メルパルク
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | 非上場 |
本社所在地 |
日本 〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵3-16-16 ホテル メルパルク名古屋内 1階 |
設立 | 2008年8月1日(運営開始日は同年10月1日) |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 6010001136935 |
事業内容 | ホテル事業等 |
代表者 | 代表取締役社長 柴田剛尾 |
資本金 | 1億円 |
売上高 | 非公表 |
純利益 |
△6,700万円 (2024年3月期)[1] |
総資産 |
10億1,400万円 (2024年3月期)[1] |
従業員数 | 328名(2023年4月1日現在) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 | ワタベウェディング株式会社 100% |
外部リンク | https://www.mielparque.jp/ |
メルパルク(英語: MIELPARQUE CORPORATION)は、日本郵政不動産[2]が土地・施設を保有し、運営はメルパルク株式会社へ委託されているホテル等の総称である。
元々は「郵便貯金会館」(ゆうびんちょきんかいかん)の名称で、国営事業であった郵便貯金に関連した施設として建設されたものである。郵政民営化を機にメルパルクが正式名称となり、2008年9月末まで財団法人ゆうちょ財団(旧・郵便貯金振興会)が運営を行っていた。
この項目では同じ趣旨で建設された「郵便貯金地域文化活動支援施設」および「郵便貯金総合保養施設」についても記す。
概要
[編集]宿泊施設、会議室、宴会場、結婚式場、レストランなどを併設した複合施設となっており、いわゆるシティホテルと同等の設備を備える。コンサートなどに使用される多目的ホール(メルパルクホール)を併設している施設もある。
歴史
[編集]旧・郵便貯金法第4条[3]に基づき設置された郵便貯金の普及・宣伝活動を行うことを目的とした福利厚生施設で、日本郵政公社が設置し関連団体の財団法人郵便貯金振興会が運営していた。郵便貯金利用者の福利厚生増進が目的の宿とされた一方で、かんぽの宿やその他の官庁の「公共の宿」などと同様に、旧郵政省貯金局幹部の天下り先確保の目的もあったことは、旧郵政省時代の人事から明らかであった。
郵政民営化に際しては根拠法令の廃止に伴い、ゆうちょ銀行ではなく日本郵政株式会社が運営する民営ホテルとなった。かんぽの宿と同様に旅館業法に基づいて、都道府県知事の許可を受けた上で運営していた。「メルパルク」は郵政民営化以前は愛称であり、正式には「○○郵便貯金会館」が正式名称であったが、民営化時に「メルパルク○○」が正式名称になった。同時に、京都に1ヶ所だけ残っていた郵便貯金地域文化活動支援施設(ぱ・る・るプラザ)も「メルパルク京都」となった。
全国15都市に設置されていたが、郵政民営化を控えた2007年3月末に、5施設と1ホールが閉鎖となった。その後名称変更したメルパルク京都が加わり、「メルパルク」を名乗る施設は11都市で運営されていた。
民営化後5年をめどに施設の廃止・売却を検討することになっていたが、日本郵政は2008年9月末に満了となるゆうちょ財団への運営委託契約を更新しないことを通告、新たな運営者を捜していた所、2008年7月23日に目黒雅叙園などを傘下に持ち、ブライダル事業等を運営するワタベウェディングとの間で事業譲渡契約を締結、10月1日をもって施設運営権がワタベウェディング100%出資のメルパルク(株)に譲渡され、従業員もメルパルク(株)に移籍となった。事業譲渡後は親会社の強みを生かした結婚式事業に力を入れている。
2018年度には、グループの不動産事業を専門的に行う子会社として、日本郵政不動産株式会社が設立され、メルパルクの物件が日本郵政から日本郵政不動産に移管された[4]。
ワタベウェディングの業績は、2019年に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大により海外渡航が制限され、結婚式自体も自粛する傾向が強まる中で急速に悪化した。同社は2021年に興和の完全子会社となり、興和の下で経営再建を目指している[5]。親会社であるワタベウエディングが事業再編を進める中、メルパルク株式会社は、物件を所有する日本郵政不動産との賃貸借契約が満了した2022年9月30日をもって、6都市の施設の営業を終了した[6][7][8]。更に2023年末には横浜市と大阪市の施設も営業を終了した[9][10][11][12]。メルパルクは撤退の理由を明らかにしていないが、コロナ禍で客室、結婚式場や宴会場の稼働率が低下し、経営が厳しくなったためとみられる[6][7][8]。現在は3都市の施設で営業している。
