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2023年11月5日 (日) 06:22時点における版

第1編 総則

第1章 通則

第1条(法源)民事に関して,法律に規定のないときは慣習法により,慣習法のないときは条理による。

第2条(信義誠実)①権利の行使及び義務の履行は,信義に従い誠実に行わなければならない。
②権利は,濫用してはならない。

第2章 人

第1節 能力

第3条(権利能力の存続期間)人は,生存の間,権利及び義務の主体となる。

第4条(成年)人は,19歳をもって,成年に達する。<全文改正2011.3.7>

第5条(未成年者の能力)①未成年者が法律行為をするには,法定代理人の同意を得なければならない。但し,単に権利を得又は単に義務を免れる行為は,この限りではない。
②前項の規定に反する行為は,取り消すことができる。

第6条(処分を許した財産)法定代理人が,範囲を決めて処分を許した財産は,未成年者が任意に処分をすることができる。

第7条(同意と許諾の取消)法定代理人は,未成年者が,未だ法律行為をする前であるときは,前二条の同意及び許諾を取り消すことができる。

第8条(営業の許諾)①未成年者が,法定代理人から許諾を受けた特定の営業に関しては,成年者と同一の行為能力を有する。
②法定代理人は,前項の許諾を取り消し又は制限することができる。但し,善意の第三者に対抗することはできない。

第9条(成年後見開始の審判)①家庭裁判所は,疾病,障害,老齢その他の事由による精神的制約により,事務を処理する能力が持続的に欠如する者に対して,本人,配偶者,4親等以内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,限定後見人,限定後見監督人,特定後見人,特定後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,成年後見開始の審判をするものとする。
②家庭裁判所は,成年後見開始の審判をするときは,本人の意思を考慮しなければならない。<全文改正2011.3.7>

第10条(成年被後見人の行為及び取消)①成年被後見人の法律行為は,取り消すことができる。
②第1項にも拘らず,家庭裁判所は,取り消すことの出来ない成年被後見人の法律行為の範囲を定めることができる。
③家庭裁判所は,本人,配偶者,4親等以内の親族,成年後見人,成年後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,第2項の範囲を変更することができる。
④第1項の規定にも拘らず,日用品の購入等日常生活に必要でその対価が過度でない法律行為は,成年後見人が取り消すことはできない。<全文改正2011.3.7>

第11条(成年後見終了の審判)成年後見開始の原因が消滅したときは,家庭裁判所は,本人,配偶者,4親等以内の親族,成年後見人,成年後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,成年後見終了の審判をするものとする。<全文改正2011.3.7>

第12条(限定後見開始の審判)①家庭裁判所は,疾病,障害,老齢その他の事由による精神的制約により,事務を処理する能力が不足する者に対して,本人,配偶者,4親等以内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,成年後見人,成年後見監督人,特定後見人,特定後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,限定後見開始の審判をするものとする。
②限定後見開始の場合においては,第9条第2項を準用する。<全文改正2011.3.7>

第13条(限定被後見人の行為及び同意)①家庭裁判所は,限定被後見人が,限定後見人の同意を得なければならない行為の範囲を定めることができる。
②家庭裁判所は,本人,配偶者,4親等以内の親族,限定後見人,限定後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,第1項による限定後見人の同意を受けなければすることのできない行為の範囲を変更することができる。
③限定後見人の同意を必要とする行為に対して,限定後見人が限定被後見人の利益が侵害される恐れがあるにも拘らず,その同意をしないときは,家庭裁判所は,限定被後見人の請求により,限定後見人の同意に代える許可をすることができる。
④限定後見人の同意が必要な法律行為を,限定被後見人が,限定後見人の同意を得ないでしたときは,その法律行為を取り消すことができる。但し,日用品の購入等日常生活に必要でその対価が過度でない法律行為については,この限りではない。<全文改正2011.3.7>

第14条(限定後見終了の審判)限定後見開始の原因が消滅したときは,家庭裁判所は,本人,配偶者,4親等以内の親族,限定後見人,限定後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,限定後見終了の審判をするものとする。<全文改正2011.3.7>

第14条の2(特定後見の審判)①家庭裁判所は,疾病,障害,老齢その他の事由による精神的制約により,一時的な補助又は特定の事務に関する補助を要する者に対して,本人,配偶者,4親等以内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,検事又は地方自治体の長の請求により,特定後見の審判をするものとする。
②特定後見は,本人の意思に反してすることができない。
③特定後見の審判をする場合においては,特定後見の期間又は事務の範囲を定めなければならない。<本条新設2011.3.7>

第14条の3(審判間の関係)①家庭裁判所が限定被後見人又は特定被後見人に対して成年後見開始の審判をしたときは,従前の限定後見又は特定後見の終了の審判をするものとする。
②家庭裁判所が成年被後見人又は特定被後見人に対して限定後見開始の審判をしたときは,従前の成年後見又は特定後見の終了の審判をするものとする。<本条新設2011.3.7>

第15条(制限能力者の相手方の確答を催告する権利)①制限能力者の相手方は,その制限能力者が能力者となった後,その者に対し,一箇月以上の期間を定めて,その取り消すことができる行為を追認するかどうかの確答を催告をすることができる。能力者となった者がその期間内に確答を発しないときは,その行為を追認したものとみなす。
②制限能力者が未だ能力者となることができない場合においては,その法定代理人に対し第一項の催告をすることができ,法定代理人がその定められた期間内に確答を発しないときは,その行為を追認したものとみなす。
③特別の方式を要する行為は,その定められた期間内にその方式に従った通知を発しないときは,その行為を取り消したものとみなす。 <全文改正2011.3.7>

第16条(制限能力者の相手方の撤回及び拒絶権)①制限能力者が締結した契約は,追認を受けるまで,相手方がその意思表示を撤回することができる。但し,相手方が契約当時に制限能力者であることを知っていた場合においては,この限りではない。
②制限能力者の単独行為は,追認を受けるまで相手方拒絶をすることができる。
③第1項の撤回又は第2項の拒絶の意思表示は,制限能力者に対してもすることができる。<全文改正2011.3.7>

第17条(制限能力者の詐術)①制限能力者が詐術により自己を能力者と信じさせたときは,その行為を取り消すことができない。
②未成年者又は限定被後見人が詐術により法定代理人の同意があることを信じさせたときにおいても第一項と同様とする。

第2節 住所

第18条(住所)①生活の拠点となる場所を住所とする。
②住所は,同時に二個所以上有することができる。

第19条(居所)住所が知れない場合には,居所を住所とみなす。

第20条 国内に住所のないものについては,国内にある居所を住所とみなす。

第21条(仮住所)ある行為において仮住所を定めたときは,その行為に関しては,これを住所とみなす。

第3節 不在と失踪

第22条 (不在者の財産の管理) ① 従来の住所又は居所を去った者が財産管理人を定めなかったときは,裁判所は,利害関係人又は検事の請求により,財産の管理について必要な処分を命じなければならない。本人の不在中に財産管理人の権限が消滅したときも,同様とする。
②本人がその後,財産管理人を定めたときは,裁判所は,本人,財産管理人,利害関係人又は検事の請求により,前項命令を取り消さなければならない。

第23条(管理人の改任)不在者が財産管理人を定めた場合において,不在者の生死が明らかでないときは,裁判所は,財産管理人,利害関係人又は検事の請求により,財産管理人を改任することができる。

第24条(管理人の職務)①裁判所が選任した財産管理人は,管理する財産の目録を作成しなければならない。
②裁判所は,その選任した財産管理人に対して,不在者の財産を保存するために必要な処分を命ずることができる。
③不在者の生死が明らかでない場合において,利害関係人又は検事の請求があるときは,裁判所は,不在者が定めた財産管理人に前二項の処分を命ずることができる。
④前参考の場合において,その費用は,不在者の財産から支弁する。

第25条(管理人の権限)裁判所が選任した財産管理人が第118条に規定する権限を越える行為をするには,裁判所の許可を受けなければならない。不在者の生死が明らかでない場合において,不在者が定めた財産管理人が権限を越える行為をするときも,同様とする。

第26条(管理人の担保提供,報酬)①裁判所は,その選任した財産管理人に財産の管理及び返還について相当の担保をさせることができる。
②裁判所は,その選任した財産管理人に対して不在者の財産から相当な報酬を支給することができる。
③前二項の規定は,不在者の生死が明らかでない場合において,不在者が定めた財産管理人に準用する。

第27条(失踪の宣告)不在者の生死が五年間明らかでないときは,裁判所は,利害関係人又は検事の請求により,失踪の宣告をしなければならない。
②戦地に臨んだ者,沈没した船舶の中に在った者,墜落した航空機の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が,戦争が止んだ後又は船舶の沈没,航空機の墜落その他の危難が去った後一年間明らかでないときも,第一項と同様とする。

第28条(失踪宣告の効果)失踪宣告を受けた者は,前条の期間が満了した時に,死亡したものとみなす。

第29条(失踪宣告の取消し)①失踪者の生存した事実又は前条の規定と異なる時に死亡した事実の証明があったときは,裁判所は,本人,利害関係人又は検事の請求により,失踪宣告を取り消さなければならない。但し,失踪宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。 ②失踪宣告の取消しがあったときにおいて,失踪の宣告を直接の原因として財産を得た者が善意であったときは,その受けた利益が現存する限度において返還する義務を負い,悪意であったときは,その受けた利益に利子を付して返還し,損害のあるときは,これを賠償しなければならない。

第30条(同時死亡)二人以上が同一の危難により死亡した場合においては,同時に死亡したものと推定する。

第3章 法人

第1節 総則

第31条(法人設立の準則)法人は,法律の規定によらなければ,設立することができない。

第32条(非営利法人の設立及び許可)学術,宗教,慈善,技芸,社交その他営利でない事業を目的とする社団又は財団は,主務官庁の許可を受け,これを法人とするごとができる。

第33条(法人設立の登記)法人は,その主事務所の所在地で設立登記をすることによって成立する。

第34条(法人の権利能力)法人は,法律の規定に従い,定款で定められた範囲内で権利及び義務の主体となる。

第35条(法人の不法行為能力)①法人は,理事その他代表者がその職務に関して他人に加えた損害を賠償する責任を有する。理事その他代表者は,これにより自己の損害賠償責任を免れることは出来ない。
②法人の目的範囲外の行為により他人に損害を与えたときは,その事項の議決に賛成し又はその議決を執行した社員,理事及びその他代表者が連帯して賠償しなければならない。

第36条(法人の住所)法人の住所は,その主事務所の所在地にあるものとする。

第37条(法人の事務の検査,監督)法人の事務は,主務官庁が検査,監督する。

第38条(法人の設立許可の取消し)法人が目的外の事業をし又は設立許可の条件に反し又はその他公益を害する行為をしたときは,主務官庁は,その許可を取り消すことができる。

第39条(営利法人)①営利を目的とする社団は,商事会社設立の条件に従ってこれを法人とすることができる。
②前項の社団法人には,全て商事会社に関する規定を準用する。

第2節 設立

第40条(社団法人の定款)社団法人の設立者は,次の各号の事項を記載した定款を作成して記名捺印しなければならない。

1.目的
2.名称
3.事務所の所在地
4.資産に関する規定
5.理事の任免に関する規定
6.社員資格の得失に関する規定
7.存立時期又は解散事由を定めるときは,その時期又は事由

第41条(理事の代表権に対する制限)理事の代表権に対する制限は,これを定款に記載しなければその効力を有しない。

第42条(社団法人の定款の変更)①社団法人の定款は,総社員の3分の2以上の同意がある時に限って,これを変更することができる。但し,定数に関して定款に異なる規定のあるときは,その規定による。
②定款の変更は,主務官庁の許可を受けなければその効力を有しない。

第43条(財団法人の定款)財団法人の設立者は,一定の財産を出捐し第40条第1号乃至第5号の事項を記載した定款を作成して記名捺印しなければならない。

第44条(財団法人の定款の補充)財団法人の設立者がその名称,事務所所在地又は理事任免の方法を定めずに死亡したときは,利害関係人又は検事の請求により裁判所がこれを定める。

第45条(財団法人の定款変更)①財団法人の定款は,その変更方法を定款に定めたときに限り,変更することができる。

②財団法人の目的達成又はその財産の保全のために適当であるときは,前項の規定に拘らず,名称又は事務所の所在地を変更することができる。

③第42条第2項の規定は,前2項の場合に準用する。

第46条(財団法人の目的その他の変更)財団法人の目的を達成することのできないときは,設立者又は理事は,主務官庁の許可を得て設立の趣旨を參酌してその目的その他定款の規定を変更することができる。

第47条(贈与,遺贈に関する規定の準用)①生前処分により財団法人を設立するときは,贈与に関する規定を準用する。

②遺言により財団法人を設立するときは,遺贈に関する規定を準用する。

第48条(寄与財産の帰属時期)①生前処分により財団法人を設立するときは,出捐財産は,法人が成立したときから法人の財産とする。

②遺言により財団法人を設立するときは,出捐財産は,遺言の效力が発生したときから法人に帰属したものとみなす。

第49条(法人の登記事項)①法人設立の許可があるときは,3週間内に主たる事務所所在地において設立登記をしなければならない。

②前項の登記事項は,次の通りである。

1. 目的
2. 名称
3. 事務所
4. 設立許可の年月日
5. 存立時期又は解散理由を定めたときは,その時期又は事由
6. 資産の総額
7. 出資の方法を定めたときは,その方法
8. 理事の姓名,住所
9. 理事の代表権を制限したときは,その制限

第50条(分事務所設置の登記)①法人が分事務所を設置したときは,主事務所所在地においては3週間内に分事務所を設置したことを登記し,その分事務所所在地においては同期間内に前条第2項の事項を登記し,及び他の分事務所所在地においては同期間内にその分事務所を設置したことを登記しなければならない。

②主事務所又は分事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に分事務所を設置したときは,前項の期間内にその事務所を設置したことを登記すれば足りる。

第51条(事務所移転の登記)①法人がその事務所を移転するときは,旧所在地においては3週間内に移転登記をし,新所在地においては同期間内に第49条第2項に掲げる事項を登記しなければならない。

②同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは,その移転したことを登記すれば足りる。

第52条(変更登記)第49条第2項の事項中に変更のあるときは,3週間内に変更登記をしなければならない。

第52条の2(職務執行停止等仮処分の登記)理事の職務執行を停止し,職務代行者を選任する仮処分をし,又はその仮処分を変更し,若しくは取消すときは,主事務所及び分事務所の所在地の登記所でこれを登記しなければならない。[本条新設 2001.12.29.]

第53条(登記期間の起算)前3条の規定により登記する事項であって,官庁の許可を要するものは,その許可書が到着した日から登記の期間を起算する。

第54条(設立登記以外の登記の効力及び登記事項の公告)①設立登記以外の本節の登記事項は,その登記後でなければ第三者に対抗することができない。

②登記した事項は,裁判所が遅滞なく公告しなければならない。

第55条(財産目録及び社員名簿)①法人は,成立したとき及び每年3月までに財産目録を作成し,事務所に備置しなければならない。事業年度を定めた法人は,成立したとき及びその年度末にこれを作成しなければならない。

②社団法人は,社員名簿を備置し,社員の変更があるときは,これを記載しなければならない。

第56条(社員権の譲渡,相続の禁止)社団法人の社員の地位は,讓渡又は相続することができない。

第3節 機関

第57条(理事)法人は,理事を置かなければならない。

第58条(理事の事務執行)①理事は,法人の事務を執行する。

②理事が数人であるときは,定款に別段の規定のないときは,法人の事務執行は,理事の過半数で決定する。

第59条(理事の代表権)①理事は,法人の事務に関して,それぞれ法人を代表する。但し,定款に規定する趣旨に反することはできず,特に社団法人は,総会の議決によらなければならない。

②法人の代表に関しては,代理に関する規定を準用する。

第60条(理事の代表権に対する制限の対抗要件)理事の代表権に対する制限は,登記をしなければ第三者に対抗することができない。

第60条の2(職務代行者の権限)①第52条の2の職務代行者は,仮処分命令に特段の定めのあるときを以外は,法人の通常の事務に属しない行為をすることができない。但し,裁判所の許可を受けたときは,この限りではない。

②職務代行者が第1項の規定に反する行為をした場合であっても,法人は,善意の第3者に対して責任を負う。 [本条新設 2001.12.29.]

第61条(理事の注意義務)理事は,善良な管理者の注意をもってその職務を行わなければならない。

第62条(理事の代理人選任)理事は,定款又は総会の決議により禁止していない事項に限り,他人に特定の行為を代理させることができる。

第63条(臨時理事の選任)理事がおらず,又は欠員のある場合において,これにより損害が生ずる恐れのあるときは,裁判所は,利害関係人又は検事の請求により,臨時理事を選任しなければならない。

第64条(特別代理人の選任)法人及び理事の利益が相反する事項については,理事は,代表権を有しない。この場合においては,前条の規定により,特別代理人を選任しなければならない。

第65条(理事の任務懈怠)理事がその任務を懈怠したときは,その理事は,法人に対して連帯して損害賠償の責任を負う。

第66条(監事)法人は,定款又は総会の決議により監事を置くことができる。

第67条(監事の職務)監事の職務は,次の通りとする。

1. 法人の財産状況を監査すること
2. 理事の業務執行の状況を監査すること
3. 財産状況又は業務執行について不正,不備の事項があることを発見したときは,これを総会又は主務官庁に報告すること
4. 前号の報告をするために必要のあるときは,総会を召集すること

第68条(総会の権限)社団法人の事務は,定款により理事又はその他役員に委任した事項以外は,総会の決議によらなければならない。

第69条(通常総会)社団法人の理事は,每年1回以上通常総会を召集しなければならない。

第70条(臨時総会)①社団法人の理事は,必要であると認めたときは,臨時総会を召集することができる。

②総社員の5分の1以上から会議の目的事項を提示して請求したときは,理事は,臨時総会を召集しなければならない。この定数は,定款で増減することができる。

③前項の請求のあった後2週間内に理事が総会召集の手続きを踏まなかったときは,請求した社員は,裁判所の許可を得てこれを召集することができる。

第71条(総会の召集)総会の召集は,1週間前にその会議の目的事項を記載した通知を発し,その他定款に定める方法によらなければならない。

第72条(総会の決議事項)総会は,前条の規定により通知した事項に関してのみ決議することができる。但し,定款に特段の規定のあるときは,その規定による。

第73条(社員の決議権)①各社員の決議権は,平等とする。

②社員は,書面又は代理人により決議権を行使することができる。

③前2項の規定は,定款に特段の規定のあるときは,適用しない。

第74条(社員が決議権なき場合)社団法人と特定の社員との関係事項を議決するときは,その社員は,決議権を有しない。

第75条(総会の決議方法)①総会の決議は,本法又は定款に特段の規定のないときは,社員過半数の出席及び出席社員の決議権の過半数でする。

②第73条第2項の場合においては,当該社員は,出席したものとみなす。

第76条(総会の議事録)①総会の議事については,議事録を作成しなければならない。

②議事録には,議事の経過,要領及び結果を記載し,議長及び出席した理事が記名捺印しなければならない。

③理事は,議事録を主たる事務所に備置しなければならない。

第4節 解散

第77条(解散事由)①法人は,存立期間の満了,法人の目的の達成又は達成の不能その他定款に定める解散事由の発生,破産又は設立許可の取消しにより解散する。

②社団法人は,社員が欠け,又は総会の決議によっても解散する。

第78条(社団法人の解散決議)社団法人は,総社員4分の3以上の同意がなければ,解散を決議することができない。但し,定款に特段の規定のあるときは,その規定による。

第79条(破産申請)法人が債務を完済することができなくなったときは,理事は,遅滞なく破産の申立てをしなければならない。

第80条(残余財産の帰属)①解散した法人の財産は,定款で指定した者に帰属する。

②定款により帰属権利者を指定せず,又はこれを指定する方法を定めなかったときは,理事又は清算人は,主務官庁の許可を得てその法人の目的に類似した目的のため,その財産を処分することができる。但し,社団法人においては,総会の決議がなければならない。

③前2項の規定により処分されなかった財産は,国庫に帰属する。

第81条(清算法人)解散した法人は,清算の目的範囲内においてのみ権利を有し,義務を負う。

第82条(清算人)法人が解散したときは,破産の場合を除いては,理事が清算人となる。但し,定款又は総会の決議により別に定めをしたときは,それによる。

第83条(裁判所による清算人の選任)前条の規定により清算人となった者がなく,又は清算人の欠員により損害が生ずる恐れのあるときは,裁判所は,職権又は利害関係人若しくは検事の請求により清算人を選任することができる。

第84条(裁判所による清算人の解任)重要な事由があるときは,裁判所は,職権又は利害関係人若しくは検事の請求により清算人を解任することができる。

第85条(解散登記)①清算人は,破産の場合を除いては,その就任後3週間内に解散の事由及び年月日,清算人の姓名及び住所並びに清算人の代表権を制限したときは,その制限を主たる事務所及び分事務所所在地において登記しなければならない。

②第52条の規定は,前項の登記に準用する。

第86条(解散申告)①清算人は,破産の場合を除いては,その就任後3週間内に前条第1項の 事項を主務官庁に届け出なければならない。

②清算中に就任した清算人は,その姓名及び住所を届出すれば足りる。

第87条(清算人の職務)①清算人の職務は,次の通りとする。

1. 現存事務の終結
2. 債権の取立て及び債務の弁済
3. 残余財産の引渡し

②清算人は,前項の職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

第88条(債権申出の公告)①清算人は,就任した日から2月内に3回以上の公告をもって債権者に対して一定の期間内にその債権の申出をすることを催告しなければならない。その期間は,2月以上でなければならない。

②前項の公告には,債権者が期間内に申出をしないときは清算から除外されることを表示しなければならない。

③第1項の公告は,裁判所の登記事項の公告と同一の方法でしなければならない。

第89条(債権申出の催告)清算人は,知れている債権者に対しては,各々その債権申出を催告しなければならない。知れている債権者は,清算から除外することができない。

第90条(債権申出期間内の弁済禁止)清算人は,第88条第1項の債権申出期間内には,債権者に対して弁済することができない。但し,法人は,債権者に対する遅延損害賠償の義務を免れることができない。

第91条(債権弁済の特例)①清算中の法人は,弁済期に達しない債権についても,弁済することができる。

②前項の場合においては,条件のある債権,存続期間の不確定な債権その他価額の不確定な債権については,裁判所の選任した鑑定人の評価によって弁済しなければならない。

第92条(清算から除外された債権)清算から除外された債権者は,法人の債務を完済した後,帰属権利者に引き渡していない財産についてのみ,弁済を請求することができる。

第93条(清算中の破産)①清算中法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは,清算人は,遅滞なく破産宣告の申立てをし,これを公告しなければならない。

②清算人は,破産管財人にその事務を引き継ぐことによってその任務が終了する。

③第88条第3項の規定は,第1項の公告に準用する。

第94条(清算終結の登記及び申告)清算が終結したときは,清算人は,3週間内にこれを登記し,主務官庁に申告しなければならない。

第95条(解散,清算の検査,監督)法人の解散及び清算は,裁判所が検査,監督する。

第96条(準用規定)第58条第2項,第59条ないし第62条,第64条,第65条及び第70条の規定は,清算人にこれを準用する。

第5節 罰則

第97条(罰則)法人の理事,監事又は清算人は,次の各号のときは,500万円以下の過怠料に処する。

1.本章に規定する登記を懈怠したとき
2.第55条の規定に反し又は財産目録又は社員名簿に不実の記載をしたとき
3.第37条,第95条に規定する検査,監督を妨害したとき
4.主務官庁又は総会に対して,事実でない申告をし又は事実を隠蔽したとき
5.第76条及び第90条の規定に反するとき
6.第79条,第93条の規定に反して破産宣告の申請を懈怠したとき
7.第88条,第93条に定める公報を懈怠し又は不正な公告をしたとき <改正2007.12.21>

