グリコ乳業
グリコ乳業株式会社(グリコにゅうぎょう、英: Glico Dairy Products Company, Limited)は、かつて東京都昭島市武蔵野二丁目14番1号に本社を置いていた牛乳・乳製品の製造販売をおこなう会社である。江崎グリコ株式会社のグループ企業の一社でもある。
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒196-0021 東京都昭島市武蔵野二丁目14番1号 |
設立 | 1947年(昭和22年)8月 |
業種 | 食料品 |
法人番号 | 8012801002050 |
事業内容 | 牛乳・乳製品などの製造・販売 |
代表者 | 梅﨑信彦(代表取締役社長) |
資本金 | 4億5,000万円 |
売上高 | 906億3,600万円(2015年3月期) |
総資産 | 552億9,800万円(2015年3月現在) |
従業員数 | 1,544名(2011年3月現在) |
主要株主 | 江崎グリコ:100% |
特記事項:2015年10月1日、江崎グリコ株式会社に吸収合併され解散。 |
2015年(平成27年)10月1日に江崎グリコ株式会社と合併し、同社が存続会社となったため、法人としてのグリコ乳業は解散することとなった。
概要
実質的な設立は1956年(昭和31年)で、当時の社名は「グリコ協同乳業」。本社は佐賀市にあった(江崎グリコ創業者・江崎利一が佐賀県出身であることから本社を置いたものである)。江崎グリコに製菓用原料として乳製品を供給するために設立されたものである。このほか、岐阜県・広島県・島根県・東京都・熊本県・栃木県に地元農家・農協との共同出資による地域会社を設立。その後、1966年(昭和41年)に地域会社を吸収合併し全国1社体制とした(形式的には、1947年(昭和22年)に設立された「グリコ乳業株式会社」が各地域会社を吸収合併し、社名を「グリコ協同乳業株式会社」に変更した)。このような経緯から、非公開会社にもかかわらず株主数が800名を超えるとともに、大株主に各地の農協が名を連ねていた(なお、旧社名の「協同」は、農協との共同出資に由来するものであり、メイトーブランドの協同乳業は一切関連のない別会社である)。
なお、スポンサー提供番組の一つ「鉄人28号」での提供字幕は当初より「グリコ乳業」であった。まんが日本昔ばなし時のスポンサーの提供字幕はグリコ協同乳業であった。
2000年(平成12年)に社名を「グリコ協同乳業」から「グリコ乳業」に変更。2002年(平成14年)10月に江崎グリコと株式交換を行い完全子会社となった。本社は東京都昭島市。
現在は、昭島(GA→T:以下カッコ内は製造所固有の記号)・那須(GN→S)・佐賀(GS→W)・広島(GH→V)・岐阜(GG→U)・宮城(社内では東北と呼称。正式には東北グリコ乳業、GT→R)に工場がある。なお、昭島工場の一部は立川市の区域である。
なお、2000年(平成12年)以降、大田(GO)、諏訪(GM)を閉鎖し、2003年(平成15年)には熊本(GK)、2013年には和田山(正式には近畿グリコ乳業・GW)も閉鎖された。
主力商品である「高原牛乳」シリーズは、発売する地域によってブランド名が異なることで知られている。これらは地域会社に分かれていた時代の名残といえる。
かつては和田山工場が「近畿グリコ乳業株式会社」(工場廃止済み)、宮城(東北)工場が「東北グリコ乳業」というグリコ乳業の子会社であったが、2013年から全ての工場が子会社化され、グリコ乳業の役員が社長となっている。
2015年(平成27年)10月1日付で親会社の江崎グリコに吸収合併され、江崎グリコの乳製品・飲料部門として統合される形になり、グリコ乳業の社員は同日付で江崎グリコの社員となる。
沿革
株主名 | 所有株式数 | 持株比率(%) |
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江崎グリコ株式会社 | 6,188,735 | 68.8 |
佐賀県経済農業協同組合連合会 | 1,296,197 | 14.4 |
東京都酪農業協同組合 | 139,250 | 1.5 |
熊本市酪農農業協同組合 | 137,500 | 1.5 |
オザックス株式会社 | 119,000 | 1.3 |
