リッカルド・シャイー
リッカルド・シャイー(Riccardo Chailly フランス語発音: [ʃɑ.ji], 1953年2月20日 - )は、イタリアの指揮者。ミラノ・スカラ座音楽監督。
リッカルド・シャイー Riccardo Chailly | |
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リッカルド・シャイー(1986年) | |
基本情報 | |
出生名 | Riccardo Chailly |
生誕 | 1953年2月20日(71歳) |
出身地 | イタリア・ロンバルディア州 ミラノ県ミラノ |
学歴 |
ペルージャ音楽院 ミラノ音楽院 |
ジャンル | クラシック音楽 |
職業 | 指揮者 |
担当楽器 | 指揮 |
活動期間 | 1972年 - |
レーベル | Decca |
公式サイト | Riccardo Chailly – Biography |
人物・来歴
編集1953年、パウル・ヒンデミット門下の音楽学者・作曲家であるルチアーノ・シャイーの息子として、ミラノに生まれる。ローマの音楽院を卒業した後、父親の勤めるペルージャ、次いでミラノの各音楽院で学び、シエナのキジアーナ音楽院ではフランコ・フェラーラに師事する。ペルージャ時代にはイ・ソリスティ・ヴェネティに招かれ、14歳で指揮者としてデビューする。 1972年から2年間、クラウディオ・アバドの元でミラノ・スカラ座管弦楽団の副指揮者を務める一方で、同1972年にはミラノのテアトロ・ヌオーヴォでマスネのオペラ『ウェルテル』を指揮してオペラ指揮者としてのデビューを飾る。
1974年にシカゴ・リリック・オペラでプッチーニの『蝶々夫人』を指揮してアメリカでのデビューを果たす。1977年サンフランシスコ歌劇場で『トゥーランドット』(パヴァロッティとカバリエとの共演)を指揮して大成功を収めている。1978年にはミラノ・スカラ座でヴェルディの『群盗』を指揮してスカラ座でデビューをすると同時に国際的な注目を集める。以降はロイヤル・オペラ・ハウス、バイエルン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場など世界の主要な歌劇場に客演している。
1982年から1989年までベルリン放送交響楽団(現在のベルリン・ドイツ交響楽団)の首席指揮者を、1982年から1985年までロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者を務める。1986年から1993年までボローニャのテアトロ・コムナーレの音楽監督も務める。
1988年9月にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者に就任、2004年まで在任した。同楽団とはマーラー、ブルックナー、ブラームスの交響曲全集、ヴァレーズ全集などの録音を残し、同時に同楽団の名声を高めている。
1999年にミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の音楽監督に就任。現在は桂冠指揮者として活動する。
2005年からはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の第19代カペルマイスター、ライプツィヒ歌劇場の音楽総監督に就任した。ゲヴァントハウス管弦楽団では、前任者のヘルベルト・ブロムシュテットが採用したドイツ式配置(客席から見て左外側に第1ヴァイオリンが、右外側に第2ヴァイオリンが配置され、第1ヴァイオリンの隣にコントラバスとチェロが、そして第2ヴァイオリンの隣にヴィオラが配置されるシステム)を引き続き採用した[1][2]。
ただし、ライプツィヒ歌劇場のポストは2008年、任期途中で退任した。ゲヴァントハウス管弦楽団のポストも任期途中の2016年に退任した。
2015年、ダニエル・バレンボイムの後任として、スカラ座の音楽総監督に就任した。
1984年に初来日して以降、多く日本にやって来ており、最近ではNHK音楽祭にも出演している。
レコーディング
編集1978年にデッカ・レーベルに最初のレコーディングを行って以降、専属となり、多くの作品を録音する。レパートリーは幅広く、ロマン派から20世紀の前衛音楽作品、及び現代音楽などが含まれ、これらを多く演奏している。
これまで録音してきた作品は多く、ロッシーニの序曲集やワーグナーの管弦楽作品集、ヴェルディの秘曲作品、現代音楽ではメシアンの『トゥランガリーラ交響曲』やルチアーノ・ベリオの『シンフォニア』などを残す。
一時期ではあるがフィリップス・レーベルにメンデルスゾーンの交響曲第2番『讃歌』と第3番『スコットランド』を録音している。1980年代にユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団と共にドイツ・グラモフォンにプロコフィエフの交響曲第3番を録音も行っている。
近年はゲヴァントハウス管弦楽団とともにJ.S.バッハの宗教音楽作品(マタイ受難曲とクリスマス・オラトリオ)と協奏曲(ブランデンブルク協奏曲とピアノ協奏曲[注釈 1])の録音を行ったほか、2007~2009年にかけてベートーヴェンの交響曲全集の録音を行い、こちらは2011年にリリースされ、注目を集めている。
ディスコグラフィ
編集デッカ・レーベルへの録音
編集録音年 | 作曲家 | 曲目 | 管弦楽団 | 共演者 | 備考 |