第4章 物

第98条(物の定義)この法律において,物とは,有体物及び電気その他管理することのできる自然力をいう。

第99条(不動産,動産)①土地及びその定着物は,不動産とする。
②不動産以外の物は,動産とする。

第100条(主物,従物)①物の所有者が,その物の常用に供するために,自己の所有する他の物をこれに附属させたときは,その附属物は,従物とする。
②従物は,主物の処分に従う。

第101条(天然果実,法定果実)①物の用法に従い収取する算出物は,天然果実とする。
②物の使用対価として受取る金銭その他の物は,法定果実とする。

第102条(果実の取得)①天然果実は,その元物から分離する時に,これを収取する権利者に属する。
②法定果実は,収取する権利の存続期間日数の比率に応じて,取得する。

第5章 法律行為

第1節 総則

第103条(社会秩序に反する法律行為)善良な風俗その他社会秩序に反する事項を内容とする法律行為は,無効とする。

第104条(不公正な法律行為)当事者の窮迫,軽率又は無経験により,著しく公正を欠く法律行為は,無効とする。

第105条(任意規定)法律行為の当事者が,法令中の,善良な風俗その他社会秩序に関係のない規定と異なる意思を表示したときは,その意思による。

第106条(事実たる慣習)法令中の,善良な風俗その他社会秩序に関係のない規定と異なる慣習のあるときに,当事者の意思が明確でないときは,その慣習による。

第2節 意思表示

第107条(真意でない意思表示)①意思表示は,表意者が真意でないことを知ってしたときであっても,その効力を有する。但し,相手方が,表意者の真意でないことを知り又はこれを知ることのできたときは,無効とする。
②前項の意思表示の無効は,善意の第三者に対抗することができない。

第108条(通謀による虚偽の意思表示)①相手方と通謀した虚偽の意思表示は,無効とする。
②前項の意思表示の無効は,善意の第三者に対抗することができない。

第109条(錯誤による意思表示)①意思表示は,法律行為の内容の重要部分に錯誤があったときは,取り消すことができる。但し,その錯誤が表意者の重大な過失によるときは,取り消すことができない。
前項の意思表示の取消しは,善意の第三者に対抗することができない。

第110条(詐欺,脅迫による意思表示)①詐欺又は強迫による意思表示は,取り消すことができる。
②相手方のある意思表示について第三者が詐欺又は強迫を行った場合においては,相手方がその事実を知っており又は知ることができたときに限り,その意思表示を取り消すことができる。
③前二項の意思表示の取消しは,善意の第三者に対抗することができない。

第111条(意思表示の効力発生時期)①相手方のある意思表示は,相手方に到達した時にその効力を生ずる。
②表意者が通知を発した後に死亡し,又は制限行為能力者となったときであっても,意思表示の効力に影響を及ぼさない。<全文改正2011.3.7>

第112条(制限能力者に対する意思表示の効力)意思表示の相手方が意思表示を受けた時に制限能力者であったときは,表意者は,その意思表示をもって対抗することができない。但し,その相手方の法定代理人が意思表示が到達した事実を知った後は,この限りではない。〈全文改正2011.3.7〉

第113条(意思表示の公示送達)表意者が,過失なく相手方を知ることができず又は相手方の所在を知ることができないときは,意思表示は,民事訴訟法の公示送達の規定によって,送達をすることができる。

第3節 代理

第114条(代理行為の効力)①代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は,直接本人に対して効力を生ずる。
②前項の規定は,代理人に対する第三者の意思表示に準用する。

第115条(本人のためにすることを表示しない行為)代理人が本人のためにすることを示さないときは,その意思表示は,自己のためにしたものとみなす。但し,相手方が代理人としてしたことを知り又は知ることのできたときは,前条第一項の規定を準用する。

第116条(代理行為の瑕疵)①意思表示の効力が,意思の不存在,詐欺,脅迫又はある事情を知り若しくは過失により知ることのできないことによって影響を受ける場合において,その事実の有無は,代理人を基準として決するものとする。
②特定の法律行為のためにする場合において,代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは,本人は,自己が知っていた事情又は過失により知ることのできなかった事情について,代理人が知らなかったことを主張することができない。

第117条(代理人の行為能力)代理人は,行為能力者であることを要しない。

第118条(代理権の範囲)権限の定めのない代理人は,次の各号の行為のみをすることができる。

1.保存行為
2.代理の目的たる物又は権利の性質を変えない範囲で,その利用又は改良する行為

第119条(各自代理)代理人が複数あるときは,各自が本人を代理するものとする。但し,法律又は授権行為に異なる定めのあるときは,この限りではない。

第120条(任意代理人の復任権)代理権が法律行為により与えられたときは,代理人は,本人の承諾があり又はやむを得ない事由のあるときでなければ,復代理人を選任することができない。

第121条(任意代理人の復代理人選任の責任)①前条の規定により代理人が復代理人を選任したときは,本人に対して,その選任監督に関する責任を有する。
②代理人が本人の指名によって復代理人を選任した場合においては,その不適任又は不誠実であることを知りながら本人に対する通知又はその解任を怠慢したときでなければ,責任を負わない。

第122条(法定代理人の復任権及びその責任)法定代理人は,その責任において復代理人を選任することができる。但し,やむを得ない事由によるときは,前条第一項に定める責任のみを有する。

第123条(復代理人の権限)①復代理人は,その権限内で本人を代理する。
②復代理人は,本人又は第三者に対して代理人と同一の権利義務を有する。

第124条(自己契約,双方代理)代理人は,本人の許諾がなければ,本人のために自己と法律行為をし又は同一の法律行為に関して当事者双方を代理することができない。但し,債務の履行は,することができる。

第125条(代理権授与の表示による表見代理)第三者に対して,他人に代理権を授与したことを表した者は,その代理権の範囲内においてした,その他人とその第三者の間の法律行為について責任を負う。但し,第三者が代理権のないことを知り又は知ることのできたときは,この限りではない。

第126条(権限を超えた表見代理)代理人が,その権限外の法律行為をした場合において,第三者がその権限があることを信ずべき正当な理由があるときは,本人は,その行為について責任を負う。

第127条(代理権の消滅事由)代理権は,次の各号の何れかに該当する事由があるときは,消滅する。

1.本人の死亡
2.代理人の死亡,成年後見の開始又は破産<全文改正2011.3.7>

第128条(任意代理の終了)法律行為により授与された代理権は,前条の場合を除くほか,その原因となった法律関係の終了により消滅する。法律関係の終了前において本人が授権行為を撤回した場合においても同様とする。

第129条(代理権消滅後の表見代理)代理権の消滅は,善意の第三者に対抗することができない。但し,第三者が過失によりその事実を知ることができなかったときは,この限りではない。

第130条(無権代理)代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は,本人がこれを追認をしなければ,本人に対して効力を生じない。

第131条(相手方の催告権)代理権を有しない者が他人の代理人として契約をした場合において,相手方は,相当の期間を定めて,本人に対して,その追認をするかどうかの確答を催告することができる。本人がその期間内に確答を発しないときは,追認を拒絶したものとみなす。

第132条(追認,拒絶の相手方)追認又は拒絶の意思表示は,相手方に対してしなければ,その相手方に対抗することができない。但し,相手方がその事実を知ったときは,この限りではない。

第133条(追認の効力)追認は,別段の意思表示がないときは,契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。但し,第三者の権利を害することはできない。

第134条(相手方の撤回権)代理権を有しない者がした契約は,本人の追認があるときまで,相手方は,本人又はその代理人に対してこれを撤回することができる。但し,契約の時点で,相手方が代理権がないことを知っていたときは,この限りではない。

第135条(相手方に対する無権代理人の責任)①他人の代理人として契約を締結した者がその代理権を証明することができず,かつ,本人の追認を得ることができなかったときは,その者は,相手方の選択に従い,契約を履行する責任又は損害を賠償する責任を負う。
②代理人として契約をした者が代理権を有しない事実を相手方が知り若しくは知ることの出来たとき又は代理人として契約をした者が制限能力者であるときは,第1項を適用しない。<全文改正2011.3.7>

第136条(単独行為及び無権代理)単独行為については,その行為の当時において,相手方が代理人と称する者の代理権を有しない行為に同意し又はその代理権を争わないときに限り,前6条の規定を準用する。代理権を有しない者に対しその同意を得て単独行為をしたときも,同様とする。

第4節 無効及び取消し

第137条(法律行為の一部無効)法律行為の一部が無効であるときは,その全部を無効とする。但し,その無効部分がなくとも法律行為をしたものと認められるときは,残りの部分は,無効とならない。

第138条(無効行為の転換)無効な法律行為が他の法律行為の要件を備え,当事者がその無効を知っていれば他の法律行為をすることを欲したものと認められるときは,他の法律行為としての効力を有する。

第139条(無効行為の追認)無効な法律行為は,追認しても,その効力を生じない。但し,当事者がその無効であることを知って追認をしたときは,新たな法律行為とみなす。

第140条(法律行為の取消権者)取消すことのできる法律行為は,制限能力者,錯誤により若しくは詐欺・脅迫により意思表示をした者,その代理人又は承継人のみが取消すことができる。<全文改正2011.3.7>

第141条(取消しの効果)取消された法律行為は,初めから無効であったものとみなす。但し,制限能力者は,その法律行為によって受けた利益が現存する限度において,償還の責任を負う。<全文改正2011.3.7>

第142条(取消しの相手方)取消すことのできる法律行為の相手方が確定した場合においては,その取消しは,その相手方に対する意思表示によってしなければならない。

第143条(追認の方法,効果)①取消すことの出来る法律行為は,第140条に規定する者が追認することができ,追認した後は,取消すことができない。
②前条の規定は,前項の場合に準用する。

第144条(追認の要件)①追認は,取消しの原因が消滅した後にしたときに限って,効力を有する。
②第1項は,法定代理人又は後見人が追認する場合においては,適用しない。<全文改正2011.3.7>

第145条(法定追認)取消すことのできる法律行為に関して前条の規定によって追認することのできる時以後に次の各号の事由があるときは,追認したものとみなす。

1.全部又は一部の履行
2.履行の請求
3.更改
4.担保の提供
5.取消すことのできる行為により取得した権利の全部又は一部の譲渡
6.強制執行

第146条(取消権の消滅)取消権は,追認することのできる日から3年内に,法律行為をした日から10年内に行使しなければならない。

第5節 条件及び期間

第147条(条件成就の効果)①停止条件のある法律行為は,条件が成就した時からその効力を生ずる。
②解除条件のある法律行為は,条件が成就した時からその効力を失う。
③当事者が条件成就の効力をその成就前にさかのぼらせる意思を表示したときは,その意思に従う。

第148条(条件付権利の侵害禁止)条件のある法律行為の当事者は,条件の成否が未定である間において,条件の成就により生ずべき相手方の利益を害することができない。

第149条(条件付権利の処分等)条件の成就が未定である権利義務は,一般の規定に従い,処分,相続,保存又は担保とすることができる。

第150条(条件成就,不成就に対する反信義行為)①条件の成就によって不利益を受ける当事者が信義誠実に反して条件の成就を妨げたときは,相手方は,その条件が成就したものとして主張することができる。
②条件の成就によって利益を受ける当事者が信義誠実に反して条件を成就させたときは,相手方は,その条件が成就していないものとして主張することができる。

第151条(不法条件,既成条件)①条件が善良な風俗その他社会秩序に反するものであるときは,その法律行為は,無効とする。
②条件が法律行為の時に既に成就しているものである場合においては,その条件が停止条件であるときは,条件のない法律行為とし,解除条件であるときは,その法律行為は,無効とする。
③条件が法律行為の時に既に成就の不能なものであった場合においては,その条件が解除条件であるときは,条件のない法律行為とし,停止条件であるときは,その法律行為は,無効とする。

第152条(期限到来の効果)①始期のある法律行為は,期間が到来した時からその効力を生ずる。
②終期のある法律行為は,期間が到来した時からその効力を失う。

第153条(期限の利益及びその放棄)①期間は,債務者の利益のためのものと推定する。
②期限の利益は,これを放棄することができる。但し,相手方の利益を害することはできない。

第154条(期限付権利及び準用規定)第148条及び第149条の規定は,期限のある法律行為に準用する。

第6章 期間

第155条(本章の適用範囲)期間の計算は,法令,裁判上の処分又は法律行為に他に定めるところがないときは,本章の規定に従う。

第156条(期間の起算点)期間を時,分,秒によって定めたときは,即時から起算する。

第157条(期間の起算点)期間を日,週,月又は年によって定めたときは,期間の初日は,算入しない。但し,その期間が午前零時から始まるときは,この限りではない。

第158条(年齢の起算点)年齢計算においては,出生日を算入する。

第159条(期間の満了点)期間を日,週,月又は年によって定めたときは,期間末日の終了をもって満了する。

第160条(暦による計算)①期間を日,週,月又は年によって定めたときは,暦に従って計算する。
②週,月又は年の初めから期間を起算しないときは,最後の週,月又は年においてその起算日に該当する日の前日に期間を満了する。
③月又は年によって定めた場合において,最終の月に該当日がないときは,その月の末日に期間を満了する。

第161条(公休日等及び期間の満了点)期間の末日が土曜日又は公休日に当たるときは,期間は,その翌日に満了する。<改正2007.12.21>

第7章 消滅時効

第162条(債権,財産権の消滅時効)①債権は,10年間行使しなければ,消滅時効が完成する。
②債権及び所有権以外の財産権は,20年間行使しなければ,消滅時効が完成する。

第163条(3年の短期消滅時効)次の各号の債権は,3年間行使しなければ,消滅時効が完成する。

1.利子,扶養料,給料,使用料その他1年以内の期間で定める金銭又は物の支払いを目的とする債権
2.医師,助産師,看護師及び薬剤師の治療,労働及び調剤に関する債権
3.請負人,技師その他工事の設計又は監督に従事する者の工事に関する債権
4.弁護士,弁理士,公証人,公認会計士及び法務士に対する職務上保管した書類の返還を請求する債権
5.弁護士,弁理士,公証人,公認会計士及び法務士の職務に関する債権
6.生産者及び商人が販売した生産物及び商品の対価
7.手工業者及び製造者の業務に関する債権<改正97.12.13>

第164条(1年の短期消滅時効)次の各号の債権は,1年間行使しなければ,消滅時効が完成する。

1.旅館,飲食店,貸席,娯楽場の宿泊料,飲食料,席料,入場料,消費物の代価及び立替金の債権
2.衣服,寝具,葬具その他動産の使用料の債権
3.労役の提供,演芸を業とする者の賃金及びその供給した物の代金債権
4.学生及び生徒の教育,衣食及び寄宿に関する校長,塾長,教師の債権

第165条(判決等により確定された債権の消滅時効)①判決によって確定した債権は,短期の消滅時効に該当するものであっても,その消滅時効は,10年とする。
②破産手続きによって確定した債権及び裁判上の和解,調停その他判決と同一の効力を有するものによって確定した債権も前項と同様とする。
③前2項の規定は,判決確定の時において弁済期が到来しない債権に適用しない。

第166条(消滅時効の起算点)①消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する。
②不作為を目的とする債権の消滅時効は,違反行為をした時から進行する。

第167条(消滅時効の遡及効)消滅時効は,その起算日にさかのぼって効力を生じる。

第168条(消滅時効の中断事由)消滅時効は,次の各号の事由によって,中断する。

1.請求
2.差押え又は仮差押え,仮処分
3.承認

第169条(時効中断の効果)時効の中断は,当事者及びその承継人の間においてのみ,効力を有する。

第170条(裁判上の請求及び時効中断)①裁判上の請求は,訴訟の却下,棄却又は取消しの場合においては,時効中断の効力を有しない。
②前項の場合において6月内に裁判上の請求,破産手続き参加,差押え又は仮差押え,仮処分をしたときは,時効は,最初の裁判上の請求によって中断したものとみなす。

第171条(破産手続参加及び時効中断)破産手続参加は,債権者がこれを取消し又はその請求が却下されたときは,時効中断の効力を有しない。

第172条(支払命令及び時効中断)支払命令は,債権者が法定期間内に仮執行申請をしないことによって,その効力を失ったときは,時効中断の効力を有しない。

第173条(和解のための召喚,任意出席及び時効停止)和解のための償還は,相手方が出席せず又は和解が成立しないときは,1月内に訴えを提起しなければ,時給中断の効力を有しない。任意出席の場合において,和解が成立しないときも,同様とする。

第174条(催告及び時効中断)催告は,6月内に裁判上の請求,破産手続参加,和解のための召還,任意出席,差押え又は仮差押え,仮処分をしないときは,時効中断の効力を有しない。

第175条(差押え,仮差押え,仮処分及び時効中断)差押え,仮差押え及び仮処分は,権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより,取消されたときは,時効中断の効力を有しない。

第176条(差押え,仮差押え,仮処分及び時効中断)差押え,仮差押え及び仮処分は,時効の利益を受ける者に対してしないときは,これをその者に通知した後でなければ,効力を有しない。

第177条(承認及び時効中断)時効中断の効力を有すべき承認においては,相手方の権利に関する処分の能力又は権限があることを要しない。

第178条(中断後の時効進行)①時効が中断したときは,中断までに経過した時効期間は,これを算入せず,中断の事由が終了した時から新たに進行する。
②裁判上の請求によって中断した時効は,前項の規定により,裁判が確定した時から新たに進行する。

第179条(制限能力者の時効停止) 消滅時効の期間満了前6箇月以内に制限能力者に法定代理人がないときは,その者が能力者となり又は法定代理人が就任した時から6箇月間は,消滅時効が完成しない。<全文改正2011.3.7>

第180条(財産管理者に対する制限能力者の権利,夫婦間の権利及び時効停止)①財産を管理する父,母又は後見人に対する制限能力者の権利は,その者が能力者となり,又は後任の法定代理人が就任したときから6箇月間は,消滅時効が完成しない。
②夫婦の中一方が他方に対して有する権利は,婚姻関係が終了したときから6箇月間は,消滅時効が完成しない。<全文改正2011.3.7>

第181条(相続財産に関する権利及び時効停止)相続財産に属する権利又は相続財産に対する権利は,相続人の確定,管理人の選任又は破産宣告があったときから6箇月間は,消滅時効が完成しない。

第182条(天災その他事変及び時効停止)天災その他事変のため消滅時効を中断することができないときは,その事由が終了したときから1月間は,時効が完成しない。

第183条(従属する権利に対する消滅時効の効力)主たる権利の消滅時効が完成したときは,従属する権利にその効力が及ぶ。

第184条(時効の利益の放棄その他)①消滅時効の利益は,あらかじめ放棄することができない。
②消滅時効は,法律行為によってこれを排除,延長又は加重することができないが,これを短縮又は軽減することができる。

第2編 物権

第1章 総則

第185条(物権の種類)物権は、法律又は慣習法によるほかは、任意に創設することができない。

第186条(不動産に関する物権の効力)不動産に関する法律行為による物権の得喪変更は、登記をしなければ、その効力を生じない。

第187条(登記を要しない不動産に関する物権の取得)相続、公用徴収、判決、競売その他法律の規定による不動産に関する物権の取得は、登記を要しない。但し、登記をしなければ、これを処分することができない。

第188条(動産に関する物権の譲渡の効力、簡易引渡し)①動産に関する物権の譲渡は、その動産を引渡さなければ効力を生じない。
②譲受人が既にその動産を占有したときは、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

第189条(占有の改定)動産に関する物権を譲渡する場合において、当事者の契約により譲渡人がその動産の占有を継続するときは、譲受人が引渡しを受けたものと見なす。

第190条(目的物返還請求権の譲渡)第三者が占有している動産に関する物権を譲渡する場合においては、譲渡人がその第三者に対して返還請求権を譲受人に譲渡することにより動産を引渡したものと見なす。

第191条(混同による物権の消滅)①同一の物件に対する所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。但し、その物権が第三者の権利の目的となるときは、消滅しない。
②前項の規定は、所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属した場合において、準用する。
③占有権については、前2項の規定を適用しない。

第2章 占有権

第192条(占有権の取得及び消滅)①物件を事実上支配する者は占有権を有する。

②占有者が物件に対する事実上の支配を喪失する時、その占有権が消滅する。ただし第204条の規定に依り占有を回収した時はこの限りではない。

第193条(相続による占有権の移転)占有権は、相続人に移転する。

第194条(間接占有)地上権、傳貰権、質権、使用貸借、賃貸借、任置、その他の 関係로 他人으로 하여금 物件을 占有하게 한 者は 間接的に占有権を有する。

第195条(占有補助者)家事上,營業上 その他 類似한 関係에 依하여 他人의 指示를 받어 物件에 対한 事実上의 支配를 하는 때에는 그 他人만을 占有者로 한다.

第196条(占有権の讓渡)①占有権의 讓渡는 占有物의 引渡로 그 效力이 생긴다.

②前項의 占有権의 讓渡에는 第188条第2項,第189条,第190条의 規定을 準用する。

第197条(占有의 態様)①占有者는 所有의 意思로 善意,平穩 및 公然하게 占有한 것으로 推定한다.

②善意의 占有者라도 本権에 関한 訴에 敗訴한 때에는 그 訴가 提起된 때로부터 悪意의 占有者로 본다.

第198条(占有継続의 推定)前後両時에 占有한 事実이 있는 때에는 그 占有는 継続한 것으로 推定한다.

第199条(占有의 承継의 主張과 그 效果)①占有者의 承継人은 自己의 占有만을 主張하거나 自己의 占有와 前占有者의 占有를 아울러 主張할 수 있다.

②前占有者의 占有를 아울러 主張하는 境遇에는 그 瑕疵도 継承한다.

第200条(権利의 適法의 推定)占有者가 占有物에 対하여 行使하는 権利는 適法하게 保有한 것으로 推定한다.

第201条(占有者와 果実)①善意의 占有者는 占有物의 果実을 取得한다.

②悪意의 占有者는 収取한 果実을 返還하여야 하며 消費하였거나 過失로 因하여 毁損 또는 収取하지 못한 境遇에는 그 果実의 代価를 補償하여야 한다.

③前項의 規定은 暴力 또는 隠秘에 依한 占有者에 準用する。

第202条(占有者의 回復者에 対한 責任)占有物이 占有者의 責任있는 事由로 因하여 滅失 또는 毁損한 때에는 悪意의 占有者는 그 損害의 全部를 賠償하여야 하며 善意의 占有者는 利益이 現存하는 限度에서 賠償하여야 한다. 所有의 意思가 없는 占有者는 善意인 境遇에도 損害의 全部를 賠償하여야 한다.

第203条(占有者의 償還請求権)①占有者가 占有物을 返還할 때에는 回復者에 対하여 占有物을 保存하기 為하여 支出한 金額 その他 必要費의 償還을 請求할 수 있다. 그러나 占有者가 果実을 取得한 境遇에는 通常의 必要費는 請求하지 못한다.

②占有者가 占有物을 改良하기 為하여 支出한 金額 その他 有益費에 関하여는 그 価額의 增加가 現存한 境遇에 限하여 回復者의 選擇에 좇아 그 支出金額이나 增加額의 償還을 請求할 수 있다.

③前項의 境遇에 法院은 回復者의 請求에 依하여 相当한 償還期間을 許与할 수 있다.

第204条(占有의 回収)①占有者가 占有의 侵奪을 当한 때에는 그 物件의 返還 및 損害의 賠償을 請求할 수 있다.

