花の降る午後』(はなのふるごご)は、宮本輝の小説である。

概要

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1985年から1986年まで地方紙、『南日本新聞』、『新潟日報』、『徳島新聞』、『北日本新聞』に連載された。新潮社『宮本輝全集 第8巻』にの後書きにて、この作品を書く切っ掛けとなったのは友人知人の事故や不幸、身内の不幸が続いた事により、作品内善人は幸せになってほしいという希望から執筆をしている。

1989年にはNHKでテレビドラマ化され[1][2]東宝から神戸市政100周年記念映画として発表された。

舞台は神戸。亡くなった夫の遺志を継ぎ、フランス料理レストラン・アヴィニヨンを切り盛りする甲斐典子。そのアヴィニヨンの乗っ取りを計画する夫婦がいた。荒木幸夫・実紗夫妻であった。アヴィニヨンを乗っ取るため、実紗はアヴィニヨンのスタッフに手をかけ始め…。

書籍

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単行本は1988年角川書店から刊行され、1991年角川文庫版、1995年講談社文庫版が刊行された。

新潮社『宮本輝全集 第8巻』 - 『花の降る午後』に収録。

登場人物

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主要人物

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甲斐典子
37歳の主人公。33歳の時に亡き夫の後を継ぎ、神戸のフランス料理店・アヴィニョンを経営している。生前の夫に購入してもらった絵画「白い家」を切っ掛けに雅通に出会い、自身のために60号の絵を依頼した。これが切っ掛けとなり雅道と惹かれあうが、自身の年齢差に対して臆している。
高見雅道
風景画「白い家」を描いた、駆け出しの27歳の画家。「白い家」を個展に出すために貸して欲しいとアヴィニョンへ訪問する。絵に対しては遠い道を歩き通す自信が無いほどのマイナス思考。普段の職業はイラストレーター。デザインスタジオで写植の文字貼り、営業マンとして働いている。

甲斐家関連

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義直
作品中フルネームの記載がない、2年前に癌によって35歳で他界した典子の夫。大学時代はラグビー部のキャプテンだった。義直が亡くなる5日前の1981年5月2日に「白い家」の額の裏に典子に宛てた手紙を残していた。その手紙には典子に隠していた過去の話が記述されていた。
甲斐リツ
義直の母で、典子の義理の母。
加世子
リツの遠縁の娘。私立の女子大に入学し、甲斐家に下宿している。典子に敵対心を持っている。

アヴィニヨン関連

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加賀勝郎
フランスで12年修行し、グラビア雑誌や専門誌で紹介されるほどのシェフ。手製のアペリティフを作って客に出しているが、誰が作っているかは秘密にしている。趣味は広く、絵画、陶芸展にいったり、読書家である。厳しい指導に新人が辞めて行くこともあったが、これが要因となり、料理に生かされている事を、典子が気が付いていた。
葉山直衛
実直で経理に詳しい。典子のアイディアである、運転手付き軽自動車で来る。当初は拒否していたが、しつこく勧められて以降、軽自動車で出勤している。
水野敏弘
典子と同じく37歳。アヴィニョンの店員。ホテルのダイニングルームで働いている。東京にあるフランス料理店を4軒近く勤めていたため、典子よりもフランス料理に詳しい。妻と3人の子持ち。
秋津修一
アヴィニョンのウェイター。葉山の甥。水野とかづ子の関係について松木の店に強請に来た。これが原因で典子からクビを言い渡された。
江見恭弥
アヴィニョンの店員。店の将来のためにフランスに渡航する。
小柴
作品中フルネームの記載がない。過去に暗い経歴を持ち履歴書に嘘の記述をしているが、典子からは見抜かれているものの信頼されている。典子を「奥さん」と呼んでいる。妻がいる。
梶木克彦
水野と江見の紹介でアヴィニョンに勤める店員。

