書き初め
新年に初めて毛筆で字や絵を書く年中行事
(書初めから転送)
書初/書初め/書き初め[* 1](かきぞめ)とは、日本の年中行事の一つで、新年になって初めて毛筆で字や絵を書くことを指す。同義語として、試毫(しごう)、試筆/始筆(しひつ)、筆始/筆始め(ふではじめ)、試簡(しかん)、試免(しめん)、試穎(しえい)、試春(ししゅん)、試觚(しこ)が、類義語として、初硯(はつすずり)[* 2]、吉書始/吉書始め(きっしょはじめ)、吉書がある。 旧暦時代には当時の正月2日すなわち旧暦の1月2日に行われた。新暦導入以降現在(明治4年以降現在)は、通常、新暦の1月2日に行われる[1]。
概要
編集若水で墨を摺り、恵方に向かって詩歌を書く習慣があった。書く詩歌は「長生殿裏春秋富 不老門前日月遅」という漢詩がよく用いられた。
元々は宮中で行われていた儀式であったが、江戸時代以降は庶民にも広まった。
なお、「書初」という語の初出[* 3]は、江戸時代前期の京都の俳人・野々口立圃が著した俳諧論書『はなひ草(花火草)』(寛永13年〈1636年〉)においてである。
季語
編集季語としては、この行為および行事を書初と記すが、書初めも誤りとはしない。新年の季語で、分類は人事。子季語[* 4]としては、試毫(しごう)、試筆/始筆(しひつ)、筆始/筆始め(ふではじめ)、試簡(しかん)、試免(しめん)、試穎(しえい)、試春(ししゅん)、試觚(しこ)、古風な表現である吉書始/吉書始め(きっしょはじめ)と、吉書始で生まれた書より転じて「書初で生まれた書」をも意味するようになった吉書(きっしょ)がある。なお、「新年になって初めて硯を使うこと、また、そのようにして作った墨で字を書くこと」を指す初硯(はつすずり)は、書初の関連季語[* 5]とも子季語ともされる。
展覧会
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 伝統的表記は「書初」もしくは「書初め」であって、「書き初め」とは記さない。季語としての「かきぞめ」も、「書初」か「書初め」と記すことが、(現代なら「書き初め」でもかまわないが、伝統的表記のほうが感じが好いという理由で)推奨される。
- ^ 「季語」のセッションで詳説しているが、「新年になって初めて硯を使うこと、また、そのようにして作った墨で字を書くこと」を指す語であり、「書初」と同義とする辞書としない辞書がある。「書初」と「初硯」は、もたらされる結果が同じとは言え、厳密には同義ではない。特に詩歌での表現ともなると歌い込まれる情景に明らかな違いがある。特に季語としては、同義ではないと考えたほうが無難である。
- ^ 初出(しょしゅつ)とは、初めて出てくること。
- ^ 親と子の関係のように、その関連性と重要性から「書初」の下位に分類される季語。
- ^ 親季語・子季語の関係にないが、互いに強い関連性を持つ季語。
出典
編集- ^ a b 西角井正慶編「年中行事事典」東京堂出版、1958年(昭和33年)、p. 179。
- ^ 日本武道館50年史 page 10/58電子書籍を開く - 日本武道館
- ^ 第五十回全日本書初め大展覧会・席書大会 - 日本武道館