力価(りきか、: titer: titre)は、生物学における濃度活性)の測定法の1つである。

概要

編集

力価は、生物学における検体の、濃度活性)の測定法の1つである。[1][2][3]

力価試験は、段階希釈と、陽性/陰性評価を組み合わせることで、濃度測定を行う手法である。即ち、検体の希釈系列を作り、 陽性/陰性評価が陽性となる限界の希釈度(最も濃度が低く、即ち希釈係数が最も高い)を以て、力価とする。[4] タンパク質や酵素の場合の比活性に相当する概念である。力価の例としては、ウイルス価抗体価 (抗体価は、抗体結合価とは異なる概念)がある。

たとえば、最初の8段階の2倍希釈で陽性の測定値は、1:256の力価となる。(i.e., 2−8) [5]

力価の例

編集

ウイルス価

編集

ウイルスの力価(ウイルス価、viral titer) は、検体中(ウイルスが含まれる液体)中のウイルスが細胞に感染出来るような最低濃度(最高の希釈倍率)である。

例えば、以下のような手順で測定される。

  • 希釈:検体の段階希釈系列を作る。
  • 感染:希釈液それぞれを、対象となるウイルスに感受性(そのウイルスが感染することができる)を持つ細胞等に感染させる。
  • 評価:希釈液それぞれが、感染しているかを確認する。

ウイルスの力価は、感染させる細胞等の種類や、評価方法に依存する。 最近ではPCR法等によりウイルス濃度そのものにより近いものを測定できるが、 力価には、感染させる細胞や評価方法との相性も影響するため、必ずしも他の定量法と同じとはならず、同じ力価であっても、方法によって大小が異なりえる。

参考文献

編集
  1. ^ Michael G. Kaplitt; Arthur D. Loewy (1 August 1995). Viral vectors: gene therapy and neuroscience applications. Academic Press. p. 304. ISBN 978-0-12-397570-6. https://books.google.co.jp/books?id=bKqy7YvJpoIC&pg=PA304&redir_esc=y&hl=ja 18 March 2012閲覧。 
  2. ^ 大島 泰郎 ,他; 『生化学辞典』東京化学同人; 第4版 (2007年12月10日) 1429頁; ISBN 978-4-8079-0670-3
  3. ^ 日本薬局方第14版[1]20. 抗生物質の微生物学的力価試験法[2]
  4. ^ Morag Crichton Timbury (1994). Notes on medical virology. Churchill Livingstone. p. 27. ISBN 978-0-443-04872-2. https://books.google.co.jp/books?id=4ZNrAAAAMAAJ&redir_esc=y&hl=ja 18 March 2012閲覧。 
  5. ^ Harold E. Fox; Jessica Bienstock (21 December 2010). The Johns Hopkins Manual of Gynecology and Obstetrics. Lippincott Williams & Wilkins. p. 226. ISBN 978-1-60547-433-5. https://books.google.co.jp/books?id=4Sg5sXyiBvkC&pg=PR226&redir_esc=y&hl=ja 18 March 2012閲覧。 

関連項目

編集