中島岳志
日本の政治学者、歴史学者 (1975-)
中島 岳志(なかじま たけし、1975年2月16日 - )は、日本の政治学者、歴史学者[1]。博士(地域研究)(京都大学)。専門は南アジア地域研究、日本思想史[2]。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授[3][4]。テレビ朝日『報道ステーション』元レギュラーコメンテーター。
人物情報 | |
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全名 |
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生誕 |
1975年2月16日(49歳) 日本・大阪府 |
出身校 |
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了 大阪外国語大学外国語学部地域文化学科ヒンディー語専攻卒業 清風高等学校卒業 |
学問 | |
研究分野 |
南アジア地域研究 近代政治思想史 |
研究機関 | 東京工業大学 |
学位 | 博士(地域研究) |
来歴
編集- 大阪府出身。清風高等学校卒業。
- 1999年3月 - 大阪外国語大学外国語学部地域文化学科ヒンディー語専攻卒業[5]。
- 2004年
- 3月 - 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了(5か年一貫制)、博士(地域研究)(京都大学)[6]。
- 4月 - 京都大学人文科学研究所の田中雅一研究室(南アジア研究)の研修員、日本学術振興会特別研究員に就任[7][8]。
- 11月 - 同年3月の博士論文『現代インドにおけるヒンドゥー・ナショナリズム運動』で[6]、アジア太平洋フォーラム・淡路会議の第3回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞[9]。
- 2005年 - 『中村屋のボース』(白水社)で「大佛次郎論壇賞」、毎日新聞社が設立した一般社団法人アジア調査会の「アジア・太平洋賞」を受賞。
- 2006年
- 2009年1月 - 『週刊金曜日』編集委員に就任。
- 2010年
- 2011年4月 - 毎日新聞論壇時評担当(2013年3月まで)。
- 2013年4月 - 朝日新聞紙面審議委員(2016年3月まで)、毎日新聞書評委員に就任。
- 2016年3月 - 東京工業大学大学マネジメントセンター教授(政治学)に就任[1][13]。
- 2016年4月 - 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授(政治学)に就任。
- 2022年 - 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院副院長。
- 2023年7月 - 『週刊金曜日』編集委員を退任。
主張
編集凡庸な悪について
編集中島はハンナ・アーレントの「凡庸な悪」が日本に蔓延していると主張している。その根拠は従軍慰安婦問題に対して疑念を持つことや植村隆による従軍慰安婦問題の誤報に対する不寛容さを示すことであり、日本人は正義と良心によって自己を問い直すべきであると主張している[16]。
著書『パール判事』論争
編集→詳細は「パール判決論争」を参照
2007年7月、中島は東京裁判のインド代表判事であったラダ・ビノード・パールについて『パール判事 東京裁判批判と絶対平和主義』(白水社)を出版し、「パール判決書は日本無罪論ではない」と主張し、またパールは日本の再軍備に反対し、非武装中立・世界連邦の樹立を目指していたと主張した。
加藤陽子、御厨貴[17]、井上章一、原武史、山内昌之、長崎暢子、永江朗などが各誌の書評で一定の評価をみせたが、中里成章、小谷野敦、京都大学の山本博之等から批判的な論評をされ、西部邁や牛村圭も参加した小林よしのりとの論争(パール判決論争)が長期間続いた[18]。
著書
編集単著
編集- 『ヒンドゥー・ナショナリズム:印パ緊張の背景』(中公新書ラクレ、2002年)ISBN 978-4-12-150057-1
- 『中村屋のボース:インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社、2005年→白水Uブックス、2012年)ISBN 978-4-560-72125-4
- 『ナショナリズムと宗教:現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』(春風社、2005年)
- 『ナショナリズムと宗教』(改題)文藝春秋〈文春学藝ライブラリー〉、2014年。ISBN 978-4-16-813020-5
- 『インドの時代:豊かさと苦悩の幕開け』(新潮社、2006年→新潮文庫、2009年)ISBN 978-4-10-136571-8
- 『パール判事:東京裁判批判と絶対平和主義』(白水社、2007年→白水Uブックス、2012年)ISBN 978-4-560-72126-1
