の区別にすぐれた検査法であり、高感度、高特異度であるがベットサイドで簡便に行うことはできない。
;年齢と生年を質問するスクリーニング法
:2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」のみを用いるスクリーニングは有用という報告がある。「2つの質問への回答がどちらも誤っているときには認知症である」とすると感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった<ref>{{cite journal |author=Ventura T, De-la-Cámara C, Lopez-Anton R, Santabárbara J, Marcos G, Quintanilla MA, Campayo A, Lobo E, Roy JF, Saz P, Olaya B, Haro JM, Rodríguez-Mañas L, Sartorius N, Lobo A |title=Usefulness of 2 questions about age and year of birth in the case-finding of dementia |journal=J Am Med Dir Assoc |volume=14 |issue=8 |pages=627.e7–12 |year=2013 |pmid=23773305 |doi=10.1016/j.jamda.2013.05.006 |url=}}</ref>。
;Alzheimer's Disease Assessment Scale (ADAS)
:臨床的に診断されたADに対するコリン作動薬による認知機能の変化を評価すること目的としている。スクリーニングとして用いられることはない。ADASの認知機能下位尺度であるADAS cog.が臨床試験でよくも用いられる。アルツハイマー型認知症では年間得点変化が9-11点であり、変化は軽度と高度認知症では小さく、中等度認知症では大きい傾向が指摘されている。
;Severe Impairment Battery
:高度に障害された認知機能を評価する。
;日本語版[[リバーミード行動記憶検査]](RBMT) (RBMT)
:記憶検査であるが、日本語版では認知症にも用いられるように標準化に高齢者の被験者が含まれている。日常生活のさまざまな状況を再現しているのが特徴。
;日本語版Neurobehavioral Cognitive Status Examination (CONISTAT)
:多面的な評価が可能である。
 
===== 観察式による認知機能障害を評価する尺度 =====
;Clinical Dementia Rating (CDR)
:最も一般的に用いられている観察式の認知症の重症度評価法である。健康がCDR=0、認知症の疑いがCDR=0.5、軽度認知症がCDR=1、中等度認知症CDR=2、高度認知症CDR=3と判定する。
;Functinal Assessment Staging (FAST)
:CDRと共に国際的に頻用されている観察式の重症度評価法である。ADLを総合的に判断し認知症の中でもADの重症度を判定することを目的とする。境界領域や軽度認知症のADL行動変化が非常に検出しやすいことが特徴である。その他の特徴としてはそれぞれのstageの期間と予後が示されている点、各stageの認知機能低下を示す状態の鑑別疾患が示されている点が特徴である。
;N式老年者用精神状態尺度(NMスケール)
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===== 介護者からの情報による認知症スクリーニング尺度 =====
;Short Memory Questionnaire (SMQ)
:この尺度は日常生活において要介護高齢者と関わる機会の多い主たる介護者が要介護高齢者の認知障害の程度を評価するために作成されたものである。
;Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly (IQCODE)
:高齢者における認知機能低下のインフォアンケート。高齢者における認知機能低下や認知症を評価するために設計された短いアンケート。
 
===== 日常生活動作能力(ADL) (ADL) 、道具的日常生活動作能力(IADL) (IADL) を評価する尺度 =====
{{Seealso|日常生活動作}}
 
;Physical self-Maintenance Scale(PSMS)/Instrumental Activities of Daily Living (IADL)
:家族、介護者からの情報に基づき評価する。簡便で日常生活の中で活用可能である。認知症ではやや複雑なIADLがbasic ADLより先に障害されるため、IADLの評価の意味は大きい。
;N式老年者用日常生活動作能力評価尺度(N (N-ADL)ADL)
:老年者および痴呆患者の歩行・起座、着脱衣などの日常生活動作能力を多面的にとらえ、点数化して評価する行動評価尺度である。
;認知症のための障害評価表(Disability (Disability Assessment for Dementia:DAD)Dementia:DAD)
:基本的には在宅のAlzheimer病患者を対象とした尺度である。運動機能障害のない患者に対して行われる。
;ADCS-ADL (Alzheimer's Disease Cooperative Study-ADL scale)
:家族、介護者からの情報を基に評価がなされる。主にAD患者を対象とした治験で用いられる。
 
===== 認知症の周辺症状(BPSD) (BPSD) を評価する尺度 =====
;Neuropsychiatric Inventory (NPI)
:介護者による精神症状を評価するための方法。妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1〜4の4段階で、重症度を1〜3の3段階で評価する。
;Behavioral Pathology in Alzheimer's Disease (Behave-AD)
:ADに特徴的な妄想、盗癖、孤独への恐怖、睡眠障害などに注目したもので、薬物療法への評価を目的に使用される。
;Cohen-Mansfield Agitation Inventory (CMAI)
:叩く、足踏みする、叫ぶなどの行動に注目し、過去2週間の行動の頻度について38項目の質問を行うものである。
===== 抑うつ状態を評価する尺度 =====
;Geriatric Depression Scale (GDS)
:老年期うつ病評価尺度。15の質問からなる。評価基準: 0-4 うつ症状なし; 5-10 軽度のうつ病; 11+ 重度のうつ病。
;Cornell Scale for depression in Dementia (CSDD)
:認知症でうつ病のためのコーネル尺度。19の質問からなる。評価基準: >10 おそらく大うつ病; >18 明確な大うつ病。
 