顧客関連

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松木かづ子
貴金属店主・精兵衛の妻。40代のJTBの会(ジャズダンスのJ、食べるのT、本のBの略)を作った人物。会の人達がジャズダンスで肥満防止に成功していない事で、典子がダンスの頭文字「D」から「デブの会」という失言をした事で、アヴィニョンに来なくなり、芦屋の松木宅へ典子が謝罪をしている。その反面、アヴィニョンの店員・水野には法外なチップを渡している。
松木精兵衛
66歳のかづ子の夫。貴金属店の社長でアヴィニョンのお得意様。総務部長・後藤栄吉を使ってまでリード・ブラウンのお店の土地を欲しがっている。夫人と別れたがっている。
荒木幸夫
実紗の夫。ヤクザの方面でも手がうてる人物。
荒木実紗
アラキエンタープライズ専務取締役。最近自分の親族に関する調査をしていた。父は松木精兵衛。

その他

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リード・ブラウン
78歳のイギリス人。義直にラグビーボールを持たせた人物。典子とはチェスの相手であるが、初対戦で父の影響で将棋を嗜んでいた典子に負けている。肺気腫を患っている。息子マイクと嫁のジルとは仲が悪い。
黄健明
福建出身の右足痛風の男性。
黄芳梅
39歳。健明の娘。梅ちゃんと呼ばれている。
黄康順
42歳。健明の息子。典子に片思いしている。

参考文献

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  • 新潮社『宮本輝全集 第8巻』『花の降る午後』

テレビドラマ版

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キャスト

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ほか

スタッフ

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主題歌

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映画版

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花の降る午後
監督 大森一樹
脚本 大森一樹
原作 宮本輝
製作 角川春樹
三堀篤(プロデューサー)
瀬戸恒雄(プロデューサー)
出演者 古手川祐子
髙嶋政宏
桜田淳子
音楽 加藤和彦
石川光(音楽プロデューサー)
主題歌 カルロス・トシキ&オメガトライブ
花の降る午後
撮影 姫田真佐久
編集 西東清明
製作会社 角川春樹事務所
配給 東宝
公開   1989年10月7日
上映時間 105分
製作国   日本
言語 日本語
配給収入 3億円[4]
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1989年10月7日みゆき座他東宝洋画系で公開。本作に主演した古手川祐子は第13回日本アカデミー賞主演女優賞、桜田淳子は助演女優賞を受賞した。

キャスト

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スタッフ

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オリジナル・サウンドトラック

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『花の降る午後 オリジナル・サウンドトラック』
加藤和彦カルロス・トシキ&オメガトライブサウンドトラック
リリース
レーベル VAP
プロデュース 角川春樹
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角川春樹事務所作品 花の降る午後 オリジナル・サウンドトラック」は、映画のサウンドトラック・アルバムである。角川春樹のプロデュースのもと製作された。加藤和彦が製作した楽曲を中心に収録されており、また主題歌を担当したカルロス・トシキ&オメガトライブの楽曲も3曲収録されている。

収録曲

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  1. Miss Dreamer
  2. 神戸Night
  3. 異人館
  4. 二人の関係
  5. MmeN.
  6. 花の降る午後
  7. Casino
  8. Avignon
  9. OPUS 7
  10. サスペンス
  11. Be Yourself

※作曲・編曲:加藤和彦(1,6,11曲目のみ、カルロス・トシキ&オメガトライブの楽曲)

脚注

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  1. ^ 同年4月1日より毎週月曜22:00から放送する『シリーズドラマ10』の第1作として放送された。
  2. ^ 花の降る午後 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇”. テレビドラマデータベース. 2022年12月3日閲覧。
  3. ^ 1982年に放送された『女捜査官』(朝日放送)の主題歌『死ぬほど愛して』以来7年ぶりだった。
  4. ^ 中川右介「資料編 角川映画作品データ 1976-1993」『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』角川マガジンズ、2014年、284頁。ISBN 4-047-31905-8 

外部リンク

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