- 『朝日平吾の鬱屈』(筑摩書房〈双書zero〉、2009年)
- 『テロルの原点:安田善次郎暗殺事件』(改題)新潮文庫、2023年。ISBN 978-4-10-136573-2
- 『ガンディーからの<問い>:君は「欲望」を捨てられるか』NHK出版、2009年。
- 『ガンディーに訊け』(改題)朝日文庫、2018年。ISBN 978-4-02-261942-6
- 『保守のヒント』(春風社、2010年→中公文庫、2018年)ISBN 978-4-12-206614-4
- 『秋葉原事件:加藤智大の軌跡』(朝日新聞出版、2011年→朝日文庫、2013年)ISBN 978-4-02-261766-8
- 『「リベラル保守」宣言』(新潮社、2013年→新潮文庫、2016年)ISBN 978-4-10-136572-5
- 『血盟団事件』(文藝春秋、2013年→文春文庫、2016年)ISBN 978-4-16-790620-7
- 『岩波茂雄:リベラル・ナショナリストの肖像』(岩波書店、2013年)ISBN 978-4-00-025918-7
- 『アジア主義:その先の近代へ』(潮出版社、2014年)
- 『アジア主義:西郷隆盛から石原莞爾へ』(改題)潮文庫、2017年。ISBN 978-4-267-02088-9
- 『下中彌三郎:アジア主義から世界連邦運動へ』(平凡社、2015年)ISBN 978-4-582-82474-2
- 『親鸞と日本主義』(新潮社〈新潮選書〉、2017年)ISBN 978-4-10-603814-3
- 『保守と大東亜戦争』(集英社新書、2018年) ISBN 978-4-08-721041-5
- 『超国家主義:煩悶する青年とナショナリズム』頭山ゆう紀:写真(筑摩書房、2018年)ISBN 978-4-480-84316-6
- 『保守と立憲:世界によって私が変えられないために』(スタンドブックス、2018年)ISBN 978-4-909048-02-8
- 『自民党:価値とリスクのマトリクス』(スタンドブックス、2019年)ISBN 978-4-909048-05-9
- 『石原慎太郎:作家はなぜ政治家になったか』(NHK出版〈シリーズ・戦後思想のエッセンス〉、2019年)ISBN 978-4-14-081804-6
- 『自分ごとの政治学』(NHK出版〈学びのきほん〉、2020年)ISBN 978-4-14-407265-9
- 『思いがけず利他』(ミシマ社、2021年)ISBN 978-4-909394-59-0
- 『オルテガ『大衆の反逆』:真のリベラルを取り戻せ』(NHK出版〈「100分de名著」ブックス〉、2022年)ISBN 978-4-14-081896-1
共著
編集- 『政治学のエッセンシャルズ―視点と争点』(2008年、北海道大学図書刊行会) - 共著:松浦正孝、山口二郎、吉田徹、宮脇淳ほか
- 『保守問答』(2008年、講談社)- 対談:西部邁
- 『政治を語る言葉』(2008年、七つ森書館) - 共著:山口二郎、辛淑玉、香山リカ、佐藤優
- 『日本 根拠地からの問い』(2008年、毎日新聞社→河出文庫) - 共著:姜尚中
- 『パール判決を問い直す「日本無罪論」の真相』(2008年、講談社現代新書) - 対談:西部邁
- 『脱「貧困」への政治』(2009年、岩波書店) - 共著:雨宮処凛、宮本太郎、山口二郎、湯浅誠
- 『中島岳志的アジア対談』(2009年、毎日新聞社)
- 『日本思想という病』(2010年、光文社) - 共著:芹沢一也、荻上チキ、片山杜秀、高田里惠子、植村和秀、田中秀臣
- 『国家論』(2010年、中公新書ラクレ) - 対談:田原総一朗、姜尚中
- 『世はいかにして昭和から平成になりしか』(2010年、白水社) - 共著: 雨宮処凛、能町みね子、清岡智比古ほか
- 『日本断層論―社会の矛盾を生きるために』(2011年、NHK出版新書) - 共著:森崎和江
- 『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ 中島岳志対談集』若松英輔編(2011年、金曜日)- 共著:星野智幸、大澤信亮、重松清、開沼博
- 『帝都の事件を歩く』(2012年、亜紀書房)- 共著:森まゆみ
- 『比較で読み解く:中国人とインド人』(2012年、講談社)- 共著:富坂聰
- 『現代の超克:本当の「読む」を取り戻す』(2014年、ミシマ社) ‐共著:若松英輔
- 『愛国と信仰の構造:全体主義はよみがえるのか』(2016年、集英社新書)‐共著:島薗進
- 『平成論:「生きづらさ」の30年を考える』(2018年、NHK出版新書)‐共著:池上彰・上田紀行・弓山達也
- 『支配の構造 国家とメディア-世論はいかに操られるか』(2019年、SBクリエイティブ〈SB新書〉)- 共著:堤未果・大澤真幸・高橋源一郎
- 『料理と利他』(2020年、ミシマ社)- 共著:土井善晴
- 『こんな政権なら乗れる』(2021年、朝日新書)- 共著:保坂展人
