薄膜
薄膜(はくまく)とは薄い膜のこと。分野によって定義が異なる。
以下の項目は1の薄膜についての記述となっている。
製造方法
編集薄膜の製造方法は以下のように分類できる。[1]
気相堆積法
編集- -原料の気体を、蒸発やスパッタリングなどの物理的な手法で発生させる方法。
- -物質を真空中で蒸発させて、基板上で薄膜を成長させる方法。
- 抵抗加熱蒸着
- 電子ビーム加熱蒸着
- パルスレーザー堆積(PLD)
- 分子線エピタキシー(MBE)
- イオン/ラジカル蒸着
- スパッタリング
高エネルギーのイオンや原子をターゲット材料に衝突させることによって、ターゲット材料の表面から原子が叩き出されることを利用する方法。
- -物質を真空中で蒸発させて、基板上で薄膜を成長させる方法。
- -気体の原料を、基板の近傍で、熱やプラズマによって反応させて薄膜を生成する方法。
液相堆積法
編集- 融液法
- -液相エピタキシー(LPE)など
薄膜の分類
編集薄膜は膜の厚みによって分類され以下のようになる。
- 膜の厚みが数10μmならば厚膜
- 膜の厚みが数μmならば薄膜
- 膜の厚みが数nm以下ならば超薄膜
また、薄膜の持つ特性からコールドミラーコート、バンドパスフィルター、反射防止コートなど様々な種類に分類されている。
薄膜の測定
編集薄膜の厚みは2種類測定される。1つ目は物理膜厚と呼ばれる単なる薄膜の厚みであり、これは水晶振動子と呼ばれる電圧をかけると振動して周波数を発生させる機器を用いる。2つ目は光学膜厚と呼ばれるもので膜の厚みに膜の持つ屈折率をかけることで得られるものである。実際には、光学膜厚は計算ではなく、光学モニターによって測定されている。
薄膜の評価
編集薄膜を評価する方法は多数存在し、電子線を用いる方法(LEED、SEM、TEMなど)、イオンを用いる方法(ISS、SIMSなど)、X線回折を用いるものや応力検査などがある。
脚注
編集出典
編集- ^ 金原 粲「薄膜工学」、丸善出版、平成28年、ISBN 978-4-621-30098-5。