S7航空(エスセブンこうくう、ロシア語: S7 Airlines エース・セーヴェン・エーイルラーインス)は、ロシアの航空会社・共同株式会社シベリアエアラインズ(シベリア航空)の商標及び愛称名。 モスクワノヴォシビルスクイルクーツクを主な拠点とする。ロシアの国内線では最大のシェアを占める[2][3][4]

S7航空
S7 Airlines
IATA
S7
ICAO
SBI
コールサイン
SIBERIAN
法人番号 6700150066995 ウィキデータを編集
設立 1992年5月
(シベリア航空として)
ハブ空港 ドモジェドヴォ空港
トルマチョーヴォ空港
イルクーツク国際空港
焦点空港 チェリャビンスク空港
ハバロフスク空港
ウラジオストク国際空港
マイレージサービス S7 Priority
会員ラウンジ S7 Business Lounge
S7 Comfort Lounge
航空連合 なし(ワンワールド会員資格の一時停止中)[1]
親会社 S7 Group
保有機材数 103機
就航地 107都市
本拠地 ロシアの旗 ロシア モスクワ
代表者 ウラジーミル・オブィエトコフ (CEO)
外部リンク www.s7.ru ウィキデータを編集
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航空連合「ワンワールド」に所属しているが、2022年2月からロシアが行っている「特別軍事作戦」(ロシアのウクライナ侵攻)の影響で一時的に会員資格が停止されている。

新塗装機 (ボーイング737-800)
旧塗装機(エアバスA310-200)
現在は尾翼等の塗装が異なる。

歴史

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初期塗装機。名称は「シベリア航空」が用いられている(Il-86型機)

本社はかつてはシベリアノヴォシビルスクに置かれていたが、現在ではモスクワに移転している[5]。 2005年から、運航をはじめとする航空サービス全般については、新しい商標「S7 Airlines」のもとで提供を始める。これはシベリア航空ロシア語: Авиакомпания „Сибирь“ アヴィアカンパーニヤ・シビーリ)の商標・愛称である。「S7」とはIATAの2レター航空会社コードであり、2レター航空会社コードを航空会社の商標名に使ってきたことになる。現在では「シベリア航空」の名称は一般的には用いられなくなった。なお、それより以前では、シビル航空(シビーリ航空; Sibir Airlines)と呼ばれた時代もあった。

2008年3月に子会社「グローバス英語版」を設立[6]。ロシア国内各都市への定期便のほか、ヨーロッパ各都市への定期便や季節限定のチャーター便を運航している[4]。現在では、S7航空の機材を使用し、S7航空と同様のサービスを提供しながらも、運航はグローバスによるものも見られる[7]

2009年5月、日本航空アメリカン航空ブリティッシュ・エアウェイズなどが加盟する航空連合「ワンワールド」へ加盟する事を発表[8]2010年11月15日に正式加盟した。2013年1月からは、東京/成田 - ハバロフスク線・ウラジオストク線で、日本航空とコードシェアを開始した[9]。さらには、ウラジオストク、ハバロフスク線において、アエロフロート・ロシア航空ともコードシェアを行っている。2018年就航のイルクーツク、ノヴォシビルスク線でもJALのコードシェアを行っている。

2015年3月以降、旅客機の発着時刻や遅延情報などの分析を行う米国のFlightStats社より毎月発表される報告によると、S7航空が世界で最も定時到着率の高い航空会社となっている(同年8月現在、同ランキング1位を5ヶ月連続で維持している)[3][10]

2017年4月より大阪(関西国際空港)にもウラジオストク線が就航した。さらに、2018年4月より、成田 - イルクーツク線[11]が就航した。さらに、6月より成田 - ノヴォシビルスク線が週1便で就航した。[12][13]

2019年7月15日エア・アスタナとコードシェア契約を締結した[14]

2019年8月1日、シベリアで起きた森林火災復興支援のために社名を一時的に「S7航空」から「シベリア航空」に変更し、機体を特別塗装することを発表した[15]

