ロシア・トゥデイ
RT(旧称: ロシア・トゥデイ)は、ロシア・モスクワに拠点を置くニュース専門局である。
RT | |
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開局日 | 2005年12月10日 |
所有者 | ANO TV-Novosti[1] |
映像方式 | 1080i (HDTV) |
スローガン | Question More「より問え」 |
国 | ロシア |
言語 | (ニュースチャンネル) アラビア語 英語 スペイン語 (ドキュメンタリーチャンネル) 英語 ロシア語 (オンライン)[2]: フランス語 |
放送エリア | 世界 |
本社 | モスクワ |
旧称 | Russia Today |
関連チャンネル | Rusiya Al-Yaum, Russia 24, RTD |
ウェブサイト | RT.com |
ストリーミング | |
RT News — RT |
概要
編集RTは2005年12月10日に開局。ロシア連邦政府が所有する事実上の国営メディアである[3]。2,100名の従業員と19か国に支局を擁する[4]。事実上ロシアの情報機関としての役割を担っていると指摘されている[5]。
国際放送化
編集2007年にはアラビア語放送、2009年にスペイン語放送を始め、2010年にアメリカ、2014年にはイギリスでチャンネルを開局し、同年フランス語視聴者のためのオンライン放送も始めた[4]。RTはアメリカで2番目の視聴者を持つ外国語ニュースチャンネルで、BBCニュースに次ぐ規模を誇る[6]。拠点のモスクワだけでなくワシントンD.C.やマイアミ、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、ニューデリー、テルアビブに支局がある。
政治的な立場
編集RTの編集方針は世界の多極化と国家主権主義の価値観の推進、ロシア・旧ソビエト連邦諸国の文化・生活習慣の発信、大西洋主義と米国の覇権主義傾向に対する批判、あるいは「ロシア嫌い」の告発といったいくつかの重点項目を中心に構成されている[4]。同じ反西側諸国のテレビ局であるアル・マヤディーンと共同で番組を制作することもある[7]。
RTの編集長のシモニャンは「これまでに客観的な報道の例がそんなにありましたか?(…)客観性なんてないのです。発信者の数と同じだけの真実の近似があるだけです」と発言し、複数メディアの共存による多角的な視点からの報道が望ましいとする立場を採っている[4]。
一方でアメリカ在住のキャスター、リズ・ウォールはRTのウクライナ紛争の報道姿勢を批判し、番組放送中に辞職した[8]。
フェイクニュースの拡散と反応
編集西側の指導者やメディアから、RTはロシア政府のプロパガンダに加担しフェイクニュースを拡散していると指摘、批判されている[9]。シリア内戦において、ホワイトヘルメットが爆撃被害者の救出写真を捏造していると仄めかす画像はRTによく出稿する記者によって広められたとWIREDは指摘した[10]。
エマニュエル・マクロンはRTが自分の選挙戦に対する「プロパガンダ」を駆使していたと非難した[11]。また欧州議会は、ロシアが仕掛ける「フェイクニュースとプロパガンダの闘い」に対抗手段を取るよう、欧州連合(EU)と加盟諸国に要請する決議を採択した[12]。
2017年10月には、2016年米大統領選において、RTがTwitterで複数アカウントを利用してアメリカ世論を操作していた可能性があるとして、RTのTwitterへの広告出稿を禁じた[13][14]。同年11月にRTはアメリカで「外国エージェント」として登録された[15]。
2021年に行われたデジタルヘイト対策センターの調査によると、RT(とロシアの国営通信社であるスプートニク)はFacebookにおいて気候変動否定を推進する影響力のあるメディア10社のうちの1社であることが判明した[16][17]。
CNNはRTを「プーチン寄り」と明言している[18]。EUは2022年3月2日、ウクライナを侵攻したロシアへの制裁の一環として、RTとスプートニクについてEU圏内での放送や配信を禁止した[19]。
2024年9月には、同年11月の2024年米大統領選に介入を試みているとして、RTの編集長ら10名が制裁対象となった[20]。
脚注
編集- ^ “Contact info” (英語). RT International. 14 April 2017閲覧。
- ^ “RT "About us" (formerly corporate profile) page at rt.com”. September 20, 2012閲覧。
- ^ Burton, C., Drake, A. Hitting the Headlines In Europe, A Country-By-Country Guide to Effective Media Relations. Kogan Page Ltd. 2004. p. 163.
- ^ a b c d マキシム・オーディネ (2017年4月). “国際メディアの調和を乱すモスクワからの声”. ル・モンド・ディプロマティーク 2024年9月24日閲覧。
- ^ “米“ロシア国営メディアRTは情報機関”同盟国と連携し対応強化”. NHK (2024年9月14日). 2024年9月24日閲覧。
- ^ Rizvi, Haider (2010年1月29日). “MEDIA: Foreign News Channels Drawing U.S. Viewers”. Inter Press Service 2024年9月24日閲覧。
- ^ Pablo Sebastian Morales (2022). “Counter-hegemonic collaborations or alliances of the underdogs? The case of TeleSUR with Al-Mayadeen, RT and CGTN”. Global Media and Communication 18 (3): 365-382. doi:10.1177/17427665221125549.
- ^ “露TV局キャスターが放送中に辞職、ウクライナ問題で抗議”. フランス通信社 2024年9月24日閲覧。
- ^ MacFarquhar, Neil (2016年8月28日). “A Powerful Russian Weapon: The Spread of False Stories”. ニューヨーク・タイムズ 2024年9月24日閲覧。
- ^ Grey Ellis, Emma (2017年6月3日). “フェイクニュースはこうして広まる──シリアの人道部隊「ホワイト・ヘルメット」の陰謀説の全貌”. Wired 2024年8月17日閲覧。
- ^ “マクロン氏、プーチン氏を横に一部露メディアを「プロパガンダ」と”. BBCニュース. (2017年5月31日) 2017年12月27日閲覧。
- ^ “フランス大統領選にも大きな影響、ロシア発のフェイクニュースに苦慮するEU各国”. ハフポスト. (2017年4月23日) 2024年8月17日閲覧。
- ^ “200アカウントが世論操作? ツイッター、ロシア疑惑巡り報告” (日本語). 日本経済新聞 電子版 2018年8月30日閲覧。
- ^ 「Twitter、ロシア系メディア「RT」「スプートニク」の広告出稿を禁止 米大統領選への干渉で」『ねとらぼ』。2018年8月30日閲覧。
- ^ “「ロシア・トゥデイ」が米国で「外国エージェント」として登録”. 新華社 2018年8月30日閲覧。
- ^ Porterfield, Carlie (2021年11月2日). “Breitbart Leads Climate Change Misinformation On Facebook, Study Says”. フォーブス 2024年9月24日閲覧。
- ^ Paul, Kari (2021年11月2日). “‘Super polluters’: the top 10 publishers denying the climate crisis on Facebook”. ガーディアン 2024年9月24日閲覧。
- ^ “ウクライナで爆発のロシア軍艦、前日に国営メディア「RT」が特集”. CNN. (2022年3月25日) 2022年3月25日閲覧。
- ^ “ロシア国営メディアの配信禁止”. 47NEWS. 共同通信社. (2022年3月3日) 2022年8月12日閲覧。
- ^ 淵上隆悠「ウクライナ侵略でロシアに有利になるよう情報操作を試みたか、露国営メディア関係者に制裁」『読売新聞』2024年9月5日。2024年9月10日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- RT website
- RT - YouTubeチャンネル
- RT (@RT_com) - X(旧Twitter)
- RT (RTnews) - Facebook
- RT Live Flash stream