===== 多元的認知症評価尺度 =====
;GBSスケール (GBSS)
:運動機能6項目、知的機能11項目、感情機能3項目、精神症状6項目を6段階評価とする。認知症の重症度とともに質的差異も評価できる尺度であるが、認知症の診断目的ではない。
===== 認知症の生活の質(QOL) (QOL) を評価する尺度 =====
;日本語版Alzheimer's Disease-Health Related Quality of Life (AD-HRQ-J)
:アルツハイマー病を持つ人の生活の健康関連の品質を評価するために使用される。ADの人の介護者に質問される。
;日本語版Dementia Quality of life Instrument (DQoL)
:日本語版DQoLは29項目から構成され、(1)自尊感情、(2)肯定的情動、(3)否定的情動、(4)所属感、(5)美的感覚の5つの下位尺度から構成される。
 
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<!--本症の原因によっては、血中[[ビタミンB12]]・[[甲状腺]]機能の検査値が異常となるが、一般に本症を同定する血液検査項目はない。このため、「費用効率の観点から全認知症患者に血液スクリーニング検査を行うことは推奨されない」との意見がある。実際、2006年の560人の患者を対象とした研究では、治療可能な代謝異常に起因する認知症患者は一人もみつからなかった。-->
===== CSF Aβ =====
[[ベータアミロイド]](Aβ) (Aβ) は脳脊髄液(CerebroSpinal (CerebroSpinal Fluid、CSF)CSF)、血漿中にAβ40とAβ42として存在する。高齢者ではCSF Aβ42が低下するがAD患者ではAβ40が高度に低下しAβ40/Aβ42比は増加する。
 
===== CSF タウ =====
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===== 頭部MRI =====
statistical parametric mapping (SPM) やvoxel-based morphometry (VBM) が盛んである。認知症の鑑別としてDLBとADを比較すると、ADでは海馬や側頭頭頂葉皮質の萎縮が強い。無名質はADの方が、中脳被蓋はDLBの方が萎縮が強いことが示されている。ADでは高齢発症では内側側頭部萎縮が目立つが初老期発症では側頭頭頂葉皮質の萎縮が目立つ。
 
===== SPECT =====
認知症疾患の鑑別として[[単一光子放射断層撮影]](SPECT) (SPECT) は非常に重要視されている。AD, VaD, FTDかの診断が疑わしい場合はSPECTを実施すべきである{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.4.3}}。[[シンチグラフィー]]も参照。血流は神経細胞数よりもシナプス活動を反映していると考えられており、ADでは[[パペッツ]]の回路として[[嗅内皮質]]と解剖学的に密接な繊維連絡を持つとされている[[帯状回]]後部や[[楔前部]]で血流低下が認められる。DLBでは後頭葉の血流低下が認められる。
 
===== PET =====
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== 管理 ==
治療可能と判明しているタイプ以外の認知症以外について、治療法は存在しない{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。AChE薬は初期状態の認知症に多く処方されているが、しかしその利益は大きくない<ref name=Comm2012>{{cite journal |author=Commission de la transparence |title=Médicaments de la maladie d'Alzheimer : à éviter|trans_titletrans-title=Drugs for Alzheimer's disease: best avoided. No therapeutic advantage |journal=Prescrire Int |volume=21 |issue=128|pages=150 |date=June 2012 |pmid=22822592 |doi= }}</ref>。
 
「治療可能な認知症 (treatable dementia)」の場合は原因となる疾患の治療を速やかに行う。[[慢性硬膜下血腫]]または[[正常圧水頭症]]が原因の場合は手術で治す事ができる。
 
ハーバード健康出版局によると、「認知症様症状は決して元に戻らない」(Dementia-like symptoms are never reversible)という認識は不正確であり、バドソン医師(Dr. Budson)は「多くの場合、体調を治療することが認知症様症状を逆戻りさせるかもしれない」(In many cases, treating the condition may reverse the dementia-like symptoms)と述べている<ref>{{Cite web |title=6 myths about dementia |url=https://www.health.harvard.edu/mind-and-mood/6-myths-about-dementia |website=Harvard Health Publishing |date=2022-11-01 |access-date=2022-11-19 |language=en |first=Heidi |last=Godman}}</ref>。
 
=== 援助の方針 ===
介護者には、認知症の介護はもどかしく非常にストレスになることを[[心理教育]]し、[[ネグレクト]]にならないよう陰性感情を認識させる{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。介護者についてもうつ病を罹患している可能性を診察する{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。
 
[[介護保険]]、[[障害年金]]、[[デイケア]]通所など社会資源の利用も有用である{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。専門医(老年内科、[[精神科]]、[[神経内科]]など)、介護職([[介護福祉士]]など)の協力・連携の元に[[チーム医療]]を行う事が望ましい{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。
 
=== 心理療法 ===
{{Seealso|心理療法|{{ill2|認知症患者への心理療法|en|Cognitive therapies for dementia}}}}
軽中程度の認知症患者(タイプを問わない)に対しては、NICEは投薬(認知機能改善を目的とする)の有無に関わらず、[[認知療法|認知刺激グループ療法]](Cognitive Stimulation Therapy)プログラムへの参加機会が与えられるべきであるとしている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.6.1}}。日中の散歩等の[[運動療法]][[作業療法]]などで昼夜リズムを整える([[光療法]])<ref>[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/attach/1333542.htm 光の治療的応用―光による生体リズム調節]</ref>、思い出の品や写真を手元に置き安心させる[[回想法]]や[[テレビ回想法]]なども有効な場合がある。
 
