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[[File:Fender_Highway_1_Stratocaster.jpg|thumb|right|160px|代表的なエレクトリックギターの1つ、[[フェンダー・ストラトキャスター]]]][[File:Gibson_Custom_50th_Anniversary_1959_Les_Paul_Standard_(2009)_brighten.jpg|thumb|right|160px|同じく代表的なエレクトリックギターの1つ、[[ギブソン・レスポール]]]]
'''エレクトリック・ギター'''({{lang-en-short|electric guitar}})は、[[ピックアップ (楽器)|ピックアップ]]を内蔵し、それによって[[弦 (楽器)|弦]]の[[振動]]を[[電気信号]]に変換する[[ギター]]<ref>Oxford Dictionary. "A guitar with a built-in pickup or pickups which convert string vibrations into electrical signals for amplification."</ref>。通称・略称は'''エレキギター'''および'''エレキ'''。
 
エレクトリック・ギターは、その[[金属]]製の[[弦楽器|弦]]の振動をピックアップで(微弱な)電気信号に変えるギターであり、そのエレクトリック・ギター本体と[[アンプ (楽器用)|アンプ]]を、(電気信号を伝えるための){{仮リンク|[[シールド・ケーブル|en|Shielded cable}}]]で接続し、(信号を受け取った)アンプの側で電気信号を[[増幅]]し[[音]]を出す。アンプで音をひずませたり大音量の音を出したり、様々な[[エフェクター]]を用いて音質を多彩に変化させることが可能で、それらがエレクトリック・ギターの大きな特徴となっている。
[[File:Fender_Highway_1_Stratocaster.jpg|thumb|right|160px|代表的なエレクトリックギターの1つ、[[フェンダー・ストラトキャスター]]]][[File:Gibson_Custom_50th_Anniversary_1959_Les_Paul_Standard_(2009)_brighten.jpg|thumb|right|160px|同じく代表的なエレクトリックギターの1つ、[[ギブソン・レスポール]]]]
 
== 歴史 ==
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エレクトリック・ギターは、[[アコースティック・ギター]]とは異なる形状・構造をもち、専用の[[マイクロフォン|マイク]]「'''[[ピックアップ (楽器)|ピックアップ]]'''」を有しているため、アンプを介して出力される音色はアコースティック・ギターとはかなり異なるものとなる。ピックアップはエレクトリック・ギターの音色の大きな部分を決定する。
 
ピックアップは[[電磁誘導]]を利用して音を拾っている。ピックアップには[[永久磁石]]が内蔵されており、それによって生じる磁界中で鉄やニッケルなどの磁性体を含有する弦が振動するとピックアップ内の[[コイル]]を通過する磁束が変化し、弦の[[振動]]にほぼ相似した[[交流電流]]が発生する。その電流は導線(シールド)等を通してアンプに送られ、アンプによって音として増幅されスピーカーから音として出力される。電磁誘導を利用するため、エレクトリック・ギターにナイロン等の非磁性金属製の弦は使用できない(ギターのブリッジ部分に音響[[マイクロフォン]]を供えたものもあるが、そのようなものは一般にエレクトリック・ギターとは呼ばない)。また[[ピエゾ素子]]のような物理的変形を電気信号に変換する素子を使ったピックアップもあるが、こちらも音響マイクロフォンと同様に「エレクトリック・ギター」の範疇には含まないのが普通一般的である
 
ピックアップの種類は以下の二つに大別できる。
* [[シングルコイル]]
* [[ハムバッキング]](ハムバッカー)
エレクトリック・ギター用のピックアップは、一般的に板状の磁石の上に並べた棒(ポールピース)の周囲にワイヤを巻いたもの(コイル)ものだが、この構造が一つのものをシングルコイルと呼ぶ。そのサウンドはカラっとした乾いたような音色が特徴である。対してハムバッカーは、シングルコイルを弦に対して平行または直角に二つ並べてコイルの極性を逆接続することで[[商用交流電源]]による磁界の影響を打ち消してノイズに強い構造になっているが、肝心の弦の振動の信号も特に高調波成分が打ち消し気味になり、太く暖かいサウンドが持ち味となる。「[[ハム]]」とは、商用交流電流による「ブ〜〜ン」と言うノイズのことである。[[ギブソン (楽器メーカー)|ギブソン]]のモデルはハムバッカーが多く、[[フェンダー (楽器メーカー)|フェンダー]]はシングルコイルのモデルが多い。「ハムバッキング(バッカー)」のことを「ハ'''ン'''バッキング(バッカー)」と書くこともある。
 
電気信号の増幅方法は以下の二つに分類される。
* パッシブ(passive)
* アクティブ(active)
ピックアップは内部のコイルで音を交流電流として取り出すわけだが、スピーカーから音として出力するには、この電流を増幅させる必要がある。この増幅作業の一切をエフェクターやアンプなどのギターの外部に依存したピックアップをパッシブと呼ぶ。対して、[[電池]]と微小信号用アンプをギター内に内蔵し信号をある程度増幅させてからアンプに送信するタイプのものをアクティブと呼び、コイルの巻数が少なくすみノイズに強い。一般的にエレクトリック・ギターではパッシブが主流で、アクティブは鉄弦を使った[[アコースティック・ギター]]に付加的に追加したピックアップに多い。また、一つのギターでパッシブとアクティブの切り替えも可能なものもある。
 
