国際刑事警察機構
ICPO本部(リヨン) | |
略称 | ICPO、OIPC、INTERPOL(インターポール) |
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前身 | 国際刑事警察委員会 |
設立 | 1923年9月7日 |
種類 | 国際機関 |
目的 | 刑事警察の国際的共助機関 |
本部 | フランス ローヌ=アルプ地域圏ローヌ県リヨン市シャルル・ド・ゴール通り200 |
座標 | 北緯45度46分55.9秒 東経4度50分54.2秒 / 北緯45.782194度 東経4.848389度座標: 北緯45度46分55.9秒 東経4度50分54.2秒 / 北緯45.782194度 東経4.848389度 |
貢献地域 | 全世界 |
会員数 | 195か国・地域 |
事務総長 | アフメド・ナセル・ライシ |
関連組織 | 警察庁(日本の国家中央事務局) |
予算 | 1億4,200万ユーロ(2019年) |
職員数 | 1.050人(2019年) |
ウェブサイト | https://www.interpol.int/ |
特記事項 | 1956年に現機構名へ改称 |
かつての呼び名 | 国際刑事警察委員会(ICPC) |
国際刑事警察機構(こくさいけいじけいさつきこう、英: International Criminal Police Organization(略称:ICPO)、仏: Organisation internationale de police criminelle(略称:OIPC))は、国際犯罪の防止を目的として世界各国の警察機関により組織された国際組織である。日本国内では頭文字「ICPO(アイシーピーオー)」の略称で呼ばれることが多いが、海外ではインターポール(INTERPOL[注 1][注 2][注 3])の名称で呼ばれることが多い[要出典]。2017年時点の加盟する国・地域は195か国を数え[1]、国際連合に次ぐ[2]。
概要
[編集]犯罪捜査や犯人逮捕に携わる各国の警察の連携を図り、各国間の情報の伝達ルートの役割を果たす。
主な活動は、国外逃亡被疑者や行方不明者、盗難美術品などの発見、身元不明死体の身元確認などに努める「国際手配制度」や、国際犯罪および国際犯罪者に関する情報のデータベース化とフィードバックなど。運営は、2つの非常設機関(総会および執行委員会)と、2つの常設機関(事務総局および加盟各国に設置された国家中央事務局、通称NCB)により行われる。NCBは自国の警察と事務総局や加盟各国の警察とをつなぐ窓口機関にあたるもので、日本では警察庁が指定されている[3]。また、効率化を図るため、香港やプエルトリコなどのような地域は準国家中央事務局に指定されている[4]。
リヨンに事務総局、ハラレ、アビジャン、ナイロビ、ブエノスアイレス、サンサルバドルに地域局、バンコクに連絡事務所がある[2]。2013年にはシンガポール総局 (INTERPOL Global Complex for Innovation) が開設された。シンガポール総局では、犯罪捜査の訓練の他にサイバー犯罪対策も行っており[2]、初代局長には日本の警察庁の中谷昇が就任した[5]。
映画・テレビドラマ・漫画などのフィクションでは、全世界を対象に捜査する「国際警察」のような描かれ方をするが、実体はそれ程の大規模な組織ではなく、各国法執行機関の連絡機関・協議体としての性格が強い。
司法警察権は各国の主権事項に属するため[6]、世界中で捜査活動ができる権限を持つ「国際捜査官」は存在せず、捜査をする場合は、その国に要請して許可を得るか、その国の警察機関との合同捜査依頼をしてその国の政府の了承を得る事が原則。ただし、大規模な犯罪や自然災害の際にはIRT (Incident Response Team) が自ら捜査に協力することがある。
最終的に犯罪者の身柄拘束を行なうのは、国家主権上の問題から、その国家の警察である。なお事務総長は、フランス政府から外交特権を与えられ[7]、係官などの職員は、国際活動中に個別に外交特権を受けることがある。
年に1,000件を越える捜査依頼があり、2008年時点では約6,000人の手配者を追跡していた。
歴史