患者の不安感など精神状態の影響を受ける周辺症状は、介護者がそれらを取り除く事で発症を抑制することが可能となることもある([[ユマニチュード]])。
 
BPSDに対して、多数の非薬理学的な介入の手法があるが、[[音楽療法]]など[[アートセラピー]]と行動管理技術が効果的である<ref name="pmid28302633">{{cite journal|author=Abraha I, Rimland JM, Trotta FM, et al.|title=Systematic review of systematic reviews of non-pharmacological interventions to treat behavioural disturbances in older patients with dementia. The SENATOR-OnTop series|journal=BMJ Open|issue=3|pages=e012759|date=March 2017|pmid=28302633|pmc=5372076|doi=10.1136/bmjopen-2016-012759|url=https://doi.org/10.1136/bmjopen-2016-012759}}</ref>。興奮状態に対しては、介護施設において、パーソンセンタードケア、コミュニケーション技術の訓練、認知症ケアマッピングが、ただちに、あるいは6か月後でも有効であり、音楽療法と、活動(標準的な活動状態)は有効だが長期的な試験はなく、アロマテラピーと光療法は有効でない<ref name="pmid25452601">{{cite journal|author=Livingston G, Kelly L, Lewis-Holmes E, et al.|title=Non-pharmacological interventions for agitation in dementia: systematic review of randomised controlled trials|journal=Br J Psychiatry|issue=6|pages=436–42|date=December 2014|pmid=25452601|doi=10.1192/bjp.bp.113.141119}}</ref>。
 
認知症患者の睡眠障害に対して、薬物を用いない方法では、[[光療法]]が有効だとするランダム化比較試験が複数存在する<ref name="pmid28360513">{{cite journal|author=Dimitriou TD, Tsolaki M|title=Evaluation of the efficacy of randomized controlled trials of sensory stimulation interventions for sleeping disturbances in patients with dementia: a systematic review|journal=Clin Interv Aging|pages=543–548|date=2017|pmid=28360513|pmc=5364002|doi=10.2147/CIA.S115397|url=https://www.dovepress.com/evaluation-of-the-efficacy-of-randomized-controlled-trials-of-sensory--peer-reviewed-fulltext-article-CIA}}</ref>。
 
=== 薬物療法 ===
[[アルツハイマー型認知症]] (AD) の認知機能改善薬には、[[アセチルコリン]]エステラーゼ阻害薬(AChE、抗コリン剤)として[[ドネペジル]](商品名アリセプト)、[[ガランタミン]](商品名レミニール)、[[リバスチグミン]](商品名イクセロン、リバスタッチ)が存在する。NICEの2006年のガイドラインはAChEを軽中度ADへの選択肢として推奨している{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.6.2}}。
 
また全く異なる薬理機序に基づく治療薬に[[NMDA受容体]]拮抗薬として[[メマンチン]](商品名メマリー)があり、NICEは重度またはAChEが不適の中等度アルツハイマー病への管理のオプションとして推奨している{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.6.2}}。
 
しかしこれらの薬剤は、診断が確定された場合のみに投与すべきであり、ルーチン的に用いてはならない{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}。NICEは、血管性認知症にAChEおよびメマンチンを処方してはならない、および軽度認知障害(MCI) (MCI) にAChEを処方してはならないとしている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.6.2}}。
 
[[大うつ病]]を併発する認知症については、NICEは教育を受けた専門家によって抗うつ薬を投与すべきであるとしている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.8.2}}。
 
* {{仮リンク|米国老年医学会|en|American Geriatrics Society}} (AGS) は、2014年に、認知症状改善と消化器系の副作用についての定期評価なしには、AChEを処方してはならないとしている<ref name="AGS">{{Cite report|df=ja|author=American Geriatrics Society|title=Ten Things Physicians and Patients Should Question |publisher=ABIM Foundation |dateyear=2014 |url=http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/american-geriatrics-society/ }}</ref>。
* オーストラリア総合医学会の2006年のガイドラインでは、AChEを投与しても最初の6か月間にて状態が安定・改善しない患者については、投与を続けても利益を得られる可能性は低いとされている{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=32}}。
* [httphttps://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=504 抗うつ、抗パーキンソン、泌尿科領域などの抗コリン剤が認知症リスクと強く関連(症例対照研究) (薬害オンブズパースン会議2018年7月23日記事)]
* [httphttps://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=506 日本のアルツハイマー病治療ガイドラインでの薬物治療の強い推奨は根拠に欠ける (薬害オンブズパースン会議2018年7月23日記事)]
 
==== 薬物でのBPSD管理 ====
また認知症患者は認知機能低下のみならず、[[不眠]]、[[抑うつ]]、易怒性、[[幻覚]](とくに幻視)、[[妄想]]といった周辺症状(BPSD) (BPSD) と呼ばれる症状を呈すことがある。これらには向精神薬の投与が有効でありえるが、第一に心理療法を試みるべきであり{{Sfn|世界保健機関|2012|loc=DEM}}、薬物の正しい利用に努め{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.7.3}}、低用量にて副作用を監視しながら慎重に投与すべきである{{Sfn|王立オーストラリア総合医学会|2006|p=32}}{{r|mhlw-bpsd}}。厚労省はBPSDに対して、[[向精神薬]]は原則使用すべきではないとしている{{r|mhlw-bpsd}}。
 
NICEの2006年ガイドラインは、BPSDに対して薬物介入を第一選択肢とするのは、深刻な苦痛または緊急性のある自害・他害リスクのある場合に限らなければならない<ref group="*注釈">原文:People with dementia who develop non-cognitive symptoms or behaviour that challenges should be offered a pharmacological intervention in the first instance only if they are severely distressed or there is an immediate risk of harm to the person or others{{Harv|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.7.2.1}}</ref>、2013年の厚労省のガイドラインでは第一選択は非薬物介入が原則であり処方時には患者・保護者に承諾を取るべきである<ref name="mhlw-bpsd">{{Cite report|和書|publisher=厚生労働省 |title=かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン |date=2013-07 |url=https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000036k0c.html }}</ref>としている。
 
