ドライヴ・マイ・カー
「ドライヴ・マイ・カー 」(Drive My Car)は、ビートルズの楽曲である。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にポール・マッカートニーによって書かれた楽曲で、作詞にあたってはジョン・レノンも手助けしている[4]。イギリスでは1965年12月3日にパーロフォンから発売されたアルバム『ラバー・ソウル』、アメリカでは1966年6月20日にキャピトル・レコードから発売されたアルバム『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』にオープニング・トラックとして収録された。
「ドライヴ・マイ・カー」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ラバー・ソウル』 | |||||||||
英語名 | Drive My Car | |||||||||
リリース | 1965年12月3日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ||||||||||
時間 | 2分28秒 | |||||||||
レーベル | パーロフォン | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
チャート順位 | ||||||||||
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全編にわたってレノンとマッカートニーのデュエットで歌われ、部分的にユニゾンになっている。自動車のクラクションを真似た「Beep beep'm beep beep yeah」や、弱起から始まるイントロが特徴となっている。
背景・曲の構成
編集歌詞は、語り手が女性に自分は有名な映画スターになるはずで、自身の運転手にしてもいいと伝えられるところから始まる。語り手が断ると、女性は頑張って働くよりももっと素晴らしい時間にしてみせると言ってきた。彼が申し出を受け入れると、女性が「実は車を持ってないの。でも運転手が見つかったし、これから始まるの」と口にする[5]。タイトルの「Drive My Car」は「性交」の意を持つ古いブルースの隠語で、マッカートニーも古いブルースの隠語として使用したことを明かしている[6]。
マッカートニーが楽曲制作のためにウェイブリッジにあるレノンの自宅に向かったときに、マッカートニーはこの曲が思い浮かんだが、この時点でマッカートニーは「歌詞が悲惨だというのは僕には分かっていた」とのこと[7]。コーラスには「You can buy me diamond rings」というフレーズがあったが、"diamond rings"はこれまでに「キャント・バイ・ミー・ラヴ」と「アイ・フィール・ファイン」(およびボツとなった「イフ・ユーヴ・ガット・トラブル」)で使用されていた[8]。レノンは、マッカートニーが考えた歌詞を「馬鹿馬鹿しく、甘すぎる」と否定した[9]。2人は歌詞を書き直すことにし、困難の末にタイトルが「ドライヴ・マイ・カー」に決まり、その題から全体の歌詞が簡単に湧き上がった[9]。当時について、マッカートニーは「最もやっかいなライティング・セッションの1つだった」と振り返っている[10]。
レコーディング
編集「ドライヴ・マイ・カー」のレコーディングは、1965年10月13日の深夜にEMIレコーディング・スタジオで行われた。同日は『ラバー・ソウル』のためのレコーディング・セッションの初日にあたる[11]。マッカートニーは、ジョージ・ハリスンと共に基本のリズムトラックをレコーディングし、ハリスンの提案に沿うかたちでベースと低音のギターで似たリフを弾いた。ハリスンは当時オーティス・レディングの「リスペクト」を聴いており、その影響で「ドライヴ・マイ・カー」は今までのビートルズの曲よりリズム・トラックが強力で、レディングがメンフィスのスタジオで生み出したベースのヘビーな音を真似ている[8]。作家のロバート・ロドリゲスは本作を「明白なR&Bの実験」で、収録曲のほとんどがフォークロック志向の『ラバー・ソウル』で、スタックスやモータウンのアーティストに傾倒している数少ない例としている[2]。
マッカートニーはメイン・ボーカルを歌っており、マッカートニーのボーカルについてジャーナリストのリッチー・アンターバーガーは、「ハードロックのボーカル」と評している[12]。マッカートニーは、ピアノのパートとスライドギターのソロをオーバー・ダビングした[13]。曲は2本のエレクトリック・ギターで弾かれたブルージーなリフ[14]から始まり[15]、この冒頭のリフもベーシック・トラックにオーバー・ダビングされた。
リリース
