Dynamite (BTSの曲)
「Dynamite」(ダイナマイト)は、BTS(防弾少年団)の楽曲である。2020年8月21日にデジタルシングルとして発売され、BTSとして初めて全ての歌詞が英語で書かれた[1]。Billboard Hot 100にて2週連続で1位を獲得。後に2位になったものの1位に返り咲き、計3週間1位に輝いた[2]。
「Dynamite」 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
BTS の シングル | ||||||||||
初出アルバム『BE』 | ||||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | ||||||||||
録音 | 2020年7月 | |||||||||
ジャンル | ||||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | ||||||||||
作詞・作曲 |
| |||||||||
プロデュース | デヴィッド・スチュワート | |||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||
| ||||||||||
BTS シングル 年表 | ||||||||||
| ||||||||||
「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」の2021年版では346位にランクされた[3]。
背景
編集作詞・作曲を手掛けたデヴィッド・スチュワートとジェシカ・アゴンバーは、コロムビア・レコードと音楽出版社ステラー・ソングを通じて、BTSが初の全編英語シングルを探していることを知った[4][5]。彼らはまず「(当時はロックダウン中のため)BTSが今何を語れば世界を元気付けられるのだろう?エネルギッシュで、楽しく、希望に満ちて、ポジティブであり、まるで巨大なエネルギーボールのようでなければならない」と考えた[5]。
そこでアゴンバーは「爆発的である必要がある」と着想し、明らかに爆発的な"Dynamite"になった。「私はケイティ・ペリーの大ファンだから、いつも(大ヒット曲の)『ファイヤーワーク(花火)』で頭がいっぱいだった。とにかく高いエネルギーが欲しかった。特別な歌詞ではなく、爆発的な、花火、パーティー、楽しさ、エネルギッシュな、世界征服などのアイデアの束が浮かんでいた。(中略)だから、BTSを取り巻くすべてのエネルギーと一致させる必要があり、それはセリフというよりは感覚だった。BPMは速さが求められ、ホルンを用いてアップテンポでなければならなかった」と明らかにした[5]。
4月上旬、ステラー・ソングは数曲をコロムビア・レコードとBig Hit Entertainmentに送った[5][6]。BTSは当初他の曲に決めていたが、2週間後には「Dynamite」を選んだ[7]。歌詞の一部は彼らに見合うものではなかったため、陣営と何度かやり取りして微調整された。スチュワートは「BTSとレーベル側は”完全に中立的で、攻撃的ではない”ことを確認したがっていた。ラップの引用が幾つかあったが、少し面と向かって威勢のいい感じなので、彼らにはちょっと合わなかったのかもしれない」と述べている[7]。最終的に、曲は7月中旬にレコーディングされた[5][6]。
リリース
編集2020年7月26日、BTSはV LIVEの生放送中に8月21日に次のアルバムに収録されるファーストシングルとして全編英語の曲を発売する事を発表した。この曲を通じて新型コロナウイルス感染症によって辛い思いをしているファンや世界中の人々にポジティブなエネルギーを共有したいと語った[8][9]。
ウェブサイトが公開された翌日にそれぞれシングルに関する新情報の発表に向けての7種類のカウントダウンが始まった[10]。7月31日にSpotifyにプリセーブリンクが共有され、8月2日には所属事務所であるBigHit Entertainmentが新曲の題名が「Dynamite」である事を発表した[11]。翌日に7インチとカセット及びアメリカ向けにデジタルシングルとインストゥルメンタルの予約販売が開始された[12]。そのまた翌日、BTSは2種類のミュージックビデオのリリース、アメリカの放送局との3つのインタビュー、2020 MTV Video Music Awardsのパフォーマンスに関するスケジュールを発表した[13]。8月21日にYouTubeにてミュージックビデオが公開されると、24時間内の再生回数は1億110万回に達し、新記録を樹立した[14]。
その3日後の8月24日にEDM・アコースティックの2種類、同28日にトロピカル・プールサイドの2種類、9月18日にスロージャム・レトロ・ミッドナイト・ベッドルームの4種類、12月11日にホリデイを加え計11種類のリミックスを時期をずらしてリリースし、チャートインを長期間キープした[15]。
音楽性
編集ファンク・ソウル・バブルガムポップの要素を併せ持つ[16][17]、1970年代の影響を受けたディスコポップ・ソングである[18][19][20]。
ヴァルチャーのクレイグ・ジェンキンスは、サビのホルンを新世紀エヴァンゲリオンの主題歌『残酷な天使のテーゼ』(1995年)と比較し、『ダイナマイト』を「成層圏を突破するために特別に設計された乗り物」と形容している[21]。また、「ブルーノ・マーズの『アップタウン・ファンク』(2014年)やケイティ・ペリーの『カリフォルニア・ガールズ』(2010年)に似ており、キュートでキャッチーかつ気取らない大衆娯楽性がある」と評価した[21]。
ピッチフォークのノア・ユーは、音楽的にタイオ・クルーズの同名ヒット曲『Dynamite』(2010年)と比較している[22]。バズフィードのエリー・ベイトは、「歌詞も振り付けもローリング・ストーンズ、マイケル・ジャクソン、エルヴィス・プレスリーといった音楽界のレジェンドらに敬意を表しており、紛れもなくハッピーでアップビートなディスコトラックである」と評した[23]。
