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Me 209 (航空機)

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メッサーシュミットMe 209 第二次世界大戦時にドイツで試作された、単発プロペラの高速記録機/戦闘機である。高速記録機とそれを戦闘機化したV1からV4までと、Bf109の後継機として開発されたV5からV7までの、まったく異なった2機種がMe209として試作されたが、結局どちらのタイプも実用化されずに開発は中止になった。

V1からV4まで

メッサーシュミット社は1937年から世界速度記録を樹立させる計画を開始したが、これに対してドイツ航空省はMe209の制式名称を与えた。試作第1号機V1は1938年8月に、第2号機V2は1939年に初飛行を行った。

開発された機体はDB601Aエンジンを速度記録用に特別にチューンアップしたDB601ARJエンジンを搭載した。このエンジンは、瞬間的に2300hpの出力を出すことができたが、初飛行時には完成が間に合わずDB601Aエンジンで飛行が行なわれた。機体は、全長、全幅とも10mに満たないコンパクトさで、出来るだけ空気抵抗を減らすよう成型されていた。また空気抵抗を嫌い、エンジン冷却は主翼外板での表面冷却方式をとった。この方式のため大量に冷却水を搭載せねばならず、エンジンの稼動時間はわずか30分程であった。

1938年4月26日にDB601ARJエンジンに換装したV1は直線飛行の速度記録に挑戦し、それまでにHe100が記録していたレジプロ陸上機の速度記録を更新する755.13km/hを記録した。この記録は、公式には30年間破られなかった。

驚異的な速度性能に喜んだ空軍は試作3号機V3のテストを継続する一方で、この高速記録機の戦闘機化を命じた。これに従って製作された4号機V4はDB601Aエンジンを搭載して1939年に初飛行した。しかし、元が速度一辺倒で設計された機体だけに実用機として使用するには問題が多く、肝心の速度性能も機体の改修や武装によって機体重量が増加したためBf109Fと大差がなくなってしまった。そのため今後改善の見込みがないとされ、開発計画は中止となった。

V5からV7(A1、A2、H)

Bf 109の後継機として開発したMe 309が失敗に終わったことから、メッサーシュミット社では1943年の中頃から新たなBf109の後継機の開発を開始した。この機体にはMe209の制式名が与えられ、試作第1号機はMe209V5と命名されたが、速度記録機であったV1からV4までとはまったく別の機体であった。

V5はエンジンはDB603Aに環状ラジエーターを組み合わせたものを装備し、主翼はBf 109より延長して高高度性能を向上させた。また、主脚は内側に引き込む形をとった。機体部品はBf109と65%共通化し、開発期間の短縮を図っていた。V5は1943年11月に初飛行しその後DB603Gにエンジンが換装されるが、翌年連合国軍の空爆によって破壊されてしまった。

続いて開発されたV6は、ドイツ航空省からの指示によりJumo213エンジンを搭載し1944年4月に初飛行した。この機体は全体的な性能はV5と大差なかったが高高度においてはJumo213の出力が落ちるため、メッサーシュミット社では高高度用エンジンDB628エンジンを搭載したV7の開発にとりかかった。こうして高高度戦闘機として開発が続けられたが肝心のDB628エンジンの開発が遅れてしまい、V7は代わりにDB603Gエンジンを搭載した形で1944年6月に初飛行した。

しかし、この頃にはJumo213エンジンを搭載したFw 190Dが予想以上に高性能を示したいた為、これ以上の開発は無駄と評価されMe 209は1944年9月に開発中止となった。

スペック

V-4
  • 全長: m
  • 全幅: m
  • 全高: m
  • 全備重量: kg
  • エンジン:ダイムラー・ベンツDB605A 1,175hp
  • 最大速度:600 km/h
  • 実用上限高度:11,000 m
V-5

関連項目