わたしに会うまでの1600キロ
『わたしに会うまでの1600キロ』(わたしにあうまでのせんろっぴゃくキロ、Wild)は、2014年のアメリカ合衆国のドラマ映画。原作はシェリル・ストレイドの自叙伝『Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail』である。監督はジャン=マルク・ヴァレ、主演はリース・ウィザースプーンが務める。
わたしに会うまでの1600キロ | |
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Wild | |
監督 | ジャン=マルク・ヴァレ |
脚本 | ニック・ホーンビィ |
原作 |
シェリル・ストレイド 『Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail』 |
製作 |
リース・ウィザースプーン ビル・ポーラッド ブルーナ・パパンドレア |
製作総指揮 |
ネイサン・ロス バーゲン・スワンソン |
出演者 |
リース・ウィザースプーン ローラ・ダーン |
撮影 | ワイヴス・ベランガー |
編集 |
マーティン・ペンサ ジャン=マルク・ヴァレ[1] |
製作会社 |
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ パシフィック・スタンダード リバー・ロード・エンターテインメント |
配給 |
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ 20世紀フォックス映画 |
公開 |
2014年12月3日 2015年8月28日 |
上映時間 | 116分[2] |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | 1500万ドル[3] |
興行収入 |
$37,872,084[4] $52,493,269[4] 8560万円[5] |
本作は批評家と観客の双方から高い評価を受け、リース・ウィザースプーンとローラ・ダーンが第87回アカデミー賞にノミネートされた。
概略
編集1995年、シェリル・ストレイドは離婚や母親の死、自らの自暴自棄な生活で負った心の傷を癒すために、数千マイルにもわたるパシフィック・クレスト・トレイルを一人で歩き通すことを決意した。
なお、本作はシェリルの一人旅を時系列を追って再現しつつ、ところどころでシェリルの回想シーンが入るという形式をとっている。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替
- シェリル・ストレイド - リース・ウィザースプーン(宮島依里)
- バーバラ・”ボビー”・グレイ - ローラ・ダーン(田中敦子): シェリルの母親
- エイミー - ギャビー・ホフマン(世戸さおり): シェリルの友人
- 幼少時のシェリル - ボビー・リンドストローム
- ポール - トーマス・サドスキー(斉藤次郎): シェリルの元夫
- リーフ - キーン・マクレー(矢野正明): シェリルの弟
- ジョナサン - ミキール・ハースマン(野沢聡)
- フランク - W・アール・ブラウン(魚建): シェリルを家に泊めてくれる男性
- グレッグ - ケヴィン・ランキン(川島得愛): シェリルが道中で出会ったハイカー
- レンジャー - ブライアン・ヴァン・ホルト
- エド - クリフ・デ・ヤング: 道中の休憩所にいた男性
- ジミー・カーター - モー・マクレー: シェリルにインタビューする男性
- アネット - ジャン・ホーグ: フランクの妻
- TJ - チャールズ・ベイカー: シェリルが道中で出会うハンター
- ロナルド・ニールンド - ジェイソン・ニューウェル: シェリルの父親
- ジョー - レイ・バークリー: シェリルの昔の恋人
- ステイシー - キャスリン・デ・プラム: シェリルが道中で出会う女性ハイカー
- カイル - エヴァン・オトゥール: シェリルが道中で出会う少年
- ヴェラ - アン・ジー・バード: カイルの祖母
- シェリルのセラピスト - ランディ・シュルマン
- ボビーを担当する看護師 - アン・ソース
- ウェイン - マット・パスクァ: リーフの友達
- 25日目ヒッチハイクの女性ドライバー- シェリル・ストレイド
製作
編集2012年3月8日、リース・ウィザースプーンは自らが新しく立ち上げた映画製作会社パシフィック・スタンダードを通して、シェリル・ストレイドの自叙伝『Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail』を映画化し、自らが主演・製作を務めると発表した[6]。2013年7月、フォックス・サーチライト・ピクチャーズが本作に出資すると報じられた[7]。同年8月、ジャン=マルク・ヴァレが本作のメガホンをとることに決まった[8]。
2013年10月11日、主要撮影がオレゴン州とカリフォルニア州を中心に始まった。なお、オレゴン州での撮影には、原作者のシェリル・ストレイドが立ち会った[9]。
撮影の過酷さに関して、ウィザースプーンは「私が今まで製作に携わった映画の中で最も過酷な撮影を要した作品であった。もちろん、撮影で、数千マイルを歩くということはなかった。でも、これまでとは違った厳しさがあった。45ポンドの重さのバックパックを背負って丘を駆け上がるシーンを撮影したとき、撮影クルーから『バックパックが重そうに見えませんね。65ポンドのバックパックを背負って、9回から10回、丘の上へと駆け上がって下さい。』と言われた。私たちは昼食をとる暇がなかったので、スナック菓子を食べていた。お風呂に入る時間もなかった。まともな撮影ではないと思うかもしれないが、とても素晴らしい撮影であったことは確かだ。完全に撮影に没頭していた。撮影クルーをこんなに身近に感じたことはなかった。」と語っている[10]。
公開
編集2014年8月29日、本作はテルライド映画祭でプレミアを迎え、トロント国際映画祭やサンディエゴ映画祭でも上映された[11]。同年12月3日、本作のアメリカでの限定公開が始まり[12]、19日には拡大公開が始まった[13]。
サウンドトラック
編集2014年11月10日、レガシー・レコーディングスは本作のサウンドトラックをアメリカで発売した[14]。
評価
編集本作は批評家から絶賛された。特に、ウィザースプーンの演技には賛辞が集中した。映画批評サイトのRotten Tomatoesには222件のレビューがあり、批評家支持率は90%、平均点は10点満点で7.5点となっている。サイト側による批評家の意見の要約は「心に強く響いてくる作品だ。『わたしに会うまでの1600キロ』はジャン=マルク・ヴァレ監督と主演のリース・ウィザースプーンが最高の力を発揮して作り上げた作品だと分かる。」となっている[15]。また、Metacriticには47件のレビューがあり、加重平均値は76/100となっている[16]。
