富知神社

静岡県富士宮市にある神社

富知神社(ふくちじんじゃ)は、静岡県富士宮市にある神社式内社論社で、富士山本宮浅間大社元摂社。

富知神社

拝殿
所在地 静岡県富士宮市朝日町12-4
位置 北緯35度13分52.50秒 東経138度36分23.68秒 / 北緯35.2312500度 東経138.6065778度 / 35.2312500; 138.6065778 (富知神社)座標: 北緯35度13分52.50秒 東経138度36分23.68秒 / 北緯35.2312500度 東経138.6065778度 / 35.2312500; 138.6065778 (富知神社)
主祭神 大山津見神
社格 式内社(小)論社
富士山本宮浅間大社元摂社
創建 (伝)第7代孝霊天皇2年
例祭 9月19日
地図
富知神社の位置(静岡県内)
富知神社
富知神社
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鳥居

「福地社」「福地明神社」「不二神社」とも[1]

祭神

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歴史

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創建

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当社の創建は、孝霊天皇2年と伝えられる[3]

江戸時代に記された浅間大社社伝(『富士本宮浅間社記』)には「大宮社地、古往以福地明神之社地、遷浅間神社。福地明神者、延喜式神名帳所載富知神社大山祇命也」とあり、大同元年(806年)に浅間大社が山宮(現 山宮浅間神社)から現在地に遷座して来るまで、同地には当社が地主神として鎮座していたという。この遷座に伴い当社は現地に移ったが、以降も地主神として浅間大社の祭祀に深く関わっている。

また平田篤胤の『古史伝』には「此社今現に、大宮町に在て、福地権現と云由なるが、其浅間大宮の神主富士氏の家なる古記に、神主福地明神と有由なればなり」とある。

概史

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平安時代中期の『延喜式神名帳には、式内社として駿河国富士郡に「富知神社」の記載があり、当社はその論社とされている。論社には他に富知六所淺間神社富士市浅間本町)がある。なお、同帳では読みは「フヂ」と振られている。

『駿河国神名帳』では、正五位下に「福地天神」、従五位上に「福地地祇」が見える[4]

吾妻鏡文治2年(1186年)の記事には「富士領上政所福地社」とあり、「富士領」とは浅間大社社領と見られることから、この時までには浅間大社の影響下に入っていたと見られている[1]

以降、当社は浅間大社の摂社として推移し、神事は浅間大社の社人・福地大夫が司っていた[1]元亀3年(1572年)の『武田家朱印状写』にある山田甚三郎の任命以降は、山田家が明治まで福地大夫を世襲したと見られている[1]

明治頃までは浅間大社の摂社として確認されるが、現在は事実上独立している[5]

境内

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摂末社

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  • 三峯神社 - 本殿向かって左手に鎮座。

考証

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湧玉池(浅間大社境内)

当社の社名の「富知」に関しては、富士山の山名との関わりが指摘される。文献には「富士山」の古名として次の2種類が知られる[6]

以上のうち、「フチ」の古名は水の信仰に由来するとされる[6]。『富士本宮浅間社記』では、当社は元々は現在の浅間大社の社地にあったと伝えるが、同地には富士山の湧水が出る「湧玉池」があり、同池を「湧く霊(たま)」として祭祀を行っていたと見られている[6]

一方、浅間神の古称「アサマ」に関しては、阿蘇山浅間山朝日岳等に見られるように「火山」を表す呼称と見られている[6]。そして富士山の噴火を鎮める必要性から、火神信仰が水神信仰を圧倒したと指摘される[6]。正史での富士山噴火の初見は『続日本紀天応元年(781年)7月条であるが、それ以前は穏やかな山としての表現のみであることから、噴火は起こっていなかったと見られている[6]

以上から、大同元年(806年)と伝えられる祭祀の交替は、富士山の「水の神信仰(フチ信仰)から火の神信仰(アサマ信仰)への転換」を表す象徴的な出来事だと解されている[6]

現地情報

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所在地

交通アクセス

脚注

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  1. ^ a b c d 『静岡県の地名』富知神社項。
  2. ^ 神社由緒書は「大山津見神」、境内説明板は「大山祇命」と表記。
  3. ^ 『駿河風土記』に記載があるという(『浅間神社の歴史』第11章 摂末社節より)。
  4. ^ 神社由緒書より。神社覈録 上編(国立国会図書館デジタルコレクション)456コマ、457コマ参照。
  5. ^ 『浅間神社の歴史』第11章 摂末社節。
  6. ^ a b c d e f g 『日本の神々』富士山本宮浅間大社項。

参考文献

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  • 『富知神社由緒略記』(神社由緒書)
  • 『日本歴史地名体系 静岡県の地名』(平凡社)富士宮市 富知神社項
  • 遠藤秀男『富士山の謎と奇談』静新新書、2007年。
  • 平野栄次 編『富士浅間信仰』雄山閣出版〈民衆宗教史叢書第16巻〉、1987年。ISBN 4639006578 
  • 宮地直一、広野三郎 著、浅間神社 編『浅間神社の歴史』今古書院〈富士の研究〉、1929年。 
  • 『浅間文書纂』 浅間神社社務所 編、名著刊行会、1973年。
  • 野本寛一 著「富士山本宮浅間大社」、谷川健一 編『日本の神々 -神社と聖地- 10 東海』白水社、1987年。ISBN 4560022208 

関連項目

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