雷銀(らいぎん、: fulminating silver)とは、組成式 Ag3N (一窒化三銀、窒化銀)と AgNH2 (銀アミド)の混合物。稀に窒化銀そのものを指すことがある。黒色の結晶で、外部からの刺激に非常に敏感であり、少しの摩擦でも爆発する。物性はほとんど知られていない。

ベルトレーの雷銀(fulminating silver of Berthollet)」と呼ばれている。

合成方法

編集

硝酸銀 AgNO3 と 液体アンモニア NH3 を反応させてできる。または、濃い硝酸銀水溶液に濃アンモニア水を加え、生じた褐色の沈殿が溶けるまでアンモニア水を加える。その溶液に還元性のあるアルコール等を加え放置すると溶液の表面に黒っぽい膜として生じる。この膜が窒化銀であるが膜が割れただけで爆発するので安全に取り出す事はできない。

またアジ化銀 AgN3と混同されている場合が多い。どちらも上記のような反応が起こるためとても危険だと言える。

事故

編集

学校現場で銀鏡反応の実験中に雷銀が生成し、爆発する事故が起きている[1]。事故を防ぐためには廃液や生じた銀鏡に酸を加えて酸性にするか、塩化ナトリウム水溶液を加え塩化銀に転換するなどの必要がある[2]

関連項目

編集

脚注

編集
  1. ^ 「文化祭でのビーカー爆発」事故調査報告”. 芝浦工業大学柏中学高等学校 (2005年12月). 2006年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月15日閲覧。
  2. ^ 理科薬品の管理とその取扱い” (pdf). 佐賀県教育センター. p. 92. 2019年1月21日閲覧。

出典

編集
  • 松永猛裕『火薬のはなし』講談社ブルーバックス〉、2014年、91-93頁。ISBN 978-4-06-257879-0