古事類苑
古事類苑(こじるいえん)は、明治政府により編纂が始められた類書(一種の百科事典)である。1896年(明治29年)-1914年(大正3年)に刊行された。古代から1867年(慶応3年)までの様々な文献から引用した例証を分野別に編纂しており、日本史研究の基礎資料とされている。日本最大にして唯一の「官撰百科事典」。
古事類苑 (こじるいえん) | ||
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著者 | 文部省・東京学士院・皇典講究所・神宮司庁 | |
発行日 |
和装本:1896年(明治29年)-1914年(大正3年) 洋装本:1908年(明治41年)-1930年(昭和5年) 復刻版:1967年(昭和42年)-1971年(昭和46年)、1995年(平成7年)-1999年(平成11年) 普及版:1976年(昭和51年)-1980年(昭和55年) | |
発行元 |
和装本:神宮司庁 洋装本:古事類苑刊行会 復刻版・普及版:吉川弘文館 | |
ジャンル | 百科事典 | |
形態 | 和装本・洋装本・復刻版・普及版 | |
公式サイト |
NDLJP:2609908 NDLJP:2574537 NDLJP:1873261 NDLJP:897564 吉川弘文館 | |
コード | ISBN 978-4-642-00201-1 | |
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概要
編集文部大書記官西村茂樹の建議により[1]、1879年(明治12年)文部省により編纂が始められた[2]。編修長は佐藤誠実[3][4]。事業は文部省東京学士院、皇典講究所、神宮司庁に引き継がれ[1][4]、1907年(明治40年)に編纂が完成。全1000巻に及んだ。
内容は、天部、歳時部、地部、神祇部、帝王部、官位部、封禄部、政治部、法律部、泉貨部、称量部、外交部、兵事部、武技部、方技部、宗教部、文学部、礼式部、楽舞部、人部、姓名部、産業部、服飾部、飲食部、居処部、器用部、遊戯部、動物部、植物部、金石部の30部門からなる。
この分類は宋の『太平御覧』、清の『淵鑑類函』や『和漢三才図会』を折衷して定めたものである[5]。
それぞれの項目に簡単な説明を付け、六国史以降、慶応期までの文献から参考になる箇所を引用している。
皇典講究所が編纂を引き受けたのは1890年(明治23年)であり、同時期に國學院(現:國學院大學)を開設し、授業を始めた。1895年(明治28年)には神宮司庁に引き継がれるが、黒川真頼など皇典講究所のメンバーが引き続き編集委員、編修顧問を担当した。明治期の国学者による一大事業であった。
出版
編集編纂中の1896年(明治29年)から順次刊行が始まり、1914年(大正3年)まで刊行された。和装本で、本文355冊(本文350冊、総目録2冊、索引3冊)である。
洋装本は1908年(明治41年)-1930年(昭和5年)に51冊(「総目録・索引」1冊を含む)で刊行された。第2次大戦後、吉川弘文館で、2度復刻されている(全51冊、1967年(昭和42年)-1971年(昭和46年)、1995年(平成7年)-1999年(平成11年))。
2012年(平成24年)9月24日より、国際日本文化研究センター「古事類苑ページ検索システム」のインターフェイスを一部変更してジャパンナレッジにて公開されている(有料会員制)。
内容
編集番号 | 分類 | 巻 | 内容 | 番号 | 分類 | 巻 | 内容 |
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1 | 天部 | 1-4 | 天体、気候 | 16 | 宗教部 | 1-72 | 仏教(宗派、経典、儀礼、寺院)、キリスト教 |
2 | 歳時部 | 1-20 | 年中行事 | 17 | 文学部 | 1-50 | 文字、和歌、学問、教育 |
3 | 地部 | 1-50 | 地理、地形 | 18 | 礼式部 | 1-36 | 作法、人生儀礼 |
4 | 神祇部 | 1-100 | 神道、神職、祭祀、有名神社 | 19 | 楽舞部 | 1-35 | 神楽、雅楽、田楽、能、浄瑠璃、落語 |
5 | 帝王部 | 1-27 | 天皇、皇室 | 20 | 人部 | 1-35 | 親戚、身体、心情、師弟、友情 |
6 | 官位部 | 1-80 | 朝廷の官職、幕府の官職 | 21 | 姓名部 | 1-10 | 姓氏、苗字、家紋 |
7 | 封禄部 | 1-10 | 封田、俸給 | 22 | 産業部 | 1-28 | 農業、漁業、工業、商業 |
8 | 政治部 | 1-100 | 政治 | 23 | 服飾部 | 1-28 | 直衣、狩衣、帯、冠 |
9 | 法律部 | 1-60 | 法律、刑罰 | 24 | 飲食部 | 1-16 | 料理、飯、麺、菓子、酒、調味料 |
10 | 泉貨部 | 1-7 | 貨幣 | 25 | 居処部 | 1-18 | 皇居、家、建築 |
11 | 称量部 | 1-3 | 度量衡 | 26 | 器用部 | 1-30 | 食器、装飾品、寝具、照明、車 |
12 | 外交部 | 1-25 | 外交 | 27 | 遊戯部 | 1-17 | 囲碁、双六、将棋、茶、蹴鞠、花火 |
13 | 兵事部 | 1-48 | 軍事、武器 | 28 | 動物部 | 1-20 | 獣、鳥、虫、魚、貝 |
14 | 武技部 | 1-20 | 武術、武道 | 29 | 植物部 | 1-28 | 木、草、菌 |
15 | 方技部 | 1-18 | 陰陽道、暦法、医術 | 30 | 金石部 | 1-5 | 鉱山、金属、宝石 |
脚注
編集- ^ a b 松本愛重. 古事類苑編纂苦心談. pp. 63 - 68 .
- ^ 「古事類苑編纂事歴」(『古事類苑』第1冊巻頭)
- ^ 山本毅堂 (1908). 文学博士佐藤誠実先生小傳. pp. 68 - 69 .
- ^ a b 瀧川政次郎『佐藤誠実博士「律令考」解題』1967年、2 - 3頁 。
- ^ 「古事類苑編纂事歴」P3。
参考文献
編集- 松本愛重. “古事類苑編纂苦心談”. 國學院雑誌 14 (5): 63 - 68. doi:10.11501/3364807 .
- 山本毅堂 (1908). “文学博士佐藤誠実先生小傳”. 國學院雜誌 14 (4): 68 - 69. doi:10.11501/3364806 .
- 瀧川政次郎『佐藤誠実博士「律令考」解題』國學院大學〈國學院雑誌〉、1967年、1 - 7頁。doi:10.11501/3365370 。
- 熊田淳美『三大編纂物 群書類従・古事類苑・国書総目録 の出版文化史』勉誠出版、2009年3月。ISBN 978-4-585-03221-2。
- 倉本一宏 編『古事類苑新仮名索引』吉川弘文館、2010年5月。ISBN 978-4-642-01456-4。 - 『古事類苑索引』を現代仮名遣いに直し、旧版の誤り984箇所を訂正している。
関連項目
編集外部リンク
編集- 沖森卓也『古事類苑』 - コトバンク
- 国文学研究資料館
- 国際日本文化研究センター
- 『古事類苑』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- 古事類苑コンテンツ案内 - ジャパンナレッジ