コンテンツにスキップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。松岡明芳 (会話 | 投稿記録) による 2007年6月10日 (日) 01:12個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

上空から見た雲

(くも)とは、大気中にかたまって浮かぶ水滴または氷の粒(氷晶)のことを言う。地球に限らず、また高度に限らず、惑星表面の大気中に浮かぶ水滴や氷晶は雲と呼ばれる。雲を作る水滴や氷晶の1つ1つの粒を雲粒と言う。地上が雲に覆われていると、となる。

などの降水現象の発生源となる現象であり、気象学の中には「雲学」という分野も存在する。

雲の発生・成長・消滅

地球上の雲を概観した衛星画像
積乱雲
水面近くにできた層雲
航空機から見た雲と海

空気中の水蒸気凝縮(凝結とも言う)されて液体)になるか、凝固されて固体)になることで雲が作られる。主な雲の発生の種類3つを挙げる。

  • 断熱膨張(加熱→冷却) : 太陽放射などで空気が暖められると断熱膨張を起こして上昇し、次第に温度が下がる。空気の温度が露点温度を下回って過飽和となると、雲粒が発生して雲が形成される。
    • 前線面で暖気が寒気の上を上昇するパターン、山に沿って空気が上昇するパターン、太陽放射により地表が温められて対流が発生するパターン、暖気が冷たい海面などに接触するパターンなどがある。
  • 寒気と暖気の衝突(冷却) : 温度の異なる2つの空気の塊(気団)が衝突すると、暖かいほうの空気は冷やされて温度が下がる。露天温度を下回って過飽和となると、雲粒が発生して雲が形成される。
  • 蒸発による過飽和 : 温度が変化しない場合でも、蒸発によって湿度が上がり、露点温度が上昇する。露点温度が気温より低くなると過飽和となり、雲粒が発生して雲が形成される。

雲を作る雲粒は、空気中に浮かぶやほこりなどの浮遊粉塵(エアロゾル)を凝結(固)核としてつくられる。そのため、エアロゾルが多いと水蒸気が凝結(固)しやすくなり雲は発生しやすくなる。また逆に、エアロゾルが少ないと過飽和となっても水蒸気が凝結(固)しにくいため、雲もできにくくなる。

雲粒同士が衝突したり、雲粒にさらに水蒸気がくっついて凝結(固)していくなどして雲粒は成長し、直径が大きくなる。雲粒に働く重力や下降気流による力と、雲を支える上昇気流による力がつりあうことで雲は大気中に浮かぶ。重力や下降気流の力が大きくなってバランスが崩れると、雲粒は雨粒や雪の結晶として落下することとなる。あまり大きくない雲粒の場合は、上昇や落下を繰り返すうち、雨粒や雪の結晶同士が衝突してさらに大きな粒となって、やがて落下する。

空中に浮かぶ雲粒の大きさは、平均で10μm(0.01mm)である。一方、雨粒の大きさは1000μm(1mm)を超える。雲粒は前述のような過程を経て雨粒となり地上に落下する。この成長の計算はメイスンの方程式などにまとめられている。

形成される雲の形は、空気の対流構造や、温度差のある空気の衝突面の形によって左右される。強い上下対流がある場合は積雲積乱雲が形成されることが多く、大気が安定している場合は水平方向に層雲高層雲などが均一に広がることが多い。また、山などの地形の影響を受けた場合は、レンズ雲波状雲などの特徴的な雲ができる。

雲の種類

基本の雲

雲は、その形状や高さにより以下のように分類される。

雲の分布の概念図
分類 定義・条件 通称・特徴
層状雲 上層雲 巻雲 高度6000m以上、温度-25℃以下 すじ雲(以前は「絹雲」と称した。)
巻積雲 うろこ雲 、さば雲
巻層雲 うす雲、太陽や月の暈の原因
中層雲 高層雲 高度2000~6000m おぼろ雲
高積雲 ひつじ雲
下層雲 層積雲 高度2000m以下、温度-5℃以上 かさばり雲 くもり雲(団塊状の雲)
層雲 高度300~600m きり雲(灰色~薄墨色の雲)霧雨の原因となりうる。
乱層雲 雨雲、連続したを伴う。
対流雲 積雲 高度600~6000m わた雲 むくむく雲 晴れた日にあらわれる。上面がドーム形、下面が水平。
積乱雲 最大高度12000m 雲、いわゆる入道雲。かなとこ雲

世界気象機関は、雲を10の基本形と数十の主・変種・副変種に分類している。雲には多くの俗称があるが、混乱を避けるために学術分野では呼称が統一されている。詳しくは雲形を参照のこと。

特殊な雲

対流圏以外にできる雲として、以下のものがある。

雲の色

一般的に、雲は可視光線)を反射しやすいため、く見える。しかし、雲の厚さや内部の雲粒の密度、太陽光の角度によってさまざまな色に見える。

白い雲は、粒が小さな雲粒が比較的混み合って密に浮かんでいる状態のため、太陽光の反射率が高いために白く見える。そのため、白い雲は雨粒があまり成長していないことになり、雨が降ることは少ない。

雲と気候・地球

大気汚染によるエアロゾルなどの増加により雲の量が増加して、地球薄暮化が引き起こされると考えられている。

地球以外の雲

大気を持つ太陽系惑星のほとんどでは、地球と同じように雲が発生する。金星硫酸の雲、火星木星土星アンモニアなど、天王星海王星メタンでできた雲がある。また、土星の衛星のタイタンにもメタンの雲らしきものがあることが分かっている。

関連項目

出典

外部リンク

Template:Link FA