②前項의 請求権은 侵奪者의 特別承継人에 対하여는 行使하지 못한다. 그러나 承継人이 悪意인 때에는 그러하지 아니하다.

③第1項의 請求権은 侵奪을 当한 날로부터 1年内에 行使하여야 한다.

第205条(占有의 保有)①占有者가 占有의 妨害를 받은 때에는 그 妨害의 除去 및 損害의 賠償을 請求할 수 있다.

②前項의 請求権은 妨害가 終了한 날로부터 1年内에 行使하여야 한다.

③工事로 因하여 占有의 妨害를 받은 境遇에는 工事着手後 1年을 經過하거나 그 工事가 完成한 때에는 妨害의 除去를 請求하지 못한다.

第206条(占有의 保全)①占有者가 占有의 妨害를 받을 念慮가 있는 때에는 그 妨害의 豫防 또는 損害賠償의 担保를 請求할 수 있다.

②工事로 因하여 占有의 妨害를 받을 念慮가 있는 境遇에는 前条第3項의 規定을 準用する。

第207条(間接占有의 保護)①前3条의 請求権은 第194条의 規定에 依한 間接占有者도 이를 行使할 수 있다.

②占有者가 占有의 侵奪을 当한 境遇에 間接占有者는 그 物件을 占有者에게 返還할 것을 請求할 수 있고 占有者가 그 物件의 返還을 받을 수 없거나 이를 願하지 아니하는 때에는 自己에게 返還할 것을 請求할 수 있다.

第208条(占有의 訴와 本権의 訴와의 関係)①占有権에 基因한 訴와 本権에 基因한 訴는 서로 影響을 미치지 아니한다.

②占有権에 基因한 訴는 本権에 関한 理由로 裁判하지 못한다.

第209条(自力救済)①占有者는 그 占有를 不正히 侵奪 또는 妨害하는 行為에 対하여 自力으로써 이를 防衛할 수 있다.

②占有物이 侵奪되었을 境遇에 不動産일 때에는 占有者는 侵奪後 直時 加害者를 排除하여 이를 奪還할 수 있고 動産일 때에는 占有者는 現場에서 또는 追跡하여 加害者로부터 이를 奪還할 수 있다.

第210条(準占有)本章의 規定은 財産権을 事実上 行使하는 境遇에 準用する。

第3章 所有権

第1節 所有権の限界

第211条(所有権の内容)所有者は、法律の範囲内で、その所有物を使用、収益、処分する権利を有する。

第212条(土地所有権の範囲)土地の所有権は、正当な利益の有する範囲内で、土地の上下に及ぶ。

第213条(所有物返還請求権)所有者は、その所有に属する物を占有する者に対して、返還を請求することができる。但し、占有者が、その物を占有する権利を有するときは、返還を拒否することができる。

第214条(所有物妨害除去、妨害予防請求権)所有者は、所有権を妨害する者に対して、妨害の除去を請求することができ、所有権を妨害する恐れのある行為をする者に対して、その予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

第215条(建物の区分所有)①数人が、一棟の建物を区分して各々その一部分所有するときは、建物とその付属物中共用する部分は、その共有と推定する。
②共用部分の保存に関する費用その他の負担は、各自の所有部分の価額に比例して負担するものとする。

第216条(隣地使用請求権)①土地所有者は、境界又はその付近において、障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。但し、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
②前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、補償を請求することができる。

第217条(煤煙等に依る隣地に対する妨害の禁止)①土地所有者は、煤煙、熱気体、液体、音響、振動その他これに準ずるものにより、隣地の使用を妨害し又は隣地居住者の生活に苦痛を与えないため、適切な措置を講じる義務を有する。
②隣地居住者は、前項の事態が隣地の通常の用途に適当なものであるときは、これを認容する義務を有する。

第218条(水道等施設権)①土地所有者は、他人の土地を通過しなければ、必要な水道、疎水管、ガス管、電線等を施設することができず又は過多な費用を要するときは、他人の土地を通過して、これを施設することができる。但し、これによる損害の最も少ない場所及び方法を選択し、これを施設するものとし、他の土地の所有者の請求により、損害を補償しなければならない。
②前項による施設をした後、事情の変更があるときは、他の土地の所有者は、その施設の変更を請求することができる。施設変更の費用は、土地所有者が負担する。

第219条(周辺地通行権)①ある土地と公道の間にその土地の用途に必要な通路がないときに、土地の所有者は、周辺の土地を通行又は通路としなければ、公道に出入りすることができず又は過多な費用を要するときは、通路を開設することができる。但し、これによる損害の最も少ない場所及び方法を選択しなければならない。
②前項の通行権者は、通行地所有者の損害を補償しなければならない。

第220条(分割、一部譲渡及び周辺通行権)①分割により、公道に通ずることのできない土地のあるときは、その土地所有者は、公道に出入りするため、他の分割者の土地を通行することができる。この場合において、補償の義務は有しない。
②前項の規定は、土地所有者が、その土地の一部を譲渡した場合に準用する。

第221条(自然水流の承水の義務及び権利)①土地所有者は、隣地から自然に流れて来る水を妨げてはならない。
②高地所有者は、隣低地に自然に流れ出る隣低地で必要な水を、自己の正当な使用範囲を超えてこれを妨げてはならない。

第222条(疎通工事権)水流が低地において閉塞するときは、高地の所有者は、自費で疎通に費用な工事をすることができる。

第223条(貯水・排水、引水のための工作物に対する工事の請求権)土地の所有者が、貯水、排水又は引水のために工作物を設置した場合において、工作物の破損又は閉塞により、他人の土地に損害を加え又は加える恐れのあるときは、他人は、その工作物の補修、閉塞の疎通又は予防に必要な請求をすることができる。

第224条(慣習による費用負担)前二条の場合における費用負担に関する慣習があるときは、その慣習による。

第225条(雨水に対する施設義務)土地の所有者は、雨水が隣地に直接落下しないよう適当な施設をしなければならない。

第226条(余水疎通権)①高地の所有者は、浸水地を乾燥するため又は自家用若しくは農、工業用の余水を疎通するために公路,公流又は下水道に達するまで低地に水を通過させることができる。

②前項의 境遇에는 低地의 損害가 가장 적은 場所와 方法을 選択하여야 하며 損害를 補償하여야 한다.

第227条(流水用工作物의 使用権)①土地所有者는 그 所有地의 물을 疏通하기 為하여 이웃 土地所有者의 施設한 工作物을 使用할 수 있다.

②前項의 工作物을 使用하는 者는 그 利益을 받는 比率로 工作物의 設置와 保存의 費用을 分担하여야 한다.

第228条(余水給与請求権)土地所有者는 過多한 費用이나 勞力을 要하지 아니하고는 家用이나 土地利用에 必要한 물을 얻기 困難한 때에는 이웃 土地所有者에게 補償하고 余水의 給与를 請求할 수 있다.

第229条(水流의 変更)①溝渠 その他 水流地의 所有者는 対岸의 土地가 他人의 所有인 때에는 그 水路나 水流의 幅을 変更하지 못한다.

②両岸의 土地가 水流地所有者의 所有인 때에는 所有者는 水路와 水流의 幅을 変更할 수 있다. 그러나 下流는 自然의 水路와 一致하도록 하여야 한다.

③前2項의 規定은 다른 慣習이 있으면 그 慣習에 依한다.

第230条(堰의 設置,利用権)①水流地의 所有者가 堰을 設置할 必要가 있는 때에는 그 堰을 対岸에 接触하게 할 수 있다. 그러나 이로 因한 損害를 補償하여야 한다.

②対岸의 所有者는 水流地의 一部가 自己所有인 때에는 그 堰을 使用할 수 있다. 그러나 그 利益을 받는 比率로 堰의 設置,保存의 費用을 分担하여야 한다.

第231条(公有河川用水権)①公有河川의 沿岸에서 農,工業을 經営하는 者는 이에 利用하기 為하여 他人의 用水를 妨害하지 아니하는 範囲内에서 必要한 引水를 할 수 있다.

②前項의 引水를 하기 為하여 必要한 工作物을 設置할 수 있다.

第232条(下流 沿岸의 用水権保護)前条의 引水나 工作物로 因하여 下流沿岸의 用水権을 妨害하는 때에는 그 用水権者는 妨害의 除去 및 損害의 賠償을 請求할 수 있다.

第233条(用水権의 承継)農,工業의 經営에 利用하는 水路 その他 工作物의 所有者나 蒙利者의 特別承継人은 그 用水에 関한 前所有者나 蒙利者의 権利義務를 承継한다.

第234条(用水権에 関한 다른 慣習)前3条의 規定은 다른 慣習이 있으면 그 慣習에 依한다.

第235条(共用水의 用水権)相隣者는 그 共用에 属하는 源泉이나 水道를 各 需要의 程度에 応하여 他人의 用水를 妨害하지 아니하는 範囲内에서 各各 用水할 権利가 있다.

第236条(用水障害의 工事와 損害賠償,原狀回復)①必要한 用途나 収益이 있는 源泉이나 水道가 他人의 建築 その他 工事로 因하여 斷水,減水 その他 用途에 障害가 생긴 때에는 用水権者는 損害賠償을 請求할 수 있다.

②前項의 工事로 因하여 飮料水 その他 生活上 必要한 用水에 障害가 있을 때에는 原狀回復을 請求할 수 있다.

第237条(境界標,담의 設置権)①隣接하여 土地를 所有한 者는 共同費用으로 通常의 境界標나 담을 設置할 수 있다.

②前項의 費用은 雙方이 折半하여 負担한다. 그러나 測量費用은 土地의 面積에 比例하여 負担한다.

③前2項의 規定은 다른 慣習이 있으면 그 慣習에 依한다.

第238条(담의 特殊施設権)隣地所有者는 自己의 費用으로 담의 材料를 通常보다 良好한 것으로 할 수 있으며 그 높이를 通常보다 높게 할 수 있고 또는 防火壁 その他 特殊施設을 할 수 있다.

第239条(境界標 等의 共有推定)境界에 設置된 境界標,담,溝渠 等은 相隣者의 共有로 推定한다. 그러나 境界標,담,溝渠 等이 相隣者一方의 單獨費用으로 設置되었거나 담이 建物의 一部인 境遇에는 그러하지 아니하다.

第240条(樹枝,木根의 除去権)①隣接地의 樹木가지가 境界를 넘은 때에는 그 所有者에 対하여 가지의 除去를 請求할 수 있다.

②前項의 請求에 応하지 아니한 때에는 請求者가 그 가지를 除去할 수 있다.

③隣接地의 樹木뿌리가 境界를 넘은 때에는 任意로 除去할 수 있다.

第241条(土地의 深掘禁止)土地所有者는 隣接地의 地盤이 崩壞할 程度로 自己의 土地를 深掘하지 못한다. 그러나 充分한 防禦工事를 한 때에는 그러하지 아니하다.

第242条(境界線附近의 建築)①建物을 築造함에는 特別한 慣習이 없으면 境界로부터 半미터 以上의 距離를 두어야 한다.

②隣接地所有者는 前項의 規定에 違反한 者에 対하여 建物의 変更이나 撤去를 請求할 수 있다. 그러나 建築에 着手한 後 1年을 經過하거나 建物이 完成된 後에는 損害賠償만을 請求할 수 있다.

第243条(遮面施設義務)境界로부터 2미터 以内의 距離에서 이웃 住宅의 内部를 觀望할 수 있는 窓이나 마루를 設置하는 境遇에는 適当한 遮面施設을 하여야 한다.

第244条(地下施設 等에 対한 制限)①우물을 파거나 用水,下水 또는 汚物 等을 貯置할 地下施設을 하는 때에는 境界로부터 2미터 以上의 距離를 두어야 하며 貯水池,溝渠 또는 地下室工事에는 境界로부터 그 깊이의 半 以上의 距離를 두어야 한다.

②前項의 工事를 함에는 土砂가 崩壞하거나 下水 또는 汚液이 이웃에 흐르지 아니하도록 適当한 措処를 하여야 한다.

第2節 所有権の取得

第245条(占有로 因한 不動産所有権의 取得期間)①20年間 所有의 意思로 平穏,公然하게 不動産을 占有하는 者는 登記함으로써 그 所有権을 取得한다.

②不動産의 所有者로 登記한 者가 10年間 所有의 意思로 平穏,公然하게 善意이며 過失없이 그 不動産을 占有한 때에는 所有権을 取得한다.

第246条(占有로 因한 動産所有権의 取得期間)①10年間 所有의 意思로 平穏,公然하게 動産을 占有한 者는 그 所有権을 取得한다.

②前項의 占有가 善意이며 過失없이 開始된 境遇에는 5年을 経過함으로써 그 所有権을 取得한다.

第247条(所有権取得의 遡及効,中断事由)①前2条의 規定에 依한 所有権取得의 効力은 占有를 開始한 때에 遡及한다.

②消滅時効의 中断에 関한 規定은 前2条의 所有権取得期間에 準用する。

第248条(所有権 以外의 財産権의 取得時効)前3条의 規定은 所有権 以外의 財産権의 取得에 準用する。


第249条(善意取得)平穏,公然하게 動産을 讓受한 者가 善意이며 過失없이 그 動産을 占有한 境遇에는 讓渡人이 正当한 所有者가 아닌 때에도 卽時 그 動産의 所有権을 取得한다.


第250条(盗品,遺失物에 対한 特例)前条의 境遇에 그 動産이 盗品이나 遺失物인 때에는 被害者 또는 遺失者는 盗難 또는 遺失한 날로부터 2年内에 그 物件의 返還을 請求할 수 있다. 그러나 盗品이나 遺失物이 金銭인 때에는 그러하지 아니하다.


第251条(盗品,遺失物에 対한 特例)讓受人이 盗品 또는 遺失物을 競賣나 公開市場에서 또는 同種類의 物件을 販賣하는 商人에게서 善意로 買受한 때에는 被害者 또는 遺失者는 讓受人이 支給한 代価를 弁償하고 그 物件의 返還을 請求할 수 있다.


第252条(無主物의 帰属)①無主의 動産을 所有의 意思로 占有한 者는 그 所有権을 取得한다.

②無主의 不動産은 国有로 한다.

③野生하는 動物은 無主物로 하고 飼養하는 野生動物도 다시 野生狀態로 돌아가면 無主物로 한다.


第253条(遺失物의 所有権取得)遺失物은 法律에 定한 바에 依하여 公告한 後 6개월 내에 그 所有者가 権利를 主張하지 아니하면 拾得者가 그 所有権을 取得한다. <개정 2013.4.5.>


第254条(埋蔵物의 所有権取得)埋蔵物은 法律에 定한 바에 依하여 公告한 後 1年内에 그 所有者가 権利를 主張하지 아니하면 発見者가 그 所有権을 取得한다. 그러나 他人의 土地 その他 物件으로부터 発見한 埋蔵物은 그 土地 その他 物件의 所有者와 発見者가 折半하여 取得한다.


第255条(文化財의 国有)①學術,技藝 또는 考古의 重要한 材料가 되는 物件에 対하여는 第252条第1項 및 前2条의 規定에 依하지 아니하고 国有로 한다.

②前項의 境遇에 拾得者,発見者 및 埋蔵物이 発見된 土地 その他 物件의 所有者는 国家에 対하여 適当한 報償을 請求할 수 있다.


第256条(不動産에의 附合)不動産의 所有者는 그 不動産에 附合한 物件의 所有権을 取得한다. 그러나 他人의 権原에 依하여 附属된 것은 그러하지 아니하다.


第257条(動産間의 附合)動産과 動産이 附合하여 毁損하지 아니하면 分離할 수 없거나 그 分離에 過多한 費用을 要할 境遇에는 그 合成物의 所有権은 主된 動産의 所有者에게 属한다. 附合한 動産의 主従을 区別할 수 없는 때에는 動産의 所有者는 附合当時의 価額의 比率로 合成物을 共有한다.


第258条(混和)前条의 規定은 動産과 動産이 混和하여 識別할 수 없는 境遇에 準用する。


第259条(加工)①他人의 動産에 加工한 때에는 그 物件의 所有権은 原材料의 所有者에게 属한다. 그러나 加工으로 因한 価額의 増加가 原材料의 価額보다 顯著히 多額인 때에는 加工者의 所有로 한다.

②加工者가 材料의 一部를 提供하였을 때에는 그 価額은 前項의 増加額에 加算한다.


第260条(添附의 効果)①前4条의 規定에 依하여 動産의 所有権이 消滅한 때에는 그 動産을 目的으로 한 다른 権利도 消滅한다.

②動産의 所有者가 合成物,混和物 또는 加工物의 単独所有者가 된 때에는 前項의 権利는 合成物,混和物 또는 加工物에 存続하고 그 共有者가 된 때에는 그 持分에 存続한다.


第261条(添附로 因한 求償権)前5条의 境遇에 損害를 받은 者는 不当利得에 関한 規定에 依하여 補償을 請求할 수 있다.

第3節 共同所有

第262条(物件의 共有)①物件이 持分에 依하여 数人의 所有로 된 때에는 共有로 한다.

②共有者의 持分은 均等한 것으로 推定한다.

第263条(共有持分의 処分과 共有物의 使用,収益)共有者는 그 持分을 処分할 수 있고 共有物 全部를 持分의 比率로 使用,収益할 수 있다.

第264条(共有物의 処分,変更)共有者는 다른 共有者의 同意없이 共有物을 処分하거나 変更하지 못한다.

第265条(共有物의 管理,保存)共有物의 管理에 関한 事項은 共有者의 持分의 過半数로써 決定한다. 그러나 保存行為는 各自가 할 수 있다.

第266条(共有物의 負担)①共有者는 그 持分의 比率로 共有物의 管理費用 その他 義務를 負担한다.

②共有者가 1年 以上 前項의 義務履行을 遅滞한 때에는 다른 共有者는 相当한 価額으로 持分을 買受할 수 있다.

第267条(持分抛棄 等의 境遇의 帰属)共有者가 그 持分을 抛棄하거나 相続人없이 死亡한 때에는 그 持分은 다른 共有者에게 各 持分의 比率로 帰属한다.

第268条(共有物의 分割請求)①共有者는 共有物의 分割을 請求할 수 있다. 그러나 5年内의 期間으로 分割하지 아니할 것을 約定할 수 있다.

②前項의 契約을 更新한 때에는 그 期間은 更新한 날로부터 5年을 넘지 못한다.

③前2項의 規定은 第215条,第239条의 共有物에는 適用하지 아니한다.

第269条(分割의 方法)①分割의 方法에 関하여 協議가 成立되지 아니한 때에는 共有者는 法院에 그 分割을 請求할 수 있다.

②現物로 分割할 수 없거나 分割로 因하여 顕著히 그 価額이 減損될 念慮가 있는 때에는 法院은 物件의 競売를 命할 수 있다.

第270条(分割로 因한 担保責任)共有者는 다른 共有者가 分割로 因하여 取得한 物件에 対하여 그 持分의 比率로 売渡人과 同一한 担保責任이 있다.

第271条(物件의 合有)①法律의 規定 또는 契約에 依하여 数人이 組合体로서 物件을 所有하는 때에는 合有로 한다. 合有者의 権利는 合有物 全部에 미친다.

②合有에 関하여는 前項의 規定 또는 契約에 依하는 外에 다음 3条의 規定에 依한다.

第272条(合有物의 処分,変更과 保存)合有物을 処分 또는 変更함에는 合有者 全員의 同意가 있어야 한다. 그러나 保存行為는 各自가 할 수 있다.

第273条(合有持分의 処分과 合有物의 分割禁止)①合有者는 全員의 同意없이 合有物에 対한 持分을 処分하지 못한다.

②合有者는 合有物의 分割을 請求하지 못한다.

第274条(合有의 終了)①合有는 組合体의 解散 또는 合有物의 讓渡로 하여 終了한다.

②前項의 境遇에 合有物의 分割에 関하여는 共有物의 分割에 関한 規定을 準用する。

第275条(物件의 総有)①法人이 아닌 社団의 社員이 集合体로서 物件을 所有할 때에는 総有로 한다.

②総有에 関하여는 社団의 定款 その他 契約에 依하는 外에 다음 2条의 規定에 依한다.

第276条(総有物의 管理,処分과 使用,収益)①総有物의 管理 및 処分은 社員総会의 決議에 依한다.

②各 社員은 定款 その他의 規約에 좇아 総有物을 使用,収益할 수 있다.

第277条(総有物에 関한 権利義務의 得喪)総有物에 関한 社員의 権利義務는 社員의 地位를 取得喪失함으로써 取得喪失된다.

第278条(準共同所有)本節의 規定은 所有権 以外의 財産権에 準用する。 그러나 다른 法律에 特別한 規定이 있으면 그에 依한다.

第4章 地上権

第279条(地上権의 内容)地上権者는 他人의 土地에 建物 その他 工作物이나 樹木을 所有하기 為하여 그 土地를 使用하는 権利가 있다.

第280条(存続期間을 約定한 地上権)①契約으로 地上権의 存続期間을 定하는 境遇에는 그 期間은 다음 年限보다 短縮하지 못한다.

1. 石造,石灰造,煉瓦造 또는 이와 類似한 堅固한 建物이나 樹木의 所有를 目的으로 하는 때에는 30年
2. 前號以外의 建物의 所有를 目的으로 하는 때에는 15年
3. 建物以外의 工作物의 所有를 目的으로 하는 때에는 5年

②前項의 期間보다 短縮한 期間을 定한 때에는 前項의 期間까지 延長한다.

第281条(存続期間을 約定하지 아니한 地上権)①契約으로 地上権의 存続期間을 定하지 아니한 때에는 그 期間은 前条의 最短存続期間으로 한다.

②地上権設定当時에 工作物의 種類와 構造를 定하지 아니한 때에는 地上権은 前条第2號의 建物의 所有를 目的으로 한 것으로 본다.

第282条(地上権의 讓渡,賃貸)地上権者는 他人에게 그 権利를 讓渡하거나 그 権利의 存続期間 内에서 그 土地를 賃貸할 수 있다.

第283条(地上権者의 更新請求権,買受請求権)①地上権이 消滅한 境遇에 建物 その他 工作物이나 樹木이 現存한 때에는 地上権者는 契約의 更新을 請求할 수 있다.

②地上権設定者가 契約의 更新을 願하지 아니하는 때에는 地上権者는 相当한 価額으로 前項의 工作物이나 樹木의 買受를 請求할 수 있다.

第284条(更新과 存続期間)当事者가 契約을 更新하는 境遇에는 地上権의 存続期間은 更新한 날로부터 第280条의 最短存続期間보다 短縮하지 못한다. 그러나 当事者는 이보다 長期의 期間을 定할 수 있다.

第285条(収去義務,買受請求権)①地上権이 消滅한 때에는 地上権者는 建物 その他 工作物이나 樹木을 収去하여 土地를 原狀에 回復하여야 한다.

②前項의 境遇에 地上権設定者가 相当한 価額을 提供하여 그 工作物이나 樹木의 買受를 請求한 때에는 地上権者는 正当한 理由없이 이를 拒絶하지 못한다.

第286条(地料増減請求権)地料가 土地에 関한 租稅 その他 負担의 増減이나 地価의 変動으로 因하여 相当하지 아니하게 된 때에는 当事者는 그 増減을 請求할 수 있다.

第287条(地上権消滅請求権)地上権者가 2年 以上의 地料를 支給하지 아니한 때에는 地上権設定者는 地上権의 消滅을 請求할 수 있다.

