イソブテン
イソブテン (isobutene) とは分子式が C4H8 と表される工業的に重要な炭化水素で、枝分かれ状に4個の炭素を持つアルケン。ブテンの構造異性体のひとつ。可燃性を持ち、常温常圧で無色の気体。イソブチレン (isobutylene) とも呼ばれる。
イソブテン[1][2] | |
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2-メチルプロペン | |
別称 イソブチレン γ-ブチレン 2-メチルプロピレン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 115-11-7 |
PubChem | 8255 |
EC番号 | 204-066-3 |
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特性 | |
化学式 | C4H8 |
モル質量 | 56.11 g mol−1 |
外観 | 無色気体 |
密度 | 0.5879 g/cm3 |
沸点 |
-6.9 °C, 266 K, 20 °F |
水への溶解度 | 不溶 |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | < -10 ℃ |
発火点 | 465 ℃ |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
用途
イソブテンは合成中間体としてさまざまに用いられる。メタノールやエタノールと付加させると、ガソリンの添加剤として用いられるメチルtert-ブチルエーテル (MTBE) やエチルtert-ブチルエーテル (ETBE) が得られる。やはりガソリンに加えられるイソオクタンも、イソブテンのアルキル化で合成される。メタクロレインの原料ともなる。フェノールもしくは 4-メトキシフェノールとイソブテンのフリーデル・クラフツ反応により、抗酸化剤のジブチルヒドロキシトルエン (BHT) やブチルヒドロキシアニソール (BHA) が作られる。また、イソブテンが重合するとポリイソブチレンとなる。ブチルゴムはイソブテンを含む共重合体である。
製造
イソブテンは石油精製ストリームから硫酸と反応させて単離できるが、通常はイソブタンの触媒による脱水素化によって製造される[3]。1990年代に、MTBE や ETBE の需要増に合わせイソブテンの製造量も大きく増した。北米では Texas Petrochemicals や Lyondell が主要な製造元である。
危険性
イソブテンは可燃性が高い気体であるため、爆発を避けなければならない。ボンベ中で圧縮して保管されるが、放出するときに操作者が酸素不足とならないよう注意を要する[2]。
脚注
- ^ Merck Index, 11th Edition, 5024.
- ^ a b MSDS for isobutylene
- ^ George A. Olah and Árpád Molnár Hydrocarbon Chemistry, Wiley-Interscience, ISBN 978-0471417828