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「薬物はダメ。自分の家庭もそれで壊れてる」YA-MANの思い…大麻容疑で逮捕、木村“フィリップ”ミノル「格闘技界から永久追放」の可能性は
posted2024/10/12 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
FIGHT CLUB
メインイベントが終わっても、観客がなかなか席を立とうとしなかった。試合の余韻はもちろんある。中継ブースでのコメントが続いており、客電がつかなかったのも理由の一つだろう。だがそれだけではない。
「これで終わりでいいんだっけ? あと何もないよね?」
そんなふうに感じていた観客も多かったのではないか。10月5日の『FIGHT CLUB.2』。オープンフィンガーグローブ着用によるキックボクシングのイベントだ。この大会のメインは、セミファイナルからの“繰り上がり”だった。だからなんとなく「あと1試合あるよね」という感覚になってしまう。
本来、予定されていたメインイベントはYA-MANvs.木村“フィリップ”ミノル。YA-MANはRISEのオープンフィンガーグローブルール王者で、木村は元K-1王者。どちらもRIZINに出場してさらに知名度が高まった。
この注目カードは、しかし大会2日前に中止となった。理由は木村の逮捕という驚くべきもの。木村は1日に職務質問を受け、その際に大麻リキッドや植物片と見られるものを所持していたという。鑑定の結果、その一部が大麻と判明、3日に逮捕となった。大麻取締法違反の疑いである。
木村が単純な“初犯”とは言えない理由
関係者からの連絡と報道を受け、『FIGHT CLUB』運営は試合の中止を決める。大会は開催されセミファイナルまでの試合を実施することになったが、最大の注目カードがなくなり、PPV中継は無料配信に変更となった。
大会プロデューサーでもあるYA-MANは、逮捕当日にYouTubeで心境を吐露。また4日の公開計量でも取材陣の質問に答えている。
YA-MANによると、今回の損失は億単位だという。予測されていたPPVの売り上げだけでなく、試合を行うことによって本人に入るはずだったスポンサーフィー(コスチューム広告など)もなくなってしまう。試合に向けて積み重ねてきた練習もムダになった。
大麻を所持していたということで、とてつもない“実害”があったわけだ。初犯なら執行猶予がつくとか、大麻合法化といったこととは切り離して考える必要があるだろう。
まして木村は単純な“初犯”とも言えない。昨年、RIZINによるドーピング検査が陽性、つまりクロとなり半年間の出場停止処分が下されている。試合復帰の条件は再検査のクリアだったが、これもクロ。禁止薬物が体内に残っていたのだ。
今年3月、RIZINで復帰するもブアカーオ・バンチャメークにKO負け。評価が下がり切ったところでの大麻所持による逮捕だ。YA-MAN戦が評価を変えるチャンスだったが、それも自ら捨ててしまった。