=====抗精神病薬=====
イギリス政府は、[[抗精神病薬]]が死亡につながるため使用の削減を国家戦略としており、2006年の約17%の使用率を5年後には約7%まで減らしたことを、2013年の認知症G8サミットにて報告した<ref name="G8認知症サミット">{{cite news |author= |title=抗精神病薬を大幅減 数値目標に責任者置く「G8認知症サミット」 |newspaper=International Psychiatry Online:Japan |accessdate=2014-08-17}}</ref>。アメリカでは2016年末までに16%まで削減することを目標としている<ref>{{cite news |author=Alicia Ault |title=GAO Report Cites Antipsychotic Overuse in Dementia Patients |url=http://www.medscape.com/viewarticle/840861 |date=2015-03-03 |newspaper=MedScape |accessdate=2015-10-01}}</ref>。
 
* 米国老年医学会 (AGS) は2014年、BPSDに対しては抗精神病薬の処方を第一選択肢としてはならないと勧告している{{r|AGS}}。
*厚労省は2013年のガイドラインで、BPSDへの抗精神病薬投与は適応外処方であり、使用しない姿勢が必要で、中等度から重度のBPSDが対象となり、身体拘束を意図した投薬、[[多剤大量処方|多剤併用]]はすべきではないとしている{{r|mhlw-bpsd}}。
*NICEの2006年のガイドラインは、アルツハイマー病 (AD)、血管性認知症 (VaD)、混合型認知症について、軽度から中等度のBPSDであるならば有害事象および死亡リスクが増加するため抗精神病薬を処方してはならないとしている<ref group="*注釈">原文:People with Alzheimer's disease, vascular dementia or mixed dementias with mild-to-moderate non-cognitive symptoms should not be prescribed antipsychotic drugs because of the possible increased risk of cerebrovascular adverse events and death {{Harv|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.7.2.2}}</ref>。
**またNICEはDLB認知症について、軽度から中等度のBPSDであるならば、重大な有害事象リスクのため抗精神病薬を処方してはならないとしている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2006|loc=Chapt.1.7.2}}。
 
===== 漢方薬 =====
[[遠志]]は[[イトヒメハギ]]の根で、その主治は鎮静作用であるが、『[[神農本草経]]』(後漢三国時代に成立)に「不忘」とあり、健忘症状に有効であることが記載されている。近年の研究では、遠志が高齢者への記憶を含めた認知機能を改善させた報告や、βアミロイド(Aβ)によるラット皮質ニューロンへの傷害を抑制した報告などがある。『神農本草経』の記載は、現在の認知症の中核症状と同等のものとは考えにくいが、健忘を使用目標のひとつとして、遠志を含有する漢方薬を考慮できる。<ref>{{Cite journal|author=雨谷 栄|year=2018|title=生薬遠志は物忘れ症状等に有効か?【抗痴呆効果,脳内神経成長因子の産生促進などがin vivoの実験で認められている】|journal=日本医事新報|volume=4890|page=63}}</ref><ref name=":0">{{Cite journal|author=河尻澄宏|year=2018|title=認知症における漢方治療のアプローチ|journal=日本医事新報|volume=4924|page=44}}</ref>
 
健忘を主治とする生薬の「遠志」を含む[[漢方薬|漢方]]エキス製剤は、[[帰脾湯]]、加味帰脾湯、人参養栄湯である。「遠志」を含まないが、認知症に効果が期待できる漢方薬には、[[抑肝散]]、[[抑肝散加陳皮半夏|抑肝散加味陳皮半夏]]、[[釣藤散]]、[[当帰芍薬散]]、[[八味地黄丸]]がある。{{r|:0}}
 
[[ランダム化比較試験]](RCT) (RCT) では、[[抑肝散]](TJ54(TJ54, 構成生薬:柴胡、釣藤鈎、蒼朮、伏苓、当帰、川芎、甘草)はBPSDを有意に抑制し、かつ患者のADLを改善し、さらに介護者の介護負担感を減少させると報告されている<ref>{{cite journal |author=Iwasaki K, Satoh-Nakagawa T, Maruyama M, Monma Y, Nemoto M, Tomita N, Tanji H, Fujiwara H, Seki T, Fujii M, Arai H, Sasaki H |title=A randomized, observer-blind, controlled trial of the traditional Chinese medicine Yi-Gan San for improvement of behavioral and psychological symptoms and activities of daily living in dementia patients |journal=J Clin Psychiatry |volume=66 |issue=2 |pages=248–52 |year=2005 |pmid=15705012 |doi= |url=}}</ref><ref>{{cite journal |author=Matsunaga S, Kishi T, Iwata N |title=Yokukansan in the Treatment of Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia: An Updated Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials |journal=J. Alzheimers Dis. |volume=54 |issue=2 |pages=635–43 |year=2016 |pmid=27497482 |doi=10.3233/JAD-160418 |url=}}</ref><ref>{{cite journal |author=Mizukami K, Asada T, Kinoshita T, Tanaka K, Sonohara K, Nakai R, Yamaguchi K, Hanyu H, Kanaya K, Takao T, Okada M, Kudo S, Kotoku H, Iwakiri M, Kurita H, Miyamura T, Kawasaki Y, Omori K, Shiozaki K, Odawara T, Suzuki T, Yamada S, Nakamura Y, Toba K |title=A randomized cross-over study of a traditional Japanese medicine (kampo), yokukansan, in the treatment of the behavioural and psychological symptoms of dementia |journal=Int. J. Neuropsychopharmacol. |volume=12 |issue=2 |pages=191–9 |year=2009 |pmid=19079814 |doi=10.1017/S146114570800970X |url=}}</ref>。
 
