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「イイダコ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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浅い海の、岩礁が点在する砂泥底に生息し、[[砂浜]]の海中などでも姿を見ることができる。また、外洋性の[[マダコ]]に対して波の穏やかな内湾に多く、日本本土では[[テナガダコ]]と生息域が重複する。昼間は石の隙間や[[アマモ]]場にひそむが、大きな[[二枚貝]]の[[貝殻]]や捨てられた空き[[缶]]、空き[[瓶]]なども隠れ家として利用する。夜になると海底を移動しながら餌を探し、海岸性の[[エビ]]や[[カニ]]、[[多毛類]]、[[貝類]]などさまざまな[[ベントス]]を捕食する。敵は[[マゴチ]]や[[エソ]]類などである。
浅い海の、岩礁が点在する砂泥底に生息し、[[砂浜]]の海中などでも姿を見ることができる。また、外洋性の[[マダコ]]に対して波の穏やかな内湾に多く、日本本土では[[テナガダコ]]と生息域が重複する。昼間は石の隙間や[[アマモ]]場にひそむが、大きな[[二枚貝]]の[[貝殻]]や捨てられた空き[[缶]]、空き[[瓶]]なども隠れ家として利用する。夜になると海底を移動しながら餌を探し、海岸性の[[エビ]]や[[カニ]]、[[多毛類]]、[[貝類]]などさまざまな[[ベントス]]を捕食する。敵は[[マゴチ]]や[[エソ]]類などである。


産卵期は冬から春にかけてで、石の間や貝殻の中に長径4mm程度の半透明の卵を産卵する。この卵は[[マダコ]]よりも大粒で、ちょうど[[米]]粒くらいの大きさがある。産卵後はメスが卵のそばに留まって卵を保護し、卵が孵化するとほとんどのメスは死んでしまう。
[[産卵期]]は冬から春にかけてで、石の間や貝殻の中に長径4mm程度の半透明の卵を産卵する。この卵は[[マダコ]]よりも大粒で、ちょうど[[米]]粒くらいの大きさがある。産卵後は[[メス]]が卵のそばに留まって卵を保護し、卵が孵化するとほとんどのメスは死んでしまう。
==利用==
==利用==
[[画像:二枚貝のイイダコ仕掛けP9166509.JPG|thumbnail|230px|二枚貝のイイダコ仕掛け(明石市二見漁港にて)]]
海岸からの[[釣り]]でわりと手軽に漁獲できる。イイダコは[[白]]いものに飛びつく習性があ、イイダコ釣り用の「テンヤ」が市販されてる。地方によっては鉤に[[スイセン]]の[[球根]]を取り付けて釣る。また、[[キス (魚)|キス]]釣りや[[クロダイ]]釣りの外道として挙がることもある。
[[Image:イイダコとイイダコテンヤPC313471.JPG |thumbnail|230px|イイダコとピンクのイイダコテンヤ]]
[[Image:イイダコの刺身PC313522.JPG |thumbnail|230px|イイダコの刺身]]
海岸からの[[釣り]]でわりと手軽に漁獲できる。イイダコは[[白]]いものに飛びつく習性があるがこれはイイダコが食とする二枚貝と見誤るからといわれ、そ[[錯覚]]を利用した漁法として「テンヤ」釣りあり、釣具店などでも市販されており、白色のほか、[[ピンク]]、[[赤]]など派手な色が好まれる。地方によっては鉤に[[スイセン]]の[[球根]]や[[ラッキョ]]を取り付けて釣る。また、[[キス (魚)|キス]]釣りや[[クロダイ]]釣りの外道として挙がることもある。


釣り以外に[[タコツボ]]漁でも漁獲されるが、イイダコ用の「タコツボ」は大きな[[二枚貝]]の[[貝殻]]、またはそれを模した[[プラスチック]]製の貝殻が用いられる。
釣り以外に[[タコツボ]]漁でも漁獲されるが、イイダコ用の「タコツボ」は大きな[[二枚貝]]の[[貝殻]]、またはそれを模した[[プラスチック]]製の貝殻が用いられる。
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[[瀬戸内海]]沿岸および[[九州]]西部のものが有名で、胴の内部に卵をびっしり持ったメスが珍重される。市場には10cm前後のものが主に出回る。
[[瀬戸内海]]沿岸および[[九州]]西部のものが有名で、胴の内部に卵をびっしり持ったメスが珍重される。市場には10cm前後のものが主に出回る。


