イエローカード (予防接種)
イエローカード(英: Yellow Card、仏: Carte Jaune)は、予防接種の国際証明書である。国際保健規則に基づき発行されるもので、特定の国では入国検疫の一環で提示を要求される。1980年以降は黄熱のみが対象であるが、以前はコレラや天然痘についても対象となっていた。また国によってはその他の疾患に対する予防接種の接種証明を兼ねた冊子を発行している場合もある。
対象疾病
対象疾病と証明の基準については同規則の附録第7に規定されている[1]。かつてはコレラ、天然痘、黄熱の3つが対象であったが、1980年以降は黄熱のみとなっている。
黄熱
証明書は接種日の10日後から接種者の生涯にわたって有効である。従来は有効期間が10年間とされ以降は再接種が必要であったが、2016年7月11日以降は証明書の記載によらず生涯有効となった。なお使用するワクチンはWHOによって承認されているものでなければならない。
コレラ
コレラは1973年の規則改定によって対象から外れているが、引き続き予防接種証明の提示を求めている国も存在している。
天然痘
天然痘は1980年の根絶宣言のあと、1981年の規則改定によって対象から外れている。
書式
証明書の書式は国際保健規則の附録第6に規定されている。記載事項は、対象者の氏名、生年月日、性別、国籍、署名と、対象となる疾病、そして予防接種の日付、監督医の署名と地位、ワクチンの製造者と製造番号、証明書の有効期間などである。これらは英語またはフランス語で記入しなければならないが、さらにその他の言語でも記入することは許されている。子供に対しても個別に証明書が必要であり、署名できない場合には保護者が代理で署名する。予防接種の実施を監督する医師(公式に授権された医療従事者や保健職員の場合もある)が自署しなければ無効であり、また実施機関の公印が押されていなければ無効である。色に関する規定はないので発行機関しだいで白色のイエローカードも存在しうる[2]。
日本
日本で発行されるイエローカードは、検疫法施行規則[3]様式第6の1に規定されている。大きさはおおよそA6で、表面に記載事項の記入欄、裏面に国際保健規則に規定された注意書きがあり、全てについて日本語と英語が並記されている。
参考文献
- ^ “ANNEX7 REQUIREMENTS CONCERNING VACCINATION OR PROPHYLAXIS FOR SPECIFIC DISEASES” (PDF). International Health Regulations (2005) (3rd ed.). World Health Organization. (2016). pp. 54-55. ISBN 978 92 4 158049 6
- ^ “ANNEX6 VACCINATION, PROPHYLAXIS AND RELATED CERTIFICATES” (PDF). International Health Regulations (2005) (3rd ed.). World Health Organization. (2016). pp. 52-53. ISBN 978 92 4 158049 6
- ^ “検疫法施行規則”. e-Gov. 総務省行政管理局. 2019年6月6日閲覧。