「ケヤキ」の版間の差分
ケヤキをシンボルとする市区町村の追加とそれに伴うリンクの追加。 |
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2024年4月23日 (火) 14:36時点における版
ケヤキ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Zelkova serrata (Thunb.) Makino (1903)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Japanese zelkova |
ケヤキ(欅[2]、学名: Zelkova serrata)は、ニレ科ケヤキ属の落葉高木。ツキ(槻)ともいう[1]。日本では代表的な広葉樹の一つで、枝ぶりが整った樹形が好まれて植栽や街路樹にも使われる。材は建築材として良材で、寺社建築によく使われる。
名称
和名「ケヤキ」の由来は、「ケヤ」は古語で「すばらしい」という意味があり、「けやしの木」が転訛したものだといわれる[3]。中国名は「櫸樹」[1]。
分布
朝鮮半島、中国、台湾と日本に分布し[4]、日本では本州、四国、九州に分布する[5]。山野に生え[6]、丘陵から山地[2]、平地まで自生する[7]。
自然分布の他に、人の手によって街路や公園、人家のまわりにも植えられたものもよく見られる[4]。日本では特に関東平野に多く見られ、屋敷林に使われることが多い[8]。北海道には自然分布はないが、函館や札幌などの都市部で、庭園樹や公園樹として植えられたものもある[9]。
形態・生態
落葉広葉樹の高木で[4]、高さ15 - 25メートル (m) になり[7][6]、大きなものでは幹径3 m、高さ30 - 50 mほどの個体もある[8]。開けた場所に生える個体は、枝が扇状に大きく斜めに広がり、独特の美しい樹形になる[10][2]。樹皮は灰白色から灰褐色で、若木のうちは滑らかで横長の皮目があるが[2]、老木になるとモザイク状や鱗片状、あるいは大きく反り返って剥がれるなど、剥がれ方は一様ではなく、幹の表面はまだら模様になる[4][6][2]。一年枝は褐色で無毛、ジグザグ状に伸びて皮目がある[2]。
花期は4 - 5月ごろ[2]。開花は目立たないが、葉が出る前に本年枝に数個ずつ薄い黄緑色の花が咲く[4][6]。雌雄同株で雌雄異花。本年枝の下部に数個ずつ雄花が、上部の葉腋に1 - 3個の雌花がつき[6]、雄花と雌花をつけた短い枝を「着果短枝」という[10]。花後に長枝が伸びて、本葉が出る[10]。
葉は互生し、葉身は長さ3 - 10センチメートル (cm) の卵形から卵状披針形で、葉縁にある鋸歯は曲線的に葉先に向かう特徴的な形であり、鋸歯の先端は尖る[6]。葉の正面はざらつく[7]。春の新緑や秋の紅葉(黄葉)が美しい樹木でもある[6][10]。都市部ではあまり鮮やかに紅葉せず黄褐色から褐色になって落葉してしまうが、寒冷地では個体によって色が異なり、黄色・橙色・赤色など色鮮やかに紅葉する[3]。若木や徒長枝の葉は大きく、赤色に紅葉する傾向が強い[3]。紅葉は褐色を帯びるのが比較的早く、落ち葉もすぐに褐色になる[7]。
果期は10月[10]。果実は長さ約5ミリメートル (mm) の平たい球形をした痩果で、秋に暗褐色に熟す[6]。小枝についた葉が翼となって、果実がついたまま長さ10 - 15 cmの小枝ごと木から離れ、風に乗って遠く運ばれて分布を広げる[3][2]。
冬芽は互生し、小さな卵形で暗褐色の8 - 10枚の芽鱗に包まれており、横に副芽を付けることがある[2]。枝先には仮頂芽がつき、側芽は枝に沿わずに開出してつく[2]。冬芽の横には、しばしば副芽がつく[2]。冬芽のわきにある葉痕は半円形で、維管束痕が3個ある[2]。
葉の裏と柄に短毛の密生する変種をメゲヤキという。
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新芽と雄花序
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紅葉した梢
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紅葉(10月)
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人間との関わり
箒を逆さにしたような樹形が美しく、街路樹や公園樹としてよく親しまれ、防火や防風の目的で庭木などとしてもよく植えられる[4][6]。特に関東地方での利用が多い[4]。巨木が国や地方自治体の天然記念物になっていることがある。朝鮮半島では、ケヤキの春の若葉を茹でて食べることもあり、餅にも入れられる[9]。
ケヤキの花言葉は、「幸運」[10]「長寿」[10]とされる。
木材
日本の材としては、ジャパニーズ・ウイスキーの樽に使われることで有名なミズナラとともに、導管を塞ぐ「チロース」と呼ばれる物質が発達しており、水を通さない。そのため、材は狂いが少なく湿気に強いのが特徴で、幅広い用途に使われる[4]。木目が美しく、磨くと著しい光沢を生じる。堅くて摩耗に強いので、家具・建具等の指物に使われる。日本家屋の建築用材としても古くから多用され、神社仏閣などにも用いられた。ケヤキ材からは仏像も作られる[10]。現在は高価となり、なかなか庶民の住宅には使えなくなっている。
寺社建築に盛んに使われるようになったのは、縦引き鋸が使われ出した室町時代以降のことである[10]。ヒノキやスギは縦に割って使うことができたが、ケヤキの材はかたく、割るのは困難であったためである[10]。材の強度は、ヒノキとは反対に伐採後から次第に低下していくといわれ、薬師寺東塔に使われたケヤキ材は1200年を経過していて、破断状態にあったという[10]。広葉樹、特にケヤキは道管が環状に並んで年輪がはっきりと見える板となり、年輪幅が広い方がかたくて、重い良材となる[10]。