=====その他=====
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* WHOのガイドラインでは[[ジアゼパム]]の使用を禁じている{{Sfn|世界保健機関|2016|loc=DEM}}。AGS(2014)は、高齢者の[[不眠症]]・興奮・せん妄に対して、[[ベンゾジアゼピン]]や他の[[鎮静薬|催眠鎮静薬]]を第一選択肢とすべきではないとしている。
* [[ビフィズス菌]]MCC1274の摂取による認知機能改善作用の可能性が報告されている<ref>[https://www.morinagamilk.co.jp/release/newsentry-3730.html アルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)にて「ビフィズス菌MCC1274」研究成果を発表]、2021年08月10日発表、森永乳業、2022/5/18閲覧</ref>。
* 2004年、[[カリフォルニア大学ロサンゼルス校|UCLA]]の研究チームは[[アルツハイマー型認知症|アルツハイマー病]]モデルマウスを用いて実験を行い、[[クルクミン]]が脳における[[βアミロイド]]の蓄積を抑制し、アミロイド斑を減少させることを示した<ref>Yang F, Lim GP, Begum AN, Ubeda OJ, Simmons MR, Ambegaokar SS, Chen PP, Kayed R, Glabe CG, Frautschy SA, Cole GM. Curcumin inhibits formation of amyloid beta oligomers and fibrils, binds plaques, and reduces amyloid in vivo. J Biol Chem. 2005 Feb 18;280(7):5892-901. Epub 2004 Dec 7. {{PMID |15590663}}.</ref>。クルクミンが精神的機能に影響をおよぼすとの疫学的調査結果も存在する。高齢のアジア人を対象とした[[ミニメンタルステート検査]]で、半年に1度以上黄色カレーを食する群において相対的に高いスコア(より健康な精神的機能)が見られた<ref>Ng TP, Chiam PC, Lee T, Chua HC, Lim L, Kua EH. Curry consumption and cognitive function in the elderly. Am J Epidemiol. 2006 Nov 1;164(9):898-906. Epub 2006 Jul 26. {{PMID |16870699}}.</ref>。
 
2015年4月から[[機能性表示食品]]制度がスタートしたことにより、記憶力や注意力などの認知機能を維持・サポートする成分(DHA、イチョウ葉エキス、[[エルゴチオネイン]]など)が研究されている。機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示しており、販売前に「最終製品を用いた臨床試験」または「最終製品または機能性関与成分に関する研究レビュー」を消費者庁に届出し、受理されれば表示可能となる。[[軽度認知障害]](MCI) (MCI) や周辺症状(BPSD) (BPSD) に対する作用が期待されている<ref>[http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/48040/685 健常者および軽度認知障害者に対するエルゴチオネイン含有食品の認知機能改善効果] 薬理と治療(2020)48(4)685-97</ref><ref>[https://www.ls-corporation.co.jp/product/materials/kioku.php エルゴチオネイン含有機能性表示食品]</ref>。
 
=== 嚥下困難 ===
認知症患者の多くは嚥下困難を抱えている。しかしAGSは高度の認知症患者に対し経管栄養法([[胃瘻]])は推奨せず、代わりに経口摂取援助を提案している{{r|AGS}}。胃瘻は患者の動揺と関連性があり、身体的・薬物的拘束の使用を増加させ、褥瘡の悪化をまねく{{r|AGS}}。
[[半夏厚朴湯]](TJ16, 構成生薬 :半夏、伏苓、厚朴、蘇葉、生姜)は脳血管性障害患者の嚥下反射、咳反射を改善し、障害を持つ高齢者における誤嚥性肺炎の発生を予防する。<ref>{{cite journal |author=Iwasaki K, Wang Q, Nakagawa T, Suzuki T, Sasaki H |title=The traditional Chinese medicine banxia houpo tang improves swallowing reflex |journal=Phytomedicine |volume=6 |issue=2 |pages=103–6 |year=1999 |pmid=10374248 |doi=10.1016/S0944-7113(99)80043-9 |url=}}</ref><ref>{{cite journal |author=Iwasaki K, Cyong JC, Kitada S, Kitamura H, Ozeki J, Satoh Y, Suzuki T, Sasaki H |title=A traditional Chinese herbal medicine, banxia houpo tang, improves cough reflex of patients with aspiration pneumonia |journal=J Am Geriatr Soc |volume=50 |issue=10 |pages=1751–2 |year=2002 |pmid=12366640 |doi= |url=}}</ref><ref>{{cite journal |author=Iwasaki K, Kato S, Monma Y, Niu K, Ohrui T, Okitsu R, Higuchi S, Ozaki S, Kaneko N, Seki T, Nakayama K, Furukawa K, Fujii M, Arai H |title=A pilot study of banxia houpu tang, a traditional Chinese medicine, for reducing pneumonia risk in older adults with dementia |journal=J Am Geriatr Soc |volume=55 |issue=12 |pages=2035–40 |year=2007 |pmid=17944889 |doi=10.1111/j.1532-5415.2007.01448.x |url=}}</ref>
 
== 疫学 ==
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[[日本]]については、65歳以上高齢者の[[有病率]]は3.0〜8.8%(調査によってばらつきが大きい)とされ、OECDでは2009年では6.1%と報告されている{{Sfn|OECD|2013|loc=Chapt.8.4}}。2026年には10%に上昇するとの推計もある。
 
2010年には、日本での認知症患者数は'''約462万人'''(65歳以上人口の15%)、その前段階の[[軽度認知障害]](MCI)は約400万人(13%)と推定された<ref>{{Cite news|title=認知症、高齢者4人に1人 「予備軍」400万人含め |newspaper=日経 |url=httphttps://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0102K_R00C13A6CR8000/ |date=2013-06-01}}</ref>。2014年では、日本の認知症患者数は約500万人、社会的費用は14.5兆円と、[[医療費|国民医療費]]全体の3分の1を占めていると推計された(厚労省認知症対策総合研究事業)<ref name="yomidr">{{Cite news|newspaper=読売 |title=認知症患者500万人、「社会費用」年14.5兆円に |date=2015-05-29}}</ref>。また2035年には22.9兆円に膨らむ見込みとされる{{r|yomidr}}。
認知症高齢者は厚生労働省の統計で、2012年は462万人、2020年は602万人、2025年は'''675万人'''、2030年は'''744万人'''と推定されている<ref>{{PDFlink|[https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf 厚生労働省老健局]}}name=kouroushou 2019年6月</ref><ref>{{Cite news |url=https://www.asahi.com/articles/DA3S14385413.html|title=(介護とわたしたち 保険制度20年:上)「介護の社会化」実現できたか:朝日新聞デジタル:朝日新聞デジタル:朝日新聞デジタル|newspaper=|date=2020-03-01}}</ref>。
{{Seealso|日本の精神保健#人口高齢化に伴う認知症の増加}}
 