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1980年 | チャイコフスキー | 交響曲第5番 ホ短調 | VPO | ||
1981年 1988年 1990年 |
ショスタコーヴィチ | ジャズ組曲第1番 ジャズ組曲第2番 ピアノ協奏曲第1番 タチヒ・トロット |
RCO | ロナルド・プラティガム ペーター・マスーズ |
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1981年- 1984年 |
ロッシーニ | 序曲集 | NPO | ||
1982年 | プッチーニ | 交響的前奏曲 交響的奇想曲 『妖精ヴィッリ』-第1幕前奏曲 『妖精ヴィッリ』-妖精の踊り 『エドガール』-第1幕前奏曲 『エドガール』-第3幕前奏曲 3つのメヌエット 『マノン・レスコー』-第3幕の間奏曲 菊 |
RSB | ||
1984年 | ブルックナー | 交響曲第7番 ホ長調 | RSB | ノーヴァク版による | |
1985年 | ガーシュウィン | パリのアメリカ人 ラプソディ・イン・ブルー キューバ序曲 ララバイ |
クリーヴランド管弦楽団 | ラベック姉妹 | 一部再録音 |
1986年 | フランク | 交響曲 ニ短調 交響的変奏曲 |
RCO | ホルヘ・ボレット(pf) | |
1986年- 1987年 |
ツェムリンスキー | 交響詩『人魚姫』 詩篇第13,第23 |
RSB | ||
1987年- 1991年 |
ブラームス | 交響曲全集 大学祝典序曲 悲劇的序曲 |
RCO | ||
1987年 | チャイコフスキー | マンフレッド交響曲 | RCO | ||
1987年 | ドヴォルザーク | 交響曲第9番『新世界より』 序曲『謝肉祭』 |
RCO | ||
1988年 | ブルックナー | 交響曲第4番 変ホ長調 | RCO | ノーヴァク版 | |
1988年- 1989年 |
ベリオ | フォルマツィオーニ フォーク・ソング シンフォニア |
RCO エレクトリック・フェニックス テリー・エドワーズ(指揮) |
ヤルド・ヴァン・ネス(Ms) | |
1989年 | シュニトケ | 合奏協奏曲第3番 第4番(交響曲第5番) |
RCO | ヤープ・ヴァン・ツヴェーデン(vn) ロナルド・ブラウティガム(cemb) ヴィクター・リーバーマン(vn) ヤン・シュプロンク(ob) |
|
1989年 | マーラー | 交響曲第6番『悲劇的』 | RCO |
録音年 | 作曲家 | 曲目 | 管弦楽団 | 共演者 | 備考 |
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1990年 | ヒンデミット | 室内音楽全集 | RCO | ||
1991年 | リスト | ファウスト交響曲 | RCO ヘロート・オムロウプ男声合唱団 |
H.P.ブロホヴィッツ(T) | |
1991年 | ブルックナー | 交響曲第5番 変ロ長調 | RCO | ハース版 | |
1991年 | ブルックナー | 交響曲第2番 ハ短調 | RCO | ハース版 | |
1996年 | ブルックナー | 交響曲第9番 ニ短調 | RCO | ||
1993年 | ツェムリンスキー | 抒情交響曲 交響的歌曲 |
RCO | ||
1991年 | プロコフィエフ | 交響曲第3番 ハ短調 | RCO | ||
1992年 | モソロフ | 鉄工場 | RCO | ||
1992年- 1998年 |
ヴァレーズ | 作品全集 | RCO | ||
1994年 | ラヴェル | バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲) | RCO オランダ放送合唱団 |
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1994年 | ドビュッシー | バレエ楽楽「カンマ」 | RCO | ||
1995年 | マーラー | 交響曲第1番『巨人』 | RCO | ||
1992年 | メシアン | トゥランガリーラ交響曲 | ティボーデ(pf) 原田節(ondma) |
RCO | SACDでの発売 |
1993年 | イーゴリ・ストラヴィンスキー | ペトルーシュカ(1947年版) | RCO | ||
1994年 | ディーペンブロック | 大いなる沈黙の中で | RCO | ホーカン・ハーゲゴード(Br) | |
1994年 | マーラー | 交響曲第7番『夜の歌』 | RCO | ||
1995年 | ワーグナー | 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕前奏曲 『ヴァルキューレの騎行』 『神々の黄昏』-ジークフリートのラインへの旅 『神々の黄昏』-ジークフリートの葬送行進曲 『タンホイザー』序曲とバッカナール 『ローエングリン』第3幕前奏曲 |
RCO | ||
1995年 | ベルク | ピアノソナタ(テオ・ファーベイ編曲版) | RCO | 管弦楽による | |
1997年 | ブルックナー | 交響曲第6番 イ長調 | RCO | ノーヴァク版 | |
1997年 | マーラー | 交響曲第5番 嬰ハ短調 | RCO | ||
1998年 | ロッシーニ | スターバト・マーテル | RCO オランダ放送合唱団 |
バルバラ・フリットリ ソニア・ガナッシ ジュゼッペ・サッバティーニ ミケーレ・ペルトゥージ |
