「横穴墓」の版間の差分

構造は、[[横穴式石室]]に似ている。墳丘をもたないのが通例であるが、例外も少し一部ある。玄室には棺や棺を置く台を削りだした例もある。天井の形態は、家形・ドーム形・アーチ形がある。また、前室が造られていを設けたり、羨道の前に前庭が造られていたりすを設ける例がある。<ref>参考文献の『岩波　日本史辞典』（1999年）「横穴」の項参照　1166ページ</ref>

横穴墓は単独で存在することは稀で、おおむね複数からなる横穴墓群を構成する。また線刻画をともなうこともある。九州および関東から東北地方南部の太平洋沿岸では、彩色が施された例もいくつかみられる。これらは[[装飾古墳]]にも位置づけられる。

'''横穴古墳'''ともいうが、正確には[[古墳]]とは[[墳丘]]を持つ高塚古墳を意味するため、墳丘をもたないものは横穴墓というべきである。ただし分類上は広義の「古墳」に含まれる。また人工の墳丘の側面から埋葬する施設（横穴式石室）を持つ「横穴式」古墳のことを横穴墓とはいわない。さらに中世日本でも、[[鎌倉]]市中地方で同様の[[墓制]]が存在したが、この場合[[やぐら]]とよぶ。

== 分布と有著名な横穴墓 ==

*柏谷横穴群（かしやおうけつぐん、静岡県函南町、国の史跡、106基）

*北江間横穴群（静岡県伊豆の国市、国の史跡、101基）

*高井田横穴墓群（[[大阪府]][[柏原市]]、国の史跡）

*石貫ナギノ横穴群（[[熊本県]][[玉名市]]）(）（国指定の史跡)）

*石貫穴観音横穴群（[[熊本県]][[玉名市]]）(）（国指定の史跡)）

*鍋田横穴群（[[熊本県]][[山鹿市]]）(）（国指定の史跡)）

*大村横穴群（[[熊本県]][[人吉市]]）(）（国指定の史跡)）