りゅう座ガンマ星
エルタニン(Eltanin)はりゅう座γ星の固有名称。アラビア語の『竜の頭』を意味する語で、エタミン(Etamin)と読むこともある。
同星座で最も明るい恒星で、視等級は2.23。スペクトル型はK5IIIで、橙色に輝く巨星である。地球から148光年離れている。 ジャコビニ流星群の放射点が近くにある。
りゅう座で最も明るい星であるのにも関わらず、バイエル符号が3番目のγである。α星は4750年ほど昔(紀元前2790年頃、メソポタミア・古代エジプト時代)、歳差運動によって北極星であったトゥバン (Thuban)、β星はエルタニンの隣に輝くラスタバン(Rastaban) に与えられている
[1]
。ラスタバンという名前は、以前エルタニンにも与えられていたことがあった。しかし、竜または蛇の頭にあたるラスタバン(β星)のほうが重要だと考えられ、2番目のβをラスタバンに与えたといわれている。また、エルタニンは旧グリニッジ天文台の天頂を通ることで知られる星でもあるため、"Zenith Star(天頂の星)"という別名も持つ。
エルタニンの直径は太陽の50倍であり、表面が水星の軌道の半分の辺りまで達していると考えられる。現在、巨星化が進んでおり、鉄が溜まりつつある。核に近い辺りでは、ヘリウムを燃焼させていて、現在徐々に増光中であるようだ。近々寿命を迎えるものと思われる [2] 。
150万年後、おそらくエルタニンは地球の28光年先を通り過ぎる。そのとき、全天中最も明るい星になるだろうと考えられている(シリウスの光度が現在と変わらない場合)。
1728年、天文学者ジェームズ・ブラッドリーはこの星の年周視差を測定するのを試みていて失敗し、偶然光行差が地球の動きから生じていると発見した。ブラッドリーの発見は、ニコラウス・コペルニクスが提唱した、地球が太陽の周りを公転しているという地動説 の立証につながった。