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オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪リザーブは「楽しかった」卓球女子団体・木原美悠が語る、長い選考レースの末に笑顔でサポートできた理由…「気持ちの準備はできていた」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/09/17 17:01
パリ五輪卓球女子日本代表、木原美悠。練習場にはパリ五輪仕様の卓球台も備えてあった
「日本選手のレベルがほんとうに上がってきていて、選考会で勝つこともそんなに簡単じゃないし、辛い時期もありました。選考レースを終えてオリンピックという舞台に立てないのはもちろん悔しいんですけど、自分の実力を見直すことができた2年間だったかなって思います」
総合的な判断によって選ばれる団体戦の代表には張本が選出され、木原がパリの舞台に立つ可能性は消えた。
その後、2月の世界選手権団体戦に出場するなどプレーを続けていた5月、ある知らせが届いた。
「WTT(国際大会のシリーズ)のサウジアラビアのときです。ナショナルチームの監督から木下グループの中澤(鋭)監督に伝えられて、中澤監督から自分の方に話がありました」
それはパリ五輪でのリザーブの打診だった。
話を聞いた瞬間の想いを木原は言う。
「うれしい気持ちの方が強かったですね。選考レースが終わって、団体の3番目にも選ばれないなと思ったときから、次はリザーブを狙おうって思っていました」
パリは「楽しかった」
東京五輪を観て、大舞台に参加したいと思った。たとえリザーブとしてでも味わいたかった。
「東京のときは早田選手、リオデジャネイロのときは平野選手がリザーブでした。先輩方がどういうことをしたのか話をしてくれて、大変な部分もあると教えてくれました。だから気持ちの準備はできていました」
代表を目指し、それがかなわず務めたパリでのリザーブの日々。木原は、ひとことで表す。
「楽しかったです」
そこには心からの笑顔があった。
打診される前からリザーブに対して前向きであったとしても、これまでリザーブを務めてきた選手たちの発言のニュアンスからすれば、意外な言葉でもあった。
<続く>