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介護については、現在でも多くの家族が認知症患者を介護しているが、その負担の大きさから[[心中]]問題に発展する事もある。認知症患者の介護は、24時間の見守りが必要であり、これは地域ぐるみでないと対策は難しい。患者の多くは死ぬ場所に自宅を希望しているが、現状では大部分は病院で亡くなっている{{Sfn|OECD|2015|p=15}}。
 
しかし、この問題は家族や貧困の問題とされており、社会問題とされることはまだまだ少ない。日本においては、患者の9割近くが65歳以上であり65歳未満の初老期の認知症患者(若年性認知症)の対策が遅れているため、その患者の家族負担は65歳以上よりも重いとされている。介護保険においては、要支援2以上の患者が[[認知症高齢者グループホーム]]を利用できる。
 
=== 介護士の負担 ===
2018年に70代の認知症の男性が包丁を持って施設内部を徘徊していたのを発見した際に介護士の男性が包丁を取り上げたところ、襲いかかってきたために自衛のために投げ倒し、認知症の男性が軽傷を負った。高山市はこれを認知症患者への介護士による虐待と判断した。岐阜県は虐待にあたるか捜査中である。認知症患者の面倒を見る介護職員の9割近くがセクハラや暴言などを受けている<ref>[https://www.sagasix.jp/column/dementia/violence/]</ref>。
 
=== 自動車運転をめぐる問題 ===
判断力が低下した認知症患者による自動車[[運転]]などの問題もある。各県の[[公安委員会]]は認知症にかかっている者の[[運転免許]]を取消しまたは停止することができる([[道路交通法]]第103条)。認知症関連5医学会は連名でガイドラインを策定し、認知症が判断した際は、医師は患者および家族に対し自動車運転の中止ならびに[[運転免許証]]返納を行うよう説明し、かつその点をカルテに記載するよう勧告している<ref>{{Cite press release|和書|author=日本神経学会、日本神経治療学会、日本認知症学会、日本老年医学会、日本老年精神医学会 |title=わが国における運転免許証に係る認知症等の診断の届出ガイドライン |date=2014-06-01 |url=http://www.neurology-jp.org/news/pdf/news_20140624_01_01.pdf|format=PDF}}</ref>。
 
=== 鉄道事故をめぐる問題 ===
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=== 所在不明者をめぐる問題 ===
警察庁のまとめによると、2013年、捜索願([[失踪者|行方不明者]]届)が出された認知症の人の数は1万322人であり<ref>{{PDFlink|[https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H25yukuehumeisha.pdf 平成25年中における行方不明者の状況]}} - 警察庁</ref>、2012年度と2013年度に届出のあった19,929人の不明者のうち、2014年4月現在所在が確認できていない人数が258人である<ref>[httphttps://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05004_V00C14A6CR0000/ 認知症で不明1万人超 13年、所在未確認2年で258人] 日経新聞</ref>。一方で警察に保護されたものの住所や名前などの身元不明の人が13人(2013年5月現在)いた<ref>[認知症の不明者、身元特定へ連携 厚労省、警察庁などと] 朝日新聞 2013年6月6日</ref>。
 
2019年6月20日の警察庁の発表によれば、2018年中に警察に届け出があった認知症の行方不明者はのべ16,927人で、前年比1064人増であり、統計を取り始めた2012年から連続で増加、最多となった。行方不明者全体87,962人に占める割合は19.2パーセントで過去最大。70歳以上が9割を占めた。<ref>[https://www.asahi.com/articles/DA3S14064203.html 認知症不明、最多1万6927人 遺体で見つかった人、508人 昨年] 朝日新聞デジタル </ref>
 
2023年6月の2022年中に全国の警察に届け出のあった認知症の行方不明者はおよそ1万8700人と10年連続で増加し、最多を更新。
77.5%は届け出を受理した当日に、99.6%が受理から1週間以内に所在が確認されている。<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/21780152d8ac61920b91a6ea80eb71d8be359464 |title=去年1年間の認知症の行方不明者が1万8709人 10年連続で最多更新 行方不明者の総数は2年連続増加 |publisher = |accessdate=2023-06-22}}</ref>
 
=== 法的保護 ===
{{See also|日常生活自立支援事業}}
既に、認知症患者を対象にした[[悪徳商法]]などが発生している。[[悪質リフォーム]]や、[[金融機関]]による認知症患者の[[金融商品]]の無断解約<ref>[認知症女性の5千万解約、日興社員「実弟」偽る] 読売新聞 2013年6月2日</ref>などは、発生・発覚時にはよく報じられるが、解決策について議論されることは少ない。このため、家族などや[[弁護士]]や[[司法書士]]、[[社会福祉士]]、[[地域包括支援センター]]、[[成年後見人|成年後見人制度]]による対策が求められている。
 
