高城高
略歴
編集1935年、北海道函館市に生まれる。5歳の時に、英語教師だった父の転勤で宮城県仙台市に移住[1]。第二次世界大戦中は父の故郷である秋田県北秋田郡比内町(現大館市の一部)に疎開。終戦後に仙台に戻り、進駐軍の兵士が古本屋に売ったペーパーバックや、英語教師だった父と交流があった米軍人から手に入れたハードボイルド小説を読み始めたという[2]。
1955年、東北大学文学部英文科在学中、『宝石』の短編懸賞に「X橋附近[3]」を応募し、1位を受賞した。この小説は江戸川乱歩に絶賛され、現在では日本のハードボイルド小説の嚆矢とされる。大学卒業後の1957年に北海道新聞社に入社してからも、1970年まで短編を中心に作品を発表し続けたが、以降は沈黙していた[4]ため「幻の作家」と称された。
2006年に『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』が、荒蝦夷から地域限定(仙台市と北海道の書店)で発行され、2007年には『ミステリマガジン』や『ミステリーズ!』で作家活動を再開。2008年には、東京創元社から個人全集の刊行が始まり、約30年ぶりとなる新作『密漁船アークテック号 函館水上警察署復命控』を発表した。
作風
編集デビュー当初は5歳から大学卒業まで暮らした仙台市を舞台とするハードボイルド短編が中心だったが、大学卒業後は勤務先で故郷でもある北海道を舞台に、住民とソ連との緊張関係を描いたスパイ小説や、アイヌと道民の関係を題材とするハードボイルドが中心になった。また作家復帰第一作目は、明治時代の北海道を舞台にした歴史警察小説であるなど、ハードボイルド作家としてデビューしたが、それにとらわれない幅広い作風を持つ。
大学時代はフェンシングクラブに所属していたため、フェンシングに関連した作品も複数書いている(「賭ける」「函館水上警察」など)。
また小説以外では、アーネスト・ヘミングウェイをテーマにした大学の卒論や、アイヌ関連書籍がある。他にも仙台市内の書店で配布された冊子に、数本のエッセイを発表している。
著書
編集高城高名義
- 微かなる弔鐘(光文社 1959年)
- 墓標なき墓場(光風社 1962年)
- X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選(荒蝦夷 2006年)※北海道と宮城の書店でのみ販売されたソフトカバー本。現在は絶版だが収録作品は「高城高全集」で読むことができる。
- 高城高全集1~4(東京創元社[創元推理文庫] 2008年)
- X橋付近から(荒蝦夷 2008年)※エッセイ集。仙台市内の書店でのみ取り扱われ、現在は絶版。
- 函館水上警察シリーズ
- 函館水上警察(東京創元社 2009年 ISBN 4488024440)※ミステリーズ!に連載された『密漁船アークテック号 函館水上警察署復命控』から改題。
- 函館水上警察 ウラジオストクから来た女(東京創元社 2010年10月29日 ISBN 978-4-488-02465-9)
- 冬に散る華(東京創元社 2013年4月26日 ISBN 978-4-488-47406-5)※上記を改題した文庫版。表紙イラストはゴトウヒロシ。
- 夜明け遠き街よ(東京創元社 2012年8月11日 ISBN 978-4-488-02497-0)
- 夜より黒きもの(東京創元社 2015年5月15日 ISBN 978-4-488-02747-6)
- 眠りなき夜明け(寿郎社 2016年6月30日 ISBN 978-4-902269-88-8)
- 〈ミリオンカ〉の女 うらじおすとく花暦(寿郎社 2018年3月26日 ISBN 978-4-909281-07-4)
- 仕切られた女 ウラジオストク花暦(藤田印刷エクセレントブックス 2020年3月1日 ISBN 978-4-86538-106-1)
乳井洋一名義
翻訳
編集- フェンシング・マエストロ アルトゥーロ・ペレス=レベルテ著(論創社 2022年11月4日 ISBN 978-4-8460-2072-9)