電気メス
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電気メス(でんき-)とは、外科手術に使用される手術道具である。現在の医療現場では最も一般的な電子医療機器(ME機器)のひとつになっている。
概要
電気メスは人体に高周波電流を流して、このときの負荷もしくは接触抵抗によって熱を発生させ、この熱が瞬時に細胞を加熱し爆発・散逸させることによって切開作用を、細胞の水分を蒸発させタンパク質を凝固させることによって凝固作用をそれぞれ生じさせる。
大きく分けて以下の二つのタイプに分けられる。
- モノポーラー(単極)型
機器は、対極板と呼ばれる人体に貼り付ける金属の板、メス先電極・能動電極・針電極などと呼ばれる医師が手に持って使用する部分、高周波を発生させる電源装置、以上の三つから構成されている。通常電気メスと言えばこちらのタイプをさす。
- バイポーラー(双極)型
機器はピンセット型をした電極、高周波を発生させる電源装置の二つから構成される。ピンセットで目的の組織をつまみ上げ、通電させることで主に凝固を行う。電気はピンセットの先端の間のみを流れ、理論的に他の部位に漏電しないため、後述の心臓ペースメーカー埋め込み患者や神経の密集した部位の手術(頭頸部外科など)に使用されることが多い。
電気メスの利点
電気メスの欠点
- 心電図などのモニターにノイズが乗る
- 心臓ペースメーカーに影響を与えることがある
- 電源装置からメス先電極へのコードにシリンジポンプなどの電気機器が触れていると、誤動作の原因になることがある
- 体内に電気が流れるため、局所麻酔下の手術では患者がその電気を痛みと感じたり、筋肉の不随意の運動を起こすことがある
動作
電気メスには大きく分けて二種類の動作がある。
- 切開モード
- 細胞の水分を蒸発させることによって切開する。
- 凝固モード
- 細胞を熱で変成させて凝固させることで止血する。
- スプレー凝固モード
- 凝固モードの特殊な用法で、組織とメスの間に連続したアーク放電を起こすことで広範囲を止血する。