CEAFAR
CEAFARは、オーストラリアのCEAテクノロジーズ社が開発した軍艦用レーダー。
種別 | 3次元レーダー |
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目的 | 多機能 (捜索・捕捉・追尾) |
開発・運用史 | |
開発国 | オーストラリア |
就役年 | 2010年 |
送信機 | |
形式 | ヒ化ガリウム(GaAs)半導体素子 |
周波数 | Sバンド |
アンテナ | |
形式 | アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)固定アンテナ×6面 |
探知性能 | |
探知距離 | 40 km以上 (目標RCS 0.1 m2) |
設計
編集本機は、アンザック級フリゲートに搭載して対艦ミサイル防御(ASMD)能力を向上させるための多機能レーダーとして開発された[1]。動作周波数はSバンドで、ヒ化ガリウム(GaAs)半導体素子を用いた固定式のアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ(AESAアンテナ)を用いている[2]。アンテナ1面の大きさは横幅1,340×高さ2,700mm、重量400kgで、1,024個の送受信モジュールを16個のタイルに分割して組み込んでいる[2]。アンテナ・アレイには送受信機とシグナル・プロセッサが一体化しており、そこに冷却水の流路を設けて発熱対策としている[2]。
実験段階ではこのアンテナ4面で1セットとしていたが、ビームを最大走査角度に指向したときの劣化が問題となり、実用機では6面で1セットとする特徴的な構成となった[1]。これにより、同時に6本の電波ビームを形成し、それぞれが目標捜索・探知・追尾を行えるようになっており、自艦を中心とした半球空間を1秒間で走査可能、レーダー反射断面積(RCS)0.1平方メートルの目標を距離40キロ以上で探知可能とされている[1]。
また2014年からは、送受信モジュールの素材を窒化ガリウム(GaN)に変更するなどした発展型であるCEAFAR2の開発が開始された[2]。CEAFAR2では、CEAFARと同じSバンド版(CEAFAR-2S)に加えて、より長波長のLバンド版(CEAFAR-2L)、逆に短波長のXバンド版(CEAFAR-2X)もラインナップされている[2]。アンザック級がCEAFARを搭載した際には、火器管制レーダーとしてはXバンドのAESAレーダーであるCEAMOUNTが搭載されていたが、CEAFAR2においては、このXバンド版が火器管制レーダーの役割を果たすものと見られている[2]。
運用史
編集まずアンザック級フリゲートの2番艦「アランタ」にアンテナ4面構成の実験機が搭載されて、2004年までに海上試験を行った[1]。
2003年6月19日、オーストラリアのヒル国防相はCEAFARを発展させたAUSPARの開発契約に調印した[3]。同機は次期防空艦(SEA4000計画艦)への搭載も検討されていたが[3]、結局はイージスシステム搭載のホバート級駆逐艦が建造された[4]。
本来の開発目的であったアンザック級フリゲートへの搭載は、SEA 1448計画によるASMD能力向上改修の一環として行われた。まず2010年1月から10月にかけて「パース」が試験的に改修され、2011年7月まで各種試験が行われた[1]。2011年11月にはその他の同級艦7隻についても改修が承認され、2017年までに順次に改修工事が行われた[1]。2013年8月には、太平洋ミサイル試射場に派遣された「パース」が超音速目標GQM-163Aの撃墜に成功している[1]。
CEAFAR2については、同級の後継となる汎用艦となるハンター級フリゲート(SEA5000計画艦)での搭載が予定されている[5]。更にアンザック級フリゲートでも、AMCAP(ANZAC Mid-life Capability Assurance Programme)改修の一環として、AN/SPS-49対空捜索レーダーをCEAFAR2-Lに換装することになっている[6]。
脚注
編集出典
編集参考文献
編集- Streetly, Martin (2005), Jane's Radar and Electronic Warfare Systems (17th ed.), Janes Information Group, ISBN 978-0710627049
- 井上孝司「最新レーダーの話題(14)豪CEAの海軍向け艦載レーダー」『TECH+』、Mynavi Corporation、2020年4月18日 。
- 井上孝司「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第946号、海人社、2021年4月。 NAID 40022516372。
- 多田智彦「現代の艦載兵器(第23回)レーダー(その3)」『世界の艦船』第959号、海人社、148-155頁、2021年11月。 NAID 40022709075。
関連項目
編集- AN/SPY-6 - レイセオン社が開発したSバンドのAESAレーダー
- AN/SPY-7 - ロッキード・マーティン社が開発したSバンドのAESAレーダー
- EL/M-2248 MF-STAR - エルタ・システムズ社が開発したSバンドのAESAレーダー
- シージラフ4A - SAAB社が開発したSバンドのAESAレーダー