サンシャイン・ボーイズ
『サンシャイン・ボーイズ』(原題:The Sunshine Boys)は、1972年に発表されたニール・サイモンによる戯曲。かつて“サンシャイン・ボーイズ”として一世を風靡し、老いて不仲となった二人の元コメディアンが、再起のため奮闘する様子を描いた喜劇である。二幕構成の劇で、ブロードウェイで初演された。
後に映画化やテレビドラマ化も行われ、日本ではテアトル・エコーなどで舞台化された。
あらすじ
[編集]アル・ルイスとウィリー・クラークは、かつて二人組のコメディアン“サンシャイン・ボーイズ”として成功を収めていた。だが、二人は次第に不仲となり、結成から43年後に喧嘩別れのような形で解散する。
解散から11年後。老いた二人は一度も会うことはなく、アルは芸能界から引退、ウィリーは仕事がなくなり惨めな生活を送っていた。ある日、ウィリーのもとに、マネージャーで甥のベン・シルバーマンがテレビの特番に出演という大仕事を持ってくるが、それは「サンシャイン・ボーイズが復活し、往年のコントを披露する」という話だった。
ウィリーは、再び脚光を浴びるチャンスであることからオファーをしぶしぶ受け入れ、アルと再会する。試しに行った稽古はいがみ合いや口論が絶えないものとなるが、アルの娘の言葉もあり、二人は久々の公演をやり遂げることを決意する。
舞台 (オリジナル)
[編集]1972年12月20日、エマニュエル・アゼンバーグプロデュース、アラン・アーキン監督によってブロードウェイで初演された。トニー賞にノミネート[1]。
キャスト
[編集]- アル・ルイス: サム・レヴェン
- ウィリー・クラーク: ジャック・アルバートソン
- ベン・シルバーマン: ルイス・J・スタドレン
舞台 (日本)
[編集]テアトル・エコー
[編集]1984年10月、テアトル・エコーによって初演。1985年10月に再演された[2]。その後、1998年11月に主要キャストが続投し再公演が行われ[3]、2002年[4]、2005年に再演された。演出・翻訳は酒井洋子。
文化庁芸術祭優秀賞受賞[5]。第19回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。
キャスト
[編集]※1984年版
※1998年版
- アル・ルイス: 納谷悟朗
- ウィリー・クラーク: 熊倉一雄
- ベン・シルヴァーマン: 安原義人
- 派遣看護婦: 丸山裕子
- 看護婦役: 吉川亜紀子
- エディー: 松原政義
- 患者役: 石本竜介
- 山田康雄 - 声の出演
- 多田野曜平 - 声の出演(再演のみ[6])
東京芸術劇場
[編集]1994年、東京芸術劇場にて公演された。翻訳は小田島雄志と小田島若子。演出は小林裕。
キャスト
[編集]パルコ劇場
[編集]2008年6月、パルコ劇場にて公演された。翻訳は福田美環子。演出は福田陽一郎。
キャスト
[編集]加藤健一事務所
[編集]2022年、加藤健一によって「事務所創立40周年」「役者人生50周年」記念、及びニール・サイモンの追悼公演として行われた。翻訳は小田島恒志と小田島則子[7]。演出は堤泰之[7]。
第47回菊田一夫演劇賞受賞。
キャスト
[編集]- ウィリー・クラーク: 加藤健一
- アル・ルイス: 佐藤B作
- ベン・シルバーマン: 佐川和正
- ミス・オニール: 田中利花
- コントの患者: 照屋実
- エディー: 加藤義宗
- コントのナース: 韓佑華
- 清水明彦 - 声の出演
- 加藤忍 - 声の出演
映画
[編集]サンシャイン・ボーイズ | |
---|---|
The Sunshine Boys | |
監督 | ハーバート・ロス |
脚本 | ニール・サイモン |
原作 | ニール・サイモン |
製作 | レイ・スターク |
出演者 |
ウォルター・マッソー ジョージ・バーンズ |
音楽 | アーウィン・フィッシュ |
撮影 | デヴィッド・M・ウォルシュ |
編集 | ジョン・F・バーネット |
製作会社 | MGM |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 |
1975年11月6日 劇場未公開 |
上映時間 | 111分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
1975年、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーによって映画化された。監督はハーバート・ロス、主演はウォルター・マッソーとジョージ・バーンズ。日本では劇場未公開だが、ソフト発売が行われている。
Rotten Tomatoesでは肯定的な評価が多く、「名優と、ハーバート・ロスの穏やかな演出との間のきらめく化学反応のおかげで、この甘美でゆったりしたコメディーは、ニール・サイモンの最高の映画化作品にランクされる」と評されている[8]。
当初はレッド・スケルトンとジャック・ベニー主演の予定だったが、スケルトンは出演料に不満を持ち降板。ベニーは途中で膵臓癌のため降板を余儀なくされ、彼の推薦でジョージ・バーンズとなった。バーンズは舞台を中心に活動していたため1939年以来映画に出演していなかったが、本作で映画でのキャリアを復活させ、「非常に活発な年配のコメディスター」として再評価されることとなった。
キャスト
[編集]役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
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ウィリー・クラーク | ウォルター・マッソー | 熊倉一雄 |