法曹関係の論文では「判断不十分者」という語で認知症患者を指す場合がある。
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=== 刑事手続 ===
* [[2010年]]に認知症と診断された[[大阪府]]在住の82歳の男性が、[[無免許運転]]の容疑で[[略式起訴]]され[[堺区検察庁|堺区検]]から[[罰金]]刑を受け、納付しなかったために[[大阪刑務所]]の[[労役場]]に留置された。この男性は、認知症で判断力が低下しており、また、相当額の[[年金]]収入があり[[強制執行]]が可能であるにもかかわらず、検察側は事情を考慮せず労役場に留置したなどとして、同区検を相手取り[[大阪地方裁判所]]に訴えを起こした<ref>[無免許運転:認知症で労役場に留置、賠償求め提訴 大阪] 毎日新聞 2012年11月29日</ref>。
* [[執行猶予]]期間中に再び[[万引き]]行為を行った認知症患者に対し、[[2016年]][[4月12日]]に[[神戸地方裁判所]]で、再び執行猶予付きの判決が言い渡された。当該判決は、被告を診察した医師の「行動を抑制し難い状況にあった」との証言が受け入れられた形となった<ref>[httphttps://mainichi.jp/articles/20160413/k00/00m/040/057000c 万引き 「認知症が影響」執行猶予中の再犯に猶予判決] 毎日新聞 2016年4月12日</ref>。
* 執行猶予期間中だった認知症患者の女性が2015年8月に、[[青果]]店で万引きをしたとして逮捕・起訴され、一審の[[高知地方裁判所]]では懲役8ヵ月の実刑となったが、二審の[[高松高等裁判所]]は[[2016年]][[6月21日]]に「一審では認知症の[[精神鑑定]]が行われておらず違法」として、審理を同地裁に差し戻した<ref>「認知症」万引き 判決差し戻し「鑑定なしは法令違反」高松高裁 毎日新聞 2016年6月23日</ref>。
 
=== 介護士の負担 ===
2018年に70代の認知症の男性が包丁を持って施設内部を徘徊していたのを発見した際に介護士の男性が包丁を取り上げたところ、襲いかかってきたために自衛のために投げ倒し、認知症の男性が軽傷を負った。高山市はこれを認知症患者への介護士による虐待と判断した。岐阜県は虐待にあたるか捜査中である。認知症患者の面倒を見る介護職員の9割近くがセクハラや暴言などを受けている<ref>[https://www.sagasix.jp/column/dementia/violence/]</ref>。
 
== 名称変更 ==
=== 経緯 ===
[[日本老年医学会]]において、2004年3月に柴山漠人が「『痴呆』という言葉が[[差別]]的である」と問題提起したのを受け、6月から[[厚生労働省]]において、医療・福祉などの専門家を中心とした用語検討会で検討が始まった。その過程において、[[厚生労働省]]は、関係団体や有識者からヒアリングを行うとともに、「痴呆」に替わる用語として選定した複数の候補例などについて広く国民の考えを問うため、ウェブページなどを通じて意見の募集を行った。この結果、一般的な用語や行政用語としての「痴呆」について、次のような結論に至った。
* 「痴呆」という用語は、侮蔑的な表現である上に、「痴呆」の実態を正確に表しておらず、早期発見・早期診断などの取り組みの支障となっていることから、できるだけ速やかに変更すべきである。
* 「痴呆」に替わる新たな用語としては、「認知症」が最も適当である。
* 「認知症」に変更するにあたっては、単に用語を変更する旨の広報を行うだけではなく、これに併せて、「認知症」に対する誤解や偏見の解消などに努める必要がある。加えて、そもそもこの分野における各般の施策を一層強力にかつ総合的に推進していく必要がある。
 
国民の人気投票では「認知障害」がトップであったが、従来の医学上の「認知障害」と区別できなくなるため、この呼称は見送られた。こうして[[2004年]][[12月24日]]付で、法令用語を変更すべきだとの報告書(「痴呆」に替わる用語に関する検討会報告書)がまとめられた。[[厚生労働省]]老健局は同日付で行政用語を変更し、「老発第1224001号」により老健局長名で自治体や関係学会などに「''認知症''(にんちしょう)」を使用する旨の協力依頼の通知を出した。関連する法律上の条文は、2005年の[[通常国会]]で[[介護保険法]]の改正により行われた。
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=== 表記改正への賛否議論 ===
「痴呆」という呼び名が差別的であるとされたのは、「痴」「呆」ともに「愚か」「[[馬鹿]]」という意味を持つ漢字だからである。実際、[[厚生労働省]]のアンケートでは、「痴呆」という呼称が一般的な用語や行政用語として用いられる場合、また病院などで診断名や疾病名として使用される場合でも、不快感や軽蔑した感じを「感じる」人は、「感じない」人を上回った。
 
「痴呆」の呼び名の代替案として「認知症」とする事とした事に関して、「[[認知]]」の意味が正しく伝わらず、適切ではないのではないか、また日本語として破綻しているのではないか、という議論が出ている。
488 ⟶ 493行目:
 
また、「痴呆」と言う言葉は「一度獲得された知能が、後天的な大脳の器質的障害のため進行的に低下する状態」を指し、「認知症」と言う言葉より症状を的確に表しているという意見もある。
 
== 日本の法制 ==
2023年6月14日、認知症に関する初の法律「[[共生社会の実現を推進するための認知症基本法]]」が成立した。社会活動に参加する機会の確保など様々な認知症の施策に取り組み、認知症の人が暮らしやすくするのが狙い。「世界アルツハイマーデー」の9月21日を「認知症の日」と定めるとした。
国民の責務として「共生社会実現への寄与」を盛り込み、認知症施策の基本理念として7項目を掲げ、具体策として、バリアフリー化の推進、意欲や能力に応じた雇用の継続や就職に資する施策、保健医療や福祉サービスの切れ目ない提供、認知症の早期発見や早期診断や早期対応を推進、などを挙げた。政府に具体的目標や達成時期を入れて基本計画を作るよう義務づけ、自治体に計画策定の努力義務を課した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.asahi.com/articles/ASR6G4FM7R6GUTFL004.html|title=認知症に関する初の法律が成立 社会活動に参加する機会を確保へ:朝日新聞デジタル|accessdate=2023-06-15|publisher=朝日新聞}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.asahi.com/articles/DA3S15662219.html|title=認知症基本法、成立 社会活動の機会確保盛る:朝日新聞デジタル|accessdate=2023-06-15|publisher=朝日新聞}}</ref>。
 
