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スプリームス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シュープリームスから転送)
スプリームス
左からフローレンス・バラード、メアリー・ウィルソン、ダイアナ・ロス
基本情報
別名
  • ザ・プライメッツ
  • ダイアナ・ロス&スプリームス
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト
ジャンル
活動期間 1959年 - 1977年
レーベル
旧メンバー

ザ・スプリームスThe Supremes)は、アメリカ合衆国の4人組ガールズ・グループ[5]1959年結成、1977年解散。長い活動期間の中で所属レコード会社や音楽性は何度か変わっているが、その全盛期は1964年ごろから1969年までである。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第96位。

日本では従来、supreme(「最高位の、最大級の」の意)の英音 [s(j)ʊpɹíːmz, s(j)uː-] から“シュープリームス”と表記されていた。21世紀に入り、米音 [səpɹíːmz, sʊ-] に近づけて“スプリームス”と表記する例が多いが、より原音に近い発音は「ザ・スプリームズ」であるものの、依然として作品には“シュープリームス”の表記が用いられる[6]

歴史

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1959年ザ・プライメッツThe Primettes)として結成。オリジナルメンバーは、ダイアナ・ロスとメアリー・ウィルソン、フローレンス・バラードにベティ・マグロウンの4人。ベディはすぐバーバラ・マーティンに替わり、そのバーバラも抜けて1961年ザ・スプリームス[1]と改名してモータウンと契約した頃には3人組となっていた。

スプリームスは、モータウンの社長ベリー・ゴーディ・ジュニアの強力なプッシュを受け、ホーランド=ドジャー=ホーランドの作曲・プロデュースの下でヒットを連発した。1963年10月の「恋のキラキラ星」で初めてビルボードTop40内にチャートイン。そして、1964年6月の「愛はどこへ行ったの」が、初の全米No.1となったのを皮切りに、シングルが5作連続全米No.1を記録、スプリームスは一躍全米のアイドルグループとなる。その他の60年代の代表的なヒット曲には「ストップ・イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ」「恋はあせらず」「恋ははかなく」「ベイビー・ラブ」「ラブ・チャイルド」などがある。66年のアルバム『シュープリームス・ウイスキー・ア・ゴーゴー』はガール・グループのアルバムが、アルバムチャート1位になった最初の例だという[7]

その後、1969年のダイアナ脱退前の最後のシングルとなった「またいつの日にか(Someday We'll Be Together)」まで、合計「12作の全米No.1ヒット」を生み出した。

1967年、ダイアナだけを前面に押し出したベリーの売り方に不満を募らせ、アルコール中毒に陥ったフローレンスが解雇され、シンディ・バードソングが加入。グループ名も、ダイアナ・ロス&ザ・スプリームスDiana Ross & the Supremes)となった。1969年には、ダイアナ・ロスが独立しソロに転向[注 1]。替わりのリード歌手としてジーン・テレルが加わる。

ダイアナの抜けた70年代以後のザ・スプリームスは、ベリーの強力な後ろ盾を失ったことで次第にヒット・チャートからは遠ざかったものの、メアリーをリーダーとしてメンバーを入れ替えながら活動を続けた。1972年には、シンディの代わりにリンダ・ロウレンスが参加。1973年、ジーンとリンダが脱退し、再参加となるシンディとシェリー・ペインが加入。1976年には、再びシンディが抜け、代わりにスーゼイ・グリーンが参加した。フローレンスは、その後ソロ歌手として2枚のシングルを出したがヒットせず、1976年に32歳で死去している(この悲劇を脚色して描いたのが、ミュージカル『ドリームガールズ』である)。

1977年、最後のオリジナルメンバーであったメアリーが独立を決意し、ロンドンでフェアウェル・コンサートが行われた。一般的には、この時点でスプリームスの歴史は幕を閉じたとされている。

1986年、元メンバーであるジーンとシェリー、リンダの3人が集まり、新たにスプリームスとして活動を再開する。オリジナルメンバーのいないこのスプリームスは、The FLOS(The Former Ladies of the Supremes 、「元・スプリームスの淑女たち」の略)と呼ばれて、オリジナルとは区別されている。ジーンの引退など、若干のメンバーチェンジを経て、このグループは現在も活動を続けている。

一方、全盛期のメンバーであるダイアナとメアリー、シンディの3人での再結成の動きもなくはなかったが、1983年、NBCテレビの特番での騒動をきっかけに、ダイアナとメアリーの不仲が表面化し、マスコミで報じられた。

1988年ロックの殿堂入りを果たした。

2000年、ダイアナは、スプリームス再結成ツアーの計画にメアリーとシンディを誘ったが、プロモーターの提示するダイアナとの待遇の違いから2人は固辞、代わりにFLOSからリンダとシェリーが加わったが、高価なチケット代金に加えて全盛期のメンバーでない2人への風当たりは強く、この中途半端な再結成プロジェクトは、ツアー半ばで打ち切られた。