一つのギターに複数のピックアップが搭載されている場合、ネック側から以下のように呼ばれる。
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== 種類 ==
[[Image:Moonlander.jpg|thumb|160px|[[ソニック・ユース]]のリー・ラナルドのために[[ユーリ・ランドマン]]が特別に制作した楽器「ムーンランダー」(2007年)]]
=== 大分類 ===
エレクトリック・ギターはボディの構造で概ね以下の2種類に大別できる。
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=== 小分類 ===
; [[アーチトップギター]]
: 中空ボディで、トップとバックの板が緩い弧を描いている形状をしており、大半のものは両サイドにヴァイオリンのような[[f字孔]]が空いている。この構造で、コンパクトなボディにもかかわらず、音の反響効率が良いため大音量がなる仕組みになっている。後述するフルアコースティックギター、セミアコースティックギターの多くが、アーチトップギターに属する。世界トップレベルのメーカー(ルシアー)として[[ロバート・ベネデット]]が挙げられ{{要出典|date=2020年5月16日 (土) 05:06 (UTC)|}}、生産量で言えばギブソン社(および[[エピフォン]]・ブランド)が有名。
: これに対し、トップとバックの板が平面になっているものを'''フラットトップギター'''と呼ぶが、こちらは一般的な[[アコースティック・ギター]]を指す場合が多い。
; フルアコースティックギター(フルアコ)
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; [[スティール・ギター]]
: [[ハワイの音楽|ハワイアン]]、カントリーアンドウエスタンに用いられている横置きの'''電気ギター'''。普通は指で押えるフレットがなく、左手のバーでフレットに相当する位置の弦を押え、右手の親指、人差し指、中指につけたフィンガーピックで弾く。弦は6弦、8弦などがあり、演奏者により様々なチューニングがある。[[大橋節夫]]のチューニングはC-E-G-A-C-EのAm7th、バッキー白片はAm、大塚竜男はE7thなど。マヒナスターズの和田弘はマイナー系とメジャー系の二つのチューニングをセットしたダブルネックのタイプで、ハワイアンと歌謡曲など曲目によって使い分けていた。カントリー音楽ではこのチューニングを変えて多彩な和音を出すことが出来るペダルをつけた10弦や12弦のペダルスチールギターなどもある。電気を使わないタイプでは、[[リゾネーター・ギター]]と呼ばれる物もあり、もともとは、これが横置きギターの原型という説もある。
[[Image:Moonlander.jpg|thumb|160px|[[ソニック・ユース]]のリー・ラナルドのために[[ユーリ・ランドマン]]が特別に制作した楽器「ムーンランダー」(2007年)]]
 
== 特有の奏法 ==
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* {{Flagicon|USA}} [[フェンダー (楽器メーカー)|フェンダー]] (Fender)
* {{Flagicon|USA}} [[ポール・リード・スミス]] (Paul Reed Smith)
* {{Flagicon|USA}} [[パーカー]](Parker)
* {{Flagicon|USA}} [[メランコン]] (Melancon)
* {{Flagicon|USA}} [[モズライト]] (Mosrite)
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== 日本固有の歴史的経緯 ==
;1960年代のエレキブームと追放運動
1965年1月の『[[ザ・ベンチャーズ]]』の来日以降、ベンチャーズの人気と共にエレキ族と呼ばれる若者を中心に爆発的にエレキギターに注目が集まり「エレキブーム」が訪れる事になる。テレビ番組『[[勝ち抜きエレキ合戦]]』等のテレビ番組や[[加山雄三]]主演映画『[[エレキの若大将]]』等の後押しもありブームに拍車をかけていった。同年夏にはエレキギターの音に合わせて踊る[[モンキーダンス]]もブームとなった(モンキー族)<ref>「青少年のの仲間集団<盛り場に集まる若者たち>」『更生保護 17(3)』 p.27 日本更生保護協会 1966年3月 [https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2688122/1/15]</ref>。

しかし、1965年10月に栃木県足利市教育委員会の働きかけで起こった小中学生のエレキ購入禁止や大会参加禁止等を定めた通称「エレキ禁止令」が出されると、新聞<ref>朝日新聞 1965年10月19日朝刊 等</ref>で大きく取り上げられるなど社会問題化し、一方的に「エレキギターは不良少年がするもの」とレッテルを貼られ、コンサートを見に行っただけで高校を退学させられるなど全国で激しい「エレキギター追放運動」が波及していった。条例は後に廃止されたもののブームは次第に沈静化していくことになる。その後[[寺内タケシ]]によるハイスクールコンサート等の熱心な努力もあり改善されていく。
 
== 脚注 ==
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* [[アンプ (楽器用)]]
* [[エレクトリックベース]]
* [[勝ち抜きエレキ合戦]]
* [[楽器ショー]]
* [[エフェクター]]