音楽リスト
編集
デジタル[24]
7インチレコード (Limited Edition) [25]
カセット (Limited Edition) [26]
CD (Limited Edition) [27]
|
デジタルEP (Extended)[28]
デジタルEP (DayTime Version)[29]
デジタルEP (NightTime Version)[30]
デジタルシングル (Holiday Remix)[31]
|
発売日一覧
編集日付 | 国 | 形態 | バージョン | レーベル | 参照 |
---|---|---|---|---|---|
2020年8月21日 | 全世界 | デジタルダウンロード、ストリーミング | オリジナル | Big Hit Entertainment | [32] |
オーストラリア | コンテンポラリー・ヒット・ラジオ | ソニー・ミュージック・オーストラリア | [33] | ||
アメリカ | 7インチレコード、カセット | Limited Edition | コロムビア・レコード | [34][35] | |
2020年8月24日 | 全世界 | デジタル・ダウンロード、ストリーミング | Extended | Big Hit Entertainment | [28] |
2020年8月25日 | アメリカ | コンテンポラリー・ヒット・ラジオ | オリジナル | コロムビア・レコード | [36] |
2020年8月28日 | 全世界 | デジタル・ダウンロード、ストリーミング | DayTime Version | Big Hit Entertainment | [29] |
2020年9月4日 | イタリア | コンテンポラリー・ヒット・ラジオ | オリジナル | ソニー・ミュージック | [37] |
2020年9月14日 | アメリカ | ACラジオ | コロムビア・レコード | [38] | |
2020年9月18日 | 全世界 | デジタル・ダウンロード、ストリーミング | NightTime Version | Big Hit Entertainment | [30] |
2020年11月20日 | アメリカ | CD | Limited Edition | コロムビア・レコード | [27] |
2020年12月11日 | 全世界 | デジタル・ダウンロード、ストリーミング | Holiday Remix | Big Hit Entertainment | [39] |
2021年2月26日 | 日本 | 7インチレコード、カセット | Limited Edition | ユニバーサルミュージックジャパン | [40] |
販売量
編集国 | 販売量 |
---|---|
アメリカ | 482,000+ |
中国 | 1,014,099+ |
日本 | 40,475+ |
チャート順位
編集国 | 週間チャート | 最高順位 |
---|---|---|
韓国 | ガオンデジタルチャート | 1 |
ガオンダウンロードチャート | 1 | |
ガオンストリーミングチャート | 1 | |
フローチャート | 1 | |
日本 | Billboard Japan Hot 100 | 2 |
アメリカ | Billboard Hot 100 | 1 |
イギリス | OCCシングルチャート | 3 |
カナダ | Canadian Hot 100 | 2 |
オーストラリア | ARIAチャート | 2 |
ニュージーランド | RMNZシングルチャート | 4 |
脚注
編集- ^ Ali, Rasha (August 19, 2020). “K-pop stars BTS tackle 'interesting kind of challenge' with first all-English song 'Dynamite'”. USA Today. August 23, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 22, 2020閲覧。
- ^ “BTS' 'Dynamite' Back to No. 1 on Billboard Hot 100, Justin Bieber & Chance the Rapper's 'Holy' Debuts at No. 3”. billboard (2020年9月28日). 2021年4月11日閲覧。
- ^ “BTS, 'Dynamite'”. Rolling Stone. The 500 Greatest Songs of All Time (2021) (2021年9月15日). 2022年3月7日閲覧。
- ^ Leight, Elias (August 26, 2020). “BTS' 'Dynamite' Launches a Veteran Songwriter Into the Spotlight”. Rolling Stone. オリジナルのSeptember 22, 2020時点におけるアーカイブ。 September 22, 2020閲覧。.
- ^ a b c d e Kaufmann, Gil (September 17, 2020). “Jessica Agombar, Co-Writer of BTS' 'Dynamite,' Says Goal for the Song Was 'A Positive, Huge Ball of Energy'”. Billboard. オリジナルのSeptember 22, 2020時点におけるアーカイブ。 September 22, 2020閲覧。.