[編集]1923年、国際刑事警察委員会(ICPC)として創設された[2]。はじめ本部はオーストリアのウィーンに存在した[7]が、1938年のアンシュルス(ナチス・ドイツによるオーストリア併合)後には本部がベルリンに移され、以降は第二次世界大戦でのドイツの敗戦までICPCは、ゲシュタポの下部組織にすぎなかった。ラインハルト・ハイドリヒやアルトゥール・ネーベ、エルンスト・カルテンブルンナーなど親衛隊(SS)の国家保安本部幹部たちがICPC総裁を務めていた。
1956年に国際刑事警察委員会を発展的に解組し、国際刑事警察機構(ICPO)を設立した[2][8]。当時の加盟国数は57か国[7]。事務総局は1946年に再建されてからフランス・パリにあったが、1989年以降はリヨンにある。国際連合、特に経済社会理事会とは協力関係にあったが、1996年には国際連合総会オブザーバーの資格を得た[7]。
2016年11月、台湾(中華民国)がICPOへの参加を申請するも中国がこれを妨害し[9][10]、総裁に中国共産党公安委員で人権派弁護士の大量逮捕やチベットでの人権の侵害に関わったと中国の反体制派から批判[11][12][13][14]されていた中国公安部副部長の孟宏偉が満場一致で選出されたため[15]、アムネスティやヒューマン・ライツ・ウォッチなどからICPOの政治利用を懸念する声があがった[16][17][18]。また、副総裁にはロシア連邦のアレクサンドル・プロコプチュク警察少将が就き、中露ともにICPOで要職に選ばれるのは初めてであった[19]。米国に事実上亡命した富豪・郭文貴の国際手配の際は中国による政治利用を指摘された[20]。2017年9月に北京で開催されたICPO総会の開会式で演説した習近平国家主席(党総書記)はICPOへの影響力拡大を宣言した[21][22]。また、北京の総会ではイスラエルの反対で加盟を拒否されてきたパレスチナなどが参加して190か国から192か国となった[1]。2018年に孟宏偉をICPOの照会を無視して辞任させた際は国際基準よりも国内事情を優先した中国当局の恣意的な法執行が批判された[23]。
日本
[編集]日本は1952年(昭和27年)の第21回総会で加盟し、国家中央事務局は警察庁[3]。
1967年(昭和42年)9月27日 - 10月4日の間、京都市で第36回総会が開催された[24]。1975年(昭和50年)から事務総局に警察庁職員を派遣している。1996年(平成8年)から2000年(平成12年)まで兼元俊徳(警察庁国際部長。退任後は内閣情報官)が第15代総裁を務めた[25]。
なお、ICPOから国際指名手配を受けている日本人は、2012年5月時点で16人存在する。ただし、国際指名手配はあくまで捜査への協力要請にすぎないため、国際指名手配を受けたからといって日本の警察がそれだけで逮捕することができない。相手国と犯罪人引渡し条約を結んでいたり、国内法に違反していない限り、普通に生活している者もいる[26]。これは、日本だけに限らない[27]。
加盟国・地域
[編集]加盟国
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加盟地域
[編集]非加盟国・地域
[編集]ICPO通信網
[編集]初期は短波通信を使用したラジオテレタイプで、国際手配の情報を世界に発信していた。このため古い時代の本部には、短波通信用のアンテナが立っていた。
このテレタイプで使用していた8文字の宛先略号(telegraphic address)である「INTERPOL」という名称が通称化した。日本の警視庁に導入されたのは1966年で、アジア唯一のフランス本部との直通回線だった。
1997年(平成9年)に、インターネットを利用した「インターポール犯罪情報システム(ICIS)」に世代交代するまで使われていた。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ラジオテレタイプの宛先略号(telegraphic address)より
- ^ アメリカ英語発音:[ˈɪntərpɔːl] インターポール、[ˈɪntərpɑːl] インターパール
- ^ フランス語発音: [ɛ̃tɛʁpɔl] アンテルポール
出典
[編集]- ^ a b “インターポール、パレスチナの加盟承認=友好関係・中国開催の総会”. 時事通信. (2017年9月27日) 2017年9月27日閲覧。