第288条(地上権消滅請求와 抵当権者에 対한 通知)地上権이 抵当権의 目的인 때 또는 그 土地에 있는 建物,樹木이 抵当権의 目的이 된 때에는 前条의 請求는 抵当権者에게 通知한 後 相当한 期間이 経過함으로써 그 効力이 생긴다.

第289条(强行規定)第280条 乃至 第287条의 規定에 違反되는 契約으로 地上権者에게 不利한 것은 그 効力이 없다.

第289条의2(区分地上権)①地下 또는 地上의 空間은 上下의 범위를 정하여 建物 기타 工作物을 所有하기 위한 地上権의 目的으로 할 수 있다. 이 경우 設定行為로써 地上権의 行使를 위하여 土地의 사용을 제한할 수 있다.

②第1項의 規定에 의한 区分地上権은 第3者가 土地를 사용·収益할 権利를 가진 때에도 그 権利者 및 그 権利를 目的으로 하는 権利를 가진 者 全員의 承諾이 있으면 이를 設定할 수 있다. 이 경우 土地를 사용·収益할 権利를 가진 第3者는 그 地上権의 行使를 방해하여서는 아니된다.

[本条新設 1984.4.10.]

第290条(準用規定)①第213条,第214条,第216条 乃至 第244条의 規定은 地上権者間 또는 地上権者와 隣地所有者間에 이를 準用する。

②第280条 내지 第289条 및 第1項의 規定은 第289条의2의 規定에 의한 区分地上権에 관하여 이를 準用する。 <新設 1984.4.10.>

第5章 地役権

第291条(地役権의 内容)地役権者는 一定한 目的을 為하여 他人의 土地를 自己土地의 便益에 利用하는 権利가 있다.

第292条(附従性)①地役権은 要役地所有権에 附従하여 移転하며 또는 要役地에 対한 所有権以外의 権利의 目的이 된다. 그러나 다른 約定이 있는 때에는 그 約定에 依한다.

②地役権은 要役地와 分離하여 讓渡하거나 다른 権利의 目的으로 하지 못한다.

第293条(共有関係,一部讓渡와 不可分性)①土地共有者의 1人은 持分에 関하여 그 土地를 為한 地役権 또는 그 土地가 負担한 地役権을 消滅하게 하지 못한다.

②土地의 分割이나 土地의 一部讓渡의 境遇에는 地役権은 要役地의 各 部分을 為하여 또는 그 承役地의 各部分에 存続한다. 그러나 地役権이 土地의 一部分에만 関한 것인 때에는 다른 部分에 対하여는 그러하지 아니하다.

第294条(地役権取得期間)地役権은 継続되고 表現된 것에 限하여 第245条의 規定을 準用する。

第295条(取得과 不可分性)①共有者의 1人이 地役権을 取得한 때에는 다른 共有者도 이를 取得한다.

②占有로 因한 地役権取得期間의 中断은 地役権을 行使하는 모든 共有者에 対한 事由가 아니면 그 効力이 없다.

第296条(消滅時効의 中断,停止와 不可分性)要役地가 数人의 共有인 境遇에 그 1人에 依한 地役権消滅時効의 中断 또는 停止는 다른 共有者를 為하여 効力이 있다.

第297条(用水地役権)①用水承役地의 水量이 要役地 및 承役地의 需要에 不足한 때에는 그 需要程度에 依하여 먼저 家用에 供給하고 다른 用途에 供給하여야 한다. 그러나 設定行為에 다른 約定이 있는 때에는 그 約定에 依한다.

②承役地에 数個의 用水地役権이 設定된 때에는 後順位의 地役権者는 先順位의 地役権者의 用水를 妨害하지 못한다.

第298条(承役地所有者의 義務와 承継)契約에 依하여 承役地所有者가 自己의 費用으로 地役権의 行使를 為하여 工作物의 設置 또는 修繕의 義務를 負担한 때에는 承役地所有者의 特別承継人도 그 義務를 負担한다.

第299条(委棄에 依한 負担免除)承役地의 所有者는 地役権에 必要한 部分의 土地所有権을 地役権者에게 委棄하여 前条의 負担을 免할 수 있다.

第300条(工作物의 共同使用)①承役地의 所有者는 地役権의 行使를 妨害하지 아니하는 範囲内에서 地役権者가 地役権의 行使를 為하여 承役地에 設置한 工作物을 使用할 수 있다.

②前項의 境遇에 承役地의 所有者는 受益程度의 比率로 工作物의 設置,保存의 費用을 分担하여야 한다.

第301条(準用規定)第214条의 規定은 地役権에 準用する。

第302条(特殊地役権)어느 地域의 住民이 集合体의 関係로 各自가 他人의 土地에서 草木,野生物 및 土砂의 採取,放牧 その他의 収益을 하는 権利가 있는 境遇에는 慣習에 依하는 外에 本章의 規定을 準用する。

第6章 伝貰権

第303条(伝貰権の内容)①伝貰権者は、伝貰金を支払って、他人の不動産を占有し及びその不動産の用途に従い使用・収益し、その不動産全部について、後順位権利者その他債権者に比して伝貰金の優先弁済を受ける権利を有する。
②農耕地は、伝貰権の目的とすることができない。

第304条(建物の伝貰権、地上権、賃借権に対する効力)①他人の土地にある建物に伝貰権を設定したときは、伝貰権の効力は、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権に及ぶ。
②前項の場合において、伝貰権設定者は、伝貰権者の同意なく地上権又は賃借権を消滅させる行為をしてはならない。

第305条(建物の伝貰権及び法定地上権)①敷地及び建物が同一の所有者に属する場合において、建物に伝貰権を設定したときには、その敷地所有権の特別承継人は、伝貰権設定者に対して地上権を設定したものとみなす。
②前項の場合において、敷地所有者は、他人にその敷地を賃貸し又はこれを目的とする地上権又は伝貰権を設定することができない。

第306条(伝貰権の譲渡、賃貸等)伝貰権者は、伝貰権を他人に譲渡又は担保として提供することができ、その存続期間内にその目的物を他人に転伝貰又は賃貸することができる。但し、設定行為によりこれを禁止したときは、この限りではない。

第307条(伝貰権譲渡の効力)伝貰権譲受人は、伝貰権設定者に対し、伝貰権譲渡人と同一の権利義務を有する。

第308条(転伝貰等の場合の責任)伝貰権の目的物を転伝貰又は賃貸したときは、伝貰権者は、転伝貰又は賃貸をしなければ免れることのできた不可抗力による損害に対して、その責任を負う。

第309条(伝貰権者の維持、修繕義務)伝貰権者は、目的物の現状を維持し、その通常の管理に属する修繕をしなければならない。

第310条(伝貰権者の償還請求権)①伝貰権者が、目的物を改良するために支出した金額その他有益費に関しては、その金額の増加が現存する場合に限り、所有者の選択により、その支出額又は増加額の償還を請求することができる。
②前項の場合において、裁判所は、所有者の請求により相当の償還期間を猶予することができる。

第311条(伝貰権の消滅請求)①伝貰権者が、伝貰権設定契約又は、その目的物の性質により定められた用法により、これを使用、収益しないときは、伝貰権設定者は、伝貰権の消滅を請求することができる。
②前項の場合において、伝貰権設定者は、伝貰権者に対して、原状回復又は損害賠償を請求することができる。

第312条(伝貰権の存続期間)①伝貰権の存続期間は、10年を超えることができない。当事者の約定期間が10年を超えるときは、これを10年に短縮するものとする。
②建物に対する伝貰権の存続期間を、1年未満に定めたときは、これを1年とする。
③伝貰権の設定は、これを更新することができる。その期間は、更新の日から10年を超えることができない。
④建物の伝貰権設定者が、伝貰権の存続期間満了の前6月から1月までの間に伝貰権者に対して、更新拒絶の通知又は条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしないときは、その期間の満了したときに、従前の伝貰権と同一の条件により再度伝貰権を設定したものとみなす。この場合において、伝貰権の存続期間は、その定めがないものとみなす。

第312条の2(伝貰金増減請求権)伝貰金が目的不動産に関する租税・公課金その他負担の増減又は経済事情の変動により、相当でなくなったときは、当事者は将来に向かって、その増減を請求することができる。但し、増額の場合においては、大統領令が定める基準による比率を超過することができない。

第313条(伝貰権の消滅通知)伝貰権の存続期間を約定しないときは、各当事者は、いつでも相手方に対して伝貰権の消滅を通知することができ、相手方がこの通知を受けた日から6月が経過したときに、伝貰権は消滅する。

第314条(不可抗力による滅失)①伝貰権の目的物の全部又は一部が、不可抗力により滅失したときは、その滅失した部分の伝貰権は消滅する。
②前項の一部滅失の場合において、伝貰権者が、その残存部分によって伝貰権の目的を達成することができないときは、伝貰権設定者に対して、伝貰権全部の消滅を通知して伝貰金の返還を請求することができる。

第315条(伝貰権者の損害賠償責任)①伝貰権の目的物の全部又は一部が、伝貰権者の責に任ずるべき事由により滅失したときは、伝貰権者は損害を賠償する責に任ずる。
②前項の場合において、伝貰権設定者は、伝貰権が消滅した後伝貰金を損害の賠償に充当し、剰余があるときは返還しなければならず、不足があるときは、再度請求をすることができる。

第316条(原状回復義務、買取請求権)①伝貰権が、その存続期間の満了により消滅したときは、伝貰権者は、その目的物を原状に回復しなければならず、その目的物に付属する物を除去することができる。但し、伝貰権設定者が、その付属物の買い取りを請求するときは、伝貰権者は、正当な理由をなくして拒絶することができない。
②前項の場合において、その付属物が、伝貰権設定者の同意を受けて付属させられたものであるときは、伝貰権者は、伝貰権設定者に対し、その付属物の買い取りを請求することができる。その付属物が、伝貰権設定者から買い取ったものであるときも同様とする。

第317条(伝貰権の消滅と同時履行)伝貰権が消滅したときは、伝貰権設定者は、伝貰権者からその目的物の引き渡し及び伝貰権設定登記の抹消登記に必要な書類の交付を受けると同時に伝貰金の返還をしなければならない。

第318条(伝貰権者の競売請求権)伝貰権設定者が、伝貰金の返還を遅滞したときは、伝貰権者は、民事執行法の定めるところにより、伝貰権の目的物の競売を請求することができる。<改正97.12.13,2001.12.29>

第319条(準用規定)第213条、第214条、第216条乃至第244条の規定は、伝貰権者間又は伝貰権と隣地所有者及び地上権者の間に、これを準用する。

第7章 留置権

第320条(留置権의 内容)①他人의 物件 또는 有価證券을 占有한 者는 그 物件이나 有価證券에 関하여 생긴 債権이 弁済期에 있는 境遇에는 弁済를 받을 때까지 그 物件 또는 有価證券을 留置할 権利가 있다.

②前項의 規定은 그 占有가 不法行為로 因한 境遇에 適用하지 아니한다.

第321条(留置権의 不可分性)留置権者는 債権全部의 弁済를 받을 때까지 留置物全部에 対하여 그 権利를 行使할 수 있다.

第322条(競売,簡易弁済充当)①留置権者는 債権의 弁済를 받기 為하여 留置物을 競売할 수 있다.

②正当한 理由있는 때에는 留置権者는 鑑定人의 評価에 依하여 留置物로 直接 弁済에 充当할 것을 法院에 請求할 수 있다. 이 境遇에는 留置権者는 미리 債務者에게 通知하여야 한다.

第323条(果実収取権)①留置権者는 留置物의 果実을 収取하여 다른 債権보다 먼저 그 債権의 弁済에 充当할 수 있다. 그러나 果実이 金銭이 아닌 때에는 競売하여야 한다.

②果実은 먼저 債権의 利子에 充当하고 그 剩余가 있으면 元本에 充当한다.

第324条(留置権者의 善管義務)①留置権者는 善良한 管理者의 注意로 留置物을 占有하여야 한다.

②留置権者는 債務者의 承諾없이 留置物의 使用,貸与 또는 担保提供을 하지 못한다. 그러나 留置物의 保存에 必要한 使用은 그러하지 아니하다.

③留置権者가 前2項의 規定에 違反한 때에는 債務者는 留置権의 消滅을 請求할 수 있다.

第325条(留置権者의 償還請求権)①留置権者가 留置物에 関하여 必要費를 支出한 때에는 所有者에게 그 償還을 請求할 수 있다.

②留置権者가 留置物에 関하여 有益費를 支出한 때에는 그 価額의 増加가 現存한 境遇에 限하여 所有者의 選擇에 좇아 그 支出한 金額이나 増加額의 償還을 請求할 수 있다. 그러나 法院은 所有者의 請求에 依하여 相当한 償還期間을 許与할 수 있다.

第326条(被担保債権의 消滅時効)留置権의 行使는 債権의 消滅時効의 進行에 影響을 미치지 아니한다.

第327条(他担保提供과 留置権消滅)債務者는 相当한 担保를 提供하고 留置権의 消滅을 請求할 수 있다.

第328条(占有喪失과 留置権消滅)留置権은 占有의 喪失로 因하여 消滅한다.

第8章 質権

第1節 動産質

第329条(動産質権의 内容)動産質権者는 債権의 担保로 債務者 또는 第三者가 提供한 動産을 占有하고 그 動産에 対하여 다른 債権者보다 自己債権의 優先弁済를 받을 権利가 있다.

第330条(設定契約의 要物性)質権의 設定은 質権者에게 目的物을 引渡함으로써 그 効力이 생긴다.

第331条(質権의 目的物)質権은 讓渡할 수 없는 物件을 目的으로 하지 못한다.

第332条(設定者에 依한 代理占有의 禁止)質権者는 設定者로 하여금 質物의 占有를 하게 하지 못한다.

第333条(動産質権의 順位)数個의 債権을 担保하기 為하여 同一한 動産에 数個의 質権을 設定한 때에는 그 順位는 設定의 先後에 依한다.

第334条(被担保債権의 範囲)質権은 元本,利子,違約金,質権実行의 費用,質物保存의 費用 및 債務不履行 또는 質物의 瑕疵로 因한 損害賠償의 債権을 担保한다. 그러나 다른 約定이 있는 때에는 그 約定에 依한다.

第335条(留置的効力)質権者는 前条의 債権의 弁済를 받을 때까지 質物을 留置할 수 있다. 그러나 自己보다 優先権이 있는 債権者에게 対抗하지 못한다.

第336条(転質権)質権者는 그 権利의 範囲内에서 自己의 責任으로 質物을 転質할 수 있다. 이 境遇에는 転質을 하지 아니하였으면 免할 수 있는 不可抗力으로 因한 損害에 対하여도 責任을 負担한다.

第337条(転質의 対抗要件)①前条의 境遇에 質権者가 債務者에게 転質의 事実을 通知하거나 債務者가 이를 承諾함이 아니면 転質로써 債務者,保證人,質権設定者 및 그 承継人에게 対抗하지 못한다.

②債務者가 前項의 通知를 받거나 承諾을 한 때에는 転質権者의 同意없이 質権者에게 債務를 弁済하여도 이로써 転質権者에게 対抗하지 못한다.

第338条(競売,簡易弁済充当)①質権者는 債権의 弁済를 받기 為하여 質物을 競売할 수 있다.

②正当한 理由있는 때에는 質権者는 鑑定人의 評価에 依하여 質物로 直接 弁済에 充当할 것을 法院에 請求할 수 있다. 이 境遇에는 質権者는 미리 債務者 및 質権設定者에게 通知하여야 한다.

第339条(流質契約의 禁止)質権設定者는 債務弁済期前의 契約으로 質権者에게 弁済에 갈음하여 質物의 所有権을 取得하게 하거나 法律에 定한 方法에 依하지 아니하고 質物을 処分할 것을 約定하지 못한다. <개정 2014.12.30.>

第340条(質物 以外의 財産으로부터의 弁済)①質権者는 質物에 依하여 弁済를 받지 못한 部分의 債権에 限하여 債務者의 다른 財産으로부터 弁済를 받을 수 있다.

②前項의 規定은 質物보다 먼저 다른 財産에 関한 配当을 実施하는 境遇에는 適用하지 아니한다. 그러나 다른 債権者는 質権者에게 그 配当金額의 供託을 請求할 수 있다.

第341条(物上保證人의 求償権)他人의 債務를 担保하기 為한 質権設定者가 그 債務를 弁済하거나 質権의 実行으로 因하여 質物의 所有権을 잃은 때에는 保證債務에 関한 規定에 依하여 債務者에 対한 求償権이 있다.

第342条(物上代位)質権은 質物의 滅失,毁損 또는 公用徵収로 因하여 質権設定者가 받을 金銭 その他 物件에 対하여도 이를 行使할 수 있다. 이 境遇에는 그 支給 또는 引渡前에 押留하여야 한다.

第343条(準用規定)第249条 乃至 第251条,第321条 乃至 第325条의 規定은 動産質権에 準用する。

第344条(他法律에 依한 質権)本節의 規定은 다른 法律의 規定에 依하여 設定된 質権에 準用する。

第2節 権利質

第345条(権利質権의 目的)質権은 財産権을 그 目的으로 할 수 있다. 그러나 不動産의 使用,収益을 目的으로 하는 権利는 그러하지 아니하다.

第346条(権利質権의 設定方法)権利質権의 設定은 法律에 다른 規定이 없으면 그 権利의 讓渡에 関한 方法에 依하여야 한다.

第347条(設定契約의 要物性)債権을 質権의 目的으로 하는 境遇에 債権證書가 있는 때에는 質権의 設定은 그 證書를 質権者에게 交付함으로써 그 効力이 생긴다.

第348条(抵当債権에 対한 質権과 附記登記)抵当権으로 担保한 債権을 質権의 目的으로 한 때에는 그 抵当権登記에 質権의 附記登記를 하여야 그 効力이 抵当権에 미친다.

第349条(指名債権에 対한 質権의 対抗要件)①指名債権을 目的으로 한 質権의 設定은 設定者가 第450条의 規定에 依하여 第三債務者에게 質権設定의 事実을 通知하거나 第三債務者가 이를 承諾함이 아니면 이로써 第三債務者 その他 第三者에게 対抗하지 못한다.

②第451条의 規定은 前項의 境遇에 準用する。

第350条(指示債権에 対한 質権의 設定方法)指示債権을 質権의 目的으로 한 質権의 設定은 證書에 背書하여 質権者에게 交付함으로써 그 効力이 생긴다.

第351条(無記名債権에 対한 質権의 設定方法)無記名債権을 目的으로 한 質権의 設定은 證書를 質権者에게 交付함으로써 그 効力이 생긴다.

第352条(質権設定者의 権利処分制限)質権設定者는 質権者의 同意없이 質権의 目的된 権利를 消滅하게 하거나 質権者의 利益을 害하는 変更을 할 수 없다.


第353条(質権의 目的이 된 債権의 実行方法)①質権者는 質権의 目的이 된 債権을 直接 請求할 수 있다.

②債権의 目的物이 金銭인 때에는 質権者는 自己債権의 限度에서 直接 請求할 수 있다.

③前項의 債権의 弁済期가 質権者의 債権의 弁済期보다 먼저 到來한 때에는 質権者는 第三債務者에 対하여 그 弁済金額의 供託을 請求할 수 있다. 이 境遇에 質権은 그 供託金에 存在한다.

④債権의 目的物이 金銭 以外의 物件인 때에는 質権者는 그 弁済를 받은 物件에 対하여 質権을 行使할 수 있다.

第354条(同前)質権者는 前条의 規定에 依하는 外에 민사집행법에 定한 執行方法에 依하여 質権을 実行할 수 있다. <개정 2001.12.29.>

第355条(準用規定)権利質権에는 本節의 規定外에 動産質権에 関한 規定을 準用する。

第9章 抵当権

第356条(抵当権의 内容)抵当権者는 債務者 또는 第三者가 占有를 移転하지 아니하고 債務의 担保로 提供한 不動産에 対하여 다른 債権者보다 自己債権의 優先弁済를 받을 権利가 있다.

第357条(根抵当)①抵当権은 그 担保할 債務의 最高額만을 定하고 債務의 確定을 將來에 保留하여 이를 設定할 수 있다. 이 境遇에는 그 確定될 때까지의 債務의 消滅 또는 移転은 抵当権에 影響을 미치지 아니한다.

②前項의 境遇에는 債務의 利子는 最高額 中에 算入한 것으로 본다.

第358条(抵当権의 効力의 範囲)抵当権의 効力은 抵当不動産에 附合된 物件과 従物에 미친다. 그러나 法律에 特別한 規定 또는 設定行為에 다른 約定이 있으면 그러하지 아니하다.

第359条(果実에 対한 効力)抵当権의 効力은 抵当不動産에 対한 押留가 있은 後에 抵当権設定者가 그 不動産으로부터 収取한 果実 또는 収取할 수 있는 果実에 미친다. 그러나 抵当権者가 그 不動産에 対한 所有権,地上権 또는 伝貰権을 取得한 第三者에 対하여는 押留한 事実을 通知한 後가 아니면 이로써 対抗하지 못한다.

第360条(被担保債権의 範囲)抵当権은 元本,利子,違約金,債務不履行으로 因한 損害賠償 및 抵当権의 実行費用을 担保한다. 그러나 遅延賠償에 対하여는 元本의 履行期日을 経過한 後의 1年分에 限하여 抵当権을 行使할 수 있다.

第361条(抵当権의 処分制限)抵当権은 그 担保한 債権과 分離하여 他人에게 讓渡하거나 다른 債権의 担保로 하지 못한다.

第362条(抵当物의 補充)抵当権設定者의 責任있는 事由로 因하여 抵当物의 価額이 顕著히 減少된 때에는 抵当権者는 抵当権設定者에 対하여 그 原狀回復 또는 相当한 担保提供을 請求할 수 있다.

第363条(抵当権者의 競売請求権,競買人)①抵当権者는 그 債権의 弁済를 받기 為하여 抵当物의 競売를 請求할 수 있다.

②抵当物의 所有権을 取得한 第三者도 競買人이 될 수 있다.

第364条(第三取得者의 弁済)抵当不動産에 対하여 所有権,地上権 또는 伝貰権을 取得한 第三者는 抵当権者에게 그 不動産으로 担保된 債権을 弁済하고 抵当権의 消滅을 請求할 수 있다.

第365条(抵当地上의 建物에 対한 競売請求権)土地를 目的으로 抵当権을 設定한 後 그 設定者가 그 土地에 建物을 築造한 때에는 抵当権者는 土地와 함께 그 建物에 対하여도 競売를 請求할 수 있다. 그러나 그 建物의 競売代価에 対하여는 優先弁済를 받을 権利가 없다.

第366条(法定地上権)抵当物の競売によって,土地及びその地上建物が他の所有者に属したときは,土地所有者は,建物所有者について,地上権を設定したものと見なす。但し,地料は,当事者の請求により,裁判所がこれを定める。

第367条(第三取得者の費用償還請求権)抵当物의 第三取得者가 그 不動産의 保存,改良을 為하여 必要費 또는 有益費를 支出한 때에는 第203条第1項,第2項의 規定에 依하여 抵当物의 競売代価에서 優先償還을 받을 수 있다.

第368条(共同抵当과 代価의 配当,次順位者의 代位)①同一한 債権의 担保로 数個의 不動産에 抵当権을 設定한 境遇에 그 不動産의 競売代価를 同時에 配当하는 때에는 各不動産의 競売代価에 比例하여 그 債権의 分担을 定한다.

②前項의 抵当不動産中 一部의 競売代価를 먼저 配当하는 境遇에는 그 代価에서 그 債権全部의 弁済를 받을 수 있다. 이 境遇에 그 競売한 不動産의 次順位抵当権者는 先順位抵当権者가 前項의 規定에 依하여 다른 不動産의 競売代価에서 弁済를 받을 수 있는 金額의 限度에서 先順位者를 代位하여 抵当権을 行使할 수 있다.