2017年12月、愛知県大府市は、基本理念や各関係主体の役割、市の責務や施策などを定めた全国初となる「大府市認知症に対する不安のないまちづくり推進条例」を制定した<ref>[https://www.city.obu.aichi.jp/kenko/koureishashien/ninchisho/1011077.html 大府市認知症に対する不安のないまちづくり推進条例|大府市]</ref>。
 
==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
===注釈===
{{Reflist|group="*注釈"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
'''; 国際機関'''
:* {{Cite |publisher=[[世界保健機関]] |title=Dementia: a public health priority |date=2012 |url=http://www.who.int/mental_health/publications/dementia_report_2012/en/ |isbn=9789241564458 |ref={{SfnRef|世界保健機関|2012}} }}
:* {{Cite report|df=ja |publisher=OECD |date=2013-11-21 |title=Health at a Glance 2013 |doi=10.1787/health_glance-2013-en |ref={{SfnRef|OECD|2013}} }}
:* {{Cite report|df=ja |publisher=OECD |title=Addressing Dementia - The OECD Response |date=2015-03-13 |doi=10.1787/9789264231726-en |ref={{SfnRef|OECD|2015}} }}
:<!-- バグ回避のための行。[[Help:箇条書き]]を参照。 -->
 
'''; 診療ガイドライン'''
:*{{Cite report|df=ja |publisher=世界保健機関 |title=mhGAP Intervention Guide for mental, neurological and substance use disorders in non-specialized health settings |edition=2 |dateyear=2016 |isbn=978924 1549790 |url=http://www.who.int/mental_health/mhgap/mhGAP_intervention_guide_02/en/ |ref={{SfnRef|世界保健機関|2016}} }}
:** {{Cite report|df=ja |publisher=世界保健機関 |title=mhGAP Intervention Guide for mental, neurological and substance use disorders in non-specialized health settings |dateyear=2010 |isbn=9789241548069 |url=http://www.who.int/mental_health/publications/mhGAP_intervention_guide/en/ |ref={{SfnRef|世界保健機関|2010}} }}
:* {{Cite report|df=ja |author=[[英国国立医療技術評価機構]] |author-link=英国国立医療技術評価機構 |title=CG42 - Dementia: Supporting people with dementia and their carers in health and social care |date=November 2006-11 | url=http://www.nice.org.uk/guidance/cg42 |ref=harv}}
:*{{Cite|title=Medical care of older persons in residential aged care facilities (silver book) |author=王立オーストラリア総合医学会 |publisher=[[:en:The Royal Australian College of General Practitioners|The Royal Australian College of General Practitioners]] |date=2006-03 |url=https://web.archive.org/web/20170530164238/http://www.racgp.org.au/your-practice/guidelines/silverbook/ |isbn=0-86906-212-3 |ref=harv}} - 老人の在宅および施設ケアガイドライン
 
== 関連項目 ==
516 ⟶ 527行目:
* [[惨事ストレス]]
* [[アルツハイマー型認知症]]
* [[レビー小体型認知症]]
* [[パーキンソン病]]
* [[ピック病]]
524 ⟶ 536行目:
* [[認知症高齢者グループホーム]]
* [[コウノメソッド]]
* [[スマートフォン依存症]]
* [[障害年金]]
* [[運転免許に関する欠格条項問題]] - 75歳以上高齢運転者講習時の予備検査
* [[精神科]] - [[心療内科]]
534 ⟶ 548行目:
* [[心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律|医療観察法]]
* [[精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律|精神病院の用語整理法]]
* [[障害年金]]
* [[りそな銀行]] - 認知症サポーター養成講座を開催した。
 
== 外部リンク ==
543 ⟶ 555行目:
-->
* [https://www.who.int/health-topics/dementia Dementia] {{en icon}} - WHO
* [httphttps://www.oecd.org/health/dementia-care.htm Dementia and Care] {{en icon}} - OECD
* [https://wwwkokoro.mhlwncnp.go.jp/kokoro/know/disease_recogdisease.htmlphp?@uid=WwE9LLpYbVZTIDMI 認知症] - 厚生労働省国立精神・神経医療研究センター
* [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/ 認知症施策] - 厚生労働省
* [https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1224-17.html 「痴呆」に替わる用語に関する検討会報告書] - 厚生労働省
* [https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン基本] - 政府広報オンライン
* [https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/ninchisho/ 認知症を知ろう!~!〜ご自身や家族の認知症が不安な方へ] - 政府広報オンライン
* [https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/kisochishiki/ 認知症の基礎知識] - 東京都福祉保健局
* [https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/chofuku/choju/ninchi/ 認知症を知るページ] - 茨城県保健福祉部長寿福祉課
* [https://www.ninchisho-forum.com/ 認知症フォーラムドットコム] - ツムラ
* [httphttps://wwwjndad.d-ca.orgjp/ 一般社団法人JNDA認知症ケアアドバイザー協会]
* {{脳科学辞典|前頭側頭型認知症}}
* [https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/07-神経疾患/せん妄および認知症/認知症 認知症] - [[MSDマニュアル]]
* [https://www.engawajapan.com/ 認知症でつながるコミュニティ えんがわJAPAN] - 日本認知症研究会
 
{{Normdaten}}
{{精神と行動の疾患}}