- ^ a b Roberts, Dave (September 22, 2020). “Writing Dynamite for BTS: 'It's taken a lot of years and a lot of work to get to this incredible, life-changing moment…'”. Music Business Worldwide. September 23, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 23, 2020閲覧。
- ^ a b “Songwriter Behind BTS' "Dynamite" Details How "The Stars Aligned" For Explosive 2021 Grammy Nominee”. E! Online (March 14, 2021). March 28, 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。March 28, 2021閲覧。
- ^ Benjamin, Jeff (July 26, 2020). “BTS Confirm New English Single For August Ahead Of Upcoming Album”. Forbes. July 30, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 3, 2020閲覧。
- ^ Kiefer, Halle (July 26, 2020). “New BTS Single, Album Is the Carrot on a Stick Leading You Through the Rest of 2020”. Vulture. July 29, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 3, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite”. Sony Music. August 3, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2020閲覧。
- ^ Murphy, Eryn (August 2, 2020). “BTS Reveals 'Dynamite' Is the Title of Their New Single and Fans Already Know It Will Be a Summer Anthem”. CheatSheet. August 21, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2020閲覧。
- ^ Kinane, Ruth (August 3, 2020). “BTS reveals fiery title of upcoming English language single”. Entertainment Weekly. August 3, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2020閲覧。
- ^ McIntyre, Hugh (August 4, 2020). “Here Is BTS’s Promotion Plan For Their Upcoming Single ‘Dynamite’”. Forbes. August 21, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 5, 2020閲覧。
- ^ “BTS’s “Dynamite” Gains Amazing Number Of Views In First 24 Hours”. 2021年4月11日閲覧。
- ^ “BTS、「Dynamite」「Life Goes On」など複数バージョン公開の背景 狙うは米ビルボードでの上位チャートインロングラン”. リアルサウンド (2020年12月26日). 2020年12月27日閲覧。
- ^ Riddhi (August 21, 2020). “BTS Seek to Light Up the World With Vibrant Disco-Pop Single 'Dynamite'”. Rolling Stone India. オリジナルのAugust 21, 2020時点におけるアーカイブ。 February 26, 2021閲覧。.
- ^ Zornosa, Laura (August 21, 2020). “K-pop's BTS does it again, shattering records with all-English 'Dynamite'”. ロサンゼルス・タイムズ. オリジナルのAugust 21, 2020時点におけるアーカイブ。 August 22, 2020閲覧。
- ^ Khan, Aamina (August 21, 2020). “BTS's First All-English Single Is a '70s Homage With a 2020 Feel”. Vogue. August 21, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。February 26, 2021閲覧。
- ^ Breinan, Tom (August 21, 2020). “BTS – 'Dynamite'”. ステレオガム. August 23, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。February 26, 2021閲覧。
- ^ Ribeiro, Ana Clara (August 26, 2020). “BTS' "Dynamite" Defies the West Much More Than It Bends to It”. PopMatters. October 10, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。October 10, 2020閲覧。
- ^ a b Jenkins, Craig (August 24, 2020). “BTS Is Way Ahead of Us”. ヴァルチャー. August 24, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 25, 2020閲覧。
- ^ Yoo, Noah (August 21, 2020). “BTS – 'Dynamite'”. ピッチフォーク. August 23, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 22, 2020閲覧。
- ^ Bate, Ellie (August 21, 2020). “BTS Released Their First Ever All-English Single, "Dynamite", And It's Exactly What You Need To Hear Right Now”. バズフィード. August 22, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 22, 2020閲覧。
- ^ “BTS – Dynamite”. Big Hit Entertainment (August 21, 2020). August 21, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 21, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite - Limited Edition 7" Vinyl”. Big Hit Entertainment. August 3, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 17, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite - Limited Edition Cassette”. Big Hit Entertainment. August 3, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 17, 2020閲覧。
- ^ a b “Dynamite – Limited Edition CD Single”. Big Hit. October 16, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。October 17, 2020閲覧。
- ^ a b “Dynamite (Extended) - EP by BTS”. Apple Music (US). August 24, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 24, 2020閲覧。
- ^ a b “Dynamite (DayTime Version) - EP by BTS”. Apple Music (US). September 18, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 18, 2020閲覧。
- ^ a b “Dynamite (NightTime Version) - EP by BTS”. Apple Music (US). September 18, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 18, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite (Holiday Remix) - Single by BTS”. Apple Music (US) (December 11, 2020). December 11, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。December 11, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite - Single by BTS”. Apple Music (US) (August 21, 2020). August 21, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2020閲覧。
- ^ “Singles To Radio”. The Music Network. August 21, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 24, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite – Limited Edition 7" Vinyl”. Sony Music (August 21, 2020). August 3, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2020閲覧。
- ^ “Dynamite – Limited Edition Cassette”. Sony Music (August 21, 2020). August 3, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2020閲覧。
- ^ “Top 40/M Future Releases”. All Access Media Group (August 18, 2020). August 17, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。August 18, 2020閲覧。
- ^ “BTS - Dynamite RadioDate”. Radio airplay. September 2, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 1, 2020閲覧。
- ^ “Hot/Modern/AC Future Releases”. All Access Media Group (September 1, 2020). September 14, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。September 1, 2020閲覧。
- ^ Dynamite (Holiday Remix) - Single by BTS, (December 11, 2020), オリジナルのDecember 14, 2020時点におけるアーカイブ。 December 25, 2020閲覧。
- ^ “【1月21日(木)お届け日追記】『Dynamite』7 inchレコード盤&カセット発売決定!BTS JAPAN OFFICIAL SHOP&UNIVERSAL MUSIC STOREにて本日9月4日(金)18時より予約販売スタート!”. BTS Japan Official Fanclub (January 21, 2021). January 21, 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。January 21, 2021閲覧。