2020年3月29日には東京/羽田 - ウラジオストク線を開設したが[16]新型コロナウイルスの影響により後に運休となっている。

就航都市

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本拠地のモスクワ(ドモジェドヴォ空港)ノヴォシビルスクイルクーツクから、ロシア国内線と独立国家共同体諸国、東アジアドイツオーストリアスペインなどへ国際線を運航している。2000年頃にフラッグ・キャリアアエロフロート・ロシア航空が不採算国内線を整理している間も国内線を拡張し続けた。その結果、現在では国内だけで約50都市に就航しており、国内線ではロシア最大手となっている。一方、アエロフロートが積極的に進出しているアメリカ大陸には、自社便・提携便含め、未だ進出していない。

下表は、S7航空が運航する路線の就航都市一欄である。S7航空便名で運航するグローバス便を含む。コードシェア便による他社運航路線のみの就航都市は含まない。

S7航空 就航都市(2021年8月現在)[17][18]
都市 空港 備考
  ロシア アストラハン アストラハン・ナリマノヴォ国際空港
アナパ アナパ国際空港
アバカン アバカン国際空港
イルクーツク イルクーツク国際空港 ハブ空港
ヴォルゴグラード ヴォルゴグラード国際空港
ヴォロネジ ヴォロネジ国際空港
ウファ ウファ国際空港
ウラジオストク ウラジオストク国際空港 焦点空港
ウラジカフカス ベスラン空港
ウランウデ バイカル国際空港
エカテリンブルク コルツォヴォ国際空港
オムスク オムスク・ツェントラーリヌイ国際空港
カザン カザン国際空港
ケメロヴォ ケメロヴォ国際空港
カリーニングラード フラブロヴォ国際空港
クラスノダール クラスノダール国際空港
クラスノヤルスク イェメリャノヴォ空港
ゴルノ=アルタイスク ゴルノ=アルタイスク空港
サマラ クルモチ国際空港
サレハルド サレハルド空港
サンクトペテルブルク プルコヴォ空港
シンフェロポリ シンフェロポリ国際空港
スタヴロポリ スタヴロポリ国際空港
スルグト スルグト国際空港
ソチ ソチ国際空港
チェリャビンスク チェリャビンスク空港 焦点空港
チタ カダラ空港
チュメニ ロスキーノ国際空港
トムスク ボガシェヴォ空港
ナディム ナディム空港
ニジニ・ノヴゴロド ストリギノ国際空港
ニジネヴァルトフスク ニジネヴァルトフスク国際空港
ニジネカムスク ベギシェヴォ空港
ノーヴィ・ウレンゴイ ノーヴィ・ウレンゴイ空港
ノヴォクズネツク ノヴォクズネツク空港
ノヴォシビルスク トルマチョーヴォ空港 ハブ空港
ノリリスク ノリリスク・アリケリ空港
ハバロフスク ハバロフスク空港 焦点空港
バルナウル バルナウル国際空港
ブラーツク ブラーツク空港
ブラゴヴェシチェンスク イグナチェヴォ空港
ペトロパブロフスク・カムチャツキー エリゾヴォ空港
ペルミ ペルミ国際空港
マガダン ソコル空港
マグニトゴルスク マグニトゴルスク国際空港
ミネラーリヌィエ・ヴォードィ ミネラーリヌィエ・ヴォードィ空港
ミールヌイ ミールヌイ空港
モスクワ ドモジェドヴォ空港 メインハブ空港
ヤクーツク ヤクーツク空港
ユジノサハリンスク ユジノサハリンスク空港
ロストフ・ナ・ドヌ プラトフ国際空港
旧ソ連
  アゼルバイジャン バクー ヘイダル・アリエフ国際空港
  アルメニア エレバン ズヴァルトノッツ国際空港
  ジョージア クタイシ ダヴィト・ザ・ビルダー・クタイシ国際空港
トビリシ トビリシ国際空港
バトゥミ バトゥミ国際空港
  ベラルーシ ミンスク ミンスク第2空港
東アジア
  香港 香港国際空港
  中国 北京 北京首都国際空港 拠点空港
広州 広州白雲国際空港
上海 上海浦東国際空港
ウルムチ ウルムチ地窩堡国際空港
東南アジア
  タイ バンコク スワンナプーム国際空港
プーケット プーケット国際空港
中央アジア
  カザフスタン アルマトイ アルマトイ国際空港
オスケメン オスケメン空港
シムケント シムケント国際空港
セメイ セメイ空港
パヴロダル パヴロダル空港
  キルギス オシ オシ空港
ビシュケク マナス国際空港
  ウズベキスタン ウルゲンチ ウルゲンチ国際空港
タシュケント タシュケント国際空港
フェルガナ フェルガナ国際空港
  タジキスタン クリャーブ クリャーブ空港
ドゥシャンベ ドゥシャンベ空港
ホジェンド ホジェンド空港
  トルクメニスタン アシガバート アシガバート空港
西アジア
  アラブ首長国連邦 ドバイ ドバイ国際空港
休・廃止路線
  日本 東京 東京国際空港 新型コロナウイルスの影響により、就航後、長期運休中。運航再開時期は未定。

