ファルシオン
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ファルシオン(falchion)は、武器(刀剣)の一種で、ノルマン人が使用した幅広の片刃の刀剣である。日本語では、フォールチョンもしくはフォールションとも呼ばれる。
名称は鎌を意味するラテン語のファルクス(falx)に由来する。
概要
11世紀から16世紀にかけて使用され、その形状にはスクラマサクスと呼ばれる直刀の影響が見られる。一般的にファルシオンとして挙げられるものは、本項目の画像に代表される、片手持ちの剣の柄に切っ先に行くにしたがって幅広になる刀身を持つものが有名だが、実際は片刃のナイフの刃をそのまま長くしたような、剣鉈(切っ先のある鉈)のような外見のものが主流であった。
大半のものは棟はまっすぐで、刃は緩やかな流線型をしているが、中には反りのあるものもあった。また、切っ先のみが両刃になっているものもある。
剣などに比べて安価で扱いやすく、民衆はこれを鉈や大型のナイフのような汎用刃物として扱うことが多かったようである[1]。そのため、民衆にとっては武器としてよりも斧や鎌などのように身近な生活用具の一つとして見られていたと考えられている。事実、実際に使われていたものとして発掘されるファルシオンには、儀式的な装飾の類いなどを施されたものがほとんどない。
脚注
- ^ 長田龍太『中世ヨーロッパの武術』新紀元社、408頁