レボメプロマジン
レボメプロマジン(Levomepromazine)とは、フェノチアジン系の抗精神病薬である。薬力価はクロルプロマジンの約2倍とされるが[要出典]、抗幻覚作用は弱い。ノルアドレナリン系の遮断が強く、著しい衝動性の興奮や錯乱状態における異常行動を抑制する鎮静作用は強力である。商品名はヒルナミン、レボトミン、ソフミン、レボホルテなどがある。処方せん医薬品である。
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
| |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | 約 50 - 60% |
代謝 | 肝臓 |
半減期 | 15 - 30時間 |
排泄 | 糞便および尿 (代謝産物)、 未代謝1% |
データベースID | |
CAS番号 | 60-99-1 (7104-38-3 [マレイン酸塩], 1236-99-3 [塩酸塩]) |
ATCコード | N05AA02 (WHO) |
PubChem | CID: 72287 |
KEGG | D00403 |
化学的データ | |
化学式 | C19H24N2OS |
分子量 | 328.473 g/mol |
薬理作用と特徴
脳内のD2受容体(ドーパミン2受容体)を遮断することにより、不安、興奮、イライラ、不眠などの症状を改善する。ただ、力価が低いため、D2受容体への選択性は低く、幻覚、妄想などを抑える効果は低いが、ノルアドレナリン神経系への作用が強く、思考を抑制し、強力な鎮静作用を発揮する。α受容体の遮断や抗ヒスタミン作用などが強く、その分、血圧降下やめまい・眠気・判断力の低下が強く出ることがある。
効果と対象
強い鎮静効果と催眠効果を持ち、躁病、うつ病、統合失調症利用されている。同じフェノチアジン系の向精神薬としてはクロルプロマジンなど数種類があるが、レボメプロマジンは他種よりも鎮静作用が極めて強い。そのため、救急外来や精神科救急においては、著しい興奮を抑制する際の処置薬としての第1選択薬とされることが多い。
また、睡眠薬の効果を強めるために使用されることもある。
用法
通常、成人にはマレイン酸レボメプロマジンとして錠剤や散剤、もしくは顆粒で1日量で25~200mgを経口投与する。
また、注射製剤により筋肉注射をすることが可能である。注射を行う場合は、塩酸レボメプロマジンとして1回1アンプル(25mg)を筋肉内注射する(症状に応じ適宜増減される)。
副作用
抗コリン作用などが強く起こる事がある。主に、眠気、だるさ、口の渇き、便秘、かすみ目、性機能障害、起立性低血圧などが起こることがある。また、抗アレルギー効果(ヒスタミン受容体遮断)があるため、鼻づまりなどの症状が起きることもある。
稀に錐体外路症状、悪性症候群、パーキンソン病症状(パーキンソニズム)が発生することがある。長期的な服用により、ノルアドレナリン神経系に影響を与え、外的ストレスに弱くなるという報告もある。[要出典]