アル・ルイス | ジョージ・バーンズ | 西村晃 |
ベン・クラーク | リチャード・ベンジャミン | |
スケッチの看護師 | リー・メレディス | |
ドリス・グリーン | キャロル・アーサー | |
ウォルシュ氏 | ハワード・ヘッセマン | |
テレビ局マネージャー | ロン・リフキン |
スタッフ
[編集]- 監督: ハーバート・ロス
- 製作: レイ・スターク
- 原作・脚本: ニール・サイモン
- 撮影: デヴィッド・M・ウォルシュ
受賞
[編集]テレビ映画
[編集]サンシャイン・ボーイズ すてきな相棒 | |
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The Sunshine Boys | |
監督 | ジョン・アーマン |
脚本 | ニール・サイモン |
原作 | ニール・サイモン |
製作 | ジョン・アーマン |
製作総指揮 | ロバート・ハルミ・Sr. |
出演者 |
ピーター・フォーク ウディ・アレン |
音楽 |
スティーヴン・ソンドハイム アーウィン・リランド・フィッシュ |
撮影 | トニー・イミ |
製作会社 | RHI Entertainment |
配給 | CBS |
公開 |
1996年2月15日 1997年12月28日 劇場未公開 |
上映時間 | 91分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
『サンシャイン・ボーイズ すてきな相棒』の題で、1996年に製作された。主演はピーター・フォークとウディ・アレン。オーストラリアでビデオ発売後、1997年12月28日にCBSで初放送された[12]。日本では劇場未公開だが、ソフト発売が行われている。
キャスト
[編集]役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
---|---|---|
ウィリー・クラーク | ピーター・フォーク | 田中信夫 |
アル・ルイス | ウディ・アレン | 納谷六朗 |
ナンシー | サラ・ジェシカ・パーカー | 田中敦子 |
アン | ウーピー・ゴールドバーグ | 磯辺万沙子 |
キャロル | イーディ・ファルコ | 金野恵子 |
スコット | マイケル・マッキーン | 田原アルノ |
ジェリー | デヴィッド・リップマン | 稲葉実 |
ハリー | マーウィン・ゴールドスミス | 島香裕 |
スタッフ
[編集]- 監督・製作: ジョン・アーマン
- 製作総指揮: ロバート・ハルミ・Sr.
- 原作・脚本: ニール・サイモン
- 撮影: トニー・イミ
- 音楽: スティーヴン・ソンドハイム、アーウィン・リランド・フィッシュ
- 日本語版
- 演出: 川合茂美
- 翻訳: 山田小枝子
- 調整: 田中和成
- 効果: 倉橋静男
- 録音: オムニバス・ジャパン
- 制作: 東北新社
書籍
[編集]- ニール・サイモン 著、酒井洋子 訳『ニール・サイモン戯曲集 2』早川書房、1984年。ISBN 9784152032713。
- ニール・サイモン 著、酒井洋子 訳『ニール・サイモン Ⅱ サンシャイン・ボーイズ』早川書房〈ハヤカワ演劇文庫〉、2007年。ISBN 9784151400056。
脚注
[編集]- ^ “The Sunshine Boys”. IBDB.com. Internet Broadway Database. April 11, 2012閲覧。
- ^ “Information 1980〜1989年”. テアトル・エコー. 2023年5月10日閲覧。
- ^ “Information 1990〜1999年”. テアトル・エコー. 2023年5月10日閲覧。
- ^ “テアトル・エコー公演117「サンシャイン・ボーイズ」”. テアトル・エコー. 2023年5月10日閲覧。
- ^ 明石誠「(感歓劇)エコー劇場 笑いこそ力、17年ぶり現場に」『朝日新聞 夕刊』2022年4月14日。2022年4月30日閲覧。
- ^ 多田野曜平さんスペシャル!多田野さんのお話しが面白過ぎたので、多田野さんと吹替えについてだけの番組してみました! MC:水落幸子(16m16s〜) - YouTube
- ^ a b “加藤健一事務所3月公演『サンシャイン・ボーイズ』 加藤健一、佐藤B作のコメントが到着”. SPICER. (2022年1月12日) 2023年5月10日閲覧。
- ^ "The Sunshine Boys". Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2023年5月9日閲覧。
- ^ 「悲劇喜劇」1985年2月号
- ^ “The 48th Academy Awards (1976) Nominees and Winners”. oscars.org. 2014年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年10月2日閲覧。
- ^ “The Sunshine Boys – Golden Globes”. HFPA. July 5, 2021閲覧。
- ^ “The Sunshine Boys (1997) – John Erman”. AllMovie. October 1, 2019閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 映画
- テレビ映画