塩で揉み洗いしてから塩茹でし、丸のまま[[おでん]]種、もしくはぶつ切りにして[[酢味噌和え]]などに利用される。煮るときに[[酢]]を少量入れると柔らかく煮えるとされる。歯ごたえのある身と、濃厚な旨みのある卵は美味である。
塩で揉み洗いしてから塩茹でし、丸のまま[[おでん]]種、もしくはぶつ切りにして[[酢味噌和え]]などに利用される。煮るときに[[酢]]を少量入れると柔らかく煮えるとされる。歯ごたえのある身と、濃厚な旨みのある卵は美味である。また、釣りたての新鮮なイイダコはさっと湯をくぐらせただけの[[刺身]]が非常に美味である。


==外部リンク==
*[http://www.taco-ferry.com/oct-letter/vol1-10.html たこフェリー]
*[http://www.hyogo-suigi.jp/gk/pdf/gk1901.pdf 兵庫県水産技術センターだより]
*[http://homepage2.nifty.com/SUGIOKA/note/20050717.htm 古代のイイダコ蛸壺]
*[http://www.fis-net.co.jp/~club/per/per6/per6-2/html/62-35.html イイダコテンヤ仕掛け]
*[http://homepage2.nifty.com/toru_tanaka/Dityself.htm テンヤ仕掛けの作り方]
{{commons|Octopus ocellatus}}
{{commons|Octopus ocellatus}}



2007年5月29日 (火) 05:31時点における版

?イイダコ

貝殻に収まっている様子。
神戸市立須磨海浜水族園にて
分類
 :動物界 Animalia
 :軟体動物門 Mollusca
 :頭足綱 Cephalopoda
上目 :八腕形上目 Octopodiformes
 :タコ目(八腕目) Octopoda
亜目 :マダコ亜目 Incirrina
 :マダコ科 Octopodidae
亜科 :マダコ亜科 Octopodinae
 :マダコ属 Octopus
 :イイダコ O. ocellatus
学名
Octopus ocellatus Gray, 1849
和名
イイダコ
英名
Ocellated octopus

イイダコ(飯蛸) Octopus ocellatus は、タコ目・マダコ科に属するタコの一種。浅い海に生息する小型のタコで、食用に多く漁獲される。和名粒に似た大粒のを持つことに由来する。コモチダコという別名もある。

特徴

体長は最大でも30cmほどで、小型のタコである。体表は低いいぼ状突起が多い。体色は周囲の環境により変化するが、腕の間のひだに金色の状紋が2つあることと、両目の間に長方形の模様があることで他種と区別できる。また、興奮すると腕や外套(いわゆる「頭」)に黒い縦帯模様が現れる。

日本から中国までの東アジア沿岸域に分布する。

浅い海の、岩礁が点在する砂泥底に生息し、砂浜の海中などでも姿を見ることができる。また、外洋性のマダコに対して波の穏やかな内湾に多く、日本本土ではテナガダコと生息域が重複する。昼間は石の隙間やアマモ場にひそむが、大きな二枚貝貝殻や捨てられた空き、空きなども隠れ家として利用する。夜になると海底を移動しながら餌を探し、海岸性のエビカニ多毛類貝類などさまざまなベントスを捕食する。敵はマゴチエソ類などである。

産卵期は冬から春にかけてで、石の間や貝殻の中に長径4mm程度の半透明の卵を産卵する。この卵はマダコよりも大粒で、ちょうど粒くらいの大きさがある。産卵後はメスが卵のそばに留まって卵を保護し、卵が孵化するとほとんどのメスは死んでしまう。

利用

二枚貝のイイダコ仕掛け(明石市二見漁港にて)
ファイル:イイダコとイイダコテンヤPC313471.JPG
イイダコとピンクのイイダコテンヤ
ファイル:イイダコの刺身PC313522.JPG
イイダコの刺身

海岸からの釣りでわりと手軽に漁獲できる。イイダコはいものに飛びつく習性があるが、これはイイダコが食用とする二枚貝と見誤るからといわれ、その錯覚を利用した漁法として「テンヤ」釣りがあり、釣具店などでも市販されており、白色のほか、ピンクなど派手な色が好まれる。地方によっては鉤にスイセン球根ラッキョを取り付けて釣る。また、キス釣りやクロダイ釣りの外道として挙がることもある。

釣り以外にタコツボ漁でも漁獲されるが、イイダコ用の「タコツボ」は大きな二枚貝貝殻、またはそれを模したプラスチック製の貝殻が用いられる。

瀬戸内海沿岸および九州西部のものが有名で、胴の内部に卵をびっしり持ったメスが珍重される。市場には10cm前後のものが主に出回る。

塩で揉み洗いしてから塩茹でし、丸のままおでん種、もしくはぶつ切りにして酢味噌和えなどに利用される。煮るときにを少量入れると柔らかく煮えるとされる。歯ごたえのある身と、濃厚な旨みのある卵は美味である。また、釣りたての新鮮なイイダコはさっと湯をくぐらせただけの刺身が非常に美味である。

外部リンク