大島ミチル

日本の作曲家、編曲家 (1961-)

大島 ミチルおおしま ミチル[1]1961年昭和36年〉3月16日[2][3][4] - )は、日本作曲家編曲家長崎県[4]長崎市出身。所属事務所はロックリバー

大島ミチル
出身地 日本の旗 日本長崎県長崎市
学歴 国立音楽大学作曲科卒業
ジャンル 映画音楽劇伴
職業 作曲家編曲家
活動期間 1980年代 -
事務所 ロックリバー
公式サイト 公式サイト

経歴

編集

3人姉弟の次女として生まれる。父親は長崎放送の報道局職員だった。純心女子高校を経て、国立音楽大学作曲科卒業[1][4]。16歳で出場した『インターナショナル・エレクトーン・フェスティバル』では、史上最年少でグランプリを受賞[5]。国立音楽大学では和声学の権威の島岡譲教授に教わった[6]。在学中に合唱交響曲『御誦(おらしょ)』を発表[7][8]

卒業後は、映画(『失楽園』、『長崎ぶらぶら節』、『陽はまた昇る』)、テレビ(『あすか』、『ショムニ』、『ごくせん』)など、幅広い分野で活躍[9][8][1]

人物

編集

テレビ・映画・アニメ・ゲーム・CMなどの映像音楽を多く手がける[1]。精細なメロディー、厚みのある豪快なオーケストレーションが特徴。NHK大河ドラマ『天地人』、『あすか』、『純情きらり』、『ショムニ』、『ごくせん』などの劇伴をはじめ、オーケストラや室内楽などの純音楽なども世界各国で精力的に発表している。

吉永小百合とは、原爆の朗読詩CD「第二楽章」「第二楽章 〜長崎から」の音楽を手がけ、各地での朗読会にも参加するなど関係が深い。吉永が「第56回NHK紅白歌合戦」にゲスト出演し、ライフワークの原爆詩の朗読した際は、伴奏のパイプオルガンを演奏した。2020年には、アメリカのアカデミー協会新会員に選出された。2020年東京パラリンピックの閉会式では、アニメ『リトルウィッチアカデミア』のために作られた楽曲「前進」が使用された。

作曲にあたっては、計算して楽曲を構築するのではなく、自身の中から生まれてくるものを信じているといい、「いい音楽を書く」ことを見失わず、楽しんで作ることを心がけている[10]。映画音楽の作曲においては、脚本から音楽を想定することはせず、映像の第一印象を重視している[10]。特にゴジラシリーズでは、脚本だけではよくわからない部分も多かったという[8][10]

ゴジラシリーズでは、初の女性作曲家として3作品を手掛けた[1][11]。同シリーズでの大島の楽曲について、映画音楽評論家の小林淳は「巨大感と昂揚感、臨場感にあふれ、機動性も高い」と評しており[11]、VSシリーズで音楽プロデューサーを務めた東宝レコード岩瀬政雄は「伊福部昭を変に意識せず自由にやったのが良かった」「(ミレニアムシリーズで)唯一、新しいゴジラの音を作った感じがする」と述べている[12]。各作品の監督を務めた手塚昌明は、画の力を200パーセントパワーアップしてもらえる出来上がりであったと評している[13]

ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』では、ダビング作業にはあまり参加しなかったが、劇場で完成作品を観ると音楽が効果音に押されて聞こえなくなっていたといい、次に参加した『ゴジラ×メカゴジラ』ではダビング作業にすべて参加し、作曲においても効果音との兼ね合いを意識したと述べている[10]

大島自身はあまり映画に詳しくなく、映画音楽を手掛けながら映画を知らない作曲家として知られている[8]。『プライド・運命の瞬間』や『ゴジラ×メカゴジラ』では、映画『ベン・ハー』のようだと評される楽曲があったが、大島自身は『ベン・ハー』は観たことがないと述べている[10]