施設一覧
[編集]☆は多目的ホール(メルパルクホール)を併設している施設。
現在営業している施設
[編集]- ホテル メルパルク名古屋(愛知県名古屋市東区葵3丁目16-16)
- かつては東海テレビ放送の近くにあった。
- ホテル メルパルク広島(広島県広島市中区基町6-36)
- ホテル メルパルク熊本(熊本県熊本市中央区水道町14-1)
- かつては多目的ホール(メルパルクホール)もあった。
-
メルパルク名古屋
-
メルパルク広島
2023年12月31日をもって閉鎖された施設
[編集]- ホテル メルパルク横浜(神奈川県横浜市中区山下町16)
- 日本郵政不動産が再開発を検討している[13]。
- ホテル メルパルク大阪(大阪府大阪市淀川区宮原4丁目2-1)☆
- 日本郵政不動産が再開発を検討している[13]。
-
メルパルク横浜
-
メルパルク大阪
2022年9月30日をもって閉鎖された施設
[編集]- ホテル メルパルク長野(長野県長野市鶴賀高畑752-8)☆
- メルパルク京都(京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676-13)
- 旧:ぱ・る・るプラザ京都。宿泊施設なし。日本郵政不動産が再開発を検討している[16]。
- ホテル メルパルク岡山(岡山県岡山市北区桑田町1-13)
- ホテル メルパルク松山(愛媛県松山市道後姫塚123-2)
- 日本郵政不動産が再開発を検討している[16]。
-
メルパルク仙台
-
メルパルク東京
-
メルパルク長野 (現・シャトレーゼホテル長野)
-
メルパルク京都
-
メルパルク岡山
2007年3月31日をもって閉鎖された施設
[編集]- 札幌郵便貯金会館(北海道札幌市中央区南1条西27丁目1-10)
- 新潟郵便貯金会館(新潟県新潟市中央区川岸町2丁目1-7)
- 金沢郵便貯金会館(石川県金沢市玉川町9-15)
- 東京の不動産会社に売却→石川県南加賀地区でセレモニーホール斎苑を運営するサイエンが取得し、同社が運営する「セレモニーホテル サイエン」として建物は改装の上、2011年12月10日にオープンしている。
- 福岡郵便貯金会館(福岡県福岡市中央区薬院4丁目14-52)☆
- 沖縄郵便貯金会館(沖縄県那覇市字松川20)
- 広島郵便貯金ホール(広島郵便貯金会館多目的ホール、広島県広島市中区白島北町19-1・広島ホームテレビ本社南側)
- 広島県が取得し、広島県立文化芸術ホール(ネーミングライツにより「ALSOKホール」→「上野学園ホール」)として存続運営。
郵便貯金地域文化活動支援施設
[編集]旧・郵便貯金会館と同じ目的で設置された地域活動支援施設。国営時代の通常郵便貯金の新総合通帳(送金機能付総合通帳)の愛称にちなみ「ぱ・る・るプラザ」の愛称があった。
旧・郵便貯金会館と異なり宿泊施設はなく、多目的ホールやスタジオ、映画館、会議室、レストランなど、地域の文化交流の促進を支援する目的で設置されていた。このため各設備の使用料金はかなり格安に設定されていた。
全国に下記の6施設が設置されたが、郵政民営化を前にして2006年度中に京都以外の5施設が営業終了となった。施設は地元自治体などに売却された。
2007年10月の郵政民営化後は根拠法令の廃止に伴い、その所有と運営は日本郵政に引き継がれると同時に、旧・郵便貯金会館と共に「メルパルク」の名称で統一されることとなり、唯一残っていた「ぱ・る・るプラザ京都」は「メルパルク京都」に改称された。これは通常郵便貯金の新総合通帳(送金機能付総合通帳)の国営時代までの愛称「ぱ・る・る」が、民営化に伴い使われなくなったためである。「メルパルク京都」も、2022年9月30日をもってメルパルク株式会社が撤退し、閉鎖された。
- 2022年9月30日をもって閉鎖された施設
- 2006年10月31日付けで廃止された「ぱ・る・るプラザ」
- ぱ・る・るプラザ青森(青森県青森市柳川1丁目2-14)
- ぱ・る・るプラザ町田(東京都町田市原町田4丁目1-14)
- ※郵便局併設→町田市が取得→町田市文化交流センター(PLAZA町田ビル)
- ぱ・る・るプラザ岐阜(岐阜県岐阜市橋本町1丁目10-11)