ニューヨーク・タイムズのA・O・スコットはウィザースプーンを「根性と知性を合わせ持ち、非常に誠実だ。」と評している。また、「本作のきわめて大胆な要素は、ストレイドの自叙伝のなかにある、自由連想によって引き出された、感情を大きく揺り動かす語りをそのまま生かしたことである。手際よくシーンをまとめたり、丁寧に登場人物の輪郭を描き出したりするよりもイメージと感情に働きかける方法をとる昨今の商業映画の語り方をあえて無視しているといえる。」とも指摘している[17]。
Deadline.comのピート・ハモンドは「ウィザースプーンが2005年に出演しアカデミー主演女優賞を獲得した『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』以来の最高の演技だ。『自分』を探し求める女性を3本の時間軸で演じたウィザースプーンが、アカデミー主演女優賞へのノミネートを巡る激しい争いに加わるのは間違いない。」と述べている[18]。
原作者のシェリル・ストレイドは本作がアカデミー作品賞にノミネートされなかったのはハリウッドの性差別が原因だと批判した[19]。
受賞
編集賞 | ||||
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賞 | 結果発表日 | カテゴリ | 対象者 | 結果 |
アカデミー賞 | 2015年2月22日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
助演女優賞 | ローラ・ダーン | ノミネート | ||
オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞[20] | 2015年1月31日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
英国アカデミー賞[21] | 2015年2月8日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
クリティクス・チョイス・アワード[22] | 2015年1月15日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
脚色賞 | ニック・ホーンビィ | ノミネート | ||
衣装デザイナー組合賞[23] | 2015年2月17日 | 映画部門 | メリッサ・ブランニング | ノミネート |
ゴールデングローブ賞[24] | 2015年1月11日 | 主演女優賞 (ドラマ部門) | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
ロケーション・マネジャー組合賞[25] | 2015年3月7日 | 映画部門最優秀賞 | ナンシー・ヘッカー | 受賞 |
MTVムービー・アワード[26] | 2015年4月12日 | 女性演技賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
サンフランシスコ映画批評家協会賞[27] | 2014年12月14日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
脚色賞 | ニック・ホーンビィ | ノミネート | ||
サテライト賞[28] | 2015年2月15日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
助演女優賞 | ローラ・ダーン | ノミネート | ||
脚色賞 | ニック・ホーンビィ | ノミネート | ||
全米映画俳優組合賞[29] | 2015年1月25日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
USCスクリプター賞[30] | 2015年1月31日 | 脚色賞 | ニック・ホーンビィ、シェリル・ストレイド | ノミネート |
ワシントンD.C.映画批評家協会賞[31] | 2014年12月8日 | 主演女優賞 | リース・ウィザースプーン | ノミネート |
助演女優賞 | ローラ・ダーン | ノミネート | ||
脚色賞 | ニック・ホーンビィ | ノミネート | ||
全米脚本家組合賞[32] | 2015年2月14日 | 脚色賞 | ニック・ホーンビィ | ノミネート |
出典
編集- ^ クレジットにはジョン・マック・マクマーフィー名義で載っている。
- ^ “わたしに会うまでの1600キロ 劇場公開日 2015年8月28日”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Reese Witherspoon: 'Wild' success shows hunger for films with strong women”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ a b “Wild (2014)”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ 「キネマ旬報」2016年3月下旬号 79頁
- ^ “Reese Witherspoon buys movie rights to Cheryl Strayed's memoir”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Fox Searchlight Takes on Reese Witherspoon's 'Wild'”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “‘Dallas Buyers Club’ Helmer Jean-Marc Vallée Goes ‘Wild’ With Reese Witherspoon”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Production Begins on Wild, Starring Reese Witherspoon”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “How Getting Wild Saved a ‘Lost’ Reese Witherspoon”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Reese