第369条(附従性)抵当権으로 担保한 債権이 時効의 完成 その他 事由로 因하여 消滅한 때에는 抵当権도 消滅한다.

第370条(準用規定)第214条,第321条,第333条,第340条,第341条 및 第342条의 規定은 抵当権에 準用する。

第371条(地上権,伝貰権을 目的으로 하는 抵当権)①本章의 規定은 地上権 또는 伝貰権을 抵当権의 目的으로 한 境遇에 準用する。

②地上権又は伝貰権を目的として抵当権を設定した者は,抵当権者の同意なく地上権伝貰権을 消滅하게 하는 行為를 하지 못한다.

第372条(他法律에 依한 抵当権)本章의 規定은 다른 法律에 依하여 設定된 抵当権에 準用する。

第3編 債権

第1章 総則

第1節 債権の目的

第373条(債権の目的)金銭によって価額を算定することができないものであっても,債権の目的とすることができる。

第374条(特定物引渡債務者の善管義務)特定物の引渡しが債権の目的であるときは,債務者は,その物を引渡すまで善良な管理者の注意をもって保存しなければならない。

第375条(種類債権)①債権の目的を種類によってのみ指定した場合において,法律行為の性質又は当事者の意思により品質を定めることができないときは,債務者は,中等品質の物で履行しなければならない。

②前項の場合において,債務者が履行に必要な行為を完了し,又は債権者の同意を得て履行する物を指定したときは,その時からその物を債権の目的物とする。

第376条(金銭債権)債権の目的が어느 種類の通貨によって支払うものである場合において,その通貨が弁済期に强制通用力を잃은ときは,債務者は,他の通貨で弁済しなければならない。

第377条(外貨債権)①債権の目的が他国の通貨で支払うものであるときは,債務者は,自己の選択したその国の各種類の通貨で弁済することができる。

②債権の目的が어느 種類의他国通貨で支払うものである場合において,その通貨が弁済期に強制通用力を失ったときは,その国の他の通貨で弁済しなければならない。

第378条(同前)債権額が他国通貨で指定된 때에는 債務者는 支給할 때에 있어서의 履行地의 換金市価에 依하여 우리나라 通貨로 弁済할 수 있다.

第379条(法定利率)利息のある債権の利率は他の法律の規定や当事者間の約定がなければ、年 5分とする。

第380条(選択債権)債権의 目的이 数個의 行為 中에서 選擇에 좇아 確定될 境遇에 다른 法律의 規定이나 当事者의 約定이 없으면 選擇権은 債務者에게 있다.

第381条(選択権の移転)①選擇権行使의 期間이 있는 境遇에 選擇権者가 그 期間内에 選擇権을 行使하지 아니하는 때에는 相対方은 相当한 期間을 定하여 그 選擇을 催告할 수 있고 選擇権者가 그 期間内에 選擇하지 아니하면 選擇権은 相対方에게 있다.

②選擇権行使의 期間이 없는 境遇에 債権의 期限이 到來한 後 相対方이 相当한 期間을 定하여 그 選擇을 催告하여도 選擇権者가 그 期間内에 選擇하지 아니할 때에도 前項과 같다.

第382条(当事者の選択権の行使)①債権者나 債務者가 選擇하는 境遇에는 그 選擇은 相対方에 対한 意思表示로 한다.

②前項의 意思表示는 相対方의 同意가 없으면 撤回하지 못한다.

第383条(第三者の選択権の行使)①第三者が選擇する境遇에는その選択は,債務者及び債権者에 対한 意思表示로 한다.

②前項의 意思表示는 債権者 및 債務者의 同意가 없으면 撤回하지 못한다.

第384条(第三者の選択権の移転)①選擇할 第三者가 選擇할 수 없는 境遇에는 選擇権は,債務者에게 있다.

②第三者가 選擇하지 아니하는 境遇에는 債権者나 債務者는 相当한 期間을 定하여 그 選擇을 催告할 수 있고 第三者가 그 期間内에 選擇하지 아니하면 選擇権은 債務者에게 있다.

第385条(不能による選択債権の特定)①債権の目的으로 選擇할 数個의 行為 中에 처음부터 不能한 것이나 또는 後에 履行不能하게 된 것이 있으면 債権의 目的은 殘存한 것에 存在한다.

②選擇権없는 当事者의 過失로 因하여 履行不能이 된 때에는 前項의 規定을 適用하지 아니한다.

第386条(選択の遡及効)選択の効力は,その債権が発生したときに遡及する。但し,第三者の権利を害することができない。

第2節 債権の効力

第387条(履行期와 履行遅滞)①債務履行의 確定한 期限이 있는 境遇에는 債務者는 期限이 到來한 때로부터 遅滞責任이 있다. 債務履行의 不確定한 期限이 있는 境遇에는 債務者는 期限이 到來함을 안 때로부터 遅滞責任이 있다.

②債務履行의 期限이 없는 境遇에는 債務者는 履行請求를 받은 때로부터 遅滞責任이 있다.

第388条(期限의 利益의 喪失)債務者는 다음 各號의 境遇에는 期限의 利益을 主張하지 못한다.

1. 債務者가 担保를 損傷,減少 또는 滅失하게 한 때
2. 債務者가 担保提供의 義務를 履行하지 아니한 때

第389条(强制履行)①債務者가 任意로 債務를 履行하지 아니한 때에는 債権者는 그 强制履行을 法院에 請求할 수 있다. 그러나 債務의 性質이 强制履行을 하지 못할 것인 때에는 그러하지 아니하다.

②前項의 債務가 法律行為를 目的으로 한 때에는 債務者의 意思表示에 갈음할 裁判을 請求할 수 있고 債務者의 一身에 專属하지 아니한 作為를 目的으로 한 때에는 債務者의 費用으로 第三者에게 이를 하게 할 것을 法院에 請求할 수 있다. <개정 2014.12.30.>

③그 債務가 不作為를 目的으로 한 境遇에 債務者가 이에 違反한 때에는 債務者의 費用으로써 그 違反한 것을 除却하고 將來에 対한 適当한 処分을 法院에 請求할 수 있다.

④前3項의 規定은 損害賠償의 請求에 影響을 미치지 아니한다.

第390条(債務不履行과 損害賠償)債務者가 債務의 内容에 좇은 履行을 하지 아니한 때에는 債権者는 損害賠償을 請求할 수 있다. 그러나 債務者의 故意나 過失없이 履行할 수 없게 된 때에는 그러하지 아니하다.

第391条(履行補助者의 故意,過失)債務者의 法定代理人이 債務者를 為하여 履行하거나 債務者가 他人을 使用하여 履行하는 境遇에는 法定代理人 또는 被用者의 故意나 過失은 債務者의 故意나 過失로 본다.

第392条(履行遅滞 中의 損害賠償)債務者는 自己에게 過失이 없는 境遇에도 그 履行遅滞 中에 생긴 損害를 賠償하여야 한다. 그러나 債務者가 履行期에 履行하여도 損害를 免할 수 없는 境遇에는 그러하지 아니하다.

第393条(損害賠償의 範囲)①債務不履行으로 因한 損害賠償은 通常의 損害를 그 限度로 한다.

②特別한 事情으로 因한 損害는 債務者가 그 事情을 알았거나 알 수 있었을 때에 限하여 賠償의 責任이 있다.

第394条(損害賠償의 方法)다른 意思表示가 없으면 損害는 金銭으로 賠償한다.

第395条(履行遅滞와 塡補賠償)債務者가 債務의 履行을 遅滞한 境遇에 債権者가 相当한 期間을 定하여 履行을 催告하여도 그 期間内에 履行하지 아니하거나 遅滞後의 履行이 債権者에게 利益이 없는 때에는 債権者는 受領을 拒絶하고 履行에 갈음한 損害賠償을 請求할 수 있다. <개정 2014.12.30.>

第396条(過失相殺)債務不履行에 関하여 債権者에게 過失이 있는 때에는 法院은 損害賠償의 責任 및 그 金額을 定함에 이를 參酌하여야 한다.

第397条(金銭債務不履行에 対한 特則)①金銭債務不履行의 損害賠償額은 法定利率에 依한다. 그러나 法令의 制限에 違反하지 아니한 約定利率이 있으면 그 利率에 依한다.

②前項의 損害賠償에 関하여는 債権者는 損害의 證明을 要하지 아니하고 債務者는 過失없음을 抗弁하지 못한다.

第398条(賠償額의 豫定)①当事者는 債務不履行에 関한 損害賠償額을 豫定할 수 있다.

②損害賠償의 豫定額이 不当히 過多한 境遇에는 法院은 適当히 減額할 수 있다.

③損害賠償額의 豫定은 履行의 請求나 契約의 解除에 影響을 미치지 아니한다.

④違約金의 約定은 損害賠償額의 豫定으로 推定한다.

⑤当事者가 金銭이 아닌 것으로써 損害의 賠償에 充当할 것을 豫定한 境遇에도 前4項의 規定을 準用する。

第399条(損害賠償者의 代位)債権者가 그 債権의 目的인 物件 또는 権利의 価額全部를 損害賠償으로 받은 때에는 債務者는 그 物件 또는 権利에 関하여 当然히 債権者를 代位한다.

第400条(債権者遅滞)債権者가 履行을 받을 수 없거나 받지 아니한 때에는 履行의 提供있는 때로부터 遅滞責任이 있다.

第401条(債権者遅滞와 債務者의 責任)債権者遅滞 中에는 債務者는 故意 또는 重大한 過失이 없으면 不履行으로 因한 모든 責任이 없다.

第402条(同前)債権者遅滞中には,利息のある債権であっても,債務者は,利息を支払う義務を負わない。

第403条(債権者遅滞と債権者の責任)債権者遅滞によりその目的物の保管又は弁済の費用が増加したときは,その増加額は,債権者の負担とする。

第404条(債権者代位権)①債権者は,自己の債権を保全するため,債務者の権利を行使することができる。但し,一身に專属する権利は,この限りではない。

②債権者は,その債権の期限が到来する前には,裁判所の許可なく前項の権利を行使することができない。但し,保全行為は,この限りではない。

第405条(債権者代位権行使の通知)①債権者が前条第1項の規定により保全行為以外の権利を行使したときは,債務者に通知しなければならない。

②債務者が前項の通知を受けた後は,その権利を処分しても,これをもって債権者に対抗することができない。

第406条(債権者取消権)①債務者が債権者を害することを知って財産権を目的とした法律行為をしたときは,債権者は,その取消及び原狀回復を裁判所に請求することができる。但し,その行為により利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時に債権者を害することを知れなかったときは,この限りではない。

②前項の訴えは,債権者が取消原因を知った日から1年,法律行為のあった日から5年内に提起しなければならない。

第407条(債権者取消の効力)前条の規定による取消及び原狀回復は,全ての債権者の利益のためにその効力を有する。

第3節 複数の債権者及び債務者

第1款 総則

第408条(分割債権関係)債権者又は債務者が数人である場合において,特別の意思表示がないときは,各債権者又は各債務者は,均等の比率で権利を有し,義務を負う。

第2款 不可分債権及び不可分債務

第409条(不可分債権)債権の目的がその性質又は当事者の意思表示により不可分である場合において,債権者が数人であるときは,各債権者は,全ての債権者のために履行を請求することができ,債務者は,全ての債権者のために各債権者に履行することができる。

第410条(1人の債権者に生じた事項の効力)①前条の規定により全ての債権者に対して効力を有する事項を除いては,不可分債権者中1人の行為又は1人に関する事項は,他の債権者に対し効力を有しない。

②不可分債権者中の1人と債務者との間に更改又は免除のある場合において,債務全部の履行を受けた他の債権者は,その1人が権利を失わなかったときは,その者に分給すべき利益を債務者に償還しなければならない。

第411条(不可分債務と準用規定)数人が不可分債務を負したときは,第413条ないし第415条,第422条,第424条ないし第427条及び前条の規定を準用する。

第412条(可分債権,可分債務への変更)不可分債権又は不可分債務が可分債権又は可分債務に変更されたときは,各債権者は,自己部分のみの履行を請求する権利を有し,各債務者は,自己負担部分のみを履行する義務を負う。

第3款 連帯債務

第413条(連帯債務の内容)数人の債務者が債務全部を各自履行する義務を負い,債務者1人の履行により他の債務者もその義務を免かれることとなるときは,その債務は,連帯債務とする。

第414条(各連帯債務者に対しての履行請求)債権者は,1人の連帯債務者に対し,又は同時若しくは順次に全ての連帯債務者に対し,債務の全部又は一部の履行を請求することができる。

第415条(債務者に生じた無効,取消)1人の連帯債務者に対する法律行為の無効又は取消の原因は,他の連帯債務者の債務に影響を及ぼさない。

第416条(履行請求の絶対的効力)1人の連帯債務者に対する履行請求は,他の連帯債務者にも効力を有する。

第417条(更改の絶対的効力)1人の連帯債務者と債権者との間に債務の更改があるときは,債権は,全て連帯債務者の利益のために消滅する。

第418条(相殺の絶対的効力)①1人の連帯債務者が債権者に対して債権を有する場合において,その債務者が相殺したときは,債権は,全て連帯債務者の利益のために消滅する。

②相殺すべき債権のある連帯債務者が相殺をしなかったときは,その債務者の負担部分に限り他の連帯債務者が相殺することができる。

第419条(免除の絶対的効力)1人の連帯債務者に対する債務免除は,その債務者の負担部分に限り他の連帯債務者の利益のために効力を有する。

第420条(混同の絶対的効力)1人の連帯債務者と債権者との間に混同のあるときは,その債務者の負担部分に限り他の連帯債務者も,義務を免れる。

第421条(消滅時効の絶対的効力)1人の連帯債務者に対して消滅時効が完成したときは,その負担部分に限り他の連帯債務者も,義務を免れる。

第422条(債権者遅滞の絶対的効力)1人の連帯債務者に対する債権者の遅滞は,他の連帯債務者にも,効力を有する。

第423条(効力の相対性の原則)前7条の事項のほかには,1人の連帯債務者に関する事項は,他の連帯債務者に効力を有しない。

第424条(負担部分の均等)連帯債務者の負担部分は,均等のものと推定する。

第425条(出財債務者の求償権)①1人の連帯債務者が弁済その他自己の出財により共同免責のなされたときは,他の連帯債務者の負担部分に対して求償権を行使することができる。

②前項の求償権は,免責された日以後の法定利息及び避けられない費用その他損害賠償を含む。

第426条(求償要件としての通知)①1人の連帯債務者が他の連帯債務者に通知しないで弁済その他自己の出財により共同免責のなされた場合において,他の連帯債務者が債権者に対抗することのできる事由を有していたときは,その負担部分に限りこの事由により免責行為をした連帯債務者に対抗することができ,その対抗事由が相殺であるときは,相殺により消滅する債権は,その連帯債務者に移転される。

②1人の連帯債務者が弁済その他自己の出財により共同免責されたことを他の連帯債務者に通知しなかった場合において,他の連帯債務者が善意で債権者に対して弁済その他有償の免責行為をしたときは,その連帯債務者は,自己の免責行為の有効を主張することができる。

第427条(償還無資力者の負担部分)①連帯債務者の中に償還する資力のない者があるときは,その債務者の負担部分は,求償権者及び他の資力のある債務者がその負担部分に比例して分担する。但し,求償権者に過失のあるときは,他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。

②前項の場合において,償還する資力のない債務者の負担部分を分担する他の債務者が債権者から連帯の免除を受けたときは,その債務者の分担すべき部分は,債権者の負担とする。

第4款 保証債務

第428条(保証債務の内容)①保証人は,主債務者の履行しない債務を履行する義務を負う。

②保証は,将来の債務についてもすることができる。

第428条の2(保証の方式)①保証は,その意思が保証人の記名捺印又は署名がある書面で表示しなければ効力を生じない。但し,保証の意思が電子的形態で表示されたときは,効力を有しない。

②保証債務を保証人に不利に変更するときも,第1項と同様とする。

③保証人が保証債務を履行したときは,その限度において第1項及び第2項による方式の瑕疵を理由として保証の無効を主張することができない。

[本条新設 2015.2.3.]

第428条の3(根保証)①保証は,不確定の多数債務についてもすることができる。この場合において,保証する債務の最高額を書面で特定しなければならない。

②第1項の場合において,債務の最高額を第428条の2第1項による書面で特定しない保証契約は,効力を有しない。

[本条新設 2015.2.3.]

第429条(保証債務の範囲)①保証債務は,主債務の利息,違約金,損害賠償その他主債務に従属する債務を包含する。

②保証人は,その保証債務に関する違約金その他損害賠償額を予定することができる。

第430条(目的,形態上の附従性)保証人の負担が主債務の目的又は形態より重いときは,主債務の限度に減縮する。

第431条(保証人の条件)①債務者が保証人を立てる義務を負う場合には,その保証人は,行為能力及び弁済資力を有する者としなければならない。

②保証人が弁済資力を有しなくなったときは,債権者は,保証人の変更を請求することができる。

③債権者が保証人を指名したときは,前2項の規定を適用しない。

第432条(他担保の提供)債務者は,他の相当な担保を提供することにより保証人を立てる義務を免かれることができる。

第433条(保証人と主債務者抗弁権)①保証人は,主債務者の抗弁をもって債権者に対抗することができる。

②主債務者の抗弁放棄は,保証人に対して効力を有しない。

第434条(保証人と主債務者相殺権)保証人は,主債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

第435条(保証人と主債務者の取消権等)主債務者が債権者に対して取消権又は解除権若しくは解止権を有する間は,保証人は,債権者に対し債務の履行を拒絶することができる。

第436条 削除<2015.2.3.>

第436条の2(債権者の情報提供義務及び通知義務等)①債権者は,保証契約を締結する際,保証契約の締結与否又はその内容に影響を及ぼし得る主債務者の債務関連信用情報を保有し,又は知っているときは,保証人に対しその情報を通知しなければならない。保証契約を更新するときも,また同様とする。

②債権者は,保証契約を締結した後,次の各号のいずれか一に該当する事由があるときは,遅滞なく保証人に対しその事実を通知しなければならない。

1. 主債務者が元本,利子,違約金,損害賠償又はその他の主債務に従属する債務を3箇月以上履行しないとき
2. 主債務者が履行期に履行することができないことをあらかじめ知ったとき
3. 主債務者の債務関連信用情報に重大な変化が生じたことを知るに至ったとき

③債権者は,保証人の請求があるときは,主債務の内容及びその履行与否を通知しなければならない。

④債権者が第1項から第3項までの規定による義務を違反して保証人に損害を負わせたときは,裁判所は,その内容及び程度等を考慮して保証債務を減軽し,又は免除することができる。

[本条新設 2015.2.3.]

第437条(保証人の催告,検索の抗弁)債権者が保証人に債務の履行を請求したときは,保証人は,主債務者の弁済資力がある事実及びその執行が容易であることを証明して,先に主債務者に対して請求すること及びその財産に対して執行することを抗弁することができる。但し,保証人が主債務者と連帯して債務を負担したときは,この限りではない。

第438条(催告,検索の懈怠の効果)前条の規定による保証人の抗弁に拘らず,債権者の懈怠によって債務者から全部又は一部の弁済を得られなかったときは,債権者が怠らなければ弁済を得た限度において,保証人は,その義務を免れる。

第439条(共同保証の分別の利益)数人の保証人が各自の行為により保証債務を負担した場合においても,第408条の規定を適用する。

第440条(時効中断の保証人に対する効力)主債務者に対する時効の中断は,保証人に対しその効力を有する。

第441条(受託保証人の求償権)①主債務者の委託により保証人となった者が過失なく弁済その他の出財により主債務を消滅させたときは,主債務者に対して求償権を有する。

②第425条第2項の規定は,前項の場合に準用する。

第442条(受託保証人の事前求償権)①主債務者の委託により保証人となった者は,次の各号の場合において,主債務者に対して,あらかじめ,求償権を行使することができる。

1. 保証人が過失なく債権者に弁済すべき裁判を受けたとき
2. 主債務者が破産宣告を受けた場合において,債権者が破産財団に加入しなかったとき
3. 債務の履行期が確定されず,その最長期も確定することができない場合において,保証契約後5年を経過したとき
4. 債務の履行期が到來したとき

②前項第4号の場合においては,保証契約後に債権者が主債務者に許与した期限をもって保証人に対抗することができない。

第443条(主債務者の免責請求)前条の規定により主債務者が保証人に対して賠償する場合において,主債務者は,自己を免責させ,若しくは自己に担保を提供することを保証人に請求することができ,又は賠償する金額を供託し,担保を提供し,若しくは保証人を免責させることによってその賠償義務を免かれることができる。

第444条(委託のない保証人の求償権)①主債務者の委託なくして保証人となった者が弁済その他自己の出財により主債務を消滅させたときは,主債務者は,その当時に利益を得た限度において賠償しなければならない。

②主債務者の意思に反して保証人となった者が弁済その他自己の出財により主債務を消滅させたときは,主債務者は,現存利益の限度において賠償しなければならない。

③前項の場合において,主債務者が求償した日以前に相殺原因のあることを主張したときは,その相殺によって消滅する債権は,保証人に移転する。

第445条(求償要件としての通知)①保証人が主債務者に対して通知せずに弁済その他自己の出財によって主債務を消滅させた場合において,主債務者が債権者に対抗することができる事由があったときは,この事由をもって保証人に対抗することができ,その対抗事由が相殺されたときは,相殺により消滅する債権は,保証人に移転する。

②保証人が弁済その他自己の出財により免責されたことを主債務者に対して通知しなかった場合において,主債務者が善意で債権者に対して弁済その他有償の免責行為をしたときは,主債務者は,自己の免責行為の有効を主張することができる。

第446条(主債務者の保証人に対する免責通知義務)主債務者が自己の行為により免責したことをその委託により保証人となった者に対して通知しなかった場合において,保証人が善意で債権者に対して弁済その他有償の免責行為をしたときは,保証人は,自己の免責行為の有効を主張することができる。

第447条(連帯,不可分債務の保証人の求償権)1人の連帯債務者又は不可分債務者のために保証人となった者は,他の連帯債務者又は不可分債務者に対し,その負担部分に限り求償権を有する。

第448条(共同保証人間の求償権)①数人の保証人がある場合において,1人の保証人が自己の負担部分を超えた弁済をしたときは,第444条の規定を準用する。

②主債務が不可分であり,又は各保証人が相互に連帯し,又は主債務者と連帯して債務を負担した場合において,1人の保証人が自己の負担部分を超えた弁済をしたときは,第425条ないし第427条の規定を準用する。

第4節 債権の譲渡

第449条(債権の讓渡性)①債権は,讓渡することができる。但し,債権の性質が讓渡を許さないときは,この限りではない。

②債権は,当事者が反対の意思を表示したときは,讓渡することができない。但し,その意思表示によって善意の第3者に対抗することができない。

第450条(指名債権讓渡の対抗要件)①指名債権の讓渡は,讓渡人が債務者に通知し,又は債務者が承諾しなければ債務者その他第3者に対抗することができない。

②前項の通知又は承諾は,確定日付のある証書によらなければ,債務者以外の第3者に対抗することができない。

第451条(承諾,通知の効果)①債務者が異議を保留せずに前条の承諾をしたときは,讓渡人に対抗することのできる事由をもって讓受人に対抗することができない。但し,債務者が債務を消滅させるため讓渡人に給与したものがあるときは,これを回収することができ,讓渡人に対し負担した債務のあるときは,その成立되지 아니함을 主張することができる。

②讓渡人이 讓渡通知만을 한 때에는 債務者는 그 通知를 받은 때까지 讓渡人에 対하여 생긴 事由로써 讓受人에게 対抗할 수 있다.