- 岐阜市が取得→岐阜市文化産業交流センター(じゅうろくプラザ)
- ぱ・る・るプラザ山口(山口県山口市惣太夫町1-15)
- 不動産事業者の原弘産(現:REVOLUTION)が落札
- 2007年3月31日付けで廃止された「ぱ・る・るプラザ」
郵便貯金総合保養施設
[編集]旧・郵便貯金会館と同じ目的で、国立公園内に設置された、宿泊施設、温泉、プールなどを備えた複合型保養施設。以下の2箇所があったが、いずれも2007年3月31日をもって営業終了した。
- メルモンテ日光霧降(栃木県日光市所野1535-1)
- 大江戸温泉物語が取得し、大江戸温泉物語 湯屋日光霧降として改装・開業(現大江戸温泉物語 日光霧降)。
- メルパール伊勢志摩(三重県志摩市大王町船越3238-1)
- 近畿日本鉄道が取得し、都リゾート 奥志摩 アクアフォレストに改装。
不祥事
[編集]メルパルク仙台での不手際
[編集]- 2019年6月にメルパルク仙台で挙式した夫婦が口コミサイトやテレビの情報番組にて、1年以上前からメルパルクと打ち合わせをしていたにもかかわらず、「1日1組と言われていたのに挙式当日は別の組とのダブルブッキングだった」、「旧姓で呼んだり、電報を読んだりはしないで欲しいと頼んでいたのに司会者からアナウンスされた」、「出席者の引き出物に原価が書かれた発注表が同封されていた」などの不手際があったと訴えた。その結果、SNS上でメルパルクの対応を批判する声が相次いだ。この件についてメルパルクは同年7月8日に公式サイトで「一部のインターネットの書き込みにより、弊社の婚礼サービスをご利用された皆様やご親族の皆様、また、今後ご利用される予定の皆様を含め多くの方々に、ご心配・ご心労をおかけしておりますことをお詫び申し上げます」と謝罪文を掲載した[24][25][26]。
- また、この件が発生した際にメルパルクの担当者が被害者である夫婦に対して、前述のトラブルに関わっていないウェディングプランナーの女性に責任があると虚偽の説明を行ったため、被害者から話を聞いた参列者が女性の名前を一部伏せ字にした上でSNS上に投稿した。そのため、ネット上に女性のフルネームや住所などの個人情報が掲載される事態となり、女性に対する中傷も相次ぎ、警察が女性やその家族のパトロールを行うまでに発展した。これらの影響で女性は体調を崩し、2020年1月に退職。女性側は担当者が被害者に虚偽の説明を行った行為について、メルパルクは使用者責任を負うと同時に女性の名誉回復や被害拡大防止のための記者会見などの措置を取らなかったことについて、安全配慮義務違反があったと主張し、2020年2月にメルパルクに対して損害賠償請求訴訟を仙台地方裁判所に行ったことが同年4月に報じられた[27]。
- その後、2022年2月22日付で会社が「遺憾の意」を表明すると共に和解金を支払う条件で和解したことが同年3月に報じられた。女性側は訂正などに応じなかったテレビ番組やまとめサイト、炎上に加担した個人への責任追及を検討している[28]。
脚注
[編集]- ^ a b メルパルク株式会社 第16期決算公告
- ^ “用途別物件一覧 - 日本郵政不動産株式会社”. www.jp-re.japanpost.jp. 2022年4月19日閲覧。
- ^ “法律第百四十四号(昭二二・一一・三〇)” (HTML). 衆議院トップページ >立法情報 >制定法律情報 >第001回国会 制定法律の一覧. 衆議院 (1947年11月30日). 2022年3月18日閲覧。 “第四條(郵便貯金の業務に從事する官吏) 郵便貯金の業務に從事する官吏の身分、給與及び服務に關する事項は、別に法律でこれを定める。”
- ^ “会社説明会資料(2023年3月期中間決算・グループ不動産事業)”. 日本郵政株式会社. p. 21 (2022年11月18日). 2023年2月25日閲覧。
- ^ “「海外リゾート婚」草分け大手、「キャベジン」興和傘下に…自力更生断念し子会社化”. 読売新聞オンライン (2021年5月29日). 2023年1月22日閲覧。
- ^ a b “ホテルメルパルク6施設閉鎖が決定、日本郵政は物件の売却に動くか? | M&A Online - M&Aをもっと身近に。”. maonline.jp. 2023年1月22日閲覧。
- ^ a b “メルパルク、全11ホテルのうち6施設の営業を終了 | HotelBank (ホテルバンク)” (2022年3月17日). 2023年1月22日閲覧。
- ^ a b “メルパルク、港区のホテルメルパルク東京など全国6拠点の営業を9月末で終了”. 不動産経済オンライン (2022年3月17日). 2023年1月22日閲覧。