日本セロンパック株式会社 | 105,000 | 1.2 |
株式会社ファミネット | 100,000 | 1.1 |
東海乳業運輸株式会社 | 90,750 | 1.0 |
酪農とちぎ農業協同組合 | 75,000 | 1.0 |
- 1947年(昭和22年):グリコ乳業(株)設立。
- 1955年(昭和30年):岐阜県にグリコ東海乳業(株)を設立。
- 1956年(昭和31年):江崎グリコと佐賀県酪農諸団体の協同出資により、佐賀県にグリコ協同乳業(株)を設立。島根県にグリコ山陰協同乳業(株)を設立。
- 1959年(昭和34年):広島県にグリコ中国協同乳業(株)を設立。
- 1960年(昭和35年):東京都にグリコ東京協同乳業(株)を設立。
- 1961年(昭和36年):熊本県にグリコ熊本協同乳業(株)を設立。
- 1962年(昭和37年):栃木県にグリコ那須協同乳業(株)を設立。
- 1966年(昭和41年):前述の地域会社7社をグリコ協同乳業(株)に統合し、本社を東京都新宿区に開設。大阪府にグリコ大阪乳業(株)を設立。
- 1968年(昭和43年):グリコ乳業(株)がグリコ協同乳業(株)を吸収合併し、社名をグリコ協同乳業株式会社へ変更。
- 1972年(昭和47年):本社を東京都昭島市へ移転。「プッチンプリン」発売開始[1]。
- 1977年(昭和52年):宮城県に東北グリコ乳業(株)を設立。
- 1980年(昭和55年):奈良県に奈良グリコ乳業(株)を設立。
- 1985年(昭和60年):兵庫県に近畿グリコ乳業(株)を設立。
- 1987年(昭和62年):米国フロリダ州に Glico Foods U.S.A. Corp.を設立。
- 1988年(昭和63年):米国ワシントン州に Glico Apple Corp.を設立。
- 2000年(平成12年)4月1日:社名をグリコ乳業(株)に変更。
- 2002年(平成14年):江崎グリコ(株)により完全子会社化。
- 2013年(平成25年)
- 2015年(平成27年)10月1日:親会社の江崎グリコ(株)に吸収合併(経営統合)され解散。「プッチンプリン」や「カフェオーレ」などグリコ乳業から販売されていた商品が江崎グリコからの販売に移行する。68年の歴史に幕。
主なブランド
以下の商品は2015年(平成27年)10月1日を以って江崎グリコ株式会社からの販売に移行した。
高原牛乳シリーズ
- 「那須高原牛乳」(東日本)
- 「石見高原牛乳」(中部・西日本)
- 「阿蘇高原牛乳」(九州)
高原酪農家牛乳シリーズ
- 「蔵王高原酪農家牛乳」(北海道・東北)
- 「信州高原酪農家牛乳」(関東・甲信越)
- 「石見高原酪農家牛乳」(中部・西日本)
- 「霧島高原酪農家牛乳」(九州)
チルドカップシリーズ
- 「プライムカフェ」
- 「ドロリッチ」
幼児のみものシリーズ
- 「幼児優良牛乳」(2003年(平成15年)まで「幼児牛乳」)
- 「幼児りんご」
- 「幼児ぶどう」
- 「おいしい果実のビタミンC」
- 「野菜&フルーツ」
- 「1日分緑黄色野菜」
- 「ココアミルク」
- 「スポロン」(1992年(平成4年)まで円錐形容器、2000年(平成12年)まではゲーブルトップ65ml)
100%ジュースシリーズ
- 「赤りんご青りんご」
- 「スイートオレンジ&温州みかん」
- 「野菜&くだもの」
- ※ 以上の商品は、耐光性に優れた黒パッケージを日本で初めて採用した。
- ※ 容器製造は270mlは日本紙パック、1000mlは東京製紙が行っている。
- 「マンゴー&アップル」
- 「朝果汁100% 3色のグレープフルーツ&ホワイトグレープ」
- 「パイナップル&グレープ」
- ※ 以上の商品と270ml3アイテムは、ゲーブルトップ320mlシリーズで発売されている。
- ※ 容器製造は日本紙パック。
- ※ なお、270mlと320ml容器はグリコ乳業のみで採用されている。
カフェオーレシリーズ
- 「カフェオーレ」「カフェオーレクリーム多め」「カフェオーレ濃いめ」(独自の円柱型の容器を「Pキャン容器」と呼ぶ。)
- 「マイルドカフェオーレ」
とろ〜りクリームonシリーズ
- 「とろ〜りクリームonプリン」
- 「とろ〜りクリームonカフェゼリー」
- 「とろ〜りクリームon杏仁豆腐」
プッチンプリンシリーズ