第452条(讓渡通知와 禁反言)①讓渡人이 債務者에게 債権讓渡를 通知한 때에는 아직 讓渡하지 아니하였거나 그 讓渡가 無効인 境遇에도 善意인 債務者는 讓受人에게 対抗할 수 있는 事由로 讓渡人에게 対抗할 수 있다.

②前項의 通知는 讓受人의 同意가 없으면 撤回하지 못한다.

第5節 債務の引受

第453条(債権者との契約による債務引受)①第三者は,債権者との契約により債務を引き受け,債務者の債務を免かれさせることができる。但し,債務の性質が引受を許さないときは,この限りではない。

②利害関係のない第三者は,債務者の意思に反して債務を引き受けることができない。

第454条(債務者との契約による債務引受)①第三者が債務者との契約により債務を引き受けたときは,債権者の承諾によりその効力を生ずる。

②債権者の承諾又は拒絶の相手方は,債務者又は第三者とする。

第455条(承諾与否の催告)①前条の場合において,第三者又は債務者は,相当の期間を定めて承諾与否の確答を債権者に催告することができる。

②債権者がその期間内に確答を発しないかったときは,拒絶したものとみなす。

第456条(債務引受の撤回,変更)第三者及び債務者の間の契約による債務引受は,債権者の承諾があるときまで当事者は,これを撤回し,又は変更することができる。

第457条(債務引受の遡及効)債権者の債務引受についての承諾は,別途の意思表示がなければ,債務を引き受けたときに遡ってその効力を生ずる。但し,第三者の権利を侵害することができない。

第458条(前債務者の抗弁事由)引受人は,前債務者の抗弁しうる事由により債権者に対抗することができる。

第459条(債務引受と保證,担保の消滅)前債務者の債務に対する保證又は第三者が提供した担保は,債務引受により消滅する。但し,保證人又は第三者が債務引受に同意したときは,この限りではない。

第6節 債権の消滅

第1款 弁済

第460条(弁済提供の方法)弁済は,債務内容に照らした現実の提供で,これをしなければならない。但し,債権者があらかじめ弁済の受領を拒絶し,又は債務の履行に債権者の行為を要するときは,弁済準備の完了を通知し,その受領を催告すれば足りる。

第461条(弁済提供の効果)弁済の提供は,そのときから債務不履行の責任を免かれる。

第462条(特定物の現状引渡し)特定物の引渡しが債権の目的であるときは,債務者は,履行期の現状でその物を引渡さなければならない。

第463条(弁済としての他人の物の引渡し)債務の弁済として他人の物を引渡した債務者は,再度有効な弁済をしなければ,その物の返還を請求することができない。

第464条(讓渡能力なき所有者の物の引渡し)讓渡する能力のない所有者が債務の弁済として物を引渡したときは,その弁済が取消されたときも,再度有効な弁済をしなければ,その物の返還を請求することができない。

第465条(債権者の善意消費,讓渡及び求償権)①前2条の場合において,債権者が弁済として受けた物を善意で消費し,又は他人に讓渡したときは,その弁済は,効力を有する。

②前項の場合において,債権者が第3者から賠償の請求を受けたときは,債務者に対して求償権を行使することができる。

第466条(代物弁済)債務者が債権者の承諾を得て本來の債務履行に代えて他の給付をしたときは,弁済と同一の効力を有する。<改正 2014.12.30.>

第467条(弁済の場所)①債務の性質又は当事者の意思表示により弁済場所を定めなかったときは,特定物の引渡しは,債権成立当時にその物があった場所でしなければならない。

②前項の場合において,特定物引渡し以外の債務弁済は,債権者の現住所でしなければならない。但し,営業に関する債務の弁済は,債権者の現営業所でしなければならない。

第468条(弁済期前の弁済)当事者の特別の意思表示がないときは,弁済期前であっても債務者は,弁済することができる。但し,相対方の損害は,賠償しなければならない。

第469条(第3者の弁済)①債務の弁済は,第3者もすることができる。但し,債務の性質又は当事者の意思表示により第3者の弁済を許さないときは,この限りではない。

②利害関係を有しない第3者は,債務者の意思に反して弁済をすることができない。

第470条(債権の準占有者に対する弁済)債権の準占有者に対する弁済は,弁済者が善意であり,且つ過失のないときに限り効力を有する。

第471条(領収証所持者に対する弁済)領収証を所持する者に対する弁済は,その所持者が弁済を受ける権限を有しない場合においても,効力を有する。但し,弁済者がその権限のないことを知り,又は知り得たときは,この限りではない。

第472条(権限のない者に対する弁済)前2条の場合を除き,弁済を受ける権限のない者に対する弁済は,債権者が利益を受けた限度において効力を有する。

第473条(弁済費用の負担)弁済費用は,特段の意思表示のないときは,債務者の負担とする。但し,債権者の住所移転その他の行為により弁済費用が増加したときは,その増加額は,債権者の負担とする。

第474条(領収証請求権)弁済者は,弁済を受ける者に対して領収証を請求することができる。

第475条(債権証書返還請求権)債権証書のある場合において,弁済者が債務全部を弁済したときは,債権証書の返還を請求することができる。債権が弁済以外の事由により全部消滅したときも同様とする。

第476条(指定弁済充当)①債務者が同一の債権者に対して同一の種類を目的とする数個の債務を負担する場合において,弁済の提供がその債務全部を消滅させられないときは,弁済者は,その際特定の債務を指定しその弁済に充当することができる。

②弁済者が前項の指定をしないときは,弁済を受けた者は,その際特定の債務を指定し弁済に充当することができる。但し,弁済者がその充当について直ちに異議をしたときは,この限りではない。

③前2項の弁済充当は,相対方に対する意思表示によってする。

第477条(法定弁済充当)当事者が弁済に充当する債務を指定しなかったときは,次の各号の規定による。

1. 債務の中に履行期が到来したもの及び到来していないものがあるときは,履行期が到来した債務の弁済に充当する。
2. 債務全部の履行期が到來し,又は到來していないときは,債務者に弁済利益が大きい債務の弁済に充当する。
3. 債務者のために弁済の利益が等しいときは,履行期が先に到来した債務又は先に到来する債務の弁済に充当する。
4. 前2号の事項が相等しいときは,その債務額に比例して各債務の弁済に充当する。

第478条(不足弁済の充当)1個の債務に数個の給付を要する場合において,弁済者がその債務全部を消滅させられない給付をしたときは,前2条の規定を準用する。

第479条(費用,利息,元本に対する弁済充当の順序)①債務者が1個又は数個の債務の費用及び利息を支払う場合において,弁済者がその全部を消滅させられない給付をしたときは,費用,利息,元本の順序に弁済に充当しなければならない。

②前項の場合において,第477条の規定を準用する。

第480条(弁済者の任意代位)①債務者のために弁済した者は,弁済と同時に債権者の承諾を得て,債権者を代位することができる。

②前項の場合において,第450条ないし第452条の規定を準用する。

第481条(弁済者の法定代位)弁済する正当の利益を有する者は,弁済により当然に債権者を代位する。

第482条(弁済者代位の効果,代位者間の関係)①前2条の規定により債権者を代位する者は,自己の権利により求償することのできる範囲において,債権及びその担保に関する権利を行使することができる。

②前項の権利行使は,次の各号の規定によらなければならない。

1. 保証人は,あらかじめ伝貰権又は抵当権の登記にその代位を附記しなければ,伝貰物又は抵当物について権利を取得した第3者に対して債権者を代位することができない。
2. 第3取得者は,保証人に対して債権者を代位することができない。
3. 第3取得者中の1人は,各不動産の価額に比例して他の第3取得者に対して債権者を代位する。
4. 自己の財産を他人の債務の担保として提供した者が数人であるときは,前号の規定を準用する。
5. 自己の財産を他人の債務の担保として提供した者と保証人との間においては,その人数に比例して,債権者を代位する。但し,自己の財産を他人の債務の担保として提供した者が数人であるときは,保証人の負担部分を除いたその残額について,各財産の価額に比例して代位する。この場合において,その財産が不動産であるときは,第1号の規定を準用する。

第483条(一部の代位)①債権の一部について代位弁済があるときは,代位者は,その弁済した価額に比例して債権者とともにその権利を行使する。

②前項の場合において,債務不履行を原因とする契約の解止又は解除は,債権者のみがすることができ,債権者は,代位者に対し,その弁済をした価額及び利息を償還しなければならない。

第484条(代位弁済と債権証書,担保物)①債権全部の代位弁済を受けた債権者は,その債権に関する証書及び占有する担保物を代位者に交付しなければならない。

②債権の一部についての代位弁済のあるときは,債権者は,債権証書にその代位を記入し,かつ,自己の占有する担保物の保存について代位者の監督を受けなければならない。

第485条(債権者の担保喪失,減少行為と法定代位者の免責)第481条の規定により代位する者がある場合において,債権者の故意又は過失により担保が喪失し,又は減少したときは,代位する者は,その喪失又は減少によって償還を受けることのできない限度においてその責任を免れる。

第486条(弁済以外の方法による債務消滅と代位)第3者が供託その他の自己の出財によって債務者の債務を免れさせた場合においても,前6条の規定を準用する。

第2款 供託

第487条(弁済供託の要件,効果)債権者が弁済を受領せず,又は受領することのできないときは,弁済者は,債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免かれることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも,同様とする。

第488条(供託の方法)①供託は,債務履行地の供託所にしなければならない。

②供託所について法律に特別の規定のないときは,裁判所は,弁済者の請求により,供託所を指定し,及び供託物保管者を選任しなければならない。

③供託者は,遅滞なく債権者に供託通知をしなければならない。

第489条(供託物の回収)①債権者が供託を承認し,供託所に対して供託物を受け取る旨を通告し,又は供託有効の判決が確定するまでは,弁済者は,供託物を取り戻すことができる。この場合においては,供託をしなかったものと見なす。

②前項の規定は,質権又は抵当権が供託により消滅した場合には,適用しない。

第490条(自助売却金の供託)弁済の目的物が供託に適せず,滅失若しくは毁損する恐れがあり,又は供託に過分の費用を要するときは,弁済者は,裁判所の許可を得て,その物を競売し,又は市価で売却し,代金を供託することができる。

第491条(供託物受領と相対義務履行)債務者が債権者の相対義務履行と同時に弁済すべき場合には,債権者は,その義務履行をしなければ,供託物を受領することができない。

第3款 相殺

第492条(相殺の要件)①双方が互いに同種 を目的とする債務を負担した場合において,その双方の債務の履行期が到来したときは,各債務者は,対等額について相殺することができる。但し,債務の性質が相殺を許さないときは,この限りではない。

②前項の規定は,当事者が異なる意思を表示した場合には,適用しない。但し,その意思表示によって善意の第三者に対抗することができない。

第493条(相殺の方法,効果)①相殺は,相手方に対する意思表示によってする。この意思表示には,条件又は期限を付すことができない。

②相殺の意思表示は,各債務が相殺することのできる時に対等額について消滅したものとみなす。

第494条(履行地を異にする債務の相殺)各 債務の履行地が異なる場合においても,相殺をすることができる。但し,相殺をする当事者は,相手方に対し相殺による損害を賠償しなければならない。

第495条(消滅時効の完成した債権による相殺)消滅時効の完成した債権がその完成前に相殺をすることができるものであったときは, その債権者は,相殺をすることができる。

第496条(不法行為債権受動債権とする相殺の禁止)債務が故意の不法行為によるものであるときは,その債務者は,相殺によって債権者に対抗することができない。

第497条(差押え禁止債権を受動債権とする相殺の禁止)債権が差押えられないものであるときは,その債務者は,相殺により債権者に対抗することができない。

第498条(支払差止債権を受動債権とする相殺の禁止)支払を差止の命令を受けた第三債務者は,その後に取得した債権による相殺によってその命令を申請した債権者に対抗することができない。

第499条(準用規定)第476条ないし第479条の規定は,相殺に準用する。

第4款 更改

第500条(更改の要件,効果)当事者が債務の重要な部分を変更する契約をしたときは,旧債務は,更改により消滅する。

第501条(債務者変更による更改)債務者の変更による更改は,債権者と新債務者との間の契約によりこれをすることができる。但し,旧債務者の意思に反してこれをすることができない。

第502条(債権者変更による更改)債権者の変更による更改は,確定日付のある日字証書によらなければ,これによって第三者に対抗することができない。

第503条(債権者変更の更改と債務者承諾の効果)第451条第1項の規定は,債権者の変更による更改に準用する。

第504条(旧債務不消滅の場合)更改による新債務が原因の不法又は当事者の知れない事由により成立せず,又は取消されたときは,旧債務は,消滅しない。

第505条(新債務への担保移転)更改の当事者は,旧債務の担保をその目的の限度において,新債務の担保とすることができる。但し,第三者が提供した担保は,その承諾を得なければならない。

第5款 免除

第506条(免除の要件,効果)債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは,債権は,消滅する。但し,免除により正当な利益を有する第3者に対抗することができない。

第6款 混同

第507条(混同の要件,効果)債権及び債務が同一の主体に帰属したときは,債権は,消滅する。但し,その債権が第3者の権利の目的であるときは,この限りではない。

第7節 指示債権

第8節 無記名債権

第2章 契約

第1節 総則

第1款 契約の成立

第527条(契約の申込みの拘束力)契約の申込みは,これを撤回することができない。

第528条(承諾の期間を定めた契約の申込み)①承諾の期間を定めた契約の申込みは,申込者がその期間内に承諾の通知を受けなかったときは,その効力を失う。

②承諾の通知が前項の期間後に到達した場合において,普通その期間内に到達しうる発送であったときは,申込者は,遅滞なく相手方に対して,その延着の通知をしなければならない。但し,その到達前に遅延の通知を発したときは,この限りではない。

③申込者が前項の通知をしなかったときは,承諾の通知は,延着しなかったものと見なす。

第529条(承諾期間を定めなかった契約の申込み)承諾の期間を定めなかった契約の申込みは,申込者が相当の期間内に承諾の通知を受けなかったときは,その効力を失う。

第530条(延着した承諾の効力)前2条の場合において,延着した承諾は,申込者がこれを新たな申込みと見なすことができる。

第531条(隔地者間の契約成立時期)隔地者間の契約は,承諾の通知を発したときに成立する。

第532条(意思実現による契約成立)申込者の意思表示又は慣習により,承諾の通知が必要でないときは,契約は,承諾の意思表示と認められる事実のあったときに成立する。

第533条(交叉申込み)当事者間に,同一の内容の申込みが互いに交叉したときは,両申込みが相手方に到達したときに契約が成立する。

第534条(変更を加えた承諾)承諾者が申込みに対して条件を付し,又は変更を加えて承諾したときは,その承諾の拒絶と同時に新たに申込みをしたものと見なす。

第535条(契約締結上の過失)①目的が不能の契約を締結した場合において,その不能を知っており,又は知ることのできた者は,相手方がその契約の有効を信じたことによる受けた損害を賠償しなければならない。但し,その賠償額は,契約が有効であることによって生じる利益額を超えてはならない。

②前項の規定は,相手方がその不能を知っており,又は知ることのできたときは,適用しない。

第2款 契約の効力

第536条(同時履行の抗弁権)①双方契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するときまで、自己の債務の履行を拒むことができる。但し、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りではない。
②当事者の一方が相手方に先に履行しなければならない場合において、相手方の履行が困難な著しい事由のあるときは、前項本文に準ずる。

第3款 契約の解止、解除

第543条(解止、解除権)①契約又は法律の規定により当事者の一方又は双方が解止又は解除の権利を有するときは、その解止又は解除は、相手方に対する意思表示によってする。
②前項の意思表示は、撤回することができない。

第544条(履行遅滞及び解除)当事者一方がその債務を履行しないときは、相手方は、相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行されないときは、契約を解除することができる。但し、債務者が予め履行しない意思を表示した場合においては、催告を要しない。

第545条(定期行為及び解除)契約の性質又は当事者の意思表示により、一定の日時又は一定の期間内に履行しなければ契約の目的を達することができない場合において、当事者の一方がその時期に履行をしないときは、相手方は、前条の催告をすることなく、契約を解除することができる。

第546条(履行不能及び解除)債務者の責めに帰すべき事由により履行が不能となったときは、債権者は、契約を解除することができる。

第547条(解止、解除権の不可分性)①当事者の一方又は双方が数人ある場合には、契約の解止又は解除は、その全員から又は全員に対してしなければならない。
②前項の場合において、解止又は解除の権利が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の当事者についても消滅する。

第548条(解除の効果、原状回復義務)①当事者一方が契約を解除したときは、各当事者は、その相手方に対して、原状回復の義務を負う。但し、第三者の権利を害することはできない。
②前項の場合において、返還する金銭には、その受領の日から利息を付さなければならない。

第549条(原状回復義務と同時履行)第536条の規定は、前条の場合に準用する。

第550条(解止の効果)当事者の一方が契約を解止したときは、契約は、将来に向けてその効力を失う。

第551条(解止、解除及び損害賠償)契約の解止又は解除は、損害賠償の請求に影響を及ぼさない。

第552条(解除権行使与否の催告権)①解除権の行使の期間を定めないときは、相手方は、相当の期間を定めて、解除権を行使するかどうかの確答を解除権者に催告することができる。
②前項の期間内に解除の通知を受けることができないときは、解除権は、消滅する。

第553条(損傷等による解除権の消滅)解除権者の故意又は過失によって契約の目的物が著しく損傷し若しくはこれを返還することができなくなったとき又は加工又は改造によって他の種類の物に変えられたときは、解除権は、消滅する。

第2節 贈与

第3節 売買

第1款 総則

第563条乃至第567条

第2款 売買の効力

第568条乃至第589条

第3款 買戻し

第590条乃至第595条

第4節 交換

第596条(交換の意味)交換は、当事者双方が金銭以外の財産権を相互に移転することを約することによって、その効力を生ずる。

第597条(金銭の補充給付の場合)当事者一方が前条の財産権移転及び金銭の補充給付を約するときは、その金銭については、売買代金に関する規定を準用する。

第5節 消費貸借

第598条(消費貸借の意味)消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の貸借物の所有権を相手方に移転することを約して、相手方は、それと同じ種類、品質及び数量をもって返還することを約すことによって、その効力を生ずる。

第599条(破産と消費貸借の失効)貸主が目的物を借主に引き渡す前に当事者の一方が破産宣告を受けたときは、消費貸借はその効力を失う。

第600条(利息計算の時期)利息のある消費貸借は、借主が目的物の引渡しを受けた時から利息を計算しなけれればならず、借主がその責めに帰すべき事由により受領を遅滞したときは、貸主が履行を提供した時から利息を計算しなければならない。

第601条(無利息消費貸借と解除権)利息のない消費貸借の当事者は、目的物の引渡し前は、いつでも契約を解除することができる。但し、相手方に生ずる損害のあるときは、これを賠償しなければならない。

第602条(貸主の担保責任)①利息のある消費貸借の目的物に瑕疵のある場合においては、第580条乃至第582条の規定を準用する。
②利息のない消費貸借の場合においては、借主は、瑕疵のある物の価額で返還することができる。但し、貸主がその瑕疵を知って借主に告げなかったときは、前項に準ずる。

第603条(返還時期)①借主は、定めた時期に借用物と同じ種類、品質及び数量をもって返還しなければならない。
②返還時期の定めのないときは、貸主は、相当の期間を定めて返還を催告しなければならない。但し、借主は、いつでも返還することができる。

第604条(返還不能による時価償還)借主が借用物と同じ種類、品質及び数量の物を返還することができないときは、その時の時価で償還しなければならない。ただし、第376条第2項の場合は、この限りでない。

第605条(準消費貸借)当事者双方が消費貸借によらないで金銭その他の貸借物を給付する義務を負う場合において、当事者がその目的物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借の効力が生ずる。

第606条(代物貸借)金銭貸借の場合において、借主が金銭に代えて有価証券その他物の引渡しを受けたときは、その引渡し時期の価額により借用額とする。<改正2014.12.30>

第607条(代物返還の予約)借用物の返還について、借主が借用物に代えて他の財産権を移転することを予約した場合においては、その財産の予約当時の価額が借用額及びこれに付随する利息の合計額を超えることができない。<改正2014.12.30>

第608条(借主に不利益な定めの禁止)前2条の規定に反する当事者の定めで借主に不利なものは、買戻しその他如何なる名目においてもその効力を有しない。

第6節 使用貸借

第609条(使用貸借の意味)使用貸借は、当事者の一方が相手方に無償で使用、収益させるために目的物を引渡すことを約して相手方は、これを使用、収益した後その物を返還することを約することによって、その効力を生ずる。

第610条(借主の使用、収益権)①借主は、契約又はその目的物の性質により定まった用法によりこれを使用、収益しなければならない。
②借主は、貸主の承諾がなければ、第三者に借用物を使用、収益させることができない。
③借主が前2項の規定に違反したときは、貸主は契約を解止することができる。

第611条(費用の負担)①借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
②その他の費用については、第594条第2項の規定を準用する。

第612条(準用規定)第559条、第601条の規定は、使用貸借に準用する。

第613条(借用物の返還時期)①借主は、定めた時期に、借用物を返還しなければならない。
②時期の定めのないときは、借主は、契約又は目的物の性質による使用、収益が終わったときに、返還しなければならない。但し、使用、収益に足りる期間が経過したときは、貸主は、いつでも契約を解止することができる。

第614条(借主の死亡、破産及び解止)貸主が死亡し又は破産の宣告を受けたときは、貸主は、契約を解止することができる。

第615条(借主の原状回復義務及び収去権)借主が借用物を返還するときは、これを現状に復さなければならない。これに付属させた物は、収去することができる。

第616条(共同借主の連帯義務)数人が共同して物を借用したときは、連帯してその義務を負担する。

第617条(損害賠償、費用償還請求の期間)契約又は目的物の性質に反する使用、収益により生じた損害の賠償の請求及び借主が支出した費用の償還請求は、貸主が物の返還を受けた日から6月以内にしなければならない。

第7節 賃貸借

第618条(賃貸借の定義)

第619条(処分能力又は権限のない者ができる短期賃貸借)

第620条(短期賃貸借の更新)

第621条(賃貸借の登記)

第622条(建物登記のある借地権の対抗力)

第623条(賃貸人の義務)

第624条(賃貸人の義務)

第625条(賃貸人の保存行為及び認容義務)

第626条(賃貸人の償還請求権)

第627条(一部滅失等及び減額請求、解止権)

第628条()

第629条()

第630条()

第8節 雇用

第655条(雇用の定義)

第656条(報酬額及びその支払時期)①報酬又は報酬額の定めのないときは、慣習によって支払わなければならない。
②報酬は、約した時期に支払わなければならず、時期の定めのないときは、慣習により、慣習がないときは、約した労働を終わった後遅滞なく支払わなければならない。

第657条乃至第663条

第9節 請負

第664条(請負の定義)請負は、当事者一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

第665条(報酬の支払時期)①報酬は、その完成した目的物の引渡し同時に、支払わなければならない。但し、目的物の引渡しを要しないときは、その仕事を完成した後、遅滞なく支払わなければならない。
②前項の報酬に関しては、第656条第2項の規定を準用する。

第666条(請負人の目的不動産に対する抵当権設定請求権)不動産の工事の請負人は、前条の報酬に関する債権を担保するためにその不動産を目的とする抵当権の設定を請求することができる。

第667条(請負人の担保責任)①完成した目的物又は完成前の成就した部分に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することができる。