作品

編集

映画

編集

他多数。

アニメ

編集

他多数。

テレビドラマ

編集

フジテレビ

編集

テレビ東京

編集

テレビ朝日

編集

日本テレビ

編集

他多数。

その他のテレビ番組

編集

ゲーム

編集

純音楽

編集

管弦楽

編集
  • 交響曲第一番「御誦」
  • 交響曲第二番「Since 1945」(2015年)
  • 管弦楽曲「Sama」(2017年)
  • アルトサクソフォンと管弦楽のための断章(2009年、初演:2009年5月30日ティアラこうとう、指揮:宮本文昭、アルトサクソフォン:ダニエル・グルメル)
    • 気狂いと悪魔たちと女
    • 水の文(あや)
    • 終わりなき道
  • しあわせの風船(『魂の歌』〜東日本大震災復興支援音楽プロジェクト〜、2013年より)
  • オーケストラと合唱のための組曲「アウグストゥス」〜ヘルマン・ヘッセの短編集『メルヒェン』より〜(2018年)
  • クラリネット、マリンバ、オーケストラのため2つのラプソディ「塵 JIN」&「輪 RIN」(2018年)
  • 琴と尺八のためのコンチェルト「無限の扉」(2018年)、第二番「Seasons12」(2021年)
  • Godzilla in Chicago - C.H.C.A.G(2019年、ゴジラ・オーケストラコンサート in Chicago にてワールドプレミア)
  • 管弦楽曲「Beyond the Point of No Return」(2019年、日本フィルハーモニー交響楽団 第713回東京定期演奏会・「日本フィル・シリーズ」初演作品)

室内楽

編集
  • 弦楽四重奏曲「For the East」(2005年)
  • Memories『27の小品〜ヒラリー・ハーン・アンコール』(第57回グラミー賞「ベスト・チェンバー・ミュージック/スモール・アンサンブル・パフォーマンス」部門受賞アルバム)委嘱作(2013年)
  • のだめカンタービレ 最終楽章』 後編:「もじゃもじゃ組曲」より第1曲「もじゃもじゃの森」から “のだめとヤドヴィ” ヴァージョン 演奏:竹内正実、作曲:大島ミチル、編曲:松谷卓、ピアノ:ラン・ラン
  • 『Rhapsody ~ Eclipse』(2025年)(2025年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ)(全日本吹奏楽連盟委嘱作品)

他多数。

合唱曲

編集
  • 男声合唱曲「御誦」(1984年
  • 千羽鶴(1995年、長崎原爆投下50周年記念曲)
  • 男声合唱組曲「君たちが大人になったら」(1995年、東京経済大学グリークラブ創部40周年・関屋晋常任指揮者就任25周年委嘱曲)
  • 「モンスーンの少女」(混声三部)(1998年)
  • 合唱曲「あの空へ〜青のジャンプ〜」(2009年、第76回NHK全国音楽コンクール高等学校の部課題曲
  • 合唱曲「君が君に歌う歌」(2017年、第84回NHK全国音楽コンクール高等学校の部課題曲)
  • 男声合唱組曲「Message of the Voice」(2017年、東京経済大学グリークラブ第60回定期演奏会委嘱曲)

舞台

編集

施設・博覧会音楽

編集
  • 浜名湖花博(静岡国際園芸博)テーマソング(2004年)
  • 愛知万博 三菱未来館『もしも月がなかったら』(2005年)

からくり時計作曲

編集
  • 石屋製菓・白い恋人パーク「ISHIYA札幌からくり時計塔 グランマイスター」 - アイボリーとの共同作曲、主要時間約11分。
  • 第一滝本館「大金棒」 - 2023年4月10に公開終了、撤去済み[22]
  • 遊学館「環境演出時計」 - 撤去済み。
  • 旧:ミナミ無線電機(現:ドン・キホーテ秋葉原店) - 撤去済み。
  • 浅草文化観光センター(旧館)- 撤去済み。
  • 渋谷区旧庁舎「渋谷区役所前地下駐車場排気塔演出装置(音の塔)」 - ケイアイエムとの共同作曲、撤去済み。
  • 四ッ谷消防博物館「からくりオブジェ」 - 音楽の中に「モールクロック」の一部アレンジが使用されていた。故障により廃止。
  • 北とぴあ - 撤去済み、館内には電気稼働の大型からくり時計「スモールワールド・ピース」も存在する。
  • 旧・多摩そごう(現:ココリア多摩センター)・シンボルゾーン「バード・サンクチュアリー」 - ケイアイエムとの共同作曲、撤去済み。
  • 栃木県足利市・通2丁目「歴史から未来へ」 - 廃止。
  • 千葉県千葉市臨港公園プロムナード「千葉市都市環境演出装置(からくり民族人形)」 - 廃止、主要時間約50分。
  • ニッケコルトンプラザ - 撤去済み。
  • 相鉄ジョイナス「妖精の風車」 - 撤去済み。
  • 甲府大里幼稚園(設置当初から2008年までは山交百貨店に設置)
  • アクトシティ浜松「妖精の時計台」 - 撤去済み。
  • 志摩スペイン村
  • 京橋駅「モールクロック」 - 撤去済み。
  • 旧・NEC C&Cプラザビル(現:OBPキャッスルタワー)「住友ビル仕掛け時計」 - 廃止。
  • アステ川西「ハミングツリー」 - 小泉まさみとの共同作曲であり、CD「機械のエゴコロ」に収録されている。撤去済み。
  • 岡山駅西口「桃太郎メルヘンクロック」 - 小泉まさみとの共同作曲であり、CD「機械のマゴコロ」に収録されている、撤去済み。
  • キャスパ
  • 鹿児島メルヘン館
  • 香港三越