- 「プッチンプリン」
- 「Bigプッチンプリン」
- 「手づくりプッチンプリン」
- 「プッチンプリン クリーミーいちごミックス」
- 「プッチンプリン for Kids」
プッチンプリンシリーズの沿革
- 1970年(昭和45年)、開発開始。
- 1972年(昭和47年)、「グリコプリン」発売。容量100g、価格50円。花型のカップの底に穴を開ける工夫で、カラメルが上に乗ったプリンを皿に取り出す趣向をもたせた。
- 1974年(昭和49年)、「プッチンプリン」に改称
- 1990年(平成2年)、3連パック発売。70gx3個 スーパーマーケット販売、子ども家庭対象
- 1993年(平成5年)、「Bigプッチンプリン」165g コンビニ販売、若年男性対象
- 2006年(平成18年)、「Happyプッチンプリン」400gという巨大な容量と散発的に店頭に並べることで話題性をもたせた。
- 2008年(平成20年)、「Happyプッチン運だめし」4つのツメのうち1つだけが実際に穴があけられるという商品だったが、店頭でツメを折るいたずらが続出し販売終了となる。
- 2009年(平成21年)、「手づくりプッチンプリン」発売。
- 2010年(平成22年)、フレーバー製品「いちごソース」、「ソーダ」、「はちみつバター」、「バナナ」発売。
- 2012年(平成24年)、発売40年記念として、「Specialプッチンプリン」、「男のプッチンプリン」、「プッチンプリンチョコミックス」、「SpecialプッチンプリンII」、「プッチンプリンいちごミックス」を発売。このうち「男のプッチンプリン」は見かけは通常のプッチンプリンだが、中身は豆腐でカラメルの代わりに出汁醤油が使われ、味自体が冷奴という異色の製品であった。
- 2013年(平成25年)、シリーズ累計販売数51億個となり、「世界で最も売れているプリン」としてギネス世界記録に認定される。認定記念として全てのプッチンプリンにギネスマークが付いた。
- 2014年(平成26年)、「ひとくちプッチンプリン」20gx6個。シリーズ史上最小[2][3][4]。
朝食ヨーグルトシリーズ
- 「朝食りんごヨーグルト」
- 「朝食みかんヨーグルト」
- 「朝食りんご&アロエヨーグルト」
- 「朝食やわらかりんごヨーグルト」
- 「朝食プロバイオティクスヨーグルトBifiX」(おなかでふえる(ビフィズス菌)「BifiX」を使用、プレーンのはか、脂肪0・ストロベリー・ブルーベリー・フルーツプルーン・いちじくもある)
- 「朝食プロバイオティクスBifiXのむビフィズス菌」
- 「ストローでたべる朝食りんご&ヨーグルト」
- 「ストローでたべる朝食アロエ&ヨーグルト」
- 「ストローでたべる朝食ブルーベリー&ヨーグルト」
その他
- 「カルシウムの多いミルク」
- 「カルシウムと鉄分の多いミルク」
- 「カルシウムと鉄分の多い無脂肪乳」
- 「グリコ牛乳」
- 「高原の岩清水&レモン」
- 「野菜、足りてますか?」
- 「ピネス」
- 「ヨーグルト健康」
- 「おいしいカスピ海」
- 「ごろっとグレープフルーツゼリファイド」(2002年(平成14年)までグレープフルーツ型のお椀型容器)
- 「カフェゼリー」など
- ドロリッチ
テレビ提供番組
もともと「鉄人28号」「赤白パネルマッチ」などの江崎グリコ提供のアニメ番組やゲーム番組で一緒に提供していたが、「まんが日本昔ばなし」(MBS制作)で独立し、以後永きに渡りTBS系列土曜夜7時枠のスポンサーとして提供していたが、2007年(平成19年)9月で降板。現在は火曜夜10時枠の「リンカーン」 → 同枠後継の「100秒博士アカデミー」と金曜夜9時枠の「中居正広の金曜日のスマたちへ」の30秒ずつの提供番組となっている[注 1]。このうち「中居正広の金曜日のスマたちへ」は江崎グリコもスポンサーとなっているためスポンサークレジットの表記は江崎グリコと同じく「glico」となるため「glico」が2回登場していた。2013年(平成25年)4月より「グリコグループ」扱いに一本化し、提供クレジットは1回だけになった。リンカーンはグリコ乳業のCMのみを流していたが、2013年4月からは江崎グリコのCMも流すようになっている。