- ^ ホテル メルパルク横浜の営業終了のお知らせ メルパルク
- ^ ホテル メルパルク大阪の営業終了のお知らせ メルパルク
- ^ “ホテル「メルパルク横浜」12月末で営業終了 43年間の歴史に幕”. ヨコハマ経済新聞. 2024年1月2日閲覧。
- ^ raiki_inoue (2023年7月24日). “ホテルメルパルク大阪、12月31日で営業終了 53年の営業に幕”. TRAICY(トライシー). 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b “2024年3月期会社説明会 主な開発中・開発候補不動産(2024年4月末時点)”. 日本郵政株式会社. p. 76 (2024年5月16日). 2024年9月12日閲覧。
- ^ a b “メルパルク仙台、野村不動産など3社が土地買収”. 日本経済新聞 (2022年11月1日). 2023年1月22日閲覧。
- ^ a b “メルパルク仙台跡地、東北最大規模476戸のマンション建設へ 27年3月完成予定”. 河北新報オンライン (2023年10月31日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b c 日本郵政株式会社 (2022年7月27日). “郵政民営化委員会第250回資料 「日本郵政グループの不動産事業の現状及び今後の取組み」”. 郵政民営化委員会. 2023年1月22日閲覧。
- ^ “旧メルパルク、シャトレーゼが取得 来春に再オープン:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年12月19日). 2023年1月22日閲覧。
- ^ “シャトレーゼホテル長野、7月14日開業 秋にカフェも”. 日本経済新聞 (2023年6月29日). 2023年7月9日閲覧。
- ^ “オープン予定のお知らせ|シャトレーゼホテル 長野 | CHÂTERAISÉ HOTEL Nagano”. nagano.chateraisehotel.jp. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “オープン予定のお知らせ|シャトレーゼホテル 長野 | CHÂTERAISÉ HOTEL Nagano”. nagano.chateraisehotel.jp. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “「シャトレーゼ スイーツプラザ/シャトレーゼホテル長野店」4/13(土)オープン!新たな展開を行うスイーツ店に。「シャトレーゼホテル長野」グランドオープンはカフェ営業開始の2024年7月予定@長野県長野市 – Web-Komachi”. Web-Komachi – 長野県の情報誌「長野Komachi」のWEBマガジン. 2024年9月28日閲覧。
- ^ master-nagano (2024年7月26日). “7/28(日)オープン!シャトレーゼホテル長野の新カフェ『YATSUDOKI CAFE(ヤツドキ カフェ)』ランチやかわいいスイーツがたくさん♡オリジナルラテアートも@長野市”. ARURA(アルラ). 2024年9月28日閲覧。
- ^ a b “「メルパルク岡山」跡地をアパグループが取得 駅から歩いて10分…大型複合開発を予定【岡山】 | OHK 岡山放送”. OHK 岡山放送. 2023年1月22日閲覧。
- ^ “一部インターネット書き込みに関するお知らせ”. メルパルク株式会社(2019年7月8日作成). 2019年7月12日閲覧。
- ^ “「結婚式が台無しに」口コミで炎上のメルパルクが謝罪声明 「誠心誠意対応を進めている」”. J-CASTニュース(2019年7月9日作成). 2019年7月10日閲覧。
- ^ “「絶対やめてと伝えていた旧姓でアナウンス」「巻き寿司がケーキの後に出される」結婚式台無し 式場側が謝罪”. ねとらぼ(2019年7月9日作成). 2019年7月10日閲覧。
- ^ “「仙台メルパルク」結婚式トラブル、無関係のプランナーに「人生ぶっ壊した」中傷やまず…対応しない勤務先を提訴”. 弁護士ドットコム(2020年4月13日作成). 2020年4月13日閲覧。
- ^ 出口絢 (2022年3月25日). “「仙台メルパルク」結婚式トラブル、ネットで中傷被害にあった元従業員と会社が和解”. 弁護士ドットコム. 2022年3月25日閲覧。