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{{Otheruses|憲法, 法律, 条例などを総称する用語|国家の立法機関が制定するもの|法律|法学的・哲学的な視点から見た法規範一般|法 (法学)|法規範および命令|法令|権利義務に関する法規範|法規}}
{{出典の明記|date=2013年5月}}
'''法源'''(ほうげん、{{lang-de-short|RechtsquelleRechts}}、{{lang-fr-short|droit}}、{{lang-en-short|sources of the law}})とは、一般的に法の根源もしくは淵源(えんげん)または存在形式もしくは存在根拠である。法源は、[[裁判官]]が[[裁判]]で[[判決]]を行う下すの重要な判断基準となるものという意味である。厳密には、形式的・実質的の2種類の用法がある。通常、法源といえば形式的法源を指す
 
後述するとおり'''形式的法源'''と'''実質的法源'''の2種類の用法があるが、形式的法源の意味で用いられることが多い<ref name=デジタル大辞泉>{{cite kotobank|word=法源|encyclopedia=百科事典マイペディア、デジタル大辞泉|accessdate=2021-12-08}}</ref>。
 
==概要==
[[大陸法]]国においては、議会制定法が主要な法源であるのに対し、[[コモン・ロー|英米法]]国においては、裁判官による[[判例]]が第一次的な法源である。
 
大陸法国においては、判例は法源ではないと考えられている。ただ、大陸法の国においても英米国においても判例に一定の拘束力は存在することが多く、両者の違いは効力の差であると考えることもできる。
 
大陸系の国である日本での判例の法源性については学説が分かれているが{{efn|判例の拘束力が法的なものか、または事実上のものに留まるかについては各説がある{{sfn|君塚正臣|2015|pp=88-96}}。}}、少なくとも英米法系諸国における判例法の効力よと異なは低く、制定優先原則により効力は制定法>判例法基幹部分を担うものあること確かであるない{{sfn|君塚正臣|2015|p=94}}
 
'''形式的法源'''とは、裁判官が判決理由で理由としうる法の形式的存在形態、すなわち、[[法 (法学)|法規範]](この文脈での法規範は、法的判断の根拠と言い換えることが出来る)がどのような[[形式]]で存在しているかをいう。例えば、[[日本法]]であれば、[[憲法]]や[[法律]]が代表的な形式的法源である。これは、憲法なり法律なりという形式を備えたものは、日本法の法規範(裁判規範)として法的拘束力生み出ということである。形式的法源としては普通、制定法、慣習法、判例法、条理の四つがあるとされる。
== 形式的法源 ==
形式的法源とは、裁判官が判決理由で理由としうる法の形式的存在形態、すなわち、[[法 (法学)|法規範]](この文脈での法規範は、法的判断の根拠と言い換えることが出来る)がどのような[[形式]]で存在しているかをいう。例えば、[[日本法]]であれば、[[憲法]]や[[法律]]が代表的な形式的法源である。これは、憲法なり法律なりという形式を備えたものは、日本法の法規範を生み出すということである。形式的法源としては普通、制定法、慣習法、判例法、条理の四つがあるとされる。
 
'''実質的法源'''とは、法を発生させる実質的な要因・淵源のことであり、「主権者の意思(民意)」や「神意」などが該当しうる<ref name=デジタル大辞泉 />。
== 実質的法源 ==
実質的法源とは、法を発生させる実質的な要因のことである。
 
== 日本法の法源 ==
===日本国憲法下の法源===
===現在===
現在の日本法の形式的法源としては、以下のものが挙げられる<ref>{{cite kotobank|word=法源|url=https://kotobank.jp/word/法源-131910|accessdate=2021-12-08|encyclopedia=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典}}</ref>。数字が小さいものほど強い法的効力を有しており、各法源は、決して自分よりも上に掲載された法源の内容に[[矛盾]]してはならない。
現在の日本法の形式的法源としては、次のものが挙げられる。
#[[憲法]] - [[日本国憲法第98条]]によると、[[日本国憲法]]の効力は「法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部」と「日本国が締結した条約及び確立された国際法規」よりも優位である。
#[[憲法]]
#[[条]]
#[[法律]]
#[[命令 (法規)|命令]]([[政令]]・[[省令]])
#[[条例規則]]([[議院規則]]・[[最高裁判所規則]])
#[[条例]]
#[[判例]] - [[最高裁判所]]の[[判例]]が強力な拘束性を有していることに鑑み、判例を法源として挙げる見解もあるが、争いがある。なお、元最高裁判所[[判事]]の[[藤田宙靖]]によれば、定義次第であるものの、判例を法令と同列の法源とは考えることには無理があるという{{sfn|藤田宙靖|2014|pp=289-290}}。
#[[慣習法]]
#[[判例解釈#条理|条理]]
 
#[[条理]]
===大日本帝国憲法下の法源===
====注====
判例法・条理は法源として認められないという学説もある。
===大日本帝国憲法===
[[大日本帝国憲法]]下においては、次のような形式的法源も存在した。
*[[勅令]]
*[[閣令]]
 
