着衣のマハ』(ちゃくいのマハ、スペイン語: La maja vestida)は、スペイン画家フランシスコ・デ・ゴヤによって描かれた油絵である。マドリードプラド美術館所蔵。『裸のマハ』の直後に描かれている。その真意は、製作依頼者であるマヌエル・デ・ゴドイ19世紀初めの自宅改装の際の『裸のマハ』に関するカモフラージュであると考えられている[1]

『着衣のマハ』
スペイン語: La maja vestida
作者フランシスコ・デ・ゴヤ
製作年1800年-1805年頃
種類キャンバスに油彩
寸法97 cm × 190 cm (38 in × 75 in)
所蔵プラド美術館マドリード

概要

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『裸のマハ』が描かれた18世紀スペインでは、宗教的、道徳的観点から女性を描くことがタブー視されていた。しかし、『裸のマハ』は単なる女性の裸体画であるという以上に、実在する女性の陰毛が描かれた作品で、美術史上にスキャンダルを引き起こすこととなった[2]

作品を所有していた、当時のスペインの首相マヌエル・デ・ゴドイは、自宅の玄関前に『裸のマハ』を展示し、それを隠すように前面に『着衣のマハ』を吊り下げていた。『着衣のマハ』は滑車式の吊り上げ機械を使って吊り下げられており、いつでも『裸のマハ』を公開できるようになっていた。

その後、1808年から1813年まで、王立サン・フェルナンド美術アカデミーが所蔵していたが、1814年から1836年にかけての異端審問の間、隔離保管されることになった。その後、王立サン・フェルナンド美術アカデミーに返還され、1901年から現在に至るまで、プラド美術館で『裸のマハ』と並べて展示されている[3]

「マハ」

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マハとは特定の人物名ではなく、スペイン、特にアンダルシア地方民族衣装を着用した女性のことを指す言葉である。18世紀には上流階級の女性が、このような民族衣装を着用することを好んでいた。『着衣のマハ』で描かれている女性が着ているのがアンダルシア州の民族衣装である[4]

日本における公開

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2011年中に日本でも公開されると、2011年元旦の読売新聞紙上で報道された。

2011年10月22日から、2012年1月29日まで、国立西洋美術館で開かれた、『プラド美術館所蔵ゴヤ光と影』において、40年ぶりに日本で公開された[5]

脚注

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  1. ^ ホセ・マヌエル・マティーリヤ、マヌエラ・メナ・マルケス、大高保二郎監修『プラド美術館所蔵 ゴヤ―光と影』読売新聞東京本社、2011年、122頁。
  2. ^ BS朝日 - 世界の名画 ~素晴らしき美術紀行~”. archives.bs-asahi.co.jp. 2024年8月12日閲覧。
  3. ^ 【作品解説】フランシスコ・デ・ゴヤ「着衣のマハ」”. Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース (2018年5月28日). 2024年8月12日閲覧。
  4. ^ 【作品解説】フランシスコ・デ・ゴヤ「着衣のマハ」”. Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース (2018年5月28日). 2024年8月12日閲覧。
  5. ^ ホセ・マヌエル・マティーリヤ、マヌエラ・メナ・マルケス、大高保二郎監修『プラド美術館所蔵 ゴヤ―光と影』読売新聞東京本社、2011年。

関連項目

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