第668条(同前-請負人の解除権)

第669条(同前-瑕疵が注文者の提供した材料又は指示に起因する場合の免責)

第670条(担保責任の存続期間)

第671条(請負人の担保責任)

第672条(担保責任免除の特約)

第673条(完成前の注文者の解除権)

第674条(注文者の破産及び解除権)

第9節の2 旅行契約

第674条の2(旅行契約の定義)旅行契約は、当事者の一方が相手方に運送、宿泊、観光又はその他の旅行関連役務を一体として提供することを約し、相手方がその代金を支払うものとして約すことにより効力を生じる。

第674条の3(旅行開始前の契約解除)旅行者は、旅行を始める前の間、いつでも契約を解除することができる。但し、旅行者は、相手方に生じた損害を賠償しなければならない。

第674条の4(やむを得ない事由による解止)①やむを得ない事由のあるときは、各当事者は、契約を解止をすることができる。但し、その事由が当事者一方の過失により生じたときは、相手方に損害を賠償しなければならない。
②第1項により、契約が解止された場合においても、契約上帰還運送義務を有する旅行主催者は、旅行者を帰還運送する義務を有する。
③第1項の解止により発生した追加の費用は、その解約事由が何れかの当事者の事情に属するときは、その当事者が負担し、何れの事情にも属さないときは、各当事者が、折半して負担する。

第674条の5(代金の支払時期)旅行者は、定めた時期に、代金を支払わなければならず、その時期の定めのないときは、慣習により、慣習のないときは、旅行の終了後遅滞なく支払わなければならない。

第674条の6(旅行主催者の担保責任)①旅行に瑕疵があるときは、旅行者は、旅行主催者に瑕疵の是正又は代金の減額を請求することができる。但し、その是正に著しく多大な費用を要し又はその他是正を合理的に期待することのできない場合においては、是正を請求することができない。
②第1項の是正の請求は、相当の期間を定めてしなければならない。但し、直ちに是正をする必要のある場合においては、この限りではない。
③旅行主催者は、是正の請求、減額請求に代えて損害賠償の請求をし又は是正請求、減額請求とともに損害賠償を請求することができる。

第674条の7(旅行主催者の担保責任と旅行者の解止権)①旅行者は、旅行に重大な瑕疵のある場合において、その是正がなされず又は契約の内容による履行を期待することのできない場合には、契約を解止することはできない。
②契約が解止された場合においては、旅行主催者は、代金請求権を喪失する。但し、旅行者が行われた旅行により利益を受けた場合においては、その利益を旅行主催者に償還しなければならない。
③旅行主催者は、契約の解止により必要となった措置をする義務を負い、契約上の帰還運送の義務を有するときは、旅行者を帰還運送しなければならない。この場合相当の理由のあるときは、旅行主催者は、旅行者にその費用の一部を請求することができる。

第674条の8(担保責任の存続期間)第674条の6及び第674条の7による権利は、旅行の期間中にも行使することができ、契約で定める旅行終了日から6箇月以内に行使しなければならない。

第674条の9(強行規定)第674条の3,第674条に4又は第674条の6から第674条の8までの規定に反する定めであって、旅行者に不利なものは、効力を有しない。

第10節 懸賞広告

第11節 委任

第12節 寄託

第13節 組合

第14節 終身定期金

第15節 和解

第3章 事務管理

第4章 不当利得

第741条(不当利得の内容)法律上の原因なく他人の財産又は労務により利益を受け,これにより他人に損害を与えた者は,その利益を返還しなければならない。

第742条(非債弁済)債務がないことを知ってこれを弁済したときは,その返還を請求することができない。

第743条(期限前の弁済)弁済期にない債務を弁済したときは,その返還を請求することができない。但し,債務者が錯誤によって弁済したときは,債権者は,これによって得た利益を返還しなければならない。

第744条(道義観念に適合した非債弁済)債務がない者が錯誤によって弁済した場合において,その弁済が道義観念に適合したときは,その返還を請求することができない。

第745条(他人の債務の弁済)①債務者でない者が錯誤により他人の債務を弁済した場合において,債権者が善意で証書を毀滅し,又は担保を放棄し,又は時効によりその債権を失ったときは、弁済者は,その返還を請求することができない。

②前項の場合において,弁済者は,債務者に対して求償権を行使することができる。

第746条(不法原因給付)不法な原因により財産を給付し,又は勞務を提供したときは,その利益の返還を請求することができない。但し,その不法原因が受益者にのみ存するときは,この限りではない。

第747条(原物返還の不能の場合と価額返還,転得者の責任)①受益者がその受けた目的物を返還することができないときは,その価額を返還しなければならない。

②受益者がその利益を返還することができない場合は,受益者から無償でその利益の目的物を譲り受けた悪意の第三者は,前項の規定により返還する責任を負う。

第748条(受益者の返還範囲)①善意の受益者は,その受けた利益が現存する限度において前条の責任を負う。

②悪意の受益者は,その受けた利益に利息を付して返還し,損害があればこれを賠償しなければならない。

第749条(受益者の悪意認定)①受益者が利益を受けた後,法律上の原因のないことを知ったときは,その時から悪意の受益者として利益返還の責任を負う。

②善意の受益者が敗訴したときは,その訴を提起したときから悪意の受益者と見なす。

第5章 不法行為

第750条(不法行為の内容)故意又は過失による違法行為により他人に損害を与えた者は,その損害を賠償する責任を負う。

第751条(財産以外の損害の賠償)①他人の身体,自由又は名誉を害し,又はその他精神上の苦痛を与えた者は,財産以外の損害に対しても賠償する責任を負う。

②裁判所は,前項の損害賠償を定期金債務として支払うことを命ずることができ,その履行を確保するために相当の担保の提供を命ずることができる。

第752条(生命侵害による慰藉料)他人の生命を害した者は,被害者の直系尊属,直系卑属及び配偶者に対しては,財産上の損害のない場合においても損害賠償の責任を負う。

第753条(未成年者の責任能力)未成年者が他人に損害を与えた場合において,その行為の責任を弁識する知能のないときは,賠償の責任を負わない。

第754条(心神喪失者の責任能力)心神喪失中に他人に対して損害を与えた者は,賠償の責任を負わない。但し,故意又は過失により心神喪失を招いたときは,この限りではない。

第755条(監督者の責任)①他人に対して損害を与えた者が第753條又は第754條により責任を負わない場合においては,その者を監督する法定義務を有する者がその損害を賠償する責任を負う。但し,監督義務を懈怠しなかったときはこの限りではない。

② 監督義務者に代わって,第753条又は第754条により責任を負わない者を監督する者も第1項の責任を負う。 [全文改正 2011.3.7.]

第756条(使用者の賠償責任)①他人を使用してある事務に従事させた者は,被用者がその事務執行について第3者に与えた損害を賠償する責任を負う。但し,使用者が被用者の選任及びその事務監督に相当の注意をしたとき,又は相当の注意をしても損害があったときは,この限りではない。

②使用者に代わってその事務を監督する者も,前項の責任を負う。<改正 2014.12.30.>

③前2項の場合において,使用者又は監督者は,被用者に対して求償権を行使することができる。

第757条(注文者の責任)注文者は,請負人がその仕事について第3者に与えた損害を賠償する責任を負わない。但し,請負又は指示について注文者に重大な過失のあるときは,この限りではない。

第758条(工作物等の占有者,所有者の責任)①工作物の設置又は保存の瑕疵により他人に損害を与えたときは,工作物占有者が損害を賠償する責任を負う。但し,占有者が損害の防止に必要な注意を懈怠しなかったときは,その所有者が損害を賠償する責任を負う。

②前項の規定は,樹木の栽植又は保存に瑕疵のある場合に準用する。

③前2項の場合において,占有者又は所有者は,その損害の原因について責任を負う者に対して求償権を行使することができる。

第759条(動物の占有者の責任)①動物の占有者は,その動物が他人に与えた損害を賠償する責任を負う。但し,動物の種類及び性質に従いその保管に相当の注意を怠らなかったときは,この限りではない。

②占有者に代わって動物を保管した者も前項の責任を負う。<改正 2014.12.30.>

第760条(共同不法行為者の責任)①数人の共同の不法行為により他人に損害を与えたときは,連帯してその損害を賠償する責任を負う。

②共同でない数人の行為中,いずれの者の行為がその損害を与えたか知れないときも,前項と同様とする。

③敎唆者又は幇助者は,共同行為者とみなす。

第761条(正当防衛,緊急避難)①他人の不法行為に対して自己又は第3者の利益を防衛するため,やむを得ず他人に損害を与えた者は,賠償する責任を負わない。但し,被害者は,不法行為に対して損害の賠償を請求することができる。

②前項の規定は,急迫の危難を避けるため,やむを得ず他人に損害を与えた場合について準用する。

第762条(損害賠償請求権における胎児の地位)胎児は,損害賠償の請求権については,すでに出生したものとみなす。

第763条(準用規定)第393条,第394条,第396条,第399条の規定は,不法行為による損害賠償に準用する。

第764条(名譽毁損の場合の特則)他人の名誉を毀損した者に対しては,裁判所は,被害者の請求により,損害賠償に代えて,又は損害賠償とともに名誉回復に適当な処分を命ずることができる。<改正 2014.12.30.>[89헌마160 1991.4.1.民法 第764條(1958. 2. 22. 法律 第471号)の「名誉回復に適当な処分」に謝罪広告を含めることは,憲法に反する。]

第765条(賠償額の軽減請求)①本章の規定による賠償義務者は,その損害が故意又は重大な過失によるものでなく,且つその賠償により賠償者の生計に重大な影響を及ぼすこととなる場合においては,裁判所にその賠償額の軽減を請求することができる。

②裁判所は,前項の請求のあるときは,債権者及び債務者の経済狀態並びに損害の原因等を參酌し,賠償額を軽減することができる。

第766条(損害賠償請求権の消滅時効)①不法行為による損害賠償の請求権は,被害者又はその法定代理人がその損害及び加害者を知った日から3年間これを行使しないときは,時効により消滅する。

②不法行為をした日から10年を経過したときも,前項と同様とする。

第4編 親族

第1章 総則

第767条(親族の定義) 配偶者、血族及び姻族を親族とする。

第768条(血族の定義) 自己の直系尊属及び直系卑属を直系血族とし、自己の兄弟姉妹及びその直系卑属並びに自己の直系尊属の兄弟姉妹及びその直系卑属を傍系血族とする。

(最終改正1990.1.13)

第769条(姻族の定義) 血族の配偶者、配偶者の血族及び配偶者の血族の配偶者を姻族とする。

(最終改正1990.1.13)

第770条(血族の親等の計算)① 直系血族については、自己から直系尊属に至り、又は自己から直系卑属に至る世代の数をもって、その親等を定める。

 傍系血族については、自己から共通の直系尊属に至る世代の数及びその直系尊属からその直系卑属に至る世代の数を通算して、その親等を定める。

第771条(姻族の親等の計算) 姻族の親等は、配偶者の血族については配偶者のその血族に対する親等により、血族の配偶者についてはその血族に対する親等による。

(最終改正1990.1.13)

第772条(養子との親系と親等)① 養子と養父母並びにその血族及び姻族の間の親族関係及び親等は、養子縁組をした時から嫡出子と同一であるものとみなす。

 養子の配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者は、前項の規定による養子の親族関係を基準にして、親等を定める。

第773条及び第774条 削除

(最終改正1990.1.13)

第775条(姻族関係等の消滅)① 姻族関係は、婚姻の取消し又は離婚によって終了する。

 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が再婚したときも、前項と同様とする。

(最終改正1990.1.13)

第776条(養子縁組による親族関係の消滅) 養子縁組による親族関係は、養子縁組の取消し又は離縁によって終了する。

第777条(親族の範囲) 親族関係による法律上の効力は、この法又は他の法律に特別な規定がない限り、次に掲げる者に及ぶ。

 1.8親等以内の血族

 2.4親等以内の姻族

 3. 配偶者

(最終改正1990.1.13)

第2章 家族の範囲と子の姓及び本

第778条 削除

(最終改正2005.3.31)

第779条(家族の範囲)① 次に掲げる者は、家族とする。

 1.配偶者、直系血族及び兄弟姉妹

 2.直系血族の配偶者、配偶者の直系血族及び配偶者の兄弟姉妹

 前項第2号に掲げる者については、生計を同じくする場合に限る。

(最終改正2005.3.31)

第780条 削除

(最終改正2005.3.31)

第781条(子の姓及び本)① 子は、父の姓及び本による。ただし、父母が婚姻の届出時に母の姓及び本による旨協議した場合には、母の姓及び本による。

 父が外国人である場合は、子は、母の姓及び本によることができる。

 父の知れない子は、母の姓及び本による。

 父母の知れない子は、裁判所の許可を得て、姓及び本を創設する。ただし、姓及び本を創設した後に父又は母が知れたときは、父又は母の姓及び本によることができる。

 嫡出でない子が認知された場合には、子は、父母の協議によって従前の姓及び本を引き続き使用することができる。 ただし、父母が協議をすることができず、又は協議が調わない場合には、子は、裁判所の許可を得て、従前の姓及び本を引き続き使用することができる。

 子の福利のために子の姓及び本を変更する必要があるときは、父、母又は子の請求により、裁判所の許可を得て、これを変更することができる。 ただし、子が未成年者であって、法定代理人が請求することができない場合は、第777条の規定による親族又は検事が請求することができる。

(最終改正2005.3.31)

第782条から第799条まで 削除

(最終改正2005.3.31。ただし、第797条~第799条は1990.1.13)

第3章 婚姻

第1節 婚約

第800条(婚約の自由)成年に達した者は,自由に婚約することができる。

第801条(婚約年齢)18歳になった者は,父母又は未成年後見人の同意を受けて婚約することができる。この場合において,第808条を準用する。

[全文改正 2011.3.7.]

第802条(成年後見と婚約)成年被後見人は,父母又は成年後見人の同意を受けて婚約することができる。この場合において,第808条を準用する。

[全文改正 2011.3.7.]

第803条(婚約の強制履行禁止)婚約は,強制履行を請求することができない。

第804条(婚約解除の自由)当事者一方に次の各号のいずれか一に該当する事由のあるときは,相手方は,婚約を解除することができる。

1. 婚約後資格停止以上の刑の言渡を受けたとき
2. 婚約後成年後見開始又は限定後見開始の審判を受けたとき
3. 性病,不治の精神病その他の不治の疾病のあるとき
4. 婚約後他人と婚約又は婚姻をしたとき
5. 婚約後他人と姦淫をしたとき
6. 婚約後1年以上生死が不明であるとき
7. 正当な理由なく婚姻を拒絶し,又はその時期を遅らせるとき
8. その他重大な事由のあるとき

[全文改正 2011.3.7.]

第805条(婚約解除の方法)婚約の解除は,相手方に対する意思表示でする。但し,相手方に対して意思表示をすることのできないときは,その解除の原因のあることを知ったときに解除されたものと見なす。

第806条(婚約解除と損害賠償請求権)①婚約を解除したときは,当事者一方は,過失のある相手方に対してこれによる損害の賠償を請求することができる。

②前項の場合においては,財産上の損害のほか,精神上の苦痛に対しても損害賠償の責任を負う。

③精神上の苦痛に対する賠償請求権は,讓渡又は承継することができない。但し,当事者間に既にその賠償に関する契約が成立し,又は訴えを提起した後においては,この限りではない。

第2節 婚姻の成立

第807条(婚姻年齢) 18歳になった者は、婚姻をすることができる。

(最終改正2022.12.27)

第808条(同意が必要な婚姻)① 未成年者が婚姻をする場合には、父母の同意を得なければならず、この場合において、父母の一方が同意権を行使することができないときは他の一方の同意を得なければならず、父母双方が同意権を行使することができないときは未成年後見人の同意を得なければならない。

 成年被後見人は、父母又は成年後見人の同意を得て、婚姻をすることができる。

(最終改正2011.3.7)

第809条(近親婚等の禁止)① 8親等以内の血族(特別養子の養子縁組前の血族を含む。)の間では、婚姻をすることができない。

 6親等以内の血族の配偶者、配偶者の6親等以内の血族若しくは配偶者の4親等以内の血族の配偶者である姻族であり、又はこれらの姻族であった者との間では、婚姻をすることができない。

 6親等以内の養父母系の血族であった者及び4親等以内の養父母系の姻族であった者との間では、婚姻をすることができない。

(最終改正2005.3.31)

第810条(重婚の禁止) 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

第811条 削除

(最終改正2005.3.31)

第812条(婚姻の成立)① 婚姻は、家族関係の登録等に関する法律の定めるところにより届出をすることによって、その効力を生じる。

 前項の届出は、当事者双方及び成年である証人2人が連署した書面で、しなければならない。

(最終改正2007.5.17)

第813条(婚姻届の審査) 婚姻の届出は、その婚姻が第807条から第810条まで及び前条第2項の規定並びに他の法令に違反しないときは、受理しなければならない。

(最終改正2005.3.31)

第814条(外国における婚姻の届出)① 外国における本国民間の婚姻は、その外国に駐在する大使、公使又は領事に届出をすることができる。

 前項の届出を受理した大使、公使又は領事は、遅滞なくその届出書類を本国の在外国民家族関係登録事務所に送付しなければならない。

(最終改正2015.2.3)

第3節 婚姻の無効及び取消し

第815条(婚姻の無効) 婚姻は、次に掲げる場合には、無効とする。

 1.当事者間に婚姻の合意がないとき。

 2.婚姻が第809条第1項の規定に違反したとき。

 3.当事者間に直系姻族関係があり、又はあったとき。

 4.当事者間に養父母系の直系血族関係があったとき。

(最終改正2005.3.31)

第816条(婚姻の取消し) 婚姻は、次に掲げる場合には、裁判所にその取消しを請求することができる。

 1.婚姻が第807条から第809条(前条の規定により婚姻が無効となる部分を除く。次条及び第820条において同じ。)まで又は第810条の規定に違反したとき。

 2.婚姻の時に、当事者の一方に夫婦生活を継続することができない悪疾その他の重大な事由あることを知らなかったとき。

 3.詐欺又は強迫によって婚姻の意思表示をしたとき。

(最終改正2005.3.31)

第817条(年齢違反の婚姻等の取消請求権者) 婚姻が、第807条又は第808条の規定に違反したときは当事者又はその法定代理人がその取消しを請求することでき、第809条の規定に違反したときは当事者又はその直系尊属若しくは4親等以内の傍系血族がその取消しを請求することができる。

(最終改正2022.12.27)

第818条(重婚の取消請求権者) 当事者、その配偶者、直系血族、4親等以内の傍系血族又は検事は、第810条の規定に違反した婚姻の取消しを請求することができる。

(最終改正2012.2.10)

第819条(同意のない婚姻の取消請求権の消滅) 第808条の規定に違反した婚姻は、その当事者が19歳になった後若しくは成年後見終了の審判があった後3箇月が経過し、又は婚姻中に妊娠した場合は、その取消しを請求することができない。

(最終改正2011.3.7)

第820条 (近親婚等の取消請求権の消滅) 第809条の規定に違反した婚姻は、その当事者間で婚姻中に妊娠したときは、その取消しを請求することができない。

(最終改正2005.3.31)

第821条 削除

(最終改正2005.3.31)

第822条(悪疾等の事由による婚姻の取消請求権の消滅) 第816条第2号の規定に該当する事由のある婚姻は、相手方がその事由のあることを知った日から6月を経過したときは、その取消しを請求することができない。

第823条(詐欺又は強迫による婚姻の取消請求権の消滅) 詐欺又は強迫による婚姻は、詐欺であることを知った日又は強迫を免れた日から3月を経過したときは、その取消しを請求することができない。

第824条(婚姻の取消しの効力) 婚姻の取消しの効力は、既往に遡及しない。

第824条の2(婚姻の取消しと子の養育等) 第837条及び第837条の2の規定は、婚姻の取消しの場合における子の養育責任及び面接交渉権について準用する。

(最終改正2005.3.31)

第825条(婚姻の無効及び取消しと損害賠償請求権) 第806条の規定は、婚姻の無効又は取消しの場合について準用する。

第4節 婚姻の効力

第1款 一般的効力

第826条(夫婦間の義務)① 夫婦は、同居し、互いに扶養し、協力しなければならない。ただし、正当な理由によって一時的に同居しない場合については、互いに容認しなければならない。

 夫婦の同居場所は、夫婦の協議によって定める。ただし、協議が調わない場合は、当事者の請求により、家庭裁判所がこれを定める。

(最終改正 2005.3.31) 

第826条の2(成年擬制) 未成年者が婚姻をしたときは、成年者とみなす。

(最終改正 1977.12.31)

第827条(夫婦間の家事代理権)① 夫婦は、日常の家事について、互いに代理権を有する。

 前項の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

第828条 削除

(最終改正 2012.2.10)

第2款 財産上の効力

第829条(夫婦財産の約定及びその変更)① 夫婦が婚姻の成立前にその財産について別段の約定をしなかったときは、その財産関係は、次条から第833条までの規定に定めるところによる。

 夫婦が婚姻の成立前にその財産について約定をしたときは、婚姻中これを変更することができない。ただ、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、変更することができる。

 前項の約定により夫婦の一方が他の一方の財産を管理する場合において、不適当な管理によってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自ら管理することを裁判所に請求することができ、また、その財産が夫婦の共有であるときは、その分割を請求することができる。

 夫婦がその財産について別段の約定をしたときは、婚姻の成立までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人又は第三者に対抗することができない。

⑤ 第2項若しくは第3項の規定又は約定により、管理者を変更し、又は共有財産を分割したときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人又は第三者に対抗することができない。

第830条(特有財産及び帰属不明の財産)① 夫婦の一方が婚姻前から有する固有財産及び婚姻中に自己の名で取得した財産は、その特有財産とする。

② 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、夫婦の共有と推定する。

(最終改正 1977.12.31)

第831条(特有財産の管理等) 夫婦は、その特有財産を各自が管理し、使用し、及び収益する。

第832条(家事による債務の連帯責任) 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによる債務について連帯責任を負う。ただし、あらかじめ第三者に対して他の一方が責任を負わない旨を明示したときは、この限りでない。

第833条(生活費用) 夫婦の共同生活に必要な費用については、当事者間に特別な約定がないときは、夫婦が共同で負担する。

(最終改正 1990.1.13)

第5節 離婚

第1款 協議上の離婚

第834条(協議上の離婚) 夫婦は、協議によって、離婚をすることができる。

第835条(成年後見と協議上の離婚) 成年被後見人の協議上の離婚については、第808条第2項の規定を準用する。

(最終改正 2011.3.7)

第836条(離婚の成立及び届出の方式)① 協議上の離婚は、家庭裁判所の確認を受けて、家族関係の登録等に関する法律の定めるところにより届出をすることによって、効力を生じる。

 前項の届出は、当事者双方及び成年者である証人2人の連署した書面によって、しなければならな。 

(最終改正 2007.5.17)

第836条の2(離婚の手続)① 協議上の離婚をしようとする者は、家庭裁判所が提供する離婚に関する案内を受けなければならず、家庭裁判所は、必要な場合には、当事者に対して、相談に関し専門的な知識経験を有する専門相談員の相談を受けるように、勧告することができる。

 家庭裁判所に離婚意思の確認を申請した当事者は、前項の案内を受けた日から次に定める期間が経過した後に、離婚意思の確認を受けることができる。

 1.養育しなければならない子(胎児を含む。以下この条において同じ。)がいる場合には、3箇月

 2.前号に該当しない場合には、1箇月

 家庭裁判所は、暴力によって当事者の一方に耐え難い苦痛が予想される等離婚をしなければならない急迫な事情がある場合には、前項の期間を短縮し、又は免除することができる。