イベント

編集
  • 1998年 - かながわ・ゆめ国体(開閉式通告、開閉会宣言ファンファーレ、得賞歌)
  • 2018年
    • 「大地へ」(第60回熊本県芸術文化祭オープニングステージ委嘱作品)
    • 大分国民文化祭フィナーレ・閉会式
  • 2019年 -【創立85周年】日本野鳥の会・朗読コンサート『道』
  • 2021年 - 『Piano Concerto ~ Take to the World』JOC50周年記念コンサート - ヤマハ音楽振興会

市町村歌・社歌・校歌

編集

1982 - 1994年

編集
  • 資生堂「セルフィット」「ハンドクリーム」
  • 求人タイムス「いとまきまき」
  • 雪印「アイスクリーム」
  • グリコ「マリンバ」「スポロン」
  • 味の素「パルスイート」「’89 おいしさキャンペーン」
  • ブルボン「チョコアンパン」
  • 信玄食品「あわびの煮貝」
  • ミツカン「とんねるず手巻き寿司」
  • キリンレモン「2001」
  • サントリー「料理天国」「花博」「ワインレぜルブ」「ビアヌーボー」
  • サッポロビール「サウンドロゴ」
  • 日本盛「晩酌セット」
  • ビオグ-ル「スポーツドリンク」
  • パルコ「'91 春のスーパーバザール」
  • 西友「せいゆう大市人にめぐみあれ」「'89 夏の西友大市」「春の西友大市」
  • イタリアントマト「イメージ」
  • 日産「ラングレー」
  • トヨタ「New クラウン」「コロナ '91版」
  • ヤマハ「はいむる節」
  • 東芝「マイコン保温釜ダブルメモリー」
  • ナムコ「ファミコンソフト」
  • NTV「'87 局私の好奇心」
  • カコナール「サウンドロゴ」
  • 中外製薬「胃腸薬」
  • ジョンソン「スキンガード」東レ「Eフィルター」
  • 朝日ソーラー「朝日ソーラー」
  • コダックフィルム「オリンピック」
  • アサヒペンタックス「ズーム」「SF-7」「ズーム90」「ズーム105」
  • フジフイルム「写ルンです」海外版
  • 山陽パルプ「フローリングカーペット」
  • 日本ボーリング協会「イメージ」
  • 日清食品「チキンラーメン」編曲
  • 三和建物「オーストラリア篇」
  • エイボン「フェイシャルパック」
  • 佐賀県農協「おいしいみかん」
  • つま恋「乗馬クラブ」
  • 華道小原流「生け花」
  • 大垣共立銀行「CI篇」
  • 日興証券「ウオーリ-チャンス・ワイド篇」
  • シーザー「ドッグフード篇」
  • アサヒ ウーロン茶「商品イメージ」
  • JR 東海「新のぞみ号告知」
  • 明治製菓「ヨーグルトハイレモン&ハイプルーン」
  • 花王「メリットシャンプーとリンス」
  • 日立「電子レンジG7」

他多数。

受賞

編集

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 「美和響」名義。
  2. ^ 兼崎順一と連名。
  3. ^ ニュー・サウンズ・イン・ブラスの吹奏楽版編曲も担当。星出尚志と共作。
  4. ^ 1998年、2000年、2002年の各シリーズほか単体のスペシャル放送番組を含む。
  5. ^ 「もじゃもじゃ組曲」より「もじゃもじゃの森」。

