アッサンブラージュ
アッサンブラージュ(アセンブリッジ、英語:Assemblage)とは、コラージュやパピエ・コレの立体版、すなわち、「立体的なもの」を寄せ集め、積み上げる、貼り付ける、結び付けるなどの方法により制作された美術作品(立体作品)およびその技法。「アサンブラージュ」と表記されることもある。一般の彫刻概念から逸脱するような立体作品である。全体として、ある種の統一性がある場合もあるが、統一性がなく、混沌としていることが特徴の場合もある。
寄せ集め、積み上げる、結び付けるとの意味から、ワインの原酒を混ぜ合わせるという伝統的なワイン造りの技法の名称ともなっている[1]。
歴史
編集このアート様式の起源は、ピカソのキュビスム[2]の立体作品(1912年-1914年)とも言われている[3]。
ここで、アッサンブラージュを構成する「立体的なもの」とは、既製品でも、自然物でも、何でも構わない。ただ、材料費がほとんどかからないか安くすむということから、大きな作品の場合には、空き缶・空き瓶などの廃品が使われることがある。そのような場合には、「ジャンク・アート」(junk art、廃物美術、廃品美術)の作品ともとらえられる。
作品の外観は、一般の美醜感覚からは、美しいと言えるとは限らず、反芸術的・非芸術的な要素・素材があり、その点において、ダダイスムに連結する。また、シュルレアリスムにおける立体作品でも、彫刻のイメージからははずれており、アッサンブラージュと呼べるようなものがある。(第二次世界大戦前の)ダダやシュルレアリスムの場合には、むしろ、単に「オブジェ」と呼ばれることの方が多いかもしれない。
レディメイド[4]の作品は、すべてアッサンブラージュに含める考え方と、「アッサンブラージュ」という言葉の意味から考えて、既製品「単品」の場合には含めず(例えば、マルセル・デュシャンの「泉」。1917年)、既製品を2つ以上組み合わせた場合に限り含める[5]考え方がある。
主なアッサンブラージュのアーティスト
編集- アルマン
- ハンス・ベルメール
- ウォレス・バーマン
- アンドレ・ブルトン
- ジョン・チェンバレン
- グレッグ・コルソン
- ジョゼフ・コーネル
- ロザリー・ガスコイン
- ラウル・ハウスマン
- ロマール・アズメ
- ジョージ・ハームズ
- ルイ・ハーシュマン
- ロバート・H・ハドソン
- Irma Hünerfauth
- ジャスパー・ジョーンズ
- エドワード・キーンホルツ
- ルボ・クリステク
- ジャン・ジャック・ルベル
- ジャニス・ローリー
- オンドレイ・マレス
- マルクス・モイラー
- ルイーズ・ネヴェルソン
- 大平實
- メレット・オッペンハイム
- ヴォルフガング・パーレン
- ノア・プリフォイ
- ロバート・ラウシェンバーグ
- フレッド・H・ロスター
- Betye Saar
- アレクシス・スミス
- ダニエル・スペーリ
- ウラジーミル・タトリン
- ヴォルフ・フォステル
- ゴードン・ワグナー
- ジェフ・ヴァスマン
- トム・ウェッセルマン
- H・C・ウェスターマン
- ジェフリー・ヴァランス
脚注
編集- ^ “ワイン通なら知りたい!アッサンブラージュ(Assemblage)とは?”. アカデミー・デュ・ヴァン ブログ. 2024年10月19日閲覧。
- ^ ピカソのほかにジョルジュ・ブラックらが運動の中心画家である
- ^ “The Collection”. The Museum of Modern Art. 2023年8月3日閲覧。
- ^ レディメイドやプレタポルテは既製服、オートクチュールはオーダーメイドによる仕立服・注文服のことを指している
- ^ 例えば、マルセル・デュシャンの「自転車の車輪(スツールの上に自転車の車輪をさかさまに載せた作品)」。1913年