チロースが発達しているので、伐採後も長い間導管内に水分が閉じ込められたままになる。そのため、伐採してから、乾燥し枯れるまでの間、右に左にと、大きく反っていくので、何年も寝かせないと使えない。特に大黒柱に大木を使った場合、家を動かすほど反ることがあるので大工泣かせの木材である。また、中心部の赤身といわれる部分が主に使われ、周囲の白太は捨てられるので、よほど太い原木でないと立派な柱は取れない。
1940年、戦時色の強まった日本では、用材生産統制規則により特定の樹種について用途指定を実施。ケヤキ材の使用用途については軍需、内地使用の船舶、車両用に限られることとなった[11]。
シンボル
多くの自治体が、「県の木」「市の木」といったシンボルにケヤキを指定している。
- ケヤキをシンボルに指定している都道府県
- ケヤキをシンボルに指定している市区町村
- ケヤキをシンボルに指定していた廃止市町村
- ケヤキをシンボルにしている日本国外の自治体
日本の著名なケヤキ
- 特別天然記念物
- 天然記念物(国指定)
- 文下(ほうだし)のケヤキ(山形県鶴岡市)
- 高瀬の大木(ケヤキ)(福島県会津若松市)
- 原町の大ケヤキ(群馬県東吾妻町)-「日本三大ケヤキ」、樹勢の衰え顕著、
- 練馬白山神社の大ケヤキ(東京都練馬区)
- 御岳の神代ケヤキ(東京都青梅市)
- 鵜川神社の大ケヤキ(新潟県柏崎市)
- 専福寺の大ケヤキ(福井県大野市)
- 上野原の大ケヤキ(山梨県上野原市)
- 三恵の大ケヤキ(山梨県南アルプス市)- 樹齢1000年、「日本三大ケヤキ」
- 根古屋神社の大ケヤキ(山梨県北杜市)- 樹齢1000年
- 八代の大ケヤキ(兵庫県朝来市)- 樹齢1600年
- 野間の大ケヤキ(大阪府能勢町)- 樹齢1000年
- 竹の熊の大ケヤキ(熊本県南小国町)
- 下野八幡宮の大ケヤキ(宮崎県高千穂町)
なお、東京競馬場の第3コーナー内側に、俗に「大欅」と呼ばれる大木がある。数々の逸話があり、「欅ステークス」という名の特別競走まで開催されているが、実際は榎(エノキ)であってケヤキではない。
日本の著名なケヤキ並木
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志村けんの木(東京都東村山市)
脚注
- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zelkova serrata (Thunb.) Makino ケヤキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 183.
- ^ a b c d 亀田龍吉 2014, p. 87.
- ^ a b c d e f g h 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 107.
- ^ 中村 享『万葉鉢づくり』立風書房、1990年6月30日、62, 63頁。ISBN 4-651-86010-9。
- ^ a b c d e f g h i 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 99.
- ^ a b c d 林将之 2008, p. 22.
- ^ a b 辻井達一 1995, p. 130.
- ^ a b 辻井達一 1995, p. 131.
- ^ a b c d e f g h i j k l 田中潔 2011, p. 114.
- ^ 香田徹也「昭和15年(1940年)林政・民有林」『日本近代林政年表 1867-2009』p420 日本林業調査会 2011年 全国書誌番号:22018608
- ^ 宮城県仙台市在住の歌手さとう宗幸は、仙台市にある定禅寺通のケヤキ並木をイメージし『欅伝説』という歌曲も作成した(1998年4月24日)。
参考文献
- 亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日、87頁。ISBN 978-4-418-14424-2。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、183頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 田中潔『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、114頁。ISBN 978-4-07-278497-6。
- 辻井達一『日本の樹木』中央公論社〈中公新書〉、1995年4月25日、127 - 131頁。ISBN 4-12-101238-0。
- 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、99頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日。ISBN 4-522-21557-6。
- 茂木透写真『樹に咲く花 離弁花1』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、284-289頁。ISBN 4-635-07003-4。
関連項目
外部リンク
- "Zelkova serrata (Thunb.) Makino" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2013年4月26日閲覧。
- "Zelkova serrata (Thunb.) Makino". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2013年4月26日閲覧。
- "Zelkova serrata". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Zelkova serrata" - Encyclopedia of Life
- 波田善夫. “ケヤキ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2013年4月26日閲覧。