編集1965年12月3日にパーロフォンからアルバム『ラバー・ソウル』が発売され、「ドライヴ・マイ・カー」はオープニング・トラックとして収録された[16]。アメリカのキャピトル・レコードは、『ラバー・ソウル』を当時のアメリカ市場で流行していた「フォークロック」色を強めることを目的に[17]再構成し[18]、オープニング・トラックを本作から「夢の人」に変更し[19]、「ひとりぼっちのあいつ」、「消えた恋」、「恋をするなら」を収録曲から外して、「イッツ・オンリー・ラヴ」を追加した[20][21][注釈 1]。1966年6月20日にキャピトル・レコードからアルバム『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』が発売され、本作はオープニング・トラックとして収録された[26][注釈 2]。ビートルズ解散後の1973年5月に発売された『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』にも収録されている[27]。
イギリスやアメリカでは、シングル・カットされることはなかったが、スペインでは1966年に同名のEP盤が発売され、EP盤のA面には本作と「ノルウェーの森」、B面には「君はいずこへ」と「ユー・ウォント・シー・ミー」が収録された。また、ベルギーやナイジェリアでは「ミッシェル」とのカップリングでシングル・カットされ、ベルギーのシングルチャートでは第1位を獲得した[3]。
2006年にシルク・ドゥ・ソレイユのショーのサウンドトラック・アルバムとして発売された『LOVE』に、「愛のことば」「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」とのメドレー「ドライヴ・マイ・カー / 愛のことば / ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」(Drive My Car / The Word / What You're Doing)が収録された。このメドレーには、「タックスマン」のギターソロと「サボイ・トラッフル」のホーンセクション[28][29][28]のほか、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」のコーラスと「ヘルター・スケルター」の効果音がコラージュされている[30] 。
クレジット
編集※出典[31]
マッカートニーによるライブでの演奏
編集マッカートニーは、1993年に行われた「The New World Tour」で、オープニング・ナンバーとして演奏した。同年に発売されたライブ・アルバム『ポール・イズ・ライブ』に、同ツアーでのライブ音源が収録された[32]。
2005年の第39回スーパーボウルでハーフタイムショー中に本作を演奏し、ロンドンで行われたLIVE 8ではジョージ・マイケルと共演した。2015年9月30日にPETAの慈善興行では、ベック・スポイルと共演した[33]。
2018年にCBS『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』のコーナー「Carpool Karaoke」(6月21日放送回)に出演した際に、ジェームズ・コーデンと共に本作を歌唱した[34]。
カバー・バージョン
編集ブレックファスト・クラブによるカバー・バージョンが、1988年にシングル盤として発売された。このカバー・バージョンは、同年に公開された映画『運転免許証』でサウンドトラックとして使用された。同年には、ボビー・マクファーリンがアルバム『シンプル・プレジャーズ』でカバーした[35]。
ソウライヴは、2010年に発売されたアルバム『ラバー・ソウライヴ』でカバーした[36]。同バージョンは、TBSラジオ『たまむすび』の交通情報コーナーのBGMとして2017年3月まで使用された。
2012年に発売された『Sesame Street: Travel Songs』では、エルモが本作をカバーした[37]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ Hamelman 2004, p. 11.
- ^ a b Rodriguez 2012, pp. 50, 74–75.
- ^ a b “ultratop.be - The Beatles - Drive My Car”. ultratop.be. 2020年9月23日閲覧。
- ^ Miles 1997, p. 361.
- ^ Aldridge 1990, p. 24.
- ^ Miles 1997, pp. 269–270.
- ^ Miles 1997, p. 269.
- ^ a b MacDonald 1994, pp. 132–133.
- ^ a b Spitz 2005, p. 586.
- ^ The Beatles 2000, p. 194.
- ^ Lewisohn 1988, p. 63.