Witherspoon’s ‘Wild’ to Open San Diego Film Festival (EXCLUSIVE)”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Forecast: ‘Mockingjay’ to Three-Peat On Quiet Post-Thankgiving Weekend”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Weekend Report (cont.): Final 'Night at the Museum' Narrowly Tops 'Annie'”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “'Wild’ Soundtrack Details”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Wild (2014)”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Wild”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Walking With Solitude, and Her Baggage”. 2014年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月30日閲覧。
- ^ “Telluride: 'Wild' World Premiere Brings Tears And Oscar Talk For Reese Witherspoon”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ “Hollywood sexism blocked Wild from Best Picture nomination, says author”. 2015年4月30日閲覧。
- ^ Hawker, Philippa; Boyle, Finlay (7 January 2014). “AACTA international nominations 2015: The Babadook a surprise inclusion”. The Sydney Morning Herald (Fairfax Media) 7 January 2014閲覧。
- ^ “BAFTA Nominations: ‘Grand Budapest Hotel’ Leads With 11 – Full List”. Deadline.com (January 8, 2015). January 9, 2015閲覧。
- ^ “2015 CRITICS' CHOICE MOVIE AWARD NOMINATIONS”. (December 15, 2014) December 15, 2014閲覧。
- ^ “Costume Designers Guild Awards: 'Birdman', 'Boyhood', 'Grand Budapest Hotel' Among Nominees”. Deadline.com (January 7, 2015). January 7, 2015閲覧。
- ^ “2015 GOLDEN GLOBE NOMINATIONS”. (December 11, 2014). オリジナルの2014年12月12日時点におけるアーカイブ。 December 11, 2014閲覧。
- ^ “2015 LMGA Award Complete List of Winners”. (March 14, 2015) March 14, 2015閲覧。
- ^ Here Are Your 2015 MTV Movie Awards Nominees
- ^ “2014 SAN FRANCISCO FILM CRITICS AWARDS:Full List of Nominees”. San Francisco Film Critics Circle (2014年). December 14, 2014閲覧。
- ^ “International Press Academy Reveals Film, TV Nominees”. The Hollywood Reporter (Prometheus Global Media). (December 1, 2014) December 8, 2014閲覧。
- ^ “SAG battle as Jennifer Aniston goes up against award-winning Reese Witherspoon for leading actress as Birdman leads with four nominations”. (December 10, 2014) December 10, 2014閲覧。
- ^ “USC Scripter Award Nominations Unveiled”. Deadline.com (January 8, 2015). January 8, 2015閲覧。
- ^ Adams, Ryan (December 8, 2014). “Washington DC Film Critics announce 2014 Award Nominees”. The Awards Circuit December 6, 2014閲覧。
- ^ “Writers Guild Awards Nominations: 'Whiplash', 'Gone Girl', 'Guardians' On Diverse List”. Deadline.com (January 7, 2015). January 7, 2015閲覧。
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- 公式ウェブサイト
- 公式ウェブサイト (Blu-ray&DVD公式サイト)
- わたしに会うまでの1600キロ (@1600kilo) - X(旧Twitter)
- わたしに会うまでの1600キロ (1600kilo) - Facebook
- わたしに会うまでの1600キロ - allcinema
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- Wild - オールムービー
- Wild - IMDb
- Wild - Rotten Tomatoes
- Wild - Box Office Mojo