大三冠
囲碁 |
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大三冠(だいさんかん)は、日本の囲碁の棋戦における七大タイトル(棋聖・名人・王座・天元・本因坊・碁聖・十段)のうち、特に上位とされる二大タイトル(棋聖・名人)と、最も古くからあるタイトル戦の本因坊に同時に在位すること[1]。達成したのは趙治勲、井山裕太、一力遼の3名のみである。
2023年までは棋聖・名人・本因坊を三大タイトルと称した。他の七大タイトルと三大タイトルの違いとしては、他の七大タイトルが挑戦者をトーナメントで決定するのに対し三大タイトルは総当りのリーグ戦を採用していた点や、他の七大タイトルの挑戦手合は1日制の五番勝負であるのに対し三大タイトルは2日制の七番勝負であった点などが挙げられる。また、三大タイトルだけで賞金額総額1億円を超えるなど大きな開きがあった。
しかし、2024年から、本因坊戦がスポンサーの都合で賞金額や番勝負の回数などを減らしたために、かつての「三大タイトル」はなくなり、挑戦で八段、獲得で九段に昇段できるのは棋聖と名人の「ニ大タイトル」のみとなった。それに伴い二大タイトルの同時在位者を棋聖名人(きせいめいじん)と称する。
また、歴史ある称号として、名人と本因坊の両方を同時に獲得すると、慣習的に名人本因坊(めいじんほんいんぼう)と称せられる。現在の「大三冠」は、「棋聖名人」と「名人本因坊」を合わせたものである。
歴代大三冠
棋士 | 生年 | 期間 | 合計 | ||
1 | 趙治勲 | 1956年6月20日(68歳) | 1983年3月18日-7月28日 | 133日 | 1104日 |
1996年11月8日-1999年7月6日 | 2年240日 | ||||
2 | 井山裕太 | 1989年5月24日(35歳) | 2013年10月17日-2016年11月3日 | 3年17日 | 2013日 |
2017年10月17日-2018年11月2日 | 1年16日 | ||||
2020年10月14日-2022年3月18日 | 1年155日 | ||||
3 | 一力遼 | 1997年6月10日(27歳) | 2024年10月31日- | 継続中 |
備考
- 小林光一は約5年間棋聖と名人の二冠だったものの本因坊位が取れず大三冠にはなれなかった。3度挑戦するも3回とも趙治勲に阻まれている。
- 一力遼は棋聖在位中の2023年、本因坊戦の七番勝負制最後となった第78期本因坊戦で井山裕太から本因坊位を奪取している[2]。2024年に芝野名人から名人位を奪って史上3人目の大三冠となった。
- 本因坊戦の初期は六番勝負制であり、棋聖戦も2000年まではリーグ戦ではなくトーナメント戦であった。名人本因坊の称号は伝統にのっとるものなので、2024年から本因坊戦がトーナメント制かつ五番勝負制になったからといって大三冠の称号がなくなるとは言えない。
棋聖名人
2024年からの二大タイトルである棋聖と名人の同時在位を過去に達成したのは、趙治勲、小林光一、井山裕太、一力遼の4名である。
名人本因坊
名人と本因坊に同時に在位することを指して「名人本因坊」と呼ぶ。棋聖と本因坊の同時在位については特に呼称されることはない[1]。井山裕太は、その理由をかつての時代の名残ではないかと推測している(名人の起こりが江戸時代から、本因坊も戦前からあるのに対し、棋聖を含む他の5つは戦後に創設された)[1]。
歴代名人本因坊
棋士 | 生年 | 年 | |
1 | 坂田栄男 | 1920年2月15日 | 1963-1964 |
2 | 林海峰 | 1942年5月6日(82歳) | 1969 |
3 | 石田芳夫 | 1948年8月15日(76歳) | 1974 |
4 | 趙治勲 | 1956年6月20日(68歳) | 1981-1982 1996-1998 |
5 | 張栩 | 1980年1月20日(44歳) | 2004 |
6 | 高尾紳路 | 1976年10月26日(48歳) | 2006 |
7 | 山下敬吾 | 1978年9月6日(46歳) | 2011 |
8 | 井山裕太 | 1989年5月24日(35歳) | 2013-2015 2017 2020 2022 |
9 | 一力遼 | 1997年6月10日(27歳) | 2024 |
三大タイトルの歴代在位者
脚注
出典
- ^ a b c “史上2人目! 井山裕太九段が達成した「大三冠」とは”. NHKテキストビュー. 2019年6月25日閲覧。
- ^ 一力棋聖が初の本因坊獲得 最終局、辛抱の末に逆転 河北新報 2023年7月20日