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== 日本語における表記について ==
[[File:Hyozu-jinja_兵主神社例祭(西脇市黒田庄町岡)2011.10.9_DSCF1166.jpg|thumb|right|200px|子供と[[浴衣]]、[[兵主神社 (西脇市)|兵主神社]]例祭(2011年)]]
[[日本]]における教育・法律・行政文書の世界では[[1994年]]の「[[児童の権利に関する条約|Convention on the Rights of the Child]]」の訳語論争を経て、[[2000年代]]ごろには「'''子ども'''」という表記を差別的な印象であるなどといった理由で敬遠し、代わりに「'''子ども'''」表記をいることが多くなった<ref name="Seino">{{Cite journal|和書|author=清野隆|year=2008|title=国語科教育の基礎学の構築(Ⅰ) 漢字の基礎-「子ども」・「子ども」の表記を基にして-|url=https://doi.org/10.32150/00005725|journal=北海道教育大学紀要(教育科学編)|volume=59|issue=1|publisher=北海道教育大学|issn=13442554}}</ref>。
 
小中学校の国語においては「子」は小学校1年生で、「供」は小学校6年生でそれぞれ読みを学ぶ漢字であり、小学校の5年生までは[[教育漢字#交ぜ書き|交ぜ書き]]の「子ども」表記である<ref name="Seino" />が、[[教科書]]においては小学校6年生以降でも出版社によって「子供」「子ども」両方の表記が混在していた。
 
例として、中学3年生の全社の検定教科書に収録されている[[魯迅]]の『故郷』では、[[学校図書]]、[[教育出版]]、[[光村図書]]が「子供」としているのに対して、[[東京書籍]]と[[三省堂]]は「子ども」と表記している<ref name="Seino" />。教員採用試験の参考書でも、かつての文部科学省の表記を根拠に「子ども」表記を推奨しているものがあった<ref name="Seino" />。なお[[当て字]]ないしは[[誤表記]]として「小供」<ref name="Seino" />や「子共」も見られた。
 
しかし、文部科学省が[[2013年]](平成25年)[[5月]]に、省内で多用されてきた「子ども」の表記の経緯について調査。表記についての内規が存在しないことを確認した上で、[[文部科学大臣]][[下村博文]]([[第2次安倍内閣]])は省内での表記を統一するよう指示した。協議の結果、「子供」表記は差別表現ではないとの判断が示され<ref>{{Cite news|title=「子ども」は「子供」で統一します 文科省「差別表現でない」と公文書で使用|agency=J-CASTニュース|date=2013-09-01|url=https://www.j-cast.com/2013/09/01182664.html?p=all}}</ref>、[[6月]]下旬から公用文に用いられる表記を'''「子供」に統一'''した<ref group="注">交ぜ書き廃止を求める団体が「子ども」表記の廃止を文科相に請願したことや、[[国会 (日本)|国会]]([[衆議院]]文部科学委員会)で交ぜ書き表記の是正についてたびたび取り上げられたことが一因とされる。(日本教育新聞、2013年7月15日)</ref><ref>『「子ども」表記を「子供」に 下村文科相 公用文の統一指示』 (日本教育新聞、2013年7月15日)</ref>。
 
「子供」表記への統一は、当初あくまで[[公文書]]に限るとされていたが、[[2010年代]]以降はこれに倣って公文書以外でも「子供」表記が以前に比べて増加傾向にある。前述の国語の検定教科書においても、これまで積極的に「子ども」表記を採用していた東京書籍なども、小学校6年生以降の教科書において「子ども」と表記していた部分を「子供」に改めている<ref>{{Cite|和書|title=新編 新しい国語 3|date=2018|edition=平成二十七年三月六日 検定済|publisher=東京書籍株式会社|ref=harv}}</ref>。新聞社など民間のメディアは表記の統一を行なっていないが、[[毎日新聞]]の新聞記事における使用実態は[[2000年]]ごろ以降「子ども」表記が多数となったものの、[[2010年]]ごろ以降は再び「子供」表記が増え「子ども」と同数程度になった<ref name="mainichi01">{{Cite news|title=「こども」どう書く|agency=毎日新聞 校閲センター|date=2018-11-19|url=https://mainichi-kotoba.jp/enq-037}}</ref>。ただし、同社による一般へのアンケートによれば、「子ども」表記を好む読者が63.3%、「子供」表記は25.4%に留まり、「子ども」が優勢である<ref name=mainichi01/>。
 
[[2020年]](令和2年)の[[神戸新聞]]の記事によれば、[[国語辞典]]編纂者の[[飯間浩明]]の意見として、「供」の字にまつわる差別的なイメージは「史実に基づいておらず、まったくの俗解」と断言した上で、一方「日本語は漢字と仮名の交ぜ書きが普通であり、『子ども』が美しくないとは、必ずしも言えません」と、「子ども」表記のより柔らかなイメージについても肯定したことを紹介<ref name="kobe01">{{Cite news|title=「子供」or「子ども」どっちで書く?新聞は「子ども」派が多数 専門家の見解は|agency=まいどなニュース|date=2020-08-01|url=https://maidonanews.jp/article/13585181}}</ref>。また、全国の地方紙にアンケートを実施したところ、多くの記者は「『子ども』の方が字面の印象が柔らかい(ので使用する)」と回答。どちらの表記を選ぶかは書き手の自由であり、「ことさら競う」ことなく「好きな表記をすればよいと思います」とした。
 
児童文学作家の[[矢玉四郎]]は「子供は当て字であり、差別的な意味は全くない」、出版社が勝手に「子ども」に書き換えることが横行していると批判し、『子ども教の信者は目をさましましょう』という運動を展開している<ref name="siro">{{Cite web|和書|url=http://butagoya.o.oo7.jp/gaki.htm#kodomo|title=子ども教の信者は目をさましましょう|accessdate=2020-12-01}}</ref>。このなかでは「子ども」という表記は「子共」という侮蔑表現の隠れ蓑でありうることが指摘されている。
 
2023年4月に施行した[[こども基本法]]や新設された[[こども家庭庁]]では、全てひらがなの「こども」で表記している。国務大臣の記者会見等の文章においても、同様に「こども」で表記されている<ref>{{Cite web2 |date=2023-08-04 |title=法務大臣臨時記者会見の概要 令和5年8月4日(金) |url=https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00435.html |accessdate=2023-8-11 |website=[[法務省]]}}</ref>。
 
== 脚注 ==