原子心母 (曲)
「原子心母」 | ||||
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ピンク・フロイドの楽曲 | ||||
収録アルバム | 『原子心母』 | |||
リリース | 1970年10月2日 | |||
規格 | レコード[1] | |||
録音 | 1970年 | |||
ジャンル | プログレッシブ・ロック | |||
時間 | 23分44秒 | |||
レーベル | ハーヴェスト・レコード | |||
作曲者 | ニック・メイスン デヴィッド・ギルモア ロジャー・ウォーターズ リチャード・ライト ロン・ギーシン | |||
プロデュース | ピンク・フロイド | |||
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「原子心母」(げんししんぼ、原題 : Atom Heart Mother)は、1970年に発表されたピンク・フロイドの楽曲である[2]。20分を超える大作で、5つのパートに分かれており、同バンドの評価を飛躍的に上昇させた曲として知られる。
作曲や録音の経緯
[編集]同名アルバム『原子心母』のアナログA面を覆う23分強のこの大作は、元々はデヴィッド・ギルモアがコンサートツアー中に思いついたインストゥルメンタル・ナンバーである。ギルモアはこれを「Theme from an Imaginary Western」と呼んでいた。ロジャー・ウォーターズはこの曲に感銘を受け、バンドはこの曲をだんだん形にしていった。バンドはこの曲を「The Amazing Pudding」と呼び、コンサートでも1970年1月にパリで披露されて以降、ライブのレパートリーになっていた。
3月にアビーロードスタジオで4人で録音したものの物足らなさを感じ、ウォーターズは知人から紹介されたロン・ギーシンにテープを渡し、4~5月にピンク・フロイドがアメリカ公演をやっている間にアレンジをするように頼んだ。ギーシンがアレンジし、結果出来上がった曲は、大作にふさわしいスケールの大きなもので、なおかつメロディアスなものであった。しかしながら、中間部分のギターソロを除けばやはり、チェロ・ソロ等ほぼクラシック作品であるといえる。
ピンク・フロイドの帰国後、ブラス、チェロ、コーラスが録音され、1970年6月イギリスのバースで行われたコンサートで、コーラス、ブラス隊の加わったバージョンが初めて披露された。以降では数公演オーケストラ部隊との共演を果たしている。
タイトル「Atom Heart Mother」が決まったのは1970年7月16日「BBCインコンサート」出演のときである。このときまで正式なタイトルは決まっていなかったのだった。DJのジョン・ピールから「お客さんに紹介するためにタイトルが必要」と言われた際、ロン・ギーシンが持っていた当日のイブニング・スタンダード紙に「Atom Heart Mother Named」という見出しで、原子力電池駆動の心臓ペースメーカーの植込み手術に成功した56歳の女性の記事があるのを見て「Atom Heart Mother」というタイトルが決定した。
パート
[編集]この曲は5つのパートに分かれており、その境界は以下のとおりである。
パート | 時間 |
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父の叫び | 〜2:54 |
ミルクたっぷりの乳房 | 2:55〜5:26 |
マザー・フォア | 5:27〜10:12 |
むかつくばかりのこやし | 10:13〜15:29 |
喉に気をつけて | 15:30〜19:13 |
再現 | 19:14〜23:43 |
初めにハモンドオルガンの音色から始まり、直後金管楽器を用いたメインテーマが演奏される。メインテーマが終わると一旦静かになり、オートバイの効果音などを聞くことができる。「ミルクたっぷりの乳房」に入るとベースとオルガンを伴ったチェロのソロが始まり、後からドラムが入ってギルモアによるギターソロが展開される。
「マザー・フォア」では、再びベースとオルガンの優しい音色と共に、コーラス隊が現れる。そして、8:51より、メイスンのドラムが参加する。「むかつくばかりのこやし」では、最初にコーラス隊は登場せず、ギルモアが再びギターソロを展開する。13:00から再びコーラス隊の合唱が始まる。その後、メインテーマのリプライズを行う。
「喉に気をつけて」は2つのパートに分かれている。前半はメロトロンによる不協和音が展開され、歪んだ声が聞こえたあと、機関車の効果音によってかき消される。後半はエコーのかかった音声が続いたあと、歪んだ声による「Silence In The Studio!」という呼びかけのあと、メインテーマのリプライズが行われる。 「再現」においてはメインテーマの後のヴィオラ・ソロのリプライズから始まり、すべての楽器が登場して曲を盛り上げ終焉へ向かう。
パーソネル
[編集]- デヴィッド・ギルモア - ギター、スライドギター
- ロジャー・ウォーターズ - ベースギター、テープ編集
- リチャード・ライト - ハモンドオルガン、キーボード、メロトロン、グランドピアノ
- ニック・メイスン - ドラム、パーカッション、テープ編集
カバー
[編集]参考文献
[編集]- ^ Mabbett, Andy (1995). The Complete Guide to the Music of Pink Floyd. London: Omnibus,ISBN 0-7119-4301-X
- ^ Manning, Toby (2006). "The Albums". The Rough Guide to Pink Floyd (1st ed.). London: Rough Guides. p. 162. ISBN 1-84353-575-0.
- ^ “原子心母の危機”. 日本コロムビア (2014年5月21日). 2022年12月26日閲覧。