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「ユカギール人」の版間の差分

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== 遺伝子 ==
== 遺伝子 ==
ある研究では、13人のユカギール人男性の[[Y染色体ハプログループ]]は[[ハプログループC-M217 (Y染色体)|C2系統]]が4人(31%)、[[ハプログループN-M231 (Y染色体)|N1a1系統]]が4人(31%)、[[ハプログループQ-M242 (Y染色体)|Q系統]]が4人(31%)、[[ハプログループF (Y染色体)|F(xI, J2, N1a2, N1a1, O, Q, R1a)系統]]が1人(8%)となっている<ref>Duggan AT, Whitten M, Wiebe V, Crawford M, Butthof A, et al. (2013) Investigating the Prehistory of Tungusic Peoples of Siberia and the Amur-Ussuri Region with Complete mtDNA Genome Sequences and Y-chromosomal Markers PLoS ONE 8(12): e83570. doi:10.1371/journal.pone.0083570</ref>。この研究のユカギール人男性でハプログループN1a1に属す4人のうち、3人がコリャークにも多く見られる下位系統に属し、1人がヤクートの主流となっている系統と近縁。
ある研究では、13人のユカギール人男性の[[Y染色体ハプログループ]]は[[ハプログループC-M217 (Y染色体)|C2系統]]が4人(31%)、[[ハプログループN-M231 (Y染色体)|N1a1系統]]が4人(31%)、[[ハプログループQ-M242 (Y染色体)|Q系統]]が4人(31%)、[[ハプログループF (Y染色体)|F-M89(xJ2-M172, N1a1-TatC, N1a2-P43, O2-M122, Q-P36, R1-M173)系統]]が1人(8%)となっている<ref>Duggan AT, Whitten M, Wiebe V, Crawford M, Butthof A, et al. (2013) Investigating the Prehistory of Tungusic Peoples of Siberia and the Amur-Ussuri Region with Complete mtDNA Genome Sequences and Y-chromosomal Markers PLoS ONE 8(12): e83570. doi:10.1371/journal.pone.0083570</ref>。この研究のユカギール人男性でハプログループN1a1に属す4人のうち、3人がコリャークにも多く見られる下位系統に属し、1人がヤクートの主流となっている系統と近縁。


別の研究では、11人のユカギール人男性の[[Y染色体ハプログループ]]のうち、3人が[[ハプログループN (Y染色体)|ハプログループN1a1]]([[ヤクート人|ヤクート]]の主流となっている系統とは異なる下位系統で、むしろ非ヤクートのチュルク系民族、モンゴル系民族、チュクチやコリャーク等に多く見られる下位系統と比較的近縁)に属し、4人が[[ハプログループC2 (Y染色体)|ハプログループC2]](3人が[[コリャーク人]]にも見られるのと同じ下位系統のC-M217(xM407, M48)に、1人がC-M48に)、1人が[[ハプログループO1a (Y染色体)|ハプログループO-M119]](ハプログループO-M119の確認例としては最北の民族である)に属していた。残りの3人は、2人が[[ハプログループR1a (Y染色体)|ハプログループR1a1-M198(xM458)]]に、1人が[[ハプログループI (Y染色体)|ハプログループI2a-P37]]に属しており、[[ロシア人]]の遺伝的影響が疑われる。 この研究では、[[ミトコンドリアDNA]]に関して、ユカギール人と[[チュクチ人]]の間に類似点は見られなかった<ref>Fedorova SA, Reidla M, Metspalu E, et al. [https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3695835/ Autosomal and uniparental portraits of the native populations of Sakha (Yakutia): implications for the peopling of Northeast Eurasia]. BMC Evol Biol. 2013;13:127. Published 2013 Jun 19. doi:10.1186/1471-2148-13-127</ref>。
別の研究では、11人のユカギール人男性の[[Y染色体ハプログループ]]のうち、3人が[[ハプログループN (Y染色体)|ハプログループN1a1]]([[ヤクート人|ヤクート]]の主流となっている系統とは異なる下位系統で、むしろ非ヤクートのチュルク系民族、モンゴル系民族、チュクチやコリャーク等に多く見られる下位系統と比較的近縁)に属し、4人が[[ハプログループC2 (Y染色体)|ハプログループC2]](3人が[[コリャーク人]]にも見られるのと同じ下位系統のC-M217(xM407, M48)に、1人がC-M48に)、1人が[[ハプログループO1a (Y染色体)|ハプログループO-M119]](ハプログループO-M119の確認例としては最北の民族である)に属していた。残りの3人は、2人が[[ハプログループR1a (Y染色体)|ハプログループR1a1-M198(xM458)]]に、1人が[[ハプログループI (Y染色体)|ハプログループI2a-P37]]に属しており、[[ロシア人]]の遺伝的影響が疑われる。 この研究では、[[ミトコンドリアDNA]]に関して、ユカギール人と[[チュクチ人]]の間に類似点は見られなかった<ref>Fedorova SA, Reidla M, Metspalu E, et al. [https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3695835/ Autosomal and uniparental portraits of the native populations of Sakha (Yakutia): implications for the peopling of Northeast Eurasia]. BMC Evol Biol. 2013;13:127. Published 2013 Jun 19. doi:10.1186/1471-2148-13-127</ref>。