2021年2月8日、メアリー・ウィルソンがラスベガスの自宅にて死去[8][9]。死因は明らかにされていない。76歳没。

メンバーの変遷

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ミュージカル化と映画化

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彼女達をモデルとしたミュージカルドリームガールズ』が、1981年に初演。2006年には、映画版『ドリームガールズ』が公開された。ダイアナをモデルとしたディーナ・ジョーンズ役に、ビヨンセ・ノウルズ、フローレンス・バラードをモデルとしたエフィ・ホワイト役にジェニファー・ハドソン、メアリー・ウィルソンをモデルとしたローレル・ロビンソン役にアニカ・ノニ・ローズ、シンディ・バードソングをモデルとしたミシェル・モリス役にシャロン・リールが配役。 なお、スプリームスを売り出した、モータウンの創設者ベリー・ゴーディ・ジュニアをモデルとしたカーティス・テイラー・ジュニア役にジェイミー・フォックスが配役されている。

他にも、スプリームスから着想を得た作品としては1976年の音楽映画『スパークル英語版』がある(2012年に『ホイットニー・ヒューストン/スパークル』としてリメイクされている)。ただし、こちらは「1950年代から1960年代にかけてのデトロイトを舞台にした黒人女性ボーカル3人グループの物語」というだけで、スプリームスの実話とは無関係の完全なフィクションである。

主なヒット曲

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フィル・コリンズがカバーし、83年にヒットさせた。)

  • My World Is Empty Without You(1966) - 邦題「二人だけの世界」
  • Love Is Like an Itching in My Heart(1966) - 邦題「乱れるハート」
  • You Keep Me Hangin' On(1966) - 邦題「ユー・キープ・ミー・ハンギン・オン
    日本ではヴァニラ・ファッジのカヴァーの方が知られていた時期が長かった。またキム・ワイルドが87年にヒットさせている。
  • Love is Here and Now You're Gone(1967) - 邦題「恋ははかなく
  • The Happening(1967) - 邦題「恋にご用心」
  • Love Child(1968) - 「ラブ・チャイルド」
  • I'm Gonna Make You Love Me(1968):テンプテーションズと共演したヒット曲。ケニー・ギャンブルが作曲に関わっている。
  • I'm Livin' in Shame(1969) - 邦題「スラムの小鳩」
  • Someday We'll Be Together(1969) - 邦題「またいつの日にか」
  • これ以降は、ダイアナ脱退後の楽曲。
  • Stoned Love(1970)
    全米7位を記録した、ダイアナ脱退後のスプリームスの代表曲。
  • I'm Gonna Let My Heart Do the Walking(1976)

ディスコグラフィ

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スタジオ・アルバム

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発売年 タイトル 最高位
US US
R&B
UK
The Supremes
1962 Meet The Supremes 8
1964 Where Did Our Love Go 2 1
A Bit of Liverpool 21 5
1965 The Supremes Sing Country, Western and Pop 79
We Remember Sam Cooke 75 5
More Hits by The Supremes 6 2
Merry Christmas 1
1966 I Hear a Symphony 8 1
The Supremes A' Go-Go 1 1 15
1967 The Supremes Sing Holland–Dozier–Holland 6 1 15
The Supremes Sing Rodgers & Hart 20 3 25
Diana Ross & the Supremes
1968 Reflections 18 3 30
Diana Ross & the Supremes Sing and Perform "Funny Girl" 150 45
Diana Ross & the Supremes Join The Temptations 2 2 1 1
Love Child 14 3 13
1969 Let the Sunshine In 24 7
Together 2 28 6 28
Cream of the Crop 33 3
The Supremes
1970 Right On 25 4
The Magnificent 7 3 113 18 6
New Ways but Love Stays 68 12
1971 The Return of the Magnificent Seven 3 154 18
Touch 85 6 40
Dynamite 3 160 21
1972 Floy Joy 54 12
The Supremes Produced and Arranged by Jimmy Webb 129 27
1975 The Supremes 152 25
1976 High Energy 42 24
Mary, Scherrie & Susaye
"—" denotes the album failed to chart or was not released

ライブ・アルバム

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発売年 タイトル 最高位
US US
R&B
UK
1965 The Supremes at the Copa 11 6
1968 Live at London's Talk of the Town 57 6 6
1970 Farewell 46 31
1973 The Supremes Live! In Japan 1
"—" denotes the album failed to chart or was not released
  • 1 Japan-only; released in the US by Motown in 2004

