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[[File:SDIM0241b.jpg|thumb|right|250px|日没1時間後に高度500mから見た日没方向の水平線]]
'''レイリー散乱'''(レイリーさんらん、{{lang-en-short|Rayleigh scattering}})とは、[[光]]の[[波長]]よりも小さいサイズの[[粒子]]や構造ゆらぎによる光の[[光散乱|光の散乱]]である。[[透明]]な[[液体]]や[[固体]]中でも起きるが、典型的な現象は[[気体]]中の散乱であり、日中の空が青く見えるのは、レイリー散乱の[[周波数特性]]によるものである。レイリー散乱という名は、この現象の説明を試みた[[ジョン・ウィリアム・ストラット (第3代レイリー男爵)|レイリー卿]]にちなんで名付けられた<ref>{{Harvtxt|Strutt|1871a}}</ref><ref>{{Harvtxt|Strutt|1871b}}</ref><ref>{{Harvtxt|Strutt|1871}}</ref><ref>{{Harvtxt|Strutt|1881}}</ref><ref>{{Harvtxt|Strutt|1899}}</ref>。
 
== 理論 ==
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さらに、[[散乱断面積]] {{Math|''&sigma;''{{sub|s}}}} は散乱強度の式を全[[立体角]]にわたって[[積分法|積分]]することで、下式によって求められる<ref>{{Harvtxt|Cox|2001}}</ref><ref>{{Harvtxt|Siegel|Howell|2001|p=480}}</ref>。
:<math>\sigma_\mathrm{s}=\frac{2\pi^5}{3}\frac{d^6}{\lambda^4}\left(\frac{n^2-1}{n^2+2}\right)^2</math>
この式から、散乱強度が波長の-4乗 λ<sup>-4</sup> に比例すること、すなわち波長の短い[[青|青色]]の光が波長の長い[[赤|赤色]]の光よりもく散乱されることが説明される。[[夕焼け]]や朝焼けは、太陽と観測者の間に[[地球の大気|大気]]の存在する距離が日中と比べて長くなり、青色光が観測者に届くまでに大気を構成する[[分子]]によって散乱され尽くし、散乱を受けにくい赤色光のみが観測者に届くことによって起こる。一方で、日中には波長が短い青が観測者の方に散乱されることにより、空全体が青く見える。
 
== 応用におけるレイリー散乱 ==
[[光学]]計測にも用いられ、特徴としては、信号強度が分子数の[[密度]]に比例し、[[分光法]]より高強度であることが挙げられる。[[トレーサー]]としては散乱断面積の大きい物質が用いられる。
 
=== [[光学]]計測 ===
[[光学]]計測にも用いられ、特徴としては、信号強度が分子数の[[密度]]に比例し、[[分光法]]より高強度であることが挙げられる。[[トレーサー]]としては散乱断面積の大きい物質が用いられる。
 
=== [[気象レーダー#マイクロ波レーダー|気象レーダー]] ===
気象レーダーは、直径 1mm 程度の雨粒や雪などの粒子によるレイリー散乱を利用する。[[霧雨]](直径 0.5mm 以下)が捉えられにくいのは、小さな粒子の散乱強度が著しく小さい(粒子の直径の6乗 ''d''<sup>6</sup> に比例する)ためである<ref>{{Cite web |title=「雨雲の動き」の留意点 |url=https://tenki.jp/docs/note/radar/page-2.html |website=tenki.jp |access-date=2024-07-21 |language=ja}}</ref>。
 
=== [[光ファイバー]]内の信号の減衰 ===
光ファイバーを伝わる光の減衰は、主にレイリー散乱によって引き起こされる。散乱は添加物の組成ゆらぎと光ファイバーを構成する[[ガラス]]の密度ゆらぎによるものであり、これらの抑制が[[伝送損失]]の低減につながる<ref>{{Cite web |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/lsj/40/6/40_411/_pdf |title=山本義典、低損失光ファイバ |access-date=2024年7月21日 |publisher=J-STAGE}}</ref>。
 
== 脚注 ==