コードシェアパートナー

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2023年4月現在、以下の航空会社とのコードシェア便を運航している[19]

その他の航空会社

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☆はスターアライアンス加盟航空会社。 △はスカイチーム加盟航空会社。

保有機材

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機材は2008年10月まではツポレフTu-154B2Mを主に使っていたが、現在はボーイングエアバスを中心に2017年からエンブラエルERJ-170を使用している。これにより、ロシア製のS7航空の機材は姿を消した。なお、ボーイング787 ドリームライナーを発注していたが、金融危機によるロシアの貸し渋りから15機全てキャンセルしている[20]

2017年のエンブラエルERJ-170導入を機に新塗装をまとっている。機体全体の黄緑色塗装は変わらないものの、S7のロゴ表記が変更された。

現在の運航機材

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エアバスA320neo
 
エンブラエルE170 プルコヴォ空港
 
エアバスA320-200型機 旧塗装

2020年4月現在、S7航空が保有する機材は以下のとおりである[21]

S7航空の保有機材
機種 保有数 発注数 OPT数 座席数 備考
C Y
エアバスA319-100 12 144 144 VP-BTNはワンワールド塗装[21]
エアバスA320-200 18 8 150 158
エアバスA320neo 22 2 8 156 164 2017年7月21日に導入。[22]
エアバスA321-200 7 8 189 197
エアバスA321neo 4 8 195 203
ボーイング737–800 21 8 168 176 VQ-BKWはワンワールド塗装[21]
ボーイング737MAX8 2 5 8 168 176
エンブラエル170 17 78 78
103 7

2015年6月現在、S7航空の保有機材の平均年数は9.5年である[23]。また、エアバス(52機)、ボーイング(23機)、エンブラエル(17機)で運航されている。

退役機材

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S7航空が現在保有している機材と過去に保有していた機材は以下のとおりである。

 
ボーイング737–400型機
 
ボーイング737-500型機
 
ツポレフTu-154型機
 
ボーイング767型機
 
ツポレフTu-204型機
S7航空の歴代保有機材
機種 運航期間 備考
エアバスA310-200 2004-2010 5機がストア中
エアバスA310-300 2004-2014 3機がストア中・1機が解体済み
エアバスA319-100 2006-
エアバスA320-200 2008- 1機がアルマヴィアへ売却・9機が運航中
エアバスA320neo 2017-
エアバスA321-200 2013-
エアバスA321neo 2018-
ボーイング737-400* 2006-2008 子会社のグローバス航空英語版へ移管
ボーイング737-500* 2005-2009 3機がエール・イボワールへ売却・7機がエアロ・コントラクターズへ売却
ボーイング737-800 2008-
ボーイング767-300ER 2008-2017
イリューシンIl-86 1992-2008
ツポレフTu-154B-2 1992-2004 2004年にすべて解体済み
ツポレフTu-154M 1992-2009 3機がグローバス航空へ移管・2機がストア中・2機が解体済み
ツポレフTu-204-100 1992-2005

