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「めくらやなぎと眠る女 (映画)」の版間の差分

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2024年8月10日 (土) 03:53時点における版

めくらやなぎと眠る女』(めくらやなぎとねむるおんな、フランス語: Saules aveugles, femme endormie)は、ピエール・フォルデスが脚本・製作・監督・作曲を担当した、2022年のアンソロジーアニメ映画作品[1]カナダフランスルクセンブルクオランダの国際共同制作作品である。

村上春樹の3つの短編小説集『めくらやなぎと眠る女』『象の消滅』『神の子どもたちはみな踊る』から6編の短編小説(「めくらやなぎと眠る女」・「ねじまき鳥と火曜日の女たち」・「UFOが釧路に降りる」・「バースデイ・ガール」・「かえるくん、東京を救う」・「かいつぶり」)を脚色し、東日本大震災直後の東京を舞台に、二人の銀行員を主人公として描いている[2][3]

制作にあたり、監督のフォルデスは3Dモーションキャプチャで俳優のライブアクションを「参照元」の動作として脚本全編を撮影し、アニメーターが俳優の頭を3Dモデルに置き換えた上で表情をトレースしたのち、2Dアニメ化した[1]

本作は2022年度アヌシー国際アニメーション映画祭で初公開され[4]、審査員賞を受賞した[5]。その後第47回トロント国際映画祭の現代ワールドシネマ部門でも上映された[6][7]

あらすじ

東日本大震災の発生から5日後の東京。東京安全信用金庫に勤める小村は、妻のキョウコが発生から夜中も震災のテレビニュースを見続けて寝ていないことが気になっていた。帰宅すると、キョウコは手紙を残して、失踪していた。手紙には「あなたとの生活は空気の塊と暮らすみたい」とあり、戻ることはないから自分の荷物を後日引き上げ、飼い猫の世話を頼むという内容だった。

一方同じ信用金庫で審査課に勤める片桐は、上司から返済の滞った融資先からの回収を急ぐよう命令されて途方に暮れていた。片桐が帰宅すると室内には巨大なカエルが椅子に座り、片桐に話しかける。驚く片桐にカエルは、信用金庫の地下にいる巨大なミミズが一週間後に暴れてもっと大きな地震をもたらすおそれがあり、そのミミズと自分が戦うから片桐に応援してほしいと頼んだ。半信半疑の片桐にカエルは、何か一つ困りごとを解決すると話す。

小村は耳の病気を持ついとこが病院に行くのに付き添う。海が見える病院の待合室で、小村はキョウコとのなれそめを話した。若い頃の親友の彼女がキョウコで、3人で出かけたときにキョウコは、「めくらやなぎ」という柳の下で眠る女の耳に小さな蠅が入ってその肉を食べるという話をした。その後親友がバイク事故で死んだ後、キョウコと付き合って結婚したのだと。小村は帰路、いとこと『リオ・グランデの砦』という映画について話し合った。

出勤した小村が一週間の休暇を申請すると上司は、アウトソーシングを導入するので、この会社では小村の将来はないと話す。どうするかを問われた小村は休暇中に考えると答えた。その帰り、小村は飲み屋で同僚から釧路に住む妹まで小さな荷物を運ぶよう頼まれ、航空券や宿の手配もすると言われて引き受けた。釧路に着くと同僚の妹とその知人の女性・シマオが出迎え、小村は頼まれた荷物を渡す。二人は小村をお茶や食事に連れて行く。小村が妻の話をすると、シマオは知り合いの妻がUFOに遭遇して、その後失踪したと言う。小村は宿となるラブホテルに案内され、少し部屋にいることを望んだシマオを残した。小村とシマオはそのまま肉体関係を持つ。

片桐が出勤すると、滞っていた融資先の顧問弁護士がいて、期日までに利子を付けて返済するから二度とカエルをよこすなという伝言を伝えた。その後、片桐がレストランにいるとカエルが出現し、言ったとおりになったから応援しろと話して、次に会う日時と場所を指定した。

小村との接触を絶ったキョウコは、ホテルの飲食店で男の知人と会食していた。キョウコは二十歳頃に、ここにあったイタリア料理店で働いていたことを話す。二十歳の誕生日に給仕長が腹痛で不在になり、代わりにキョウコがホテルの上の階に住む料理店のオーナーに夕食を届けた。今日がキョウコの誕生日と知ったオーナーはそれを喜び、一つ願いを叶えるという。キョウコの口にした願いをオーナーは「この年頃には珍しい」と話した。

カエルとの集合場所に向かった片桐は何者かに狙撃されたような体験の後、気を失う。気がつくと病院のベッドにいたが撃たれた形跡はなく、看護師からは「倒れていた」と説明される。すでに約束の日時は過ぎていた。そこへカエルが出現し、戦いは終わって東京は救われたのだという。カエルは謎めいた言葉を残して体が溶けるが、驚いて見回すと病室には異変はなかった。

東京に戻った小村は飼い猫「ワタナベ・シゲル」の行方を捜して近くの家にたどり着く。庭のガーデンチェアに座っていた若い女性が小村に気付いて、ネコの通り道を知っているからここで待っていれば出てくると話し、小村は隣のチェアに座る。そこで小村は上司にスマートフォンをかけて、退職する意向を伝えた。

出勤した片桐に上司は、アウトソーシングの導入で職場を去る人間がいると話し、不良融資回収で功績を挙げた片桐を審査課長に昇進させると告げた。

キョウコが新居で荷物を開梱すると、そこに「ワタナベ・シゲル」が潜んでいた。

評価

映画批評サイトロッテントマトでは、2024年8月時点で、28件のレビューに基づき79%の支持を集めた[8]

2024年の第29回リュミエール賞英語版最優秀アニメ映画賞英語版にノミネートされた[9]

脚注

  1. ^ a b Ben Croll, "Miyu Adapts Haruki Murakami Stories With Novel Animation Technique in ‘Blind Willow, Sleeping Woman’". Variety, 2022年6月19日(英語)
  2. ^ Wendy Ide, "‘Blind Willow, Sleeping Woman’: Annecy Review". en:Screen Daily, 2022年6月16日(英語)
  3. ^ めくらやなぎと眠る女 - ユーロスペース
  4. ^ John Hopewell, "Annecy Gets ‘Pinocchio,’ ‘Spider-Verse,’ ‘Puss in Boots’ Footage and ‘Lightyear,’ and Unveils Festival Lineup". Variety, 2022年5月2日(英語)
  5. ^ Valerie Complex, "‘Little Nicholas – Happy As Can Be’ Takes Top Honor At Annecy International Animation Film Festival". Deadline Hollywood,2022年6月18日(英語)
  6. ^ Eric Lavallée, "2022 TIFF: Charlotte Le Bon’s Falcon Lake, Graham Foy’s The Maiden & Carly Stone’s North of Normal Added to CWC Section". Ion Cinema, 2022年8月11日(英語)
  7. ^ Blind Willow, Sleeping Woman”. tiff. 2024年8月10日閲覧。
  8. ^ Blind Willow, Sleeping Woman” (英語). Rotten Tomatoes (14 April 2023). 2024年8月10日閲覧。
  9. ^ Scott Roxborough, "‘Anatomy of a Fall’ Leads France’s Lumiere Award Nominations". The Hollywood Reporter, 2023年12月14日(英語)

外部リンク