コンピレーション・アルバム

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発売年 タイトル 最高位
US US
R&B
UK
1967 Greatest Hits 1 1 1
1969 Greatest Hits Vol. 3 31 5
1974 Diana Ross & the Supremes Anthology (version one) 66 24
1977 20 Golden Greats 1 1
1978 At Their Best
1984 20 Greatest Hits – Compact Command Performances
1985 Diana Ross & the Supremes: 25th Anniversary Collection 112 61
1986 Diana Ross & the Supremes Anthology (version two)
1987 The Never-Before-Released Masters 2
1988 Love Supreme 1 10
1991 The Supremes ('70s): Greatest Hits and Rare Classics 1
1995 The Best of Diana Ross & the Supremes: Anthology (version three)
1997 The Ultimate Collection
1998 40 Golden Motown Greats 1 35
2000 The Supremes 3
20th Century Masters: The Best of Diana Ross & the Supremes, Vol. 1
20th Century Masters: The Best of Diana Ross & the Supremes, Vol. 2
2001 Diana Ross & the Supremes Anthology (version four)
2002 The '70s Anthology
2003 Diana Ross & the Supremes: The No. 1's 72 63 15
2004 Joined Together: The Complete Studio Duets 4
There's a Place for Us 5
2005 The Supremes: Gold 6
2006 This Is the Story: The '70s Albums, Vol. 1 – 1970–1973: The Jean Terrell Years 7
2007 Diana Ross & the Supremes Remixes 8
2008 Let the Music Play: Supreme Rarities 9
The Definitive Collection
2009 Magnificent: The Complete Studio Duets 10
2010 Icon: Diana Ross & the Supremes
2011 Let Yourself Go: The '70s Albums, Vol 2 – 1974–1977: The Final Sessions 11
50th Anniversary: The Singles Collection 1961–1969
"—" denotes the album failed to chart or was not released
  • 1 UK-release.
  • 2 A compilation of previously unreleased songs including a majority of songs from the unreleased Disney Classics sessions.
  • 3 A four-disc box-set.
  • 4 A compilation of all recordings from Diana Ross & The Supremes & The Temptations made during the 1960s.
  • 5 Originally scheduled for release in 1965 as a studio album.
  • 6 A compilation of Greatest Hits, Greatest Hits Vol. 3 and At Their Best.
  • 7 A compilation of Right On, New Ways but Love Stays, Floy Joy, Produced and Arranged by Jimmy Webb and the previously unreleased Promises Kept sessions, together with three non-album tracks.
  • 8 Japanese collection containing remixes of Supremes and solo Diana Ross recordings.
  • 9 A compilation of unreleased recordings and rarities.
  • 10 A compilation of all recordings from The Supremes & the Four Tops made during the 1970s.
  • 11 A compilation of The Supremes, High Energy and Mary Scherrie & Susaye with several unreleased and alternate versions.

サウンドトラック・アルバム

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発売年 タイトル 最高位
US US
R&B
UK
1968 TCB 1 1 1 11
1969 G.I.T. on Broadway 1 38 4
"—" denotes the album failed to chart or was not released
  • 1 Diana Ross & the Supremes with The Temptations.

脚注

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注釈

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  1. ^ 「タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング」「マホガニーのテーマ」など、ソロとしても多数のヒット曲を発表した

出典

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  1. ^ a b c d e f Kellman, Andy. The Supremes Biography, Songs, & Albums - オールミュージック. 2022年6月7日閲覧。
  2. ^ Hoffmann, Frank W. (2005). Rhythm and Blues, Rap, and Hip-hop. Facts On File, Incorporated. p. 256. ISBN 0816069808 
  3. ^ 木崎義二、赤岩和美『ロック&ポップス名曲徹底ガイド―名曲184決定版CD776』音楽出版社、2005年、191頁。ISBN 4861710049 
  4. ^ Wallenfeldt, Jeff, ed (2010). Britannica Educational Publishing. p. 297. ISBN 1615301763 
  5. ^ シュープリームス”. CDJournal. 音楽出版社. 2022年6月7日閲覧。
  6. ^ DISCOGRAPHY”. The Supremes |シュープリームス. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2020年7月19日閲覧。
  7. ^ 'The Supremes A' Go-Go' Reissue: Mary Wilson, Lamont Dozier Look Back on the Landmark Girl Group Album ”. 07 July 2020閲覧。
  8. ^ “Mary Wilson, Co-Founder of the Supremes, Dies at 76”. variety.com. (2021年2月8日). https://variety.com/2021/music/news/mary-wilson-dead-supremes-singer-original-member-1234903764/ 2021年2月9日閲覧。 
  9. ^ シュープリームスのオリジナル・メンバー、メアリー・ウィルソンが76歳で急逝”. 2021年2月9日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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