- 『いのちの政治学』(2021年、集英社クリエイティブ)- 共著:若松英輔
- 『ええかげん論』土井善晴共著(ミシマ社、2022年)ISBN 978-4-909394-76-7
- 『秋葉原事件を忘れない:この国はテロの連鎖へと向かうのか』雨宮処凛・杉田俊介・斎藤環・平野啓一郎共著(かもがわ出版、2023年)ISBN 978-4-7803-1289-8
編著
編集連載
編集- 「風速計」(『週刊金曜日』金曜日)
- 「龍と象の比較学」(『クーリエジャポン』講談社)
- 「親鸞と日本主義」(『考える人』新潮社)
- 「アジア主義を考える」(『潮』潮出版)
- 「私の保守思想」(『表現者』ジョルダン)
- 「思想の場所」(『春風新聞』春風社)
- 「論壇書評」(『kotoba』集英社)
- 「希望は商店街」(『マガジン9』インターネット)
- 「論考2011」(共同通信配信)
出演
編集テレビ番組
編集- サンデーモーニング(TBS、不定期)
- 知るを楽しむ 〜マハトマ・ガンディー 現代への挑戦状〜(NHK教育テレビジョン、2008年12月2日)
- キャスト(朝日放送、2011年10月 - 2022年3月)コメンテーター
- 当初は毎週火曜日のレギュラー出演で、ニュースへのコメント以外に17時台に10 - 15分ほどコーナーを担当。橋下政治に関して論じた[19]。
- 報道ステーション(テレビ朝日、2015年4月1日 - 2016年3月28日)コメンテーター
- ETV特集「銃撃事件と日本社会」(NHK Eテレ、2022年9月17日)[20]
ウェブ番組
編集- デモクラシータイムス(YouTube、不定期)
- ビデオニュース・ドットコム(2017年12月9日)
- エアレボリューション(ニコニコ生放送、2024年10月22日)
ラジオ
編集- 中島岳志のフライデースピーカーズ(三角山放送局)- ポッドキャスト配信もされている。
- FUTURES トーキングキャッチャー(JFN系列各局)コメンテーター
- 2017年10月から土曜日の週替わりパーソナリティとして。2021年4月からは火曜日パーソナリティとして。
- 大竹まこと ゴールデンラジオ!(文化放送)隔週火曜日コメンテーター
脚注
編集- ^ a b “出演者”. 報道ステーション. テレビ朝日. 2015年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月5日閲覧。
- ^ 「立憲主義と保守」『朝日新聞』朝刊、朝日新聞大阪本社、2016年4月13日、13面
- ^ 東京工業大学 大学研究者検索
- ^ “東京工業大学 大学マネジメントセンター|メンバー”. 東京工業大学 大学マネジメントセンター. 2016年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月5日閲覧。
- ^ 「中島岳志氏 受賞論文要旨」 アジア太平洋フォーラム・淡路会議
- ^ a b 「現代インドにおけるヒンドゥー・ナショナリズム運動」 CiNii
- ^ a b 「中村屋ボースの生涯と昭和」 日本記者クラブ会見レポート 2005年8月8日
- ^ 「研究室便り」 京都大学人文科学研究所 田中雅一教授のホームページ
- ^ 「第3回井植記念「アジア太平洋文化賞」「アジア太平洋研究賞」授賞式の概要」 - アジア太平洋フォーラム・淡路会議
- ^ 「研究室便り」 京都大学人文科学研究所田中雅一教授のホームページ
- ^ “中島 岳志 (公共政策学連携研究部 公共政策学部門 公共政策学分野)”. 北海道大学. 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月5日閲覧。
- ^ 「北大の中島岳志・准教授、東工大に移籍へ」 北海道新聞2015年7月23日
- ^ 「既刊情報『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』」 集英社
- ^ 「ガンディー主義と2008年のこの世界」『第三文明』2008年3月号
- ^ 韓国は「敵」なのか 呼びかけ人
- ^ 『矢内原事件と「凡庸な悪」 北星学園大学に求められているもの』 週刊金曜日 2014年11月14日(1016)号。
- ^ 読売新聞2007年10月14日
- ^ 2008年『ゴー宣SPECIAL「パール真論」』
- ^ “https://twitter.com/nakajima1975/status/121964419893829632”. Twitter. 2022年12月26日閲覧。
- ^ "銃撃事件と日本社会". NHK. 2022年9月17日. 2022年9月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月11日閲覧。
外部リンク
編集- コールタールの地平の上で - 公式ブログ
- 中島岳志 (@nakajima1975) - X(旧Twitter)
- 中島岳志 - researchmap