出典

編集
  1. ^ a b c d e FCGMMG 2003, p. 67, 「スタッフインタビュー INTERVIEW 04 大島ミチル」
  2. ^ “タワーレコード・大島 ミチル”. タワーレコード. https://tower.jp/artist/282040/%E5%A4%A7%E5%B3%B6%E3%83%9F%E3%83%81%E3%83%AB 2017年1月9日閲覧。 
  3. ^ a b c d 野村宏平、冬門稔弐「3月16日」『ゴジラ365日』洋泉社映画秘宝COLLECTION〉、2016年11月23日、79頁。ISBN 978-4-8003-1074-3 
  4. ^ a b c 3式機龍CP 2016, p. 86, 「音楽スタッフインタビュー 大島ミチル」
  5. ^ ヤマハ音楽振興会. “インターナショナルエレクトーンフェスティバル '77 受賞結果一覧”. 2019年7月23日閲覧。
  6. ^ 熱く音楽理論 「軸」定まる…作曲家 大島ミチルさん”. 読売新聞 (2013年11月25日). 2015年2月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月16日閲覧。
  7. ^ 小峰正博. “第8回 大島ミチル先生”. 日本テレビ音楽. 2015年10月31日閲覧。
  8. ^ a b c d e f 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 2000, pp. 90–93, 「STAFF INTERVIEW 大島ミチル(音楽)」
  9. ^ 細川周平片山杜秀『日本の作曲家-近現代音楽人名辞典』日外アソシエーツ、2008年6月、131頁。
  10. ^ a b c d e 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 2003, pp. 14–15, 「[インタビュー] 大島ミチル」
  11. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 2005, pp. 45–46, 小林淳「ゴジラ映画音楽史小論」
  12. ^ 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 2005, p. 46, 「岩瀬政雄インタビュー」
  13. ^ FCGMMG 2003, pp. 60–62, 「スタッフインタビュー INTERVIEW 01 手塚昌明」
  14. ^ 鋼の錬金術師 :作品情報”. アニメハック. 2020年6月6日閲覧。
  15. ^ “シュヴァリエ スタッフ・キャスト”. Production I.G. http://www.production-ig.co.jp/works/chevalier/staff-cast-info.html 2016年5月7日閲覧。 
  16. ^ 隠の王 : 作品情報”. アニメハック. 2020年9月5日閲覧。
  17. ^ ソ・ラ・ノ・ヲ・ト :作品情報”. アニメハック. 2020年8月2日閲覧。
  18. ^ 日本放送協会『アニメ ドッグシグナルhttps://www.nhk.jp/p/ts/L5K8YJ2GK2/2023年10月5日閲覧 
  19. ^ “ぶっちぎり?!:内海紘子監督×MAPPAのオリジナルアニメ ヤンキー×千夜一夜物語 2024年1月放送”. まんたんウェブ (MANTAN). (2023年5月21日). https://mantan-web.jp/article/20230521dog00m200027000c.html 2023年5月21日閲覧。 
  20. ^ あの日 あのとき あの番組 - NHK
  21. ^ The Japan Foundation - “Drums & Voices” Southeast Asia Tour: Asian Beats Resonating Together! Creating New Music!”. www.jpf.go.jp. 2019年11月9日閲覧。
  22. ^ https://takimotokan.co.jp/ja/news/%e3%80%90%e5%a4%a7%e9%87%91%e6%a3%92%e3%80%91%e3%82%ab%e3%83%a9%e3%82%af%e3%83%aa%e6%bc%94%e5%a5%8f-%e7%b5%82%e4%ba%86%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b/ 2023年6月6日閲覧
  23. ^ Nagasaki Green & Blue(作曲・企画制作 / 大島ミチル) - YouTube
  24. ^ 第39回日本アカデミー賞優秀賞決定!”. 日本アカデミー賞公式サイト. 2016年1月22日閲覧。

参考文献

編集
  • 東宝SF特撮映画シリーズ(東宝
    • 『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』東宝 出版・商品事業室〈東宝SF特撮映画シリーズ SPECIAL EDITION〉、2000年12月16日。 
    • 『ゴジラ×メカゴジラ 2003』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズ SPECIAL EDITION〉、2003年1月25日。ISBN 4-924609-83-8 
    • 『GODZILLA FINAL WARS』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズ SPECIAL EDITION〉、2005年1月25日。ISBN 4-924609-89-7 
  • 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』朝日ソノラマファンタスティックコレクション〉、2003年12月30日。ISBN 4-257-03688-5 
  • 『ゴジラ×3式機龍〈メカゴジラ〉コンプリーション』ホビージャパン、2016年12月21日。ISBN 978-4-7986-1353-6 

関連項目

編集

外部リンク

編集