- ^ a b c d e 2014国際刑事警察機構,警察庁資料
- ^ a b 2004年(平成16年)3月14日『官報』資料版No.2357「知っておきたい国際・外交キーワード」
- ^ 準国家中央事務局設置地域
- ^ “サイバー国際捜査機関トップに日本人”. 読売新聞. (2013年1月6日) 2014年1月8日閲覧。
- ^ A国で「テロリスト」と認定された犯人が、対立するB国では「迫害されている政治犯」と認定され庇護の対象になる、という状況さえ起きているのが実情。
- ^ a b c d ICPOの沿革,警察庁資料
- ^ 1965年(昭和40年)9月22日『官報』資料版No.388「閣議決定等事項の解説」
- ^ “台湾の参加認めなかったICPO、総裁に中国の孟氏を選出”. 産経ニュース. (2016年11月10日) 2016年11月14日閲覧。
- ^ “台湾、ICPO総会に参加できず 中国から圧力か”. 日本経済新聞. (2016年11月5日) 2016年11月14日閲覧。
- ^ “インターポール総裁の失踪劇 人権団体「暴政下、誰も安全ではない」”. 大紀元. (2018年10月11日) 2018年10月21日閲覧。
- ^ 袁紅冰︰今日的西藏 就是明日的台灣Archived 2013-10-30 at the Wayback Machine., 《自由時報》, 2013-10-24
- ^ 袁红冰; 安乐业 (2013) (中国語). 《殺佛——十世班禪大師蒙難真相》. 亞太政治哲學出版. ISBN 978-986-89718-3-7
- ^ 巴卓法師談逝世25週年的十世班禪喇嘛,《國際西藏郵報》,2014-1-29
- ^ “Red alert: Doubts linger over Interpol’s Chinese boss ahead of Beijing meet”. サウスチャイナ・モーニング・ポスト (2017年7月16日). 2019年4月9日閲覧。
- ^ “インターポール総裁に初の中国人 人権団体は「悪用」懸念”. 読売新聞. (2013年1月6日) 2014年1月8日閲覧。
- ^ “インターポール総裁に初の中国人、「世界の治安維持に全力」”. CNN. (2016年11月11日) 2016年11月14日閲覧。
- ^ “中国高官が総裁のインターポール「共産党に操られている」=米VOA”. 大紀元. (2018年5月8日) 2014年1月8日閲覧。
- ^ “インターポールも陥落、国際機関を囲い込む中国の思惑”. ニューズウィーク. (2016年12月6日) 2017年9月27日閲覧。
- ^ “中国がインターポールを政治利用”. ニューズウィーク. (2017年5月8日) 2017年5月11日閲覧。
- ^ “All nations have right to be involved in global security, Xi Jinping tells Interpol meeting”. サウスチャイナ・モーニング・ポスト. (2017年9月26日) 2017年9月27日閲覧。
- ^ “インターポール総会が開会 中国が途上国支援策を発表”. 朝日新聞. (2017年9月27日) 2017年9月27日閲覧。
- ^ “ICPO総裁 辞任を強いた中国の非常識”. 読売新聞. (2018年10月17日) 2018年10月18日閲覧。
- ^ 1968年(昭和43年)8月28日『官報』資料版No.539「麻薬犯罪の実態と取締り」
- ^ 1999年(平成11年)12月15日『官報』資料版No.2142「警察白書のあらまし」
- ^ “○○○○容疑者、インスタに新規投稿「I'm fine」と笑顔でピースサイン - スポニチ Sponichi Annex 芸能”. スポニチ Sponichi Annex. 2023年5月20日閲覧。
- ^ “銭形警部なんていない:インターポールに国際手配された日本人たち”. Business Media 誠. (2012年5月2日)
- ^ [1] Archived 2013-08-01 at the Wayback Machine.UNMIK.org
- ^ [2] UNMISSIONS.org