キトスペイン語: Quito)は、エクアドル首都。同国の都市としてはグアヤキルに次いで人口が多い。南米有数の世界都市。人口は1,978,376人(2019年国勢調査)。キトの北23kmに赤道記念碑ミッター・デル・ムンドがあり、線で赤道の位置が示されているが、実際の赤道とは誤差がある。

キト
Quito
エクアドルの旗
キトの市旗 キトの市章
市旗 市章
位置
エクアドル内のキト (Quito) の位置の位置図
エクアドル内のキト (Quito) の位置
位置
キトの位置(エクアドル内)
キト
キト
キト (エクアドル)
キトの位置(南アメリカ内)
キト
キト
キト (南アメリカ)
地図
座標 : 南緯0度13分 西経78度31分 / 南緯0.217度 西経78.517度 / -0.217; -78.517
歴史
建設 1534年12月6日
行政
エクアドルの旗 エクアドル
  ピチンチャ県
 市 キト
市長 サンティアゴ・グアルデラス
地理
面積  
  市域 372.39 km2 (143.78 mi2)
  都市圏 4,217.95 km2 (1,628.56 mi2)
標高 2,850 m
人口
人口 (2019年現在)
  市域 1,978,376人
    人口密度   4,300人/km2(11,000人/mi2
  都市圏 2,700,000人
    都市圏人口密度   530人/km2(1,400人/mi2
その他
等時帯 東部標準時 (UTC-5)
夏時間 なし
公式ウェブサイト : http://www.quito.gob.ec/

歴史

編集
 
1757年のキト

キトの発祥は紀元1000年以前までさかのぼることができる。当時、その一帯は遊牧民たちの遊牧する土地であったが、その後今のキトの位置に市が開かれた。

15世紀末にはインカ帝国の支配下に置かれ、11代インカ皇帝ワイナ・カパックの母親が当地の出身だったため、帝国の第二の首都として整備されることとなる。第一の首都であるクスコからキトまでは、インカ道が通された。しかしその後、帝国ではクスコ派とキト派との対立が深まり、ワイナ・カパックの死後、帝国は2人の息子により分けられ、ワスカルがクスコを中心に帝国の大部分を、そして、アタワルパがキトを中心に北部を治めることとなる。

その後起こった内戦で勝利を収めたアタワルパは、キトからクスコへ向かう途中、侵略してきたスペイン人の捕虜となり、処刑される。そしてキトは、スペイン軍の侵略を防ぐために、アタワルパの武将であったルミニャウィによって破壊された。

結局、インカ人の反乱は制圧され、フランシスコ・ピサロは1534年、キトへの殖民を開始。街は「サン・フランシスコ・デ・キト」と名づけられた。 地元民は改宗させられ、教会の建設などに酷使された。そしてその後300年にわたり、キトはスペインの植民地として支配されることとなる。

1800年代初頭には人口1万人を数える都市に成長していたキトだが、そのころにはスペインからの独立の気運が高まってきていた。1809年8月10日には独立を宣言をするに至った。しかし、その運動は、1810年にリマから派遣されたスペイン軍により鎮圧されることになる。

にもかかわらず、その後も運動は続き、救援に来たアントニオ・ホセ・デ・スクレが1822年にスペイン軍にピチンチャの戦いで勝利したことで、スペインからの独立を勝ち取り、大コロンビアの一部となる。1830年にはそこから独立したエクアドルの首都となる。

地理

編集
 
キトの衛星写真

キトは新市街と旧市街(セントロ)からなる。このうち坂道に沿って古い建物が並ぶ旧市街は「キトの市街」の名で世界遺産に登録されており[1]、サン・フランシスコ教会・修道院や大統領府、パネージョの丘にある聖母像など観光地も多いが、治安は良くなくスリも多いとされるので、訪問の際には注意が必要である。また、露天市などもある。

新市街は商業地と住宅地が混在しており、ホテルやレストランの店舗も多い。また競馬場の跡地を1980年代に整備したラ・カロリーナ公園は、緑に溢れた市民の憩いの場となっている。

気候

編集

赤道直下に位置しているが、アンデス山脈の中腹に位置し、標高2850メートルとかなりの高地にあることから、一年を通じて冷涼な気候になっている。また、緯度が低く高所にあることから紫外線指数英語版が年平均12と極めて高い。6-8月を除くと、概ね降水量は多い。

キト(1991~2020)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 28.2
(82.8)
28.6
(83.5)
27.0
(80.6)
26.9
(80.4)
27.6
(81.7)
28.3
(82.9)
29.0
(84.2)
27.3
(81.1)
31.0
(87.8)
27.8
(82)
27.9
(82.2)
27.0
(80.6)
31
(87.8)
平均最高気温 °C°F 19.2
(66.6)
19.5
(67.1)
19.2
(66.6)
18.8
(65.8)
19.3
(66.7)
19.2
(66.6)
20.0
(68)
20.5
(68.9)
20.8
(69.4)
19.9
(67.8)
19.2
(66.6)
18.9
(66)
19.5
(67.1)
日平均気温 °C°F 14.0
(57.2)
14.1
(57.4)
13.9
(57)
13.8
(56.8)
14.0
(57.2)
13.9
(57)
14.5
(58.1)
14.4
(57.9)
14.3
(57.7)
13.9
(57)
13.4
(56.1)
13.5
(56.3)
14.0
(57.2)
平均最低気温 °C°F 10.7
(51.3)
11.2
(52.2)
11.2
(52.2)
10.9
(51.6)
11.2
(52.2)
10.1
(50.2)
10.3
(50.5)
10.0
(50)
10.2
(50.4)
10.1
(50.2)
10.1
(50.2)
10.2
(50.4)
10.5
(50.9)
最低気温記録 °C°F 3.2
(37.8)
3.9
(39)
4.8
(40.6)
4.0
(39.2)
3.0
(37.4)
3.7
(38.7)
2.0
(35.6)
3.0
(37.4)
4.0
(39.2)
4.0
(39.2)
3.0
(37.4)
4.0
(39.2)
2
(35.6)
出典:http://www.pogodaiklimat.ru/climate8.php?id=84071

交通

編集
 
新キト国際空港

陸上交通

編集

専用レーン上を走る路線バスのほか、トロリーバスの路線が整備されており、旧市街と新市街を結んでいる。またタクシーの数も多い。また各地を結ぶ高速バスのターミナルが旧市街にある。

鉄道路線は、キトに駅があり、バストラックを改造したレールバスのほか、観光用に蒸気機関車牽引の客車列車が発着しているが、交通機関として利用しづらい。

地下鉄

編集

2013年よりキト地下鉄英語版の建設が進められていたが、2023年5月2日に開通した。

空港

編集

2013年2月に開港したマリスカル・スクレ国際空港(新キト国際空港)が近郊のキト郡スペイン語版内にあり、国内各地および、南米各国やアメリカスペインなどに就航便がある。同空港の開港までは軍民共用の同名の空港が使われていたが、街中にあって手狭なこともあり、新たな空港が建設された。

ギャラリー

編集

Guápulo スペイン語

編集

姉妹都市

編集

キトはSister Cities International, Inc. (SCI)によって指定された姉妹都市を有している。

出典

編集
  1. ^ デジタル大辞泉の解説”. コトバンク. 2018年4月7日閲覧。

関連項目

編集

外部リンク

編集