- ^ Unterberger, Richie (2009年). “Drive My Car”. AllMusic. 2019年2月24日閲覧。
- ^ a b MacDonald 2005, p. 166.
- ^ Womack 2007, p. 115.
- ^ Riley 2002, p. 157.
- ^ Inglis 2003, p. 41.
- ^ Gould 2007, p. 296.
- ^ Rodriguez 2012, pp. 74–75.
- ^ Kimsey 2009, p. 235.
- ^ Kruth 2015, p. 7.
- ^ Hamilton 2016, p. 147.
- ^ Inglis 2003, p. 40.
- ^ Lewisohn 1988, p. 62.
- ^ Kimsey 2009, pp. 233–234.
- ^ Marsh 2007, pp. 147, 177.
- ^ a b Spitz 2005, p. 864.
- ^ Inglis 2003, p. 156.
- ^ a b Erlewine, Stephen Thomas. Love - The Beatles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
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- ^ Love 03. 2020年9月23日閲覧。
- ^ a b Everett 2001, p. 315.
- ^ Montgomery 2020, p. 111.
- ^ “ポール・マッカートニーとベックが共演、ビートルズの名曲をプレイ”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2015年10月2日) 2020年9月24日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニーが相乗りカラオケ「Carpool Karaoke」でリヴァプールを訪問”. uDiscover. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2018年6月25日). 2020年9月23日閲覧。
- ^ Yanow, Scott. Simple Pleasures - Bobby McFerrin | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
- ^ Horowitz, Hal. Rubber Soulive - Soulive | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月24日閲覧。
- ^ Sesame Street: Travel Songs - Sesame Street | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
- ^ “竹内まりや、40周年記念企画の豪華3枚組アルバム、モア・ベスト&レアリティーズ&カバーズ『Turntable』9月4日発売”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード (2019年5月10日). 2020年9月24日閲覧。
参考文献
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- Everett, Walter (2001). The Beatles as Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. New York, NY: Oxford University Press. ISBN 0-19-514105-9
- Gould, Jonathan (2007). Can't Buy Me Love: The Beatles, Britain, and America. New York: Three Rivers Press. ISBN 978-0-307-35338-2
- Hamelman, Steven L. (2004). But is it Garbage?: On Rock and Trash. University of Georgia Press. ISBN 9780820325873
- Inglis, Chris (2003). The Rough Guide to the Beatles. Rough Guides. ISBN 1-8435-3140-2
- Kimsey, John (2009). “'An abstraction, like Christmas': the Beatles for sale and for keeps”. In Womack, Kenneth. The Cambridge Companion to the Beatles. Cambridge: Cambridge University Press. pp. 230-254. ISBN 978-0-521-68976-2
- Kruth, John (2015). This Bird Has Flown: The Enduring Beauty of Rubber Soul, Fifty Years On. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-573-6
- Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1
- Marsh, Dave (2007). The Beatles' Second Album. New York: Rodale. ISBN 978-1-5948-6426-1
- MacDonald, Ian (1994). Revolution in the Head: the Beatles' Records and the Sixties. New York: Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-2780-7
- Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6
- Montgomery, Ted (2020). The Paul McCartney Catalog: A Complete Discography of Solo Works, 1967-2018. McFarland Publishing. ISBN 1-4766-7644-5
- Riley, Tim (2002) [1988]. Tell Me Why: The Beatles: Album by Album, Song by Song, the Sixties and After (Revised and Updated ed.). Cambridge: Da Capo Press. ISBN 978-0-3068-1120-3
- Rodriguez, Robert (2012). Revolver: How the Beatles Reimagined Rock 'n' Roll. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-009-0
- Spitz, Bob (2005). The Beatles: The Biography. Boston: Little, Brown. ISBN 0-316-80352-9
- Womack, Kenneth (2007). Long and Winding Roads: The Evolving Artistry of the Beatles. New York, NY: Continuum. ISBN 978-0-8264-1746-6
外部リンク
編集- Drive My Car - The Beatles