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1999年 | ブルックナー | 交響曲第8番 ハ短調(1890年稿) | RCO | ノーヴァク版 | |
1999年 | ベルク | 7つの初期の歌 | RCO | バーバラ・ボニー(S) | 管弦楽伴奏版による |
1999年 | マーラー | 交響曲第4番 ト長調 | RCO | バーバラ・ボニー(S) |
録音年 | 作曲家 | 曲目 | 管弦楽団 | 共演者 | 備考 |
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2000年 | マーラー | 交響曲第8番『千人の交響曲』 | RCO プラハ交響合唱団 オランダ放送合唱団 |
ベン・ヘップナー アンナ・ラーソン 他 |
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2001年 | マーラー | 交響曲第2番 ハ短調『復活』 | RCO プラハ・フィルハーモニー合唱団 |
メラニン・ディエナー(S) ペトラ・ラング(Ms) |
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2001年 | マーラー | 少年の不思議な角笛 | RCO | バーバラ・ボニー サラ・フルゴーニ イェスタ・ウィンベルイ マティアス・ゲルネ |
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2003年 | プッチーニ | 管弦楽のための前奏曲 スケルツォ 『マノン・レスコー』-第2幕の間奏曲 軍楽隊のための『電気ショック』 ローマへの讃歌 『トゥーランドット』-第3幕フィナーレ 他7曲 |
ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団 同合唱団 |
世界初録音含む | |
2003年 | マーラー | 交響曲第3番 ニ短調 | RCO プラハ交響合唱団 オランダ児童合唱団 |
ペトラ・ラング(Ms) | |
2004年 | マーラー | 交響曲第9番 ニ長調 | RCO | ||
2005年 | メンデルスゾーン | 交響曲第2番『讃歌』 『夏の夜の夢』序曲 |
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 ライプツィヒ歌劇場合唱団 ゲヴァントハウス合唱団 |
ペーター・セイフェルト, 他 |
全て原典版による |
2006年 | シューマン | 交響曲第2番・第4番 歌劇『ゲノフェーファ』序曲 |
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | マーラー編曲版 | |
2007年 | シューマン | 交響曲第1番『春』・第3番『ライン』 | ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | マーラー編曲版 | |
2009年 | メンデルスゾーン | 交響曲第3番『スコットランド』(1842年ロンドン稿) ピアノ協奏曲第3番(M.ブファリーニ補完版) 序曲『フィンガルの洞窟』(1830年ローマ稿) |
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | ロベルト・プロッセダ(pf) | この他『スコットランド』の冒頭部スケッチも含む |
2007年 | J.S.バッハ | クリスマス・オラトリオ | ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | ||
2009年 | J.S.バッハ | ブランデンブルク協奏曲 | ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 ドレスデン室内合唱団 |
全集 | |
2009年 | J.S.バッハ | マタイ受難曲 | ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 テルツ少年合唱団 |
トーマス・クヴァストホフ、他 | |
2009年 | J.S.バッハ | ピアノ協奏曲集 | ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | ラミン・バーラミ(pf) | |
2010年 | ガーシュウィン | ラプソディ・イン・ブルー キャット・フィッシュ・ロウ ピアノ協奏曲 ヘ調 |
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | ステファノ・ボラーニ(pf) | 1985年の作品集以来 |
参考文献
編集- ヘルベルト・ブロムシュテット 著、力武京子 訳『ヘルベルト・ブロムシュテット自伝 音楽こそわが天命』聞き手:ユリア・スピノーラ、日本語版監修:樋口隆一、アルテスパブリッシング、2018年10月22日。ISBN 978-4-86559-192-7。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ ブロムシュテット 2018, p. 63.
- ^ ブロムシュテット 2018, p. 66.
外部リンク
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