O・A・クライン
オーティス・アデルバート・クライン(Otis Adelbert Kline、1891年 - 1946年)は、パルプ・マガジン全盛期に活躍したアメリカ合衆国のSF作家、冒険小説家、著作権エージェント。ただし2009年9月現在、日本語訳されている作品は『火星の無法者』と『火星の黄金仮面』の2作しかない。
作品の多くは、パルプ雑誌「ウィアード・テイルズ(Weird Tales)」に発表された。
バローズとの確執
編集クラインについては、エドガー・ライス・バローズとの文芸上の確執について語られることが多い。
クラインはいわゆる“惑星間のロマンス”が既存のジャンルとなるはるか前の1929年に、金星を舞台にしたSF冒険小説「Planet of Peril」を発表した。これによりクラインに自分の縄張りであるSFものの領域を荒らされたと感じた「火星シリーズ」の作者バローズは、「金星シリーズ」を書き始める。それに対してクラインの出した答えは、より多くより直接的な「侵入」であった。クラインは火星を舞台にした更に2篇の小説を発表したのである。また、バローズの「ターザン」シリーズを容易に連想させる、白人が主人公のジャングル冒険譚をも続けざまに執筆した。しかし、この確執の証拠は間接的なものしかなく、二人の作家が死去した後まで、この確執が本当に存在したのかどうかは明らかにはされなかった。
ハワードとの交友
編集1930年代半ばからクラインは、友人であったロバート・E・ハワードの著作権エージェントとしての職に集中するために、執筆活動をやめている。
主な著書
編集金星シリーズ(Venus series)
編集- Planet of Peril (1929年)
- The Prince of Peril (1930年)
- The Port of Peril (1932年)
火星シリーズ(Mars series)
編集- The Swordsman of Mars (1933年)
- The Outlaws of Mars (1933年)
- 『火星の無法者』 (1967年、久保書店QTブックス、井上一夫訳)
- 『火星の黄金仮面』 (1978年、創元SF文庫、井上一夫訳、武部本一郎画)
その他
編集- Maza of the Moon (1930年)
- The Call of the Savage(Jan of the Jungle) (1931年)
- Tam, Son of the Tiger (1931年)
- Stolen Centuries (1939年)
- Jan in India (1935年)
- The Man Who Limped and Other Stories (1946年):短編集