清張通史
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『清張通史』(せいちょうつうし)は、小説家の松本清張による、日本古代史の通史。
概要
[編集]東京新聞にて1976年1月1日から1978年7月6日まで連載され、1976年11月から1983年9月まで、全6冊の単行本が講談社から刊行された。
1986年3月から1989年6月まで、全巻にわたる改稿を経て全6冊の文庫版が講談社文庫から順次刊行された。
「歴史上の推理も、探偵がナゾを解いてゆくのとおなじである」とする著者が、考古学・古代史専門家の議論に自らの仮説を加え、著者が考える弥生時代から奈良時代までの歴史上のポイント(力点)を展開した作品である。
シリーズ
[編集]- 単行本と文庫版でタイトル・項目名に違いがあるが、以下、講談社文庫版に準拠して記述する。
- 邪馬台国 - 清張通史1
- いわゆる邪馬台国をめぐる諸説の検討
- 空白の世紀 - 清張通史2
- カミと青銅の迷路 - 清張通史3
- 時代の謎/艶笑譚/東と西/密儀/古代の日本へ/解けぬ結び目/青銅の迷路/カネとタイコ/製作者/まとめと私説
- 天皇と豪族 - 清張通史4
- 壬申の乱 - 清張通史5
- 画期としての7世紀後半の政治的動向の検討
- 古代の終焉 - 清張通史6
- 奈良時代の政治や宗教をめぐる検討
参考文献
[編集]- 眩人(1980年、中央公論社) - 小説作品だが、随所に著者による脚注が付されており、本シリーズ第6巻と共通するトピックを扱っている。
- 古代史私注(1981年、講談社) - 多面的なトピックを取り上げた、本書と同時期の古代史随筆集。
- 『松本清張研究』第6号「特集・清張古代史の軌跡と現在」(2005年、北九州市立松本清張記念館編集・発行) - 著者の仮説について、邪馬台国論を中心に、2005年現在の古代史専門家による評価を掲載。
- 『清張 古代游記 吉野ケ里と邪馬台国』(1993年、日本放送出版協会) - 『邪馬台国 - 清張通史1』(1986年、講談社文庫)刊行後に報道された吉野ヶ里遺跡(1989年)に関する考察を加えている。遺稿、資料カードと造本指示に従い、文庫版相当の「Ⅱ 邪馬台国」の前後に、序章「Ⅰ 吉野ヶ里と邪馬台国の影」、終章「Ⅲ 逃げ水 邪馬台国」を追加するとともに、豊富な図版とグラビアを追加した「”清張・邪馬台国論”ビジュアル愛蔵版。」(同書惹句)としている。