「〜日本昔ばなし」提供当時、自社の不祥事が起きた場合は提供クレジットを自粛し、CM枠は公共広告機構(現:ACジャパン)に差し替えず、江崎グリコの商品のCMを流していた(後のリメイク版を除く)。
2008年(平成20年)4月からは「FNS地球特捜隊ダイバスター」のスポンサーとなる(関東のみ、30秒×2本)。日清食品からの交代で、提供初回は登場人物が「プッチンプリンが好き」と発言したり(親会社だが)グリコのポーズをするなど番組内で同社の話題が使われた。次番組の「マツコの部屋」でもスポンサーとなっている。
TBS・MBS・CBC系(JNN系列)以外での番組提供はごくまれにしか放送せず、ほとんどはスポットCMでの対応となっている(2006年(平成18年)4月〜2007年(平成19年)2月までの土曜夜7時枠の番組で不祥事を起こしたために提供番組を振り替えたことがある。その源流はかつて(旧・グリコ協同乳業時代から)TBS系列水曜夜8時枠の番組スポンサーだったことが縁と見られる。この枠は2012年(平成24年)現在ローカルセールス枠に戻り、「水トク!」などが放送されている枠に当たる、ネットセールス上における現在の後継番組は、木曜夜8時枠の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』)。
TBS土曜8時枠の連続ドラマ → 木曜ドラマ9のスポンサーである江崎グリコとの関わりで劇中に供給している。
読売テレビ制作・日本テレビ系列で日曜日朝に放送されていたアニメ番組「夢色パティシエール」ではグリコグループとしての提供となるが、番組内ではプッチンプリンのコラボCMも流れている。
2011年から2013年まで、テレビ東京系で放送された「クロスファイト ビーダマン」[注 2]と「ビーストサーガ」では、グリコ幼児のみものシリーズのコラボCMを放送し、子供たちのために元気が出るというCMが放送されていた。
その他
阪神甲子園球場のバックスクリーン、バックネット裏に江崎グリコ本社共々広告看板を提供し、バックネット裏の回転広告看板でグリコ乳業の製品も表示される場合がある。
CMイメージキャラクター
プッチンプリン
- 林寛子(1977年)
- ゴジラ(1983年頃?)
- 水野晴郎(1983年頃にゴジラと共演)
- スキャットマン・ジョン(1995年) - 自ら担当したCMソング「プリプリ・スキャット」は、断続的ではあるが長く使用されている。
- 高橋玲奈(1996年) - Bigプッチンプリン
- ウォレスとグルミット(1998年~2000年)
- 加賀美セイラ(2001年)
- 森絵梨佳(2002年) - 瀬川瑛子が「MC★瑛子」名義でCMソング(クラブ調の「プリプリ・スキャット」)を担当。
- プッチン大統領(2009年)
- きゃりーぱみゅぱみゅ(2012年)
- 本田望結(2014年)
カフェオーレ
- aiko(2001年)
- 松本莉緒(2002年)
- 氣志團(2004年)
- BENI(2005年) - 当時は「安良城紅」名義
- 桐谷美玲、山本裕典(2006年)
- アヤカ・ウィルソン(2012年)
- 吉川友、キマグレン(2013年) - 両組によるユニット「きっかレン」として出演
- WaT(ウエンツ瑛士・小池徹平)、小島瑠璃子(2014年)
- トリンドル玲奈(2015年[注 3])
ドロリッチ
- 池田恵、武藤静香(2009年)
- 加藤侑紀(2011年)
- 深田恭子(2011年)
- 中村静香、西田麻衣、丸高愛実、遠野千夏、柴小聖(2012年:ドロリッチガールズ1期生)
- 今野杏南、佐山彩香、岸明日香、亜里沙、星名美津紀(2013年:ドロリッチガールズ2期生)
その他
脚注
注釈
出典
- ^ “【超BIG当たる】食べる楽しさプッチンプリン40年(男の浪漫伝説 Vol.90)”. ドリームメール. 2012年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月19日閲覧。
- ^ 日経デザイン 2015.2
- ^ “プッチンプリンの歩み”. プリンに賭けろ!~プッチンプリン物語~. グリコ. 2020年4月19日閲覧。
- ^ “プッチンプリンをギネス認定 販売累計51億個”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2013年1月10日) 2020年4月19日閲覧。