サービス

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座席

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ボーイング737型機のエコノミークラス

すべての機材において、エコノミークラスビジネスクラスを設定している。エコノミークラスの座席は日系大手と比較すると狭く、シートモニターなどは一切設置されていない。エアバス320neo運航便のみ、機内wifiを利用したエンターテイメントサービスとシート下部のユニバーサル電源、USBポートが利用できる。320neo以外の従来機では、エンターテイメント含めwifi、電源は一切利用できない。ビジネスクラスはエコノミークラスとカーテンによって隔離されており、エコノミークラスとは異なった機内食が提供されるほか、エコノミーが3-3列で構成されるのに対し、2-2列とかなり広い。[24]

ラウンジ

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モスクワ(ドモジェドヴォ空港)とノヴォシビリスク(トルマチョーヴォ空港)には、ビジネスクラスラウンジがある。また、モスクワには、「S7コンフォートラウンジ」と呼ばれるエコノミークラス搭乗者向けの空港ラウンジがあり、S7航空・グローバス・ワンワールド加盟航空会社のフライトの搭乗者、S7 Ticket LLCのボーナスプログラムメンバーが利用できる[25]

マイレージプログラム

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「S7 プライオリティ (S7 Priority)」というマイレージプログラムを提供している。会員ステータスはS7 Priority Platinum・S7 Priority Gold・S7 Priority Silver・S7 Priorityの4段階に区別され、ワンワールド・エリート・ステータスが適用される[4]

事件・事故

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脚注

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  1. ^ ワンワールド、S7航空の加盟を停止 4月19日から”. 2022年4月23日閲覧。
  2. ^ S7 AIRLINES LAUNCHS DAILY FLIGHTS TO MOSCOW”. Verona Airport (2013年12月5日). 2015年8月16日閲覧。
  3. ^ a b S7 Airlines is the most punctual airline in the world”. S7 Airlines (2015年4月10日). 2015年8月16日閲覧。
  4. ^ a b c S7 Airlines”. oneworld Alliance. 2015年8月21日閲覧。
  5. ^ S7 Airlines”. S7 Airlines. 2015年8月16日閲覧。
  6. ^ Globus Airlines”. S7 Airlines. 2015年8月21日閲覧。
  7. ^ 例えば、ドモジェドヴォ発・トルマチョーヴォ行のS7航空179便 (S7179) は、グローバス179便 (GH179) の便名を併記しており、運航はグローバスによるものである。しかし、S7航空によって運航される同区間の便(S7181など)と機材やサービス、価格が大きく異なることはない。
  8. ^ Russia's S7 Airlines to join oneworld alliance
  9. ^ JAL、S7航空とのコードシェアを開始”. 日本航空 (2013年1月28日). 2015年8月16日閲覧。
  10. ^ Airline Performance Reports”. FlightStats. 2015年8月16日閲覧。
  11. ^ https://www.routesonline.com/news/38/airlineroute/275731/s7-airlines-adds-irkutsk-tokyo-in-s18/
  12. ^ S7 Airlines adds Novosibirsk – Tokyo service in S18”. Routesonline. 2017年10月8日閲覧。
  13. ^ Time table”. S7. 2017年10月8日閲覧。
  14. ^ エア・アスタナとシベリア航空がコードシェア契約を締結”. JETRO. 2019年8月13日閲覧。
  15. ^ S7航空が「シベリア航空」に名称変更、森林火災からの復興を目指す”. FlyTeam. 2019年8月6日閲覧。
  16. ^ https://www.traicy.com/20191207-s7vvo
  17. ^ Where we fly”. S7 Airlines. 2015年8月16日閲覧。
  18. ^ Flight timetable S7 Airilines”. S7 Airlines. 2015年8月16日閲覧。
  19. ^ Airlines-partners”. S7 Airlines. 2020年4月4日閲覧。
  20. ^ http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200901300130[リンク切れ]
  21. ^ a b c Our Fleet”. Planespotters.net. 2020年4月4日閲覧。
  22. ^ http://flyteam.jp/news/article/82027
  23. ^ S7 - Siberia Airlines Fleet Details and History”. Planespotters.net. 2015年8月17日閲覧。
  24. ^ S7 Business Class”. S7 Airlines. 2015年8月17日閲覧。
  25. ^ S7 Airlines Business Lounge in Domodedovo airport”. S7 Airlines. 2015年8月17日閲覧。

外部リンク

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