*[[律令]]
===江戸時代以前における法源===
====注====
[[江戸時代]]以前の日本においては、次のような法源も存在した<ref>{{Cite web|和書|title=法律の最上の解釈者は慣習である/事物の最上の解釈者は慣習である/法はすべて正義(公平)と慣習とに由来する/よい慣習はよい法(悪しき隣人―ようこそ法格言の世界へ 第8回)|url=https://www.web-nippyo.jp/12761/|author=柴田光蔵|accessdate=2021-12-08|website=Web日本評論}}</ref>。
判例は、法源として認められていないという説もある。しかし労働法の分野における[[整理解雇]]の四要件のように法源性の比較的高い判例法もあることや、譲渡担保も判例法を根拠としていること等から、判例法の法源性は否定できない。
#各時代の[[慣習法]]
##[[氏族]]の[[不文法]](国家成立以前)
##荘園的慣習法([[平安時代]])
#各時代の[[成文法]]
##[[十七条の憲法]]
##[[律令]]・[[格式]](大化の改新後)
##[[武家法]]([[鎌倉時代]]以降。[[御成敗式目]]など)
##[[分国法]]・[[家法]]([[戦国時代 (日本)|戦国時代]])
##[[幕藩法]](江戸時代)
 
== 国際法の法源 ==
[[国際法]]においては、伝統的に[[慣習法]]と[[条約]]がただ二つの法源として認められてきた<ref>藤田久一『{{Sfn|国際法講義』I(1992)|p=22}}が22頁。</ref>。かつてより重要だったのは国際慣習法([[慣習国際法]]ある。その理由は、18世紀までは条約の数が少なく、慣習法がカバーする領域が広かったためである。また、条約が拘束力を持つためには条約以前に「合意は守られねばならぬ」という(慣習)法が条約以前に存在していなければならないからである<ref>藤田久一『{{Sfn|国際法講義』I、(1992)|p=29頁。</ref>}}。とはいえ、現代においてもっとも重要な法源が、圧倒的に数量を増した[[国際条約]]であるということは、もはや疑いをえようがない<ref>藤田久一『{{Sfn|国際法講義』I、(1992)|p=38頁。</ref>}}
 
他の二つの法源、すなわち[[法の一般原則]]と[[判例]]・[[学説]]は、[[国際司法裁判所規程]]が[[裁判]]の基準と認めてから、法源として認めるべきか論じられるようになった<ref>藤田久一『{{Sfn|国際法講義』I、(1992)|p=41頁。</ref>}}。このうち法の一般原則は法源の一つとして認められる傾向にあるが、判例学説などは認められていない<ref>藤田久一『{{Sfn|国際法講義』I、(1992)|p=41 - 44頁。}}<ref>杉原他『現代国際法講義』第5版12頁、18頁。</ref>。
 
国際司法裁判所規程の38条1項には
#[[条約|国際条約]]({{en|international conventions, whether general or particular, establishing rules expressly recognized by the contesting States}})、
#[[慣習法]]({{en|international custom, as evidence of a general practice accepted as law}})、
#[[一般的法原則]]([[法の一般原則]]、{{en|the general principles of law recognized by civilized naitons}})、
#[[判例]]・[[学説]]({{en|judicial decisions and teachings of the most highly qualified publicists of the various nations}})
が掲げられている。ただし、判例・学説については、「同規程第59条の規定に従うことを条件として({{en|subject to the provisions of Article 59}})」かつ「法準則を決定する補充的な手段として({{en|as subsidiary means for the determination of rules of law}})」という限定が付いているため、真正な法源とは考えられておらず、法の認識源({{de|Rechtserkenntnisquellen}})にすぎないといわれる。同規程第59条は「裁判所の裁判は、当事者間において且つその特定の事件に関してのみ拘束力を有する。({{en|The decision of the Court has no binding force except between the parties and in respect of that particular case.}})」としている。
 
== イスラーム法 ==
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さらに、過去の判例や法学者の学説(ファトワー)、条理も補充的な法源とされている。
 
== 脚注  ==
{{脚注ヘルプ}}
<references />
===現在注釈===
{{notelist}}
====注=出典===
{{reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author=[[藤田宙靖]] |year=2014 |title=最高裁判例とは何か |journal=横浜法学 |ISSN=2188-1766 |publisher=横浜法学会 |volume=22 |issue=3 |pages=287-303 |url=https://hdl.handle.net/10131/8648 |ref=harv}}
*[[杉原高嶺]]、[[水上千之]]、臼杵知史、吉井淳、[[加藤信行]]、高田映『現代国際法講義』第5版、有斐閣、2012年。I
* [[杉原高嶺]]、[[水上千之]]、臼杵知史、吉井淳、[[加田久一信行]]、高田映現代国際法講義』I(国家・国際社会)、東京大学出第5版、1992有斐閣、2012年。I
* {{Cite book|和書|author=藤田久一|authorlink=藤田久一 |title=国際法講義 |publisher=東京大学出版会 |year=1992 |NCID=BN08540131 |ref={{harvid|国際法講義(1992)}}}}
 
* {{Cite journal|和書|author=[[君塚正臣]] |year=2015 |title=<論説>判例の拘束力 : 判例変更、特に不遡及的判例変更も含めて |journal=横浜法学 |ISSN=2188-1766 |publisher=横浜法学会 |volume=24 |issue=1 |pages=87-132 |url=https://hdl.handle.net/10131/9416 |ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
* [[法 (法学)]]
* [[法学]]
* [[法解釈]]
* [[立法]]
 
{{Normdaten}}
 
{{DEFAULTSORT:ほうけん}}