 養育しなければならない子がいる場合には、当事者は、次条の規定による子の養育及び第909条第4項の規定による子の親権者の決定に関する協議書又は次条及び第909条第4項の規定による家庭裁判所の審判の正本を提出しなければならない。

 家庭裁判所は、当事者が協議した養育費の負担に関する内容を確認する養育費負担調書を作成しなければならない。 この場合において、養育費負担調書の効力については、家事訴訟法第41条の規定を準用する。

(最終改正 2009.5.8)

第837条(離婚と子の養育責任)① 当事者は、その子の養育に関する事項を協議によって定める。

 前項の協議は、次に掲げる事項を含まなければならない。

 1.養育者の決定

 2.養育費用の負担

 3.面接交渉権の行使の可否及びその方法

 第1項の規定による協議が子の福利に反する場合には、家庭裁判所は、補正を命じ、又は職権で、その子の意思、年齢及び父母の財産状況その他の事情を考慮し、養育に必要な事項を定める。

 養育に関する事項の協議が調わず、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、職権で又は当事者の請求により、これについて決定する。この場合おいて、家庭裁判所は、前項の事情を考慮しなければならない。

 家庭裁判所は、子の福利のために必要と認める場合には、父、母、子及び検事の請求により又は職権で、子の養育に関する事項を変更し、又は他の適当な処分をすることができる。

 第3項から前項までの規定は、養育に関する事項以外では、父母の権利義務に変更を及ぼさない。

(最終改正 2022.12.27)

第837条の2(面接交渉権)① 子を直接養育しない父母の一方と子は、互いに面接交渉をすることができる権利を有する。

 子を直接養育しない父母の一方の直系尊属は、その父母の一方が死亡し、又は疾病、外国居住その他のやむを得ない事情によって子と面接交渉をすることができない場合には、家庭裁判所に子との面接交渉を請求することができる。 この場合において、家庭裁判所は、子の意思、面接交渉を請求した者と子の関係、請求の動機その他の事情を考慮しなければならない。

 家庭裁判所は、子の福利のために必要なときは、当事者の請求により又は職権で、面接交渉を制限し、排除し、又は変更することができる。

(最終改正 2016.12.2)

第838条(詐欺又は強迫による離婚の取消請求権) 詐欺又は強迫によって離婚の意思表示をした者は、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。

(最終改正 1990.1.13)

第839条(準用規定) 第823条の規定は、協議上の離婚について準用する。

第839条の2(財産分与請求権)① 協議上の離婚をした者の一方は、他の一方に対して財産の分与を請求することができる。

 前項の財産の分与について協議が調わず、又は協議することができないときは、家庭裁判所は、当事者の請求により、当事者双方の協力によって築いた財産の額その他の事情を考慮し、分与の額及び方法を定める。

 第1項の規定による財産分与請求権は、離婚した日から2年を経過したときは、消滅する。

(最終改正 1990.1.13)

第839条の3(財産分与請求権保全のための詐害行為取消権)① 夫婦の一方が、他の一方の財産分与請求権の行使を害することを知りながら、財産権を目的とする法律行為をしたときは、他の一方は、第406条第1項の規定を準用して、その取消し及び原状回復を家庭裁判所に請求することができる。

 前項の規定による訴えは、第406条第2項に規定する期間内に提起しなければならない。

(最終改正 2007.12.21)

第2款 裁判上の離婚

第840条(裁判上の離婚の原因) 夫婦の一方は、次に掲げる場合には、家庭裁判所に離婚を請求することができる。

 1.配偶者に不貞な行為があったとき。

 2.配偶者が悪意で他の一方を遺棄したとき。

 3.配偶者又はその直系尊属から著しく不当な待遇を受けたとき。

 4.自己の直系尊属が配偶者から著しく不当な待遇を受けたとき。

 5.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。

 6.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(最終改正1990.1.13)

第841条(不貞による離婚請求権の消滅) 前条第1号に規定する事由については、他の一方が事前に同意をし、若しくは事後に宥恕をしたとき、又はこれを知った日から6月若しくはその事由があった日から2年を経過したときは、離婚を請求することができない。

第842条(その他の事由による離婚請求権の消滅) 第840条第6号の事由については、他の一方がこれを知った日から6月又はその事由があった日から2年を経過したときは、離婚を請求することができない。

第843条(準用規定) 裁判上の離婚による損害賠償責任については第806条の規定を準用し、裁判上の離婚による子の養育責任等については第837条の規定を準用し、裁判上の離婚による面接交渉権については第837条の2の規定を準用し、裁判上の離婚による財産分与請求権については第839条の2の規定を準用し、裁判上の離婚による財産分与請求権の保全のための詐害行為取消権については第839条の3の規定を準用する。

(最終改正2012.2.10)

第4章 父母と子

第1節 実子[1]

第844条(夫の実子の推定)①妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する。

②婚姻成立の日から2百日後又は婚姻関係終了の日から3百日内に出生した子は,婚姻中に懐胎したものと推定する。

[憲法不合致,2013憲マ623,2015.4.30. 1. 民法(1958.2.22.法律第471号として制定されたもの)第844条第2項中,「婚姻関係終了の日から300日内に出生した者」に関する部分は,憲法に合致しない。2. 右法律条項部分は,立法者が改正するときまで継続して適用する。]

第845条(裁判所による父の決定)再婚した女子が出産した場合において,第844条の規定によりその子の父を定めることができないときは,裁判所が当事者の請求によってこれを定める。<改正 2005.3.31.>

第846条(子の実子否認)夫婦の一方は,第844条の場合において,その子が実子であることを否認する訴えを提起することができる。<改正 2005.3.31.>

第847条(実子否認の訴え)①実子否認の訴えは,夫又は妻が他方又は子を相手方として,その事由があることを知った日から2年内にこれを提起しなければならない。

②第1項の場合において,相手方となるべき者が全て死亡したときは,その死亡を知った日から2年内に検事を相手方として実子否認の訴えを提起することができる。

[全文改正 2005.3.31.]

第848条(成年後見と実子否認の訴え)① 夫又は妻が成年被後見人であるときは,その成年後見人が成年後見監督人の同意を受けて実子否認の訴えを提起することができる。成年後見監督人がおらず,又は同意をすることができないときは,家庭裁判所にその同意に代える許可を請求することができる。

② 第1項の場合において,成年後見人が実子否認の訴えを提起しないときは,成年被後見人は,成年後見終了の審判のあった日から2年内に実子否認の訴えを提起することができる。

[全文改正 2011.3.7.]

第849条(子死亡後の実子否認)子が死亡した後でも,その直系卑属があるときはその母を相手方として,母がないときは検事を相手方として,否認の訴えを提起することができる。

第850条(遺言による実子否認)夫又は妻が遺言により否認の意思を表示したときは,遺言執行者は,実子否認の訴えを提起しなければならない。<改正 2005.3.31.>

第851条(夫の子出生前の死亡等と実子否認)夫が子の出生前に死亡し,又は夫又は妻が第847条第1項の期間内に死亡したときは,夫又は妻の直系尊属又は直系卑属に限りその死亡を知った日から2年内に実子否認の訴えを提起することができる。

[全文改正 2005.3.31.]

第852条(実子否認権の消滅)子の出生後に実子であることを承認した子は,再度実子否認の訴えを提起することができない。

[全文改正 2005.3.31.]

第853条 削除 <2005.3.31.>

第854条(詐欺,強迫による承認の取消)第852条の承認が詐欺又は強迫によるときは,これを取り消すことができる。<改正 2005.3.31.>

第855条(認知)①嫡出でない子[2]は,その実父又は実母がこれを認知することができる。父母の婚姻が無効であるときは,出生子は,嫡出でない子と見なす。

②嫡出でない子は,その父母が婚姻したときは,そのときから嫡出子と見なす。

第856条(成年被後見人の認知)父が成年被後見人であるときは,成年後見人の同意を受けて認知をすることができる。

[全文改正 2011.3.7.]

第857条(死亡した子の認知)子が死亡した後も,その直系卑属があるときは,これを認知することができる。

第858条(胎内の子の認知)父は,胎内にある子についても,これを認知することができる。

第859条(認知の効力発生)①認知は,「家族関係の登録等に関する法律」の定めるところにより,届け出ることによってその効力を生ずる。<改正 2007.5.17.>

②認知は,遺言によってもこれをすることができる。この場合においては,遺言執行者がこれを届け出なければならない。

第860条(認知の遡及効)認知は,その子の出生時に遡って効力を生ずる。但し,第三者の取得した権利を害することができない。

第861条(認知の取消)詐欺,強迫又は重大な錯誤によって認知をしたときは,詐欺又は錯誤を知った日又は強迫を免れた日から6月内に家庭裁判所にその取消を請求することができる。<改正 2005.3.31.>

第862条(認知에 對한 異議의 訴)子 其他 利害關係人은 認知의 申告있음을 안 날로부터 1年内에 認知에 對한 異議의 訴를 提起할 수 있다.



第863条(認知請求의 訴)子와 그 直系卑属 또는 그 法定代理人은 父 또는 母를 相對로 하여 認知請求의 訴를 提起할 수 있다.



第864条(父母의 死亡과 認知請求의 訴)제862조 및 제863조의 境遇에 父 또는 母가 死亡한 때에는 그 死亡을 안 날로부터 2년내에 檢事를 相對로 하여 認知에 對한 異議 또는 認知請求의 訴를 提起할 수 있다. <改正 2005.3.31.>


제864조의2(인지와 자의 양육책임 등)제837조 및 제837조의2의 규정은 자가 인지된 경우에 자의 양육책임과 면접교섭권에 관하여 이를 준용한다.

[본조신설 2005.3.31.]


第865条(다른 事由를 原因으로 하는 実子関係存否確認の訴え)①第845条,第846条,第848条,第850条,第851条,第862条와 第863条의 規定에 依하여 訴를 提起할 수 있는 者는 다른 事由를 原因으로 하여 実子關係存否의 確認의 訴를 提起할 수 있다.

②제1항의 境遇에 當事者一方이 死亡한 때에는 그 死亡을 안 날로부터 2년내에 檢事를 相對로 하여 訴를 提起할 수 있다. <改正 2005.3.31.>

第2節 養子

第1款 縁組の要件及び効力
第2款 縁組の無効及び取消し
第3款 離縁
第1目 協議上の離縁
第2目 裁判上の離縁
第4款 親養子

第908条の2(親養子縁組の要件等)① 親養子を縁組しようとする者は,次の各号の要件を備え,家庭裁判所に親養子縁組を請求しなければならない。

1. 3年以上婚姻中である夫婦であって,共同で縁組すること。但し,1年以上婚姻中である夫婦の一方が,その配偶者の実子を親養子とするときは,この限りではない。
2. 親養子となる者が未成年者であること
3. 親養子となる者の実父母が親養子縁組に同意すること。但し,父母が親権喪失の言渡を受け,所在が知れず,又はその他の事由により同意をすることのできないときは,この限りではない。
4. 親養子となる者が13歳以上であるときは,法定代理人の同意を受けて縁組を承諾すること
5. 親養子となる者が13歳未満であるときは,法定代理人がその者に代えて縁組を承諾すること

② 家庭裁判所は,次の各号のいずれか一に該当するときは,第1項第3号・第4号による同意又は同項第5号による承諾がなくても第1項の請求を認容することができる。この場合において,家庭裁判所は,同意権者又は承諾権者を審問しなければならない。

1. 法定代理人が正当な理由なく同意又は承諾を拒否するとき。但し,法定代理人が親権者であるときは,第2号又は第3号の事由がなければならない。
2. 実父母が自らに責任がある事由によって3年以上子女に対する扶養義務を履行せず,及び面接交渉をしなかったとき
3. 実父母が子女を虐待又は遺棄し,その他子女の福利を著しく害したとき

③ 家庭裁判所は,親養子となる者の福利のため,その養育状況,親養子縁組の登記,養父母の養育能力その他の事情を考慮して親養子縁組が適当でないと認めるときは,第1項の請求を棄却することができる。

[全文改正 2012.2.10.]

第908条の3(親養子縁組の効力)①親養子は,夫婦の嫡出子と見なす。

②親養子の縁組前の親族関係は,第908条の2第1項の請求による親養子縁組が確定したときに終了する。但し,夫婦の一方がその配偶者の実子を単独で縁組した場合における配偶者及びその親族と実子の間の親族関係は,この限りではない。

[本条新設 2005.3.31.]

第908条の4(親養子縁組の取消等)① 親養子となる者の実方の父又は母は,自らに責任のない事由により第908条の2第1項第3号但書による同意を得ることができなかった場合において,親養子縁組の事実を知った日から6箇月内に家庭裁判所に親養子縁組の取消を請求することができる。

② 親養子縁組については,第883条,第884条を適用しない。

[全文改正 2012.2.10.]

第908条の5(親養子の離縁)①養親,親養子,実方の父若しくは母又は検事は,次の各号のいずれか一の事由があるときは,家庭裁判所に親養子の離縁を請求することができる。

1. 養親が親養子を虐待又は遺棄し,その他親養子の福利を著しく害するとき
2. 親養子の養親に対する背倫行為により親養子関係を維持させることができなくなったとき

②第898条及び第905条の規定は,親養子の離縁についてこれを適用しない。

[本条新設 2005.3.31.]

第908条の6(準用規定)第908条の2第3項は,親養子縁組の取消又は第908条の5第1項第2号による離縁の請求についてこれを準用する。<改正 2012.2.10.>

[本条新設 2005.3.31.]

第908条の7(親養子縁組の取消・離縁の効力)①親養子縁組が取り消され,又は離縁したときは,親養子関係は消滅し,縁組前の親族関係は復活する。

②第1項の場合において,親養子縁組の取消の効力は,遡及しない。

[本条新設 2005.3.31.]

第908条の8(準用規定)親養子についてこの款に特別の規定がある場合を除いては,その性質に反しない範囲内において養子に関する規定を準用する。

[本条新設 2005.3.31.]

第3節 親権

第1款 総則
第2款 親権の効力
第3款 親権の喪失、一時停止及び一部制限

第5章 後見

第1節 未成年後見及び成年後見

第1款 後見人
第2款 後見監督人
第3款 後見人の任務
第4款 後見の終了

第2節 限定後見及び特定後見

第3節 後見契約

第6章 削除<2011.3.7>

(改正前「親族会」)

第7章 扶養

第8章 削除<2005.3.31>

(改正前「戸主承継」
 第1節 総則
  第980条-第983条
 第2節 戸主承継人
  第984条-第994条
 第3節 戸主承継の効力
  第995条・第996条 )

第5編 相続

第1章 相続

第1節 総則

第997条乃至第999条

第2節 相続人

第1000条(相続の順位)

①相続においては、次の順位で相続人となる。<改正1990年1月13日>

1.被相続人の直系卑属

2.被相続人の直系尊属

3.被相続人の兄弟姉妹

4.被相続人の4親等内の傍系血族

②前項の場合において、同順位の相続人が数人あるときは、最近親者を優先とし、同親等の相続人が数人あるときは、共同相続人となる。

③胎児は、相続順位については、既に生まれたものとみなす。<改正1990.1.13.>

[見出し改正1990年1月13日]

第1001条(代襲相続)

前条第1項第1号及び第3号の規定により相続人になる直系卑属又は兄弟姉妹が相続開始前に死亡し又は欠格者となった場合において、これに直系卑属があるときは、その直系卑属は、死亡し又は欠格となった者の順位で共同相続人となる。

第1002条

第1003条(配偶者の相続順位)

①被相続人の配偶者は、第1000条第1項第1号及び第2号の規定による相続人があるときは、その相続人と同順位で共同相続人となり、その相続人がないときは、単独相続人となる。<改正1990年1月13日>

②第1001条の場合には、相続開始前に死亡又は欠格となった者の配偶者は、同条の規定による相続人と同順位で共同相続人となり、その相続人がないときは、単独相続人となる。≪改正1990年1月13日>

[見出し改正1990年1月13日]

第1004条

第3節 相続の効力

第1款 一般的効力

第1005条乃至第1007条

第1008条(特別受益者の相続分)

共同相続人中に被相続人から財産の贈与又は遺贈を受けた者がいる場合において、その受贈財産が自分の相続分に達しないときは、その不足する部分の限度で相続分を有する。<改正1977.12.31.>

第1008条の2乃至第1008条の3

第2款 相続分

第1009条(法定相続分)

①同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は均分とする。<改正1977年12月31日、1990年1月13日>

②被相続人の配偶者の相続分は、直系卑属と共同で相続するときは、直系卑属の相続分に5割を加算し、直系尊属と共同で相続するときは、直系尊属の相続分に5割を加算する。<改正1990年1月13日>

③削除<1990年1月13日>

第1010条(代襲相続分)

①第1001条の規定により死亡又は欠格となった者に代襲して相続人となった者の相続分は、死亡又は欠格となった者の相続分による。

②前項の場合において、死亡又は欠格となった者の直系卑属が数人あるときは、その相続分は、死亡又は欠格となった者の相続分の限度で、第1009条の規定により、これを定める。第1003条第2項の場合も、同様である。

第1011条

第3款 相続財産の分割

第1012条乃至第1018条

第4節 相続の承認及び放棄

第1款 総則

第1019条乃至第1024条

第2款 単純承認

第1025条乃至第1027条

第3款 限定承認

第1028条乃至第1040条

第4款 放棄

第1041条乃至第1044条

第5節 財産の分離

第1045条乃至第1052条

第6節 相続人の不存在

第1053条乃至第1059条

第2章 遺言

第1節 総則

第1060条乃至第1064条

第2節 遺言の方式

第1065条乃至第1072条

第3節 遺言の効力

第1073条乃至第1090条

第4節 遺言の執行

第1091条(遺言証書、録音の検認)①遺言の証書若しくは録音を保管する者又はこれを発見した者は、遺言者の死亡後、遅滞なく、これを法院に提出し、その検認を申請しなければならない。
②前項の規定は、公正証書又は口授証書による遺言には適用しない。

第1092条(遺言証書の開封)法院が封印された遺言書を開封するときは、遺言者の相続人、その代理人その他の利害関係人を参加させなければならない。

第1093条(遺言執行者の指定)遺言者は、遺言により遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

第1094条(委託による遺言執行者の指定)①前条の委託を受けた第三者は、その委託を知った後、遅滞なく、遺言執行者を指定して相続人に通知しなければならず、その委託を辞退するときは、その旨を相続人に通知しなければならない。
②相続人その他の利害関係人は、相当な期間を定めて、その期間内に遺言執行者を指定すべき旨を委託された者に催告することができる。その期間内に指定の通知を受けなかったときは、その指定の委託を辞退したものとみなす。

第1095条(指定遺言執行者がないとき)前2条の規定により指定された遺言執行者がないときは、相続人が遺言執行者となる。

第1096条(法院による遺言執行者の選任)①遺言執行者がないとき又は死亡、欠格その他の事由によりなくなったときは、法院は、利害関係人の申請により、遺言執行者を選任しなければならない。
②法院は、遺言執行者を選任したときは、その任務に関して必要な処分を命ずることができる。

第1097条(遺言執行者の承諾、辞退)①指定による遺言執行者は、遺言者の死亡後、遅滞なく、これを承諾し又は辞退する旨を相続人に通知しなければならない。
②選任による遺言執行者は、選任の通知を受けた後、遅滞なく、これを承諾し又は辞退する旨を法院に通知しなければならない。
③相続人その他の利害関係人は、相当な期間を定めて、その期間内に承諾するや否やを確答すべき旨を指定又は選任による遺言執行者に催告することができる。その期間内に催告の確答を受けなかったときは、遺言執行者がその就任を承諾したものとみなす。

第1098条(遺言執行者の欠格事由)制限能力者及び破産宣告を受けた者は、遺言執行者になることができない。[全文改正2011.3.7]

第1099条(遺言執行者の任務の着手)遺言執行者がその就任を承諾したときは、遅滞なく、その任務を履行しなければならない。

第1100条(財産目録の作成)①遺言が財産に関するものであるときは、指定又は選任による遺言執行者は、遅滞なく、その財産目録を作成し、相続人に交付しなければならない。
②相続人の請求があるときは、前項の財産目録の作成に相続人を参加させなければならない。

第1101条(遺言執行者の権利義務)遺言執行者は、遺贈の目的である財産の管理その他の遺言の執行に必要な行為をする権利義務を有する。

第1102条(共同遺言執行)遺言執行者が数人あるときは、任務の執行は、その過半数の賛成により決定する。ただし、保存行為は、各自がこれをすることができる。

第1103条(遺言執行者の地位)①指定又は選任による遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。
②第681条から第685条まで、第687条、第691条及び第692条の規定は、遺言執行者に準用する。

第1104条(遺言執行者の報酬)①遺言者が遺言でその執行者の報酬を定めなかったときは、法院は、相続財産の状況その他の事情を参酌して、指定又は選任による遺言執行者の報酬を定めることができる。
②遺言執行者が報酬を受けるときは、第686条第2項、第3項の規定を準用する。

第1105条(遺言執行者の辞退)指定又は選任による遺言執行者は、正当な事由があるときは、法院の許可を得て、その任務を辞退することができる。

第1106条(遺言執行者の解任)指定又は選任による遺言執行者がその任務を懈怠し、又はこれに適当でない事由があるときは、法院は、相続人その他の利害関係人の申請により、遺言執行者を解任することができる。

第1107条(遺言執行の費用)遺言の執行に関する費用は、相続財産の中からこれを支給する。

第5節 遺言の撤回

第1108条乃至第1111条

第3章 遺留分

第1112条 (遺留分の権利者及び遺留分)

相続人の遺留分は、次の各号による。

1.被相続人の直系卑属は、その法定相続分の2分の1

2.被相続人の配偶者は、その法定相続分の2分の1

3.被相続人の直系尊属は、その法定相続分の3分の1

4.被相続人の兄弟姉妹は、その法定相続分の3分の1

[本条新設1977.12.31.]

第1113条(遺留分の算定)

①遺留分は、被相続人の相続開始時における財産の価額に贈与財産の価額を加算し、債務の全額を控除して、これを算定する。

②条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価によって、その価額を定める。

[本条新設197712.31.]

第1114条(算入される贈与)

贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、第1113条の規定によりその価額を算定する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前にしたのも同様とする。

[本条新設1977.12.31.]

第1115条(遺留分の保全)

①遺留分権利者は、被相続人の第1114条に規定する贈与及び遺贈によりその遺留分に不足を生じたときは、不足している限度で、その財産の返還を請求することができる。

②第1項の場合において、贈与及び遺贈を受けた者が数人あるときは、各自が得た増加額に比例して返還しなければならない。

[本条新設1977 12. 31.]

第1116条(返還の順序)

贈与については、遺贈の返還を受けた後でなければ、これの返還を請求することができない。

[本条新設1977.12.31.]

第1117条(消滅時効)

返還請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び返還されなければならない贈与又は遺贈がされた事実を知ったときから1年以内に行使しなければ、時効によって消滅する。相続が開始した時から10年を経過したときも、同様である。

[本条新設1977.12.31.]

第1118条(準用規定)

第1001条、第1008条及び第1010条の規定は、遺留分にこれを準用する。

[本条新設1977.12.31.]

  1. 原文では「親生子」と表記。韓国民法において「親生(子)」というのは,血縁関係を有する子をいい,わが国民法における「実子」に対応する概念であることから本文では実子としたが,「嫡出子」と翻訳する例もある。
  2. 原文では「婚姻外의 出生子」と表記。本文では,これに対応する我が国民法の用語として「嫡出でない子」とした。「嫡出子」もこれに準ずる。

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