2024年2月10日 (土) 23:53時点における版

ユカギール
Юкагиры
ヤクーチア(現、サハ共和国)のユカギール(1905年)
総人口
1,603人
居住地域
ロシアの旗 ロシア
言語
ユカギール語ロシア語ヤクート語
宗教
シャーマニズムロシア正教会

ユカギール人(Yukaghir/Yukagir、ロシア語: юкаги́ры、自称はロシア語: одул(odul)、ロシア語: деткиль(detkil)など)は、シベリア東部に住む先住民族である。コリマ川流域のサハ共和国マガダン州チュクチ自治管区に住んでいる。居住地域は2つに分かれ、北部ユカギール(ツンドラ・ユカギール)はサハ共和国コリマ川下流部に、南部ユカギール(タイガ・ユカギール)はコリマ川上流部とマガダン州スレドネカンスキー地区に住む。

概要

ユカギール人の住む集落(2010年コンサスによる)

ユカギール人は北東アジアで最も古い民族の一つと考えられ、古くはバイカル湖から北極海まで住んでいたといわれる。17世紀にロシア人が入植した頃には、レナ川からアナディル川河口に至る広い範囲に住み、9,000人ほどいた。しかし19世紀にかけて伝染病などで人口が減少し、一部の人々はヤクートエヴェンに同化した。

部族

かつては多数の部族があり、現在はそのうち次の3部族のみ残っているとされるが、部族としてのアイデンティティも失われつつある。

  • ヴァドゥル Vadul はツンドラ・ユカギールに当たり、主にトナカイを飼育している。人口は700人以上。
  • オドゥル Odul、はタイガ・ユカギールに当たり、狩猟採集生活をしている。人口は400人以下とされる。
    • ヴァドゥルとオドゥルを合わせた人口は1,509人(2002年)となっている。また、ヴァドゥル、オドゥルはいずれも「力強い」という意味である。
  • チュヴァン Chuvan:チュクチ語を用いているが元来ユカギールの部族である。人口1087人(2002年)。かつてはチュクチ人とともにいたが現在はコリマ川流域に住む。

言語

母語であるユカギール諸語ウラル語族との同系説が有力である。これにチュクチ・カムチャツカ語族エスキモー・アレウト語族も加えたウラル・シベリア語族を成すとする説[1]もある。

現在多くの人がヤクート語ロシア語を使うようになっており、ユカギール語は話者が200人以下で絶滅の危機にある。

宗教

ユカギールのシャーマン、1902年

正教が布教されたが、古来のアニミズムシャーマニズムも残る。太陽を最高として様々な精霊が世界を支配し、シャーマンも死後は神になると考えられていた。

遺伝子

ある研究では、13人のユカギール人男性のY染色体ハプログループC2系統が4人(31%)、N1a1系統が4人(31%)、Q系統が4人(31%)、F-M89(xJ2-M172, N1a1-TatC, N1a2-P43, O2-M122, Q-P36, R1-M173)系統が1人(8%)となっている[2]。この研究のユカギール人男性でハプログループN1a1に属す4人のうち、3人がコリャークにも多く見られる下位系統に属し、1人がヤクートの主流となっている系統と近縁。

別の研究では、11人のユカギール人男性のY染色体ハプログループのうち、3人がハプログループN1a1ヤクートの主流となっている系統とは異なる下位系統で、むしろ非ヤクートのチュルク系民族、モンゴル系民族、チュクチやコリャーク等に多く見られる下位系統と比較的近縁)に属し、4人がハプログループC2(3人がコリャーク人にも見られるのと同じ下位系統のC-M217(xM407, M48)に、1人がC-M48に)、1人がハプログループO-M119(ハプログループO-M119の確認例としては最北の民族である)に属していた。残りの3人は、2人がハプログループR1a1-M198(xM458)に、1人がハプログループI2a-P37に属しており、ロシア人の遺伝的影響が疑われる。 この研究では、ミトコンドリアDNAに関して、ユカギール人とチュクチ人の間に類似点は見られなかった[3]

脚注

  1. ^ Fortescue, Michael. 1998. Language Relations across Bering Strait: Reappraising the Archaeological and Linguistic Evidence. London and New York: Cassell. ISBN 0-304-70330-3.
  2. ^ Duggan AT, Whitten M, Wiebe V, Crawford M, Butthof A, et al. (2013) Investigating the Prehistory of Tungusic Peoples of Siberia and the Amur-Ussuri Region with Complete mtDNA Genome Sequences and Y-chromosomal Markers PLoS ONE 8(12): e83570. doi:10.1371/journal.pone.0083570
  3. ^ Fedorova SA, Reidla M, Metspalu E, et al. Autosomal and uniparental portraits of the native populations of Sakha (Yakutia): implications for the peopling of Northeast Eurasia. BMC Evol Biol. 2013;13:127. Published 